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親から子に家の名義変更したい。贈与税は非課税にできる?

相続税対策として「実家を早めに生前贈与しておきたい」と考える人も多いはず。

しかし実際、実家を名義変更するとなると不動産登記の手続きが必要になります。

それに、節税のつもりがかえって多額の贈与税を納めなければいけないことも…。一方、相続時精算課税制度などの制度を利用すれば、贈与税を抑えることも可能です。

この記事では、家の名義変更にかかる費用や税金、贈与税の非課税制度などについて詳しく解説します。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年7月31日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

家の名義変更とは?

家の名義変更とは

家屋やマンション、土地などの不動産は所有者が法務局の登記簿で管理されています。そのため、相続や売買、処分などで所有者が変わった場合は、登記簿の変更をしなければいけません。

名義変更の手続きは、必要書類を揃えて法務局に提出します。この手続きは不動産登記とも呼ばれ、不動産を相続した場合は相続登記とも言います。

名義変更に期限はありませんが、登記をせずに放置しておくと不動産の売却ができません。また、権利関係が複雑になり遺産相続時にトラブルになることも…。

名義変更が必要なとき

前述のとおり、不動産の名義変更が必要なのは所有者が変更したときです。具体的には、以下の4つのケースが挙げられます。

  • 生前贈与
  • 相続
  • 売買
  • 財産分与

生前贈与

生前贈与とは、財産の所有者が自分の財産(不動産、預貯金、車など)を無償で譲り渡すことを言います。実家を子ども名義にすることは、実家を譲渡した(=生前贈与した)ということです。

生前贈与しておくことで相続税はかかりませんが、贈与税がかかります。また、生前贈与された人は登録免許税や不動産取得税なども納めなければいけません。

相続

不動産の所有者が亡くなったら、相続した人の名義に変更します(相続登記)。

遺言書がなかったり、法定相続分ではない割合で遺産を分割する場合は遺産分割協議が必要です。遺産分割協議が終わったら遺産分割協議書を作成したうえで、相続登記を行います。

被相続人の遺産額によっては、相続税を納める必要があります。

売買

不動産を購入した買い主は、第三者に所有権を証明するために速やかに名義変更をします。

買い主は、不動産の売り主に対して不動産の引渡請求権や名義変更を請求できる権利をもちます。民法上、所有権が移転するタイミングは売買契約締結時と定められています。

多くのケースでは、不動産会社に仲介するため名義変更や契約のサポートをしてもらえます。また司法書士を紹介してくれることもあります。

財産分与

夫婦の離婚にあたって、それぞれの財産の分割、継承について決めることを財産分与と言います。

生前贈与と異なるのは、財産分与はあくまで財産の分割であり、原則として贈与税がかからないことです。そのため登録免許税や不動産取得税などもかかりません。

ただし住宅ローンが残っていれば、どちらかが支払わなければいけません。

名義変更にかかる税金

名義変更にかかる税金

財産分与による名義変更を除き、不動産の名義変更にはいろいろな税金がかかります。

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 贈与税

不動産取得税

不動産取得税は、名義変更した後の所有者に課される税金です。無償が有償にかかわらず課税されますが、相続で不動産を取得した場合はかかりません。

不動産取得税の税額は、不動産の固定資産税評価額に所定の税率をかけて計算します。

登録免許税

登録免許税は、登記の手続きにかかる税金です。

登録免許税の税額は、不動産の固定資産税評価額に所定の税率をかけて求めます。贈与によって登記する場合は2%です。

印紙税

贈与契約書を作成する場合は、契約書に印紙を貼らなければいけないので印紙税がかかります。

贈与契約書とは、財産を贈与するときに作成する契約書です。口頭での約束でも贈与は成立しますが、贈与契約書があるとなにかと安心です。

また、贈与の事実を証明できることで、税務署から不当に課税されることを防止できます。

贈与契約書には日付、親と子どもそれぞれの氏名住所、不動産の情報、署名捺印などを記載します。

不動産の贈与契約書にかかる印紙税は、契約書に金額の記載がなければ200円、金額の記載があればそれに応じた税額になります。

贈与税

親から子に家を贈与した場合、子どもは贈与税を納める必要があります。

贈与税は、不動産の固定資産税評価額から110万円(暦年課税方式の基礎控除)を差し引いた金額に所定の税率をかけて求めます。

暦年課税方式とは

生前贈与の課税方式に「暦年課税方式」があります。暦年贈与では年間110万円の基礎控除があり、それ以下の贈与であれば贈与税はかかりません。

贈与税の速算表

特例贈与財産とは、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)へ贈与された財産のことを言います。

それに対して、特例贈与財産に該当しないものを一般贈与財産と言います。

贈与税の速算表

相続税の速算表

参考までに、相続税の速算表を掲載します。贈与税のほうが相続税よりも税率が高いので、かえって税額が高くなることも。

相続税の速算表

贈与税をかけずに贈与する方法

家を非課税で子どもに引き継ぐ方法はないのでしょうか?贈与税を抑える方法として、以下の制度が利用できる場合があります。

  • 相続時精算課税制度
  • 贈与税の配偶者控除

相続時精算課税制度

贈与税の課税方式は、暦年課税方式のほかに相続時精算課税制度があります。

相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子または孫に贈与する場合に選択できる課税方式です。

受け取った財産の合計額から特別控除額2,500万円を差し引くことができるため、2,500万円までは贈与税がかかりません。控除額を超える部分についての税率は一律20%です。

しかし相続時精算課税制度を選択すると、上記の暦年課税制度の110万円の基礎控除を利用することはできません。また、取り消すこともできません。

相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与税額がゼロ円でも、必要書類を揃えて税務署に申告する必要があります。

持ち分を分割して贈与することはできる?

家の場合は、固定資産税評価額が110万円を超えることが多いと思いますが、持ち分を分けて贈与することによって、1年あたりの贈与額を110万円以下に抑えることはできるのでしょうか?

結論から言うと、一応可能です。つまり2,000万円の自宅を20分の1ずつ子どもに贈与することで、贈与税はかからなくなります。

しかし、このためには贈与契約書を毎年作成して、持ち分の変動を毎年登記しなければ、贈与の成立を税務署に認めてもらうのは難しいでしょう。

贈与が認められないと、自宅の所有者は親のままです。親が亡くなったときに相続税の対象となってしまいます。

また、毎年贈与契約書を作成するとなると、それなりに登記費用や司法書士報酬がかかります。税理士や司法書士に相談のうえ、最善の方法か検討したほうが良いでしょう。

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贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除とは、結婚して20年以上経過した夫婦が自宅を贈与した場合に暦年課税制度の基礎控除110万円に加えて、最大2,000万円まで贈与税を控除できるという特例です。

もしくは「居住用の不動産を取得するための金銭の贈与」でも適用されます。

この控除の正式名称は「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」ですが、「おしどり贈与」「夫婦間贈与の特例」と呼ばれることも。

こちらも、相続時精算課税制度と同じく贈与税額がなくても贈与税申告が必要です。

相続登記の手続き

不動産の名義変更の申請先は法務局です。登記申請書などの必要書類を管轄区域の登記所に提出します。管轄は法務局ホームページから調べることができます。管轄でない登記所に提出しても受け付けてもらえないので注意しましょう。

登記所が遠方の場合は、郵送による申請もできます。

必要書類

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 相続登記申請書
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票
  • 印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 贈与契約書

相続登記の手続きの流れや必要書類の詳細は、関連記事をご覧ください。

司法書士に依頼する場合

家の名義変更の手続きは複雑なので、心配な人は司法書士に依頼するのも一つの方法です。登記申請書の作成や必要書類の取得まで行ってくれます。

ただし専門家に依頼した場合、登記の実費だけでなく支払報酬も発生します。支払報酬は事務所や依頼内容によって異なりますが、数万円~15万円程度です。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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