親から子に家の名義変更したい。贈与税は非課税にできるの?

親から子に家の名義変更をすると贈与税がかかるのでしょうか?

かかるなら、非課税で贈与する節税方法があるのでしょうか?

このような疑問に対して、税理士がわかりやすく説明します。是非、参考にしてください。

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記事は、公開日時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

家の名義変更をすると贈与税がかかる

相続税対策として生前に家の名義を子供に変更しておこうと考える人が多くいらっしゃいます。

確かに、子供に名義変更しておくと相続税はかからなくなりますが、贈与税がかかってしまいます。

相続税のよりも贈与税の方が税率が高いため、かえって税金が高額になってしまいます。

相続税と贈与税の税率表

特例贈与財産とは、贈与を受けた年の11日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)へ贈与された財産のことをいい、一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない贈与財産のことをいいます。

相続税:法定相続分に応じた取得金額

贈与税:基礎控除後の課税価格

相続税 贈与税
一般贈与財産 特例贈与財産
税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
200万円超
300万円以下
15% 10万円 15% 10万円
300万円超
400万円以下
20% 25万円 15% 10万円
400万円超
600万円以下
30% 65万円 20% 30万円
600万円超
1,000万円以下
40% 125万円 30% 90万円
1,000万円超
1,500万円以下
15% 50万円 45% 175万円 40% 190万円
1,500万円超
3,000万円以下
50% 250万円 45% 265万円
3,000万円超
4,500万円以下
20% 200万円 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超
5,000万円以下
55% 640万円
5,000万円超
1億円以下
30% 700万円
1億円超
2億円以下
40% 1,700万円
2億円超
3億円以下
45% 2,700万円
3億円超
6億円以下
50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

参考元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」「No.4155 相続税の税率」

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名義変更をしなかった場合

名義変更をしても、贈与税を申告しなければ、税務署にバレないのではないかと考える人がいますが、そのようなことはありません。名義変更をすることによって、税務署にも贈与があったことが分かります。

登記をしなかった場合

それでは、登記をせずに贈与契約書だけ交わせばよいと考える人もいるかもしれませんが、そういうわけにもいきません。

登記をしなければ、不動産の譲渡することも、不動産に担保権を設定することもできませんし、登記をしないままだと、贈与が成立したとはみなされないのです(名古屋高等裁判所平成101225日判決)。

贈与が成立していなければ、相続時に相続税がかかりますし、贈与税の時効が成立することもありません。

このように、相続税の仕組みや計算方法には難しい点がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門の税理士などに相談してみることをご検討ください。

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家を非課税で子供に引き継ぐ方法

それでは、家を非課税で子供に引き継ぐ方法はないのでしょうか?次のような方法が考えられます。

  • 年間110万円以内になるように共有持分を分割して暦年贈与する
  • 相続時精算課税制度の適用を受ける
  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受ける

以下、それぞれについて説明します。

年間110万円以内になるように共有持分を分割して暦年贈与する

贈与税の課税方式には、「暦年課税」「相続時精算課税」2つがあり、贈与を受けた人が、どちらの方式で贈与税を計算するかを贈与者ごとに贈与税の申告時に選択することができます。



暦年課税方式では、贈与税は、一人の人が11日から1231日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です)。暦年課税方式による贈与のことを暦年贈与といいます。

住宅を暦年課税方式で贈与したい場合

家の場合は、評価額が110万円を超えることが多いと思われますが、その場合でも、持分を分けて贈与することによって、1年間当たりの贈与額を110万円以下に抑えることができます。

例えば、評価額が2,200万円の不動産であれば、20分の1ずつの持分を毎年贈与することで、贈与税がかからなくなります。

しかし、贈与契約書を毎年作成して贈与しても、贈与による持分の変動を毎年登記しなければ、贈与の成立を税務署に認めてもらうことは難しいでしょう。

贈与の成立が認められなければ、贈与したつもりの土地の所有権は元の所有者の元に留まったままであり、相続が開始されれば相続税の対象となってしまいます。

かといって、毎年贈与契約書を作成して持分変動を登記するとなると、司法書士報酬・登記費用等それなりの費用と手間がかかります。

税理士に相談のうえ、検討するとよいでしょう。

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相続時精算課税制度の適用を受ける

相続時精算課税方式では、2500万円まで贈与税が非課税になります(2500万円を超える部分については、一律20%の贈与税が課せられます)。

贈与税はかかりませんが、相続時には、この制度により取得した贈与財産とその他の相続財産とを合わせた遺産総額に相続税が課税されるので、注意が必要です。

しかし一度、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与については翌年以降暦年課税を選択することはできません(つまり、毎年110万円の暦年課税の基礎控除が受けられません)。

相続税の課税対象となる遺産額が相続税の基礎控除額以下の場合は、相続税対策は必要ありませんから、暦年課税の基礎控除を利用する必要性は低いため、相続時精算課税を選択しても特段問題にはなりません。しかし、暦年課税の基礎控除を利用した相続税対策が必要な場合は、相続時精算課税を選択することはお勧めできません。

相続税の基礎控除

相続税には基礎控除があり、相続税の課税対象となる遺産額が基礎控除額以下の場合は、相続税がかかりません。基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。

3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。法定相続人の数え方について詳しくは、関連記事の「法定相続人の数え方」の項目をご参照ください。

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住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受ける

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」とは、「父母や祖父母等の直系尊属から自分が住むための家の新築、取得、増改築等(そのための土地の取得も含まれます)のためのお金を贈与された場合で、一定の要件を満たすときに、法律で定められた非課税限度額まで、贈与税を非課税にするという制度です。

非課税限度額は、家屋の種類(省エネ等住宅かどうか)、契約締結日、消費税率によって異なります。

なお、契約締結日とは、家屋を建築するための請負契約等の契約締結日のことです。贈与契約の締結日ではありません。

また省エネ等住宅というのは、省エネ等基準に適合することを証明された住宅のことです。

住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額

契約締結日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外の住宅
2016年1月1日~2019年9月30日 1,200万円 700万円
2019年10月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

参考元:国税庁 パンフレット・手引 「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし
この特例と贈与税の基礎控除(年間110万円)は併用できるので、特例の非課税限度額+110万円の贈与をその年に非課税で受けることができます。

なお、非課税限度額は、消費税率が10%になる前後で異なりますが、表は、わかりやすくするために2019101日に消費税率が10%になることを前提にしており、消費増税の実施日が変更になった場合は、また変わってきますので、その点についてはご了承ください。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の適用を受けるにあたって気を付けなければならないのは、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられなくなることがあるということです。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、330㎡までの宅地の評価額を8割減できる大変お得な特例です。

「小規模宅地等の特例」が適用できるのは、配偶者、同居の親族、家を持っていない親族のいずれかですが、配偶者以外は「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の適用を受ける際に、自宅を取得すると、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができなくなります。

小規模宅地等の特例とどちらが得になるかは慎重に判断すべきですが、多くの場合は、小規模宅地等の特例の適用を受けた方が得になることが多いでしょう。

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