税理士監修記事

相続税と贈与税はどちらが安い?両者の税率や控除の違いを徹底比較!

相続税対策として生前贈与が有効という話を聞いたことがある人も多いでしょう。

しかし、実は、相続税率よりも贈与税率の方が高いのです。

それでは、なぜ生前贈与が相続税対策になるのでしょうか?

相続税と贈与税は、実際のところどちらが安いのでしょうか?

相続税と贈与税の税率や控除の違いを比較して、分かりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

相続税と贈与税は一概にどちらが安いというものではない!

財産を配偶者や子や孫などに引き継ぐ際に、相続税や贈与税がかかる場合があります。

簡単に言うと、相続税は亡くなった人の遺産を引き継いだ場合にかかる税金で、贈与税は生きている人から贈与を受けた場合にかかる税金です(生前贈与の場合でも相続時精算課税を選択した場合や、相続開始前3年以内の贈与は相続税がかかります。相続時精算課税については「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」参照)。

相続税と贈与税の税率は、同じ課税価格であれば、贈与税の方が高く設定されています。

それでは、贈与よりも相続によって財産を引き継いだ方が税金が安くなるのかと言うと、一概にそうとは言えません。

むしろ、贈与を組み合わせた方が税金が安くなるケースが多々あります。

その理由の一つとして、相続税も贈与税にも多様な控除(非課税枠)があり、それらを組み合わせて適用を受けることで節税になるということがあります。

加えて、相続税や贈与税の税率は、累進課税と言って、財産の額が大きければ大きいほど税率が高くなる仕組みになっているため、毎年少額ずつ贈与することで、低い税率で財産を引き継ぐことができます。

相続税や贈与税がなるべく安くなるように財産を引き継ぐためには、相続税や贈与税の仕組みを理解し、相続や贈与を組み合わせて計画的に財産を引き継ぐことが有効なのです。

以下では、最も大きな節税効果を得るための相続と贈与の組み合わせ方について理解するための具体的な知識を分かりやすく説明します。

遺産総額が基礎控除額以下に留まりそうなら相続税対策は不要

まず、前提として押さえておくべきは、「遺産総額(課税価格)が基礎控除額以下なら相続税対策は不要」ということです。

相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算することができます。

遺産総額(課税価格)が何もしなくても基礎控除額以下に留まりそうなら、相続税がかからず、相続税の申告も不要なので、当然、相続税対策も必要ありません。

相続税の申告が必要な相続の割合は約8.1%であり(出典:国税庁「平成28年分の相続税の申告状況について」)、残りの91.9%の相続では、相続税の申告は不要であり、相続税対策は必要ないのです(もっとも、相続税対策を適切に行った結果として申告が不要になったケースも含まれているでしょう)。

まずは、元気なうちに財産を正確に把握して相続税対策が必要となる額の財産があるのかどうかを検討すべきです。

相続税と贈与税の控除と税率の比較

相続税の基礎控除額を超えるだけの遺産総額になりそうであれば、相続税対策を検討する意味があります。

主な相続税対策には次のようなものがあります。

  • 生活費や教育費としての非課税での贈与
  • 贈与税の控除や非課税の特例の活用
  • 相続税の控除や税額軽減制度の活用
  • 遺産総額(課税価格)の抑制
  • 暦年贈与による税率の低減

以下、それぞれについて説明します。

生活費や教育費としての贈与

「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために贈与した財産で、通常必要と認められるもの」には贈与税がかかりません。

したがって、生前から生活費や教育費として贈与しておくことで、亡くなった時に相続税の課税対象となる財産を非課税で早期に移転することができます。

贈与税の控除や非課税の特例の活用

贈与税には次の控除や非課税の特例があります。

  • 基礎控除
  • 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
  • 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
  • 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

贈与税には年間110万円の基礎控除があります。

贈与税は課税価格(贈与税の課税対象となる1年間に受けた贈与の総額)から基礎控除の110万円を差し引いた金額に対して課税されます。

年間110万円までは、贈与を受けても贈与税が課されず、110万円を超えた場合は、その超えた分に対してのみ贈与税が課されます。

つまり、3人の子供に、年間110万円ずつ20年間にわたって贈与すると、110万円×20年×3人=6600万円となり、子供たちに合計6600万円を税負担なく譲り渡すことできます。

ただし、複数人から贈与を受けた場合でも、基礎控除額は110万円で変わりありません。

例えば、同じ年に、父と母からそれぞれ100万円の贈与を受けた場合、100万円+100万円-110万円=90万円となり、90万円に対して贈与税がかかります。

贈与税の計算方法について詳しくは「贈与税がかからない方法や贈与税の計算方法等の贈与税に関する全知識」をご参照ください。

「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」については、適用を受けることが必ずしも節税なるとは限らないので、適用を受けるかどうかについて慎重な検討を要します。

「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」を利用すべきケースは、次の両方を満たすような場合です。

  • 相続税の基礎控除、配偶者の税額の軽減、小規模宅地等の特例を駆使しても、相続税がかかる場合
  • 贈与税の配偶者控除を利用した生前贈与による節税メリットが、不動産取得税や登録免許税の増加分よりも大きい場合

詳しくは、「夫婦間贈与で課税されない方法と不動産贈与の配偶者控除のデメリット」の「贈与税の配偶者控除を受けても得にならないケース」をご参照ください。

また、「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるもの」については元々非課税なので、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」や「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」の適用を受けることのメリットは一括贈与を受けられることにあります。

しかし、適用を受けることのデメリットもあるので、適用を受けるかどうかについては、やはり、慎重な検討を要します。

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」については、そもそも、贈与者の財産が相続税の基礎控除額を超えるほどなければ、節税メリットはまったくなく、デメリットしかないので、贈与者の財産が相続税の基礎控除額を超えるほどない場合は、適用を検討する必要すらないでしょう。

詳しくは「教育資金贈与は都度贈与なら元々非課税!制度利用で一括でも非課税に」をご参照ください。

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」については、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」以上に、適用を受けるメリットがあるケースはあまりありません。

メリットがあるのは、贈与者の財産が相続税の基礎控除額を超えるほどあって、かつ、親が健在である孫などに対して利用するケースぐらいでしょう。

詳しくは「結婚資金の贈与やご祝儀を非課税で受け取れる範囲をわかりやすく説明」をご参照ください。

相続税の控除や税額軽減制度の活用

相続税には次の控除や税額軽減制度があります。

  • 基礎控除
  • 配偶者の税額の軽減
  • 未成年者の税額控除
  • 障害者の税額控除
  • 相次相続控除
  • 贈与税額控除

以下、それぞれについて説明します。

基礎控除

相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算することができます。

法定相続人の数は養子によって、増やすことができます。

しかし、基礎控除を計算する際の法定相続人の数には、すべての養子をカウントするわけではありません。

すべての養子をカウントすると、養子を増やすことによって、基礎控除を増やし、税金逃れができてしまうからです。

基礎控除の計算時に参入できる養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までと制限されています。

しかし、次の場合は、実子として扱い、養子の人数制限による影響を受けず法定相続人としてカウントすることができます。

  • 特別養子
  • 配偶者の実子、かつ、被相続人の養子(いわゆる連れ子養子)
  • 代襲相続人

養子を増やす場合に、よくある手法は孫を養子にする方法です。

ただし、これも前述の通り、養子にした孫の親が被相続人よりも先に亡くなっている場合は、孫は代襲相続人としての地位も得ることになり、ダブルカウントはできないため、基礎控除額を増やす効果はなくなってしまします。

また、節税目的で養子にした場合、基礎控除額の算定の基礎となる法定相続人の数に組み込むことを否定される可能性があるので、節税だけのために孫を養子にすることはお勧めしません。

相続税の基礎控除について詳しくは「相続税の基礎控除額の計算方法と控除額を増やして節税する実践的な方法」をご参照ください。

配偶者の税額の軽減

配偶者の税額の軽減制度は、配偶者だけが利用できる制度です。

配偶者が遺産分割や遺贈により取得した遺産額から、配偶者の法定相続分か1億6000万円のいずれか大きい方の金額を差し引いて、残った金額にのみ課税するという制度です。

遺産額より差し引く金額の方が大きい場合は、課税されません。

つまり、法定相続分の範囲内で遺産分割や遺贈を受ける分においては、相続税が課されることはないのです。

法定相続分を超えて遺産を取得した場合にのみ、相続税が課される可能性が生じますが、それでも1億6000万円までは課税されないので、ほとんどの家庭では配偶者はまったく課税されないということになります。

配偶者の税額の軽減について詳しくは「相続税配偶者控除で1億6千万円を非課税にする方法とそのデメリット」をご参照ください。

未成年者の税額控除

未成年者の税額控除は、相続人が未成年者の場合に利用できる税の軽減制度です。

控除額は年齢によって異なり、年齢が低い方がより大きい金額を控除できるようになっています。

具体的には、次の式で計算できます。

6万円 ×(20 - 相続時の満年齢)

例えば、相続時の年齢が満10歳だった場合は、次のように計算します。

6万円 ×(20 - 10)= 60万円

なお、計算に用いるのは、相続時の「満年齢」なので、10歳になったばかりでも、10歳11か月でも、同じ10歳として計算します。

控除額が相続税額よりも大きい場合は、差額を未成年者の扶養義務者の相続税額から控除します。

なお、以前も未成年者控除を受けている場合は、控除額が制限されることもあります。

障害者の税額控除

障害者の税額控除は、相続人が85歳未満の障害者の場合に、相続額から一定の金額を差し引く制度です。

控除額は次の計算式で算出することができます。

10万円 ×(85 - 相続時の満年齢)

なお、特別障害者(重度の障害のある方)の場合は、上式の「10万円」を「20万円」に変更して計算します。

控除額が相続税額よりも大きい場合は、差額を障害者の扶養義務者の相続税額から控除します。

なお、以前も障害者税額控除を受けている場合は、控除額が制限されることもあります。

相次相続控除

相次相続(そうじそうぞく)とは、相次いだ相続のことを言います。

ある人が亡くなり、その遺産が相続され、それからあまり年月が経たないうちに、今度は先ほどの遺産を相続した人が亡くなって次の相続が行われた場合の一連の相続を相次相続と言うのです。

相次いだ相続の間の期間が10年以内であれば、相続税の控除を受けることができます。

この控除のことを相次相続控除と言います。

相次相続控除の要件は次の通りです。なお、被相続人とは亡くなって財産を残す人のことです。

  • 控除適用者が二次相続の相続人であること
  • 一次相続から10年以内に二次相続が生じていること
  • 二次相続の被相続人が一次相続で財産を取得し相続税が課税されていること

相次相続控除を受ける人は、二次相続の相続人でなければなりません。

相続人以外で、遺言によって財産を贈られた人は対象外です。

相続放棄して死亡保険金だけもらって相続税を納めた場合も対象外です。

また、二次相続の被相続人が一次相続の際に相続税が課税されていることが要件となっています。

一次相続で財産を取得しただけで、相続税が課税されていなければ、対象外です。

相次相続控除額は次の式で計算することができます。

A × C ÷(B - A)× D ÷ C ×(10 - E) ÷ 10

※C÷(B-A)で求めた割合が100/100を超えるときは、100/100とする。

  • A:二次相続の被相続人の一次相続における相続税額
  • B:二次相続の被相続人の一次相続における相続額
  • C:二次相続における遺産総額
  • D:二次相続における相次相続控除適用者の相続額
  • E:一次相続の開始から二次相続の開始までの経過年数(端数切捨て)

相次相続控除について詳しくは「相次相続控除で相続税を安くするために絶対に知っておくべき10のこと」をご参照ください。

贈与税額控除

相続開始前3年以内の贈与には、相続税が課されます。

しかし、贈与を受けた時に贈与税を納めていた場合に、さらに相続税を課されると二重課税になってしまいます。

贈与税額控除は、そのような場合に二重課税を回避するための制度です。

相続税額から既に納めた贈与税額を控除することができるのです。

なお、贈与税額の方が大きい場合でも差額の還付を受けることはできません。

遺産総額(課税価格)の抑制

遺産総額(課税価格)が高くなればなるほど相続税も高くなるので、遺産総額(課税価格)を抑制することで相続税額を低く抑えることができます。

遺産総額を抑制するには次のような方法があります。

  • 「小規模宅地等の特例」の適用を受ける
  • 「地積規模の大きな宅地の評価」の適用を受ける
  • 相続税の課税対象となる財産を非課税財産に変える
  • 相続税評価額がより低く算定される財産に変える

以下、それぞれについて説明します。

「小規模宅地等の特例」の適用を受ける

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人の自宅の土地や、亡くなった人が事業に使っていた土地を相続する場合に、一定の条件を満たせば、相続税を計算する際の土地の評価額を最大8割引きにしてくれる制度です。

正式名称は、「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」なのですが、長いので、一般的には「小規模宅地等の特例」と呼ばれています。

小規模宅地等の特例について詳しくは、「小規模宅地等の特例で8割減で大幅に節税する方法と意外な落とし穴」をご参照ください。

「地積規模の大きな宅地の評価」の適用を受ける

「地積規模の大きな宅地の評価」とは、広い宅地を相続したり、広い宅地の遺贈(遺言によって財産を贈ること)や贈与を受けた場合に、相続税や贈与税の税額を計算する際の基となる相続税評価額を減額する制度です。

詳しくは、「地積規模の大きな宅地の評価が適用できるケースと評価額の計算方法」をご参照ください。

相続税の課税対象となる財産を非課税財産に変える

財産的な価値のある物のほとんどは相続税の課税対象となりますが、いくつか相続税がかからないものもあります。

代表的な非課税財産には次のものがあります。

  • 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
  • 相続人が取得した生命保険金や退職手当金等のうち一定の金額

以下、それぞれについて説明します。

墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

まず、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」について説明します。

墓所とはお墓を建てる場所(区画)のことです。

霊びょうは、漢字では「霊廟」と書き、霊を祀る建物のことです。

「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含みます。

祭具とは、祭祀に用いられる道具のことです。

「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいいます。

例えば、純金製の高価な仏像を金庫に保管している場合は、日常礼拝の用に供しているとは認められずに相続税の課税価格に算入すべきと判断される可能性があります。

また、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものも含まれません。

例えば、墓石屋さんのご主人が亡くなって、商品である墓石を息子が相続した場合は商品に当たるので、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」には含まれず、その墓石の価額は相続税の課税価格に算入されます。

なお、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」は相続税の課税価格に算入しませんが、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」の購入資金は相続税の課税価格に算入します。

つまり、被相続人の死亡後に、相続人が「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を相続したお金で購入した場合は、その資金は相続税の課税価格に算入し、被相続人が生前に購入した「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を相続した場合は、その価額は相続税の課税価格に算入されません。

要するに、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を購入するなら、被相続人が生前に購入した方が相続税対策になるということです。

相続人が取得した生命保険金や退職手当金等のうち一定の金額

生命保険金と退職手当金は、必ずしも全額が課税対象となるわけではありません。

受取人が相続人の場合は、生命保険金や退職手当金のうち一定額までは非課税とされますが、受取人が相続人でない場合は非課税とされる金額はありませんので、全額が課税対象となります。

非課税限度額は、次の式で計算することができます。

500万円×法定相続人の数

相続人について詳しくは、「法定相続人とは?法定相続人の範囲と優先順位、相続割合を図で説明」をご参照ください。

例えば、法定相続人が3人の場合は、500万円×3人=1500万円が非課税限度額となります。

なお、相続放棄をした人がいた場合でも、その人も非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます(相続放棄について詳しくは、「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。)。

しかし、相続欠格や相続人の廃除があった場合は、欠格者や被廃除者(廃除された人)は、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めません。

しかし、欠格者や被廃除者を被代襲者とする代襲相続人がいる場合は、その代襲相続人は非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます。

代襲相続について詳しくは、「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」をご参照ください。

また、上述した基礎控除額を計算する時と同様、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めることができる養子の数に一定の制限が設けられています。

生命保険には、一時払い終身保険というものがあります。

一時払い終身保険とは、保険料を一度に全額支払って一生涯保険が適用されるというもので、元本割れのリスクが低い保険です。

例えば、法定相続人が3人いる場合は1500万円が非課税となりますが、これを有効に活用するために、保険料も受取金も1500万円の一時払い終身保険に加入します。

そうすると、被保険者が亡くなった時に、受取人は1500万円を非課税で受け取ることができます。

言い換えれば、加入から亡くなるまでの間、お金を保険会社に預けておくことで、限度額まで非課税で相続させることができる制度と言えます。

保険会社によって違いはあるものの、健康診断なしで90歳まで加入できるものもあります。

90歳以下で、生命保険に未加入で、相続税の基礎控除額以上に財産を持っている人は、是非、利用すべきおすすめの制度です。

相続税評価額がより低く算定される財産に変える

財産をなるべく不動産に換えておくことは相続税対策になります。

相続税評価額は実勢価格よりも低く見積もられるからです。

例えば、1億円の現金を持っていたとします。

現金のまま相続すると、1億円が課税価格となります。

ところが、この1億円で、土地を購入して賃貸アパートを建てたとします。

土地も建物もそれぞれ5000万円だったとします。

相続税評価額は、市場価格の約8割程度になります。

固定資産税評価額は、市場価格の約7割程度になります。

市場価格5000万円の土地の相続税評価額は、5000万円×80%=4000万円程度になります。

さらに賃貸アパートのような貸家建付地の場合は、評価をさらに減額することができます。

具体的には、「自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で計算することができます。

借地権割合が40%、借家権割合が30%、賃貸割合が90%だとすると、貸家建付地の評価額は、4000万円-4000万円×40%×30%×90%=3568万円となります。

また、市場価格5000万円の建物の固定資産税評価額は、5000万円×70%=3500万円程度になります。

建物については、賃貸用なので、借家権割合の30%を差し引いて、2555万円×(1-30%×90%(賃貸割合))=2555万円となります。

土地と建物の評価額を合算すると、3568万円+2555万円=6123万円となり、現金のまま持っていた場合に比べて4割近く評価額を削減することができました。

また、あくまでも現時点での法律としては、タワーマンションの高層階の区分所有権を購入することは、相続税対策として有効です。

不動産の相続税評価額は実勢価格よりも低くなるため、現金を不動産に替えておくことで、相続財産の金額を減らし、相続税対策を行うことができることは前述の通りです。

タワーマンションの高層階は、実勢価格と相続税評価額との差がより大きくなるため、相続税対策としても、より大きな効果が期待できるのです。

ただし、将来的には、法改正によって、タワーマンションの高層階の財産評価の方法が変わり、相続税対策としての効果が低くなる可能性があります。

現に、固定資産税については既に法改正があり、タワーマンションの高層階は低層階に比べて高い固定資産税が課せられるようになっています。

しかし、既に購入済みのタワーマンションについては法改正の影響を受けず、影響を受けるのは、法改正後、つまり、2017年4月以降に売買契約が締結された新築物件です。

相続税についても、将来的に法改正が行われた時に、今回の固定資産税の改正のように、対象となる不動産が法改正後に売買契約が締結された新築物件に限定されれば、相続開始が法改正後だったとしても、法改正前に取得したタワーマンションの高層階は、相続税対策として有効となります。

暦年贈与による税率の低減

暦年贈与(れきねんぞうよ)とは、暦年課税の適用を受ける贈与のことです。

暦年課税とは、1月~12月までの1年間に取得した贈与財産に対して課税する制度です。

相続税や贈与税の税率は、累進課税と言って、財産の額が大きければ大きいほど税率が高くなる仕組みになっているため、暦年贈与によって、分散して贈与することで、低い税率で財産を引き継ぐことができます。

相続税と贈与税の税率は下表の通りです。

相続税:法定相続分に応ずる取得金額

贈与税:基礎控除後の課税価格

相続税 贈与税
一般贈与財産 特例贈与財産
税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
200万円超
300万円以下
15% 10万円 15% 10万円
300万円超
400万円以下
20% 25万円 15% 10万円
400万円超
600万円以下
30% 65万円 20% 30万円
600万円超
1,000万円以下
40% 125万円 30% 90万円
1,000万円超
1,500万円以下
15% 50万円 45% 175万円 40% 190万円
1,500万円超
3,000万円以下
50% 250万円 45% 265万円
3,000万円超
4,500万円以下
20% 200万円 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超
5,000万円以下
55% 640万円
5,000万円超
1億円以下
30% 700万円
1億円超
2億円以下
40% 1,700万円
2億円超
3億円以下
45% 2,700万円
3億円超
6億円以下
50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

特例贈与財産とは、直系尊属(祖父母や父母など)から直系卑属(子や孫など)へ贈与された財産のうち、贈与の年の1月1日時点において贈与を受けた直系卑属が20歳以上の場合のものを言い、一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない贈与財産のことを言います。

一般贈与財産よりも特例贈与財産の方が、税率が低く設定されています。

また、特例贈与財産よりも、相続税の方がさらに税率が低く設定されています。

このように見ると、「贈与税よりも相続税の方が安い!」と思うかもしれませんが、それは必ずしも正しくありません。

なぜなら、相続は回数を分割して行うことはできませんが、贈与は回数を分割して行うことができるからです。

贈与税は、暦年課税といって、1月から12月の1年間に受けた贈与財産に対して課税されます。

したがって、複数年に分割して贈与することによって、1年当たりの贈与額を低減させることができるのです。

例えば、遺産総額が1億円で、相続人が妻と子2人の場合について考えてみます。

法定相続人が3人なので、相続税の基礎控除額は4800万円(3000万円+600万円×3人)となります。

相続税の課税対象額は、5200万円(1億円-4800万円)となります。

法定相続分に応ずる取得金額は、妻が2600万円、子2人が1300万円ずつとなります。

このケースの相続税率は15%です(上表参照)。

そうすると、このケースでは、税率が15%未満であれば、贈与税の基礎控除額を超えて贈与したとしても、その方が税金が安くなります。

基礎控除後の課税価格が200万円以下の場合は贈与税率10%なので、この範囲内であれば、贈与税がかかっても贈与しておいた方が、相続税との比較でいうと、このケースでは税金が安くなるのです。

贈与税の基礎控除額は110万円なので、年間310万円(200万円+110万円)までは、このケースでは贈与した方が得ということになります。

このケースでは、相続税の課税総額が2000万円以下になると相続税の税率も10%になるので、これ以上は、贈与税の基礎控除額を超えて生前贈与しても無意味になります。

なお、贈与税は、贈与を受ける人ごとに課税されるので、贈与対象が複数いれば、それぞれに対して毎年310万円ずつ贈与してもよいでしょう。

そうすることで、相続税率を10%まで下げるために必要な額の贈与を短い年数で済ませることができます。

まとめ

以上、相続税と贈与税について説明しました。

相続税対策は多岐に渡り、記事で紹介しきれないものも多数あります。

相続専門の税理士に一度ご相談されることを強くお勧めします。

無料で初回相談に応じている税理士もいるので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

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