税理士監修記事

生前贈与で早く財産を引き継ぎ、かつ節税効果を最大限に引き出す方法

「子供に早く財産を引き継がせてあげたい」

「相続税がかからないように節税したい」

このような目的から生前贈与を検討相続時精算課税を選択できるすることは有益です。

しかし、生前贈与に関する正しい知識をもたずに、闇雲に生前贈与を行うと、税金面で大きく損するおそれがあります。

この記事では、生前贈与やその他の財産移転の手法に関する正しい知識をお伝えすることで、読者の皆様が財産移転の最適な方法を判断できるようにお手伝いします。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

生前贈与とは?

生前贈与とは、被相続人(相続される人=財産を残す人)の生前に、被相続人の財産を贈与することです。

生前贈与の相手は、配偶者や子供でも構いませんし、まったく血縁関係のない人に贈与することもできます。

また、贈与の対象物は、預貯金、不動産、有価証券など、あらゆるものが該当します。

生前贈与の分類

生前贈与は、次の3つに分類することができます。

  • 単純贈与
  • 条件付贈与・期限付贈与
  • 負担付贈与

以下、それぞれについて説明します。

単純贈与

単純贈与とは、単純に、贈与者から受贈者(贈与を受ける人)に、財産を無償で与えるというもので、贈与のための条件や、受贈者の負担を設定しない贈与を単純贈与とよぶことがあります。

条件付贈与・期限付贈与

条件付贈与とは、贈与の効果を生じされるための条件を付けた贈与のことです。

例えば、結婚して子供が生まれたらマンションを贈与するといったケースです。

期限付贈与とは、贈与の効果が生じる期日を定めた贈与のことです。

例えば、2020年1月1日になったらマンションを贈与するといったケースです。

負担付贈与

負担付贈与とは、贈者が一定の債務などを負担することを条件にして行う贈与のことです。

例えば、住宅ローンの残金を受贈者が返済することを条件に住宅を贈与するケースや、受贈者が贈与者の介護を行うことを条件に財産の贈与するケースなどがあります。

生前贈与はいつ成立する?

贈与契約は、自分の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立します。

生前贈与に書面は必要?

生前贈与の成立には、書面は不要ですが、書面にしておくと次のメリットがあります。

  • 撤回ができなくなるので受贈者にとって安心
  • 税務調査の際に贈与があったことの証拠になる

撤回については、次の「生前贈与は撤回できる?」で詳しく説明します。

2点目についてですが、税務調査の際に、なぜ贈与があったことの証拠が必要な理由を説明します。

贈与は節税策として有効なケースがあります。

そのため、実際は贈与していないのに、後付けで贈与していたことにして、税金逃れをしようとする人もいます。

税務調査では、そのような税金逃れを見逃さないように細かな調査が行われます。

税務調査時に、贈与契約書を証拠として提示することで、贈与があったことを証明しやすくなります。

もっとも、契約書があれば、必ずそれだけで贈与と認められるわけではありません。

贈与を証明するための対策については、「生前贈与にかかる税金 > 贈与税 > 基礎控除の注意点」の項目で詳しく説明します。

生前贈与は撤回できる?

贈与を撤回できるかどうかは、その贈与が、書面による贈与なのか、書面によらない贈与なのかによって異なります。

ここでいう書面とは、形式的にも正式な贈与契約書のようなしっかりしたものでなくても、贈与の事実が見て取れる程度のものでも構いません。

書面による贈与は、原則として撤回することができませんが、書面によらない贈与は、履行の終わった部分でない限り、撤回することができます。

履行とは、現物の引き渡しや移転登記のことです。

つまり、まだ財産をあげていなければ、書面によらない贈与は撤回することができます。

なお、書面による贈与でも受贈者に著しい忘恩行為(恩を忘れる行為)があった場合は、撤回できる可能性があります。

生前贈与にかかる税金

生存贈与によって課税される可能性がある税金には次の4つがあります

  • 贈与税
  • 相続税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税

以下、それぞれについて説明します。

贈与税

贈与には、贈与税がかかります。

贈与税の計算方法

贈与税の計算は、贈与額から基礎控除額を控除し(差し引き)、贈与税率を乗じて(掛けて)、控除額を控除して(差し引いて)計算します。

贈与税の税率は、一般贈与財産と特例贈与財産とで異なり、特例贈与財産の方が税率が低く設定されています。

以下では、基礎控除と一般贈与財産、特例贈与財産について、それぞれ説明します。

【基礎控除】

贈与税には毎年110万円の基礎控除が設定されています。

贈与税の納税義務者は、贈与者ではなく、受贈者です。

ですので、基礎控除額の算定も、贈与者ごとではなく、受贈者ごとに行います。

例えば、ある年に、父と母から、それぞれ110万円ずつ贈与を受けたとすると、その年の受贈金額は220万円となります。基礎控除額を110万円超えてしまうので、その超えた分の110万円に対しては贈与税が課税されます。

【一般贈与財産】

一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない財産のことで、例えば、次の間柄の贈与に使用します。

  • 夫婦
  • 兄弟
  • 子が未成年者の親子

一般贈与財産の税率は下表のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

【特例贈与財産】

一方、特例贈与財産とは、直系尊属(親や祖父母等)から、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)への贈与財産のことです。

なお、配偶者の直系尊属からの贈与には適用できません。

特例贈与財産の税率は下表のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

基礎控除の注意点

この基礎控除を毎年利用すれば、非課税で110万円×年数分の贈与が受けられることになります。

ただし、毎年110万円ずつ贈与しても、実態として1つの贈与であれば、毎年の基礎控除を適用することはできません。

例えば、毎年110万円ずつ、20年間にわたって贈与を行えば、110万円×20年=2200万円を非課税で贈与できるように思われます。

しかし、20年にわたって110万円ずつ贈与することが初めから約束されているような場合は、その約束した年にまとめて、(2200万円-110万円)×50%-250万円=795万円の贈与税が課税される可能性があります(なお、一般贈与財産として計算しました。)。

このようにまとめて課税されること避けるためには、どのように対策すればよいでしょうか?

ウェブ上では、実に様々な対策が見受けられます。

例えば、毎年入金する日を変更するとか、金額を変更するとか、たまには基礎控除の枠を超えて贈与して贈与税を申告するとか、毎年契約書を作成するとか、毎年贈与式を行い写真を残すとか、様々な対策の必要性が声高に叫ばれています。

しかし、このような対策は実際は不要です。

実態として別の贈与であれば、問題ありません。

問題となるのは、贈与者が受贈者名義の口座を管理しているようなケースです。

税務上は、贈与者が口座を管理している場合は、毎年110万円ずつ入金していても、毎年の贈与が成立しているとは認められず、受贈者に通帳と届印を渡して、管理を任せた時点で、贈与が行われたと認定され、その年にまとめて課税されるおそれがあります。

「生前贈与に書面は必要?」の項目で述べた通り、後付けの贈与による税金逃れを許さないために、実際に贈与があったかどうかは厳しくチェックされます。

痛くない腹を探られないためには次のような対策が有効と考えられます。ただし、これらを行ったからといって必ず贈与の実態を立証できるということを保証するものではありませんのでご注意ください。

  • 受贈者名義で受贈者自身が開設した口座に振り込む
  • 通帳、届印、キャッシュカードを受贈者が管理する
  • 贈与契約書を作成する

相続税

贈与の場合は、基本的には相続税はかかりません。

しかし、相続又は遺贈により財産を取得した者に対して、亡くなる前の3年間に行われた贈与は、相続税の計算に足し戻されるため、相続税が課されます。

法定相続人でも受遺者(遺贈を受けた人)でもない孫については関係がないので、余命が3年もない場合は(縁起でもないですが)、子ではなく孫に贈与した方が節税なるケースがあります。

なお、代襲相続人は法定相続人なので、孫が代襲相続人である場合は、このケースに当たりません(贈与しても節税になりません。)。

既に贈与税を支払っている場合は、相続税も課されることとなり、贈与税と相続税の2重課税となってしまいます。そこで、相続税から既に支払った贈与税の金額を差し引いた金額を相続税として納めればよいこととなっています。

ただし、贈与税として支払った金額が、課されるべき相続税よりも大きかったとしても、差額の贈与税は還付されません。

ちなみに、後述する住宅取得等資金の贈与の特例を利用しての贈与の場合は、亡くなる前3年以内の贈与であっても、贈与税非課税とされた金額については相続税も非課税となります。(足し戻しの計算は行なわれません。)

このほか、相続時精算課税(後述)を選択した場合も相続税が課税されますし、また、贈与が税務調査で否認された場合も相続税が課されることがあります。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産の取得に際して課税される税金です。

取得不動産の固定資産税評価額の4%が課税されます。

自宅用の不動産の場合等、様々な軽減措置があるので、不動産の贈与を受ける場合は、該当する軽減措置がないか確認しましょう。

こちらのページを参考にしてください。

なお、相続の場合は、不動産取得税は課税されません。

節税策として不動産の生前贈与を考えている場合は、不動産取得税分も含めてトータルで節税になっているか計算しましょう。

登録免許税

登録免許税は不動産の登記等に対して課税される税金です。

贈与の場合は、固定資産税評価額の2%が課税されます。

相続の場合は0.4%なので、登録免許税も不動産取得税と同様、贈与の場合は不利になります。

登録免許税も軽減措置があるので、該当するものがないか、こちらのページで確認するとよいでしょう。

生前贈与のメリット

生前贈与のメリットとして、次の点が挙げられます。

  • 毎年110万円の基礎控除を利用できる
  • 住宅取得等資金の贈与の特例を利用できる
  • 2000万円の贈与税の配偶者控除を利用できる
  • 1500万円の教育資金贈与の非課税の特例を利用できる
  • 1000万円の結婚子育て資金贈与の特例を利用できる
  • 財産の値上がりが予想される場合、節税になる
  • 収益物件の場合、節税になる
  • 早期に財産移転できる
  • 相続時精算課税を選択できる
  • いつ、誰に、どの財産を、どれだけ贈与するか自由に簡単に決められる
  • 相続トラブルを避けられる

以下、それぞれについて説明します。

毎年110万円の基礎控除を利用できる

前述の通り、毎年110万円以内の贈与は、基礎控除があるため非課税です。

住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用できる

2015年から2021年の間に、直系尊属(親や祖父母等)から、自宅の新築、取得または増改築等のための資金の贈与を受けた場合において、一定の要件を満たすときは、住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用することができます。

この特例を利用すると、下表の限度額までの金額が贈与税の対象となる贈与額から控除され非課税となります。

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2015年1月1日~2015年12月31日 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円

省エネ等住宅というのは、省エネ等基準に適合することを証明された住宅のことです。

なお、2019年10月からは、消費税が10%に上がることが予定されていますが、増税後は、控除額が、下表のとおり、上がります。

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

消費税が上がると、住宅のような高額の買い物をしにくくなるので、贈与税の控除額を上げることでバランスを取ろうとする趣旨であると理解されます。

自宅を相続により取得する時には、小規模宅地等の特例という一定の要件を満たせば、土地の評価額を最大8割軽減する制度があります。この住宅取得等資金贈与の特例を利用して持ち家を所有してしまうと、小規模宅地等の特例が受けられなくなってしまうため、将来自宅を継いでもらう予定の子らへの住宅取得等資金贈与をする時には注意が必要です。

小規模宅地等の特例について、詳しくは、「小規模宅地等の特例で8割減で大幅に節税する方法と意外な落とし穴」をご参照ください。

2000万円の贈与税の配偶者控除を利用できる

贈与税の配偶者控除とは、結婚20年以上の夫婦が、配偶者に自宅または自宅購入用資金を、2000万円を上限として、非課税で贈与することができる制度です。

通称、「おしどり贈与」とよばれています。

控除を受けるためには、次の3つの要件のすべてを満たしていなければなりません。

  • 婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  • 自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、受贈者がその住宅に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

配偶者は、相続の場合も大きな控除枠があり、相続税がかかることはあまりないので、おしどり贈与の特例は利用しない方が得なことが多いです。

利用すべきケースは、夫婦で賃借住宅に住んでいる場合に、妻が夫から不動産を取得するための資金(2000万円以内)の贈与を受けるようなケースです。

このケースでは、夫から妻へ生前に2,000万円までの贈与を非課税で行うことができます。また、通常、相続開始前3年以内に贈与した財産は相続財産に加算されますが、贈与税の配偶者控除の適用を受けた財産は加算する必要がありません。

1500万円の教育資金贈与の非課税の特例を利用できる

教育資金贈与の特例とは、祖父母等から教育資金としてもらったお金が最大1500万円まで非課税となる制度です。

1000万円の結婚子育て資金贈与の特例を利用できる

結婚子育て資金贈与の特例とは、結婚や子育ての資金としても親や祖父母からもらったお金が最大1000万円まで非課税となる制度です。

財産の値上がりが予想される場合、節税になる

値上がりが予想される財産を生前贈与で早めに次の世代に引き継ぐことによって、値上がり分の相続税が節税になる場合があります。

例えば、相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行います。贈与時の財産の時価が1億円だった場合、1億円に対して一旦贈与税が課税されます(実際の相続発生時の相続税から控除されます。)が、被相続人が亡くなるまでの間にその財産が値上がりして1億5000万円になったとしても、相続税は贈与時の時価の1億円に対して課税されるのです。

詳しくは、「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」をご参照ください。

収益物件の場合、節税になる

投資用マンション等の収益物件の場合、生前贈与で早めに次の世代に引き継ぐことによって、収益分が節税になる場合があります。

例えば、1年に500万円の収益を生む1億円の不動産を、亡くなる10年前に相続時精算課税制度を利用して生前贈与したとします。

そうすると、この物件は単純計算で10年間で5000万円の収益を生みます。

仮に生前贈与せずに、10年後に相続した場合はどうでしょうか?

話を単純にするため、不動産の価値は10年間で変化しなかったと仮定しますが、不動産価格1億円に、不動産収益の5000万円が加わり、合計1億5000万円に対して相続税が課税されます。

これに対し、相続時精算課税制度を利用した場合は、贈与時に取得した不動産の時価1億円に対して相続税が課税されます。マンション贈与時に一旦贈与税を納めていますが、この金額は、相続税の前払いとして実際の相続税から控除されますので、相続時精算課税制度を利用した方が、課税される金額が5000万円低くなります。

ただし、相続時に不動産の時価が5000万円になっていたとしても、相続税は贈与時の時価1億円に対して課税される点に注意が必要です。

こちらも詳しくは、「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」をご参照ください。

早期に財産移転できる

生前贈与のメリットとして、節税になるケースを中心に紹介してきましたが、生前贈与のメリットは、何も節税に限った話ではなく、お金を必要とする世代に早く財産を引き継げること自体がメリットと言えます。

相続時精算課税を選択できる

生前贈与で早期に財産を引き継げるのは良いとしても、贈与税がかかることによって財産が目減りしてしまうのは喜ばしいことではありません。

そのような場合には、相続時精算課税を選択することによって、贈与税が非課税になり、代わりに相続時に相続税として課税されることになります。

贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、相続税の基礎控除は最低でも3600万円と大きいので、ほかの相続財産と合算しても基礎控除以下に納まれば、相続税すらも課税されません。

ただし、遺産の金額が相続税の基礎控除を超えるような多額の場合には、むしろ贈与税の方が税率が低いという側面もありますので、相続時選択課税制度を選択した方がよいかの判断については、相続に精通した弁護士あるいは税知りに相談することも重要です。

詳しくは、「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」をご参照ください。

いつ、誰に、どの財産を、どれだけ贈与するか自由に簡単に決められる

通常の相続の場合は、被相続人の死亡時に、法定相続人が法定相続分を相続されます。

つまり、相続の場合は、財産移転のタイミングも、財産の移転先も、配分も、分割内容も指定することはできません。

この点、生前贈与であれば、いつ、誰に、どの財産を、どれだけ贈与するか自由に決めることができます。

遺贈や死因贈与でも、誰にどの財産をどれだけ引き継ぐか決めることができますが、タイミングは被相続人の死後に限定されます。

また、遺贈の場合は、遺言の形式が厳格に決められており、形式不備があると遺言が無効になってしまうというリスクもあります。

相続トラブルを避けられる

贈与者と受贈者が話し合って贈与の内容を決めることができるため、相続のように相続人だけで遺産分割協議をするよりもトラブルは生じにくいでしょう。

また、遺贈のように、遺言書の内容が明らかになってびっくりということも避けられます。

生前贈与の注意点

生前贈与を行う際には、次の6点にご注意ください。

  • 遺留分を侵害すると、減殺請求される可能性がある
  • 持ち戻しにより受贈者の相続分が減る可能性がある
  • 老後資金を残しておく
  • 亡くなる3年前の贈与は、相続税の課税対象となる
  • 贈与があったことを証明できるようにしておく
  • 不動産の贈与の場合、不動産取得税が発生し、また、登録免許税が高くなる
  • 贈与時に利用できる非課税の特例を利用すると却って損することがある

後の4点については既に説明済みなので、以下では、前の3点についてそれぞれについて説明します。

生前贈与と遺留分

遺留分とは、被相続人の配偶者や子など一定の範囲の相続人に留保された相続財産の割合のことです。

相続人となる人や各相続人の相続分については民法に定められていますが、これは遺言によって変更することができますし、生前贈与や死因贈与によって相続財産が減ってしまったり無くなってしまったりすることもあります。

そのような場合に、被相続人と近しい関係の本来の相続人が、まったく遺産を取得できなくならないように、民法では、一定の範囲の相続人に対して、法定相続分の一定割合を遺留分として相続できるようにしているのです。

ですので、財産の多くの割合を不均衡な生前贈与に当てた場合、法定相続人の遺留分を侵害してしまう可能性があります。

遺留分を侵害すると、贈与者が亡くなった後に、遺留分の侵害を受けた法定相続人から受贈者に対して遺留分減殺請求(遺留分を取り戻すための請求)が行われる可能性があります。

生前贈与を行う際は、遺留分を侵害しない程度の割合にとどめておいた方がよいでしょう。

もっとも、遺留分は放棄することもできるので、相続人が遺留分の放棄に応じるのであれば、生前に遺留分の放棄の手続きを取っておく手もあります。

遺留分について、詳しくは、「遺留分とは?遺言や贈与で持っていかれた相続財産を取り戻す方法を説明」をご参照ください。

生前贈与と持ち戻し

次に、持ち戻しについて説明します。

持ち戻しとは、一部の相続人が相続開始前に生前贈与などによって財産をもらっていた場合、他の相続人と比べて得をしていることになるので、不公平にならないように、相続分から贈与を受けた分を差し引くことです。

一部の相続人に生前贈与を行った趣旨が、早めに財産を引き継ぐということであれば、相続時に持ち戻しが生じても問題ないでしょうが、一部の相続人により多くの財産を残すという趣旨であれば、持ち戻しが生じると意味がなくなってしまいます。

ですので、そのような場合は、持ち戻しをしないように遺言を残しておいたほうがよいでしょう。

老後資金

子や孫のことを思って多額の生前贈与を行い、老後資金が不足することがあります。

そのようなことになると、却って子や孫に迷惑をかけることになりかねないので、老後資金は十分にとっておきましょう。

まとめ

以上、生前贈与で早く財産を引き継ぎ、かつ節税効果を最大限に引き出す方法について説明しました。

この記事が参考になれば幸いです。

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