税理士監修記事

相続税の修正申告|期限と延滞税、申告書・納付書の書き方、報酬

申告した相続税額が誤っていた場合や、遺産分割の結果、税額に変更が生じた場合は、修正申告をすべきです。

この記事では、修正申告をすべきケースや、修正申告時の注意点、税理士報酬、申告方法等について、税理士が分かりやすく丁寧に説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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修正申告をすべきケース

修正申告をすべきケースは、当初申告時に申告した税額より増える場合です(税額が減る場合は「更正の請求」をします)。

具体的には、次のようなケースがありえます。

  1. 税額や評価額の計算や計算方法を間違っていた、当初申告後に他にも遺産があることがわかった、当初申告時には無価値だと思っていたものが高価なものであることがわかった
  2. 当初申告後に遺産分割した、遺産分割をやり直した、遺留分侵害額が確定した、相続人に変動が生じた、遺言書が発見された

これらのケースに該当しても、税額に変更がない場合は、修正申告は不要です。

なお、2のケースでは、相続税の総額に変更がなく、各相続人の内訳に変更が生じるというケースがありえますが、そのような場合も、修正申告は基本的には不要で、税額が増えた人が減った人にその分を支払えば問題ありません。なお、税額が減った人は、税額が増えた人が差分を支払ってくれない場合等は、税務署に更正の請求をすることで還付を受けることができます。この場合は、税額が増えた相続人は修正申告が必要です。

時効・期限

修正申告ができるのは、法定申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)の翌日から原則として5年以内です。

一度申告を済ませていたとしても、法定申告期限内であれば、修正申告ではなく訂正申告という手続になり、後述のような修正申告のペナルティはありません。

法定申告期限の翌日から5年経過後は、原則として、修正申告はできません(不要です)。

ただし、当初申告時に意図的に税額を少なく申告していた場合は、時効完成までの期間が2年長くなり7年間となります。

注意点・ペナルティ

修正申告は当初申告に比べて、次のように、不利な取り扱いがなされることがあります。

  • 「申告期限後3年以内の分割見込書」が未提出の場合、小規模宅地等の特例や配偶者控除が受けられないことがある
  • 隠蔽・仮装した財産は配偶者控除が受けられない
  • 延滞税や過少申告加算税・重加算税がかかる場合がある

以下、それぞれについて説明します。

「申告期限後3年以内の分割見込書」が未提出の場合、小規模宅地等の特例や配偶者控除が受けられないことがある

当初申告の期限までに遺産分割協議が調わない場合は、法定相続分に基づき相続したものと仮定して相続税を申告することになります。

その際、「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」(正式には「配偶者の税額軽減」といいます)は適用できませんが、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておくことで、修正申告時に適用することができます(もっとも、この場合は税額が減ることが多く、税額が減る場合は、前述のとおり、修正申告ではなく「更正の請求」をすることになります)。

隠蔽・仮装した財産は配偶者控除が受けられない

当初申告時に隠蔽・仮装した財産がある場合、その財産については配偶者の税額軽減を適用することはできません(隠蔽・仮装したのが配偶者でなく、他の相続人だったとしても同じです)。

延滞税や過少申告加算税・重加算税がかかる場合がある

修正申告では、当初申告で納付した税額との差分を納付しなければなりませんが、さらに、延滞税や過少申告加算税・重加算税がかかることがあります。

これらの税金が課せられる場合は、修正申告後、税務署からその旨の通知書が届きます。

通知書に税額が記載された納付書が同封されているため、これらの税がかかるかどうかを自分で判断したり、税額を自分で計算する必要はありませんが、気になるでしょうから、以下、それぞれが課せられる場合や税率等について説明します。

延滞税

延滞税とは、税金が定められた期限までに納付されない場合に、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される、利息に相当する税金のことです。

かかる場合

延滞税がかかるのは、前述の「修正申告すべきケース」の1に該当するケースです(2に該当するケースでは延滞税は免除されます)。

つまり、次のような場合には延滞税がかかります。

  • 税額や評価額の計算や計算方法を間違っていた
  • 当初申告後に他にも遺産があることがわかった
  • 当初申告時には無価値だと思っていたものが高価なものであることがわかった

次のような場合には、原則として、修正申告しても延滞税はかかりません(修正申告をした日までに税額を納付しなかった場合は翌日から延滞税がかかります)。

  • 当初申告後に遺産分割した
  • 遺産分割をやり直した
  • 遺留分侵害額が確定した
  • 相続人に変動が生じた
  • 遺言書が発見された
計算方法、割合、計算例

延滞税は、①「納期限(※)までの期間及び納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間」②「①の最後の日の翌日以降」とで割合が異なるため、下の図のように、①と②をそれぞれ計算して合算します。

※修正申告の納期限は、「修正申告書を提出した日」です。

(画像出典:国税庁ウェブサイト)

(注2)記事執筆日現在、延滞税の割合は、①の期間は年2.6%、②の期間は8.9%です(いずれも単利)。

なお、この税率は、平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間についてのものです。

令和3年以降は、割合が変更になる可能性があります。

なお、令和3年以降の割合は、その時期になったら、国税庁ウェブサイトの「No.9205 延滞税について」のページに掲載されるでしょう。

また、期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までは延滞税の計算期間から控除されます。つまり、重加算税が課された場合を除き、延滞税は最大1年分しか課せられないということです。

設例を基に、延滞税の計算方法を説明します。

平成30年1月1日にAさんのお父さんが亡くなり、Aさんはお父さんの遺産を相続しました。

当初、1000万円の相続税を申告・納付しましたが、計算方法が間違っていたことに気づき、令和元年8月21日に修正申告をして500万円を納付しました。

相続税の法定納期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月後です。

この例のケースでは、相続開始の日は平成30年1月1日で、法定納期限は、相続開始の日の翌日である平成30年1月2日から10か月以内、つまり、平成30年11月1日です。

そして、延滞税がかかるのは、法定納期限の翌日である平成30年11月2日から完納の日である令和元年8月21日までの期間です。

上述のとおり、①の期間と②の期間では延滞税の割合が異なりますが、この例のケースでは、延滞税がかかる全期間が①に該当します。

修正申告の納期限は修正申告書を提出した令和元年8月21日であり、その日に完納しているからです(②の期間は納期限翌日の2か月後以降)。

①の期間の延滞税の割合は2.6%です。

法定納期限である平成30年11月2日から完納した日である令和元年8月21日までの日数は293日です。

そうすると、延滞税の税額は、「500万円×2.6%×293日÷365日=104,300円」となります。

過少申告加算税・重加算税

かかる場合

過少申告加算税は、申告はしたが申告した税額が過少であった場合に課せられる加算税です。

過少申告加算税がかかるのは、税務調査の通知があってから修正申告をした場合です。

税務調査の通知があったわけではなく自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税はかかりません(前述の延滞税はかかります)。

重加算税は、実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合や、仮装に基づいて過少申告を行った場合に課せられる加算税です。

重加算税の方が過少申告加算税よりも税率が高く設定されており、重加算税が課せられる場合は、過少申告加算税は課されません。

割合

過少申告加算税の割合は、税務調査の前後で異なります。

税務調査前は5%(ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については10%)、税務調査後は10%(ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%)です。

過少申告の場合の重加算税の割合は35%です(ただし、当初申告の前日から起算して5年以内に、同じ税目(この場合は相続税)で、無申告加算税又は重加算税が課せられていた場合は45%になります)。

税理士報酬

修正申告の税理士報酬について、実際の事務所の例を挙げて説明します。

藤田章税理士・行政書士事務所

藤田章税理士・行政書士事務所は、修正申告の税理士報酬は個別見積もりとのことです

藤田章税理士・行政書士事務所の詳細はコチラ

申告書と納付書の入手方法と書き方

税理士に依頼せず自分で申告する場合は、申告書と納付書も自分で作成することになります。

申告書

申告書は、国税庁ウェブサイトの「相続税申告書等の様式一覧」ページからダウンロードできるほか、全国の税務署で受け取ることも可能です。

申告書の様式は年ごとに更新される可能性があるので、相続開始の日が属する年の申告書を利用しましょう。

毎年7月上旬頃に、その年の様式の配布が開始されます。

各年の「相続税申告等の様式一覧」ページへは、以下のリンクからアクセスできます。

修正申告用の申告書はページ下部にあります(ページ上部は当初申告の申告書)。

来年(令和3年)以降の分は、この記事の執筆日時点では公開されていませんが、配布時期(その年の7月上旬頃)になると、国税庁ウェブサイトの「相続税申告手続」ページに、その年の様式一覧へのリンクが掲載されるはずです。

また、用紙を税務署で入手する場合は、全国どこの税務署で入手しても構いません。

申告書は、下の表のとおり、たくさんの種類があります(「各種表番号」欄と「表及び付表名」欄のリンク先は同じです)。

各種表番号表及び付表名適用年月日等容量(KB)
1相続税の修正申告書平成311月分以降用PDF/566KB
1表(続)相続税の修正申告書(続)平成311月分以降用PDF/487KB
3表・第82(修正申告用)財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額及び農地等納税猶予税額の計算書平成31年1月分以降用PDF/1,220KB
3表(続)・第82(続)(修正申告用)財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額及び農地等納税猶予税額の計算書(続)平成31年1月分以降用PDF/1,177KB
5表の付表配偶者の税額軽減額の計算書(付表)平成214月分以降用PDF/883KB
82表(修正申告用)株式等納税猶予税額の計算書(一般措置用)平成31年1月分以降用PDF/1,884KB
822表(修正申告用)特例株式等納税猶予税額の計算書(特別措置用)平成31年1月分以降用PDF/1,453KB
83表(修正申告用)山林納税猶予税額の計算書平成31年1月分以降用PDF/1,817KB
84表(修正申告用)医療法人持分納税猶予税額・税額控除額の計算書平成31年1月分以降用PDF/2,653KB
85表(修正申告用)美術品納税猶予税額の計算書平成31年4月分以降用PDF/2,308KB
86表(修正申告用)事業用資産納税猶予税額の計算書平成31年1月分以降用PDF/1,173KB
87表(修正申告用)納税猶予税額等の調整計算書平成31年1月分以降用PDF/1,392KB
88表(修正申告用)納税猶予税額の内訳書平成31年1月分以降用PDF/1,286KB
11112表の付表1(修正申告用)小規模宅地等についての課税価格の計算明細平成27年分以降用PDF/604KB
15表(修正申告用)相続財産の種類別価額表平成30年分以降用PDF/883KB
令和24月分以降用PDF/326KB

このうち必ず提出しなければならないものは、第1表の「相続税の修正申告書」と第15表(修正申告用)の「相続財産の種類別価額表」のみで、その他の申告書は該当する場合のみ提出します。

なお、配偶者の税額軽減を適用する場合は、当初申告用の第5表「配偶者の税額軽減額の計算書」が必要です。当初申告時に提出した場合も、数字が変更になるので、再計算して提出しなければなりません(なお、修正申告用の第5表の付表「配偶者の税額軽減額の計算書(付表)」は、配偶者の税額軽減を受ける場合で、かつ、財産の隠蔽・仮装があった場合に、提出する書類なので、間違えないようにご注意ください。)。第5表については、当初申告時に一度作成しているでしょうから、ここでの解説は割愛します。

その他の申告書の提出が必要な場合で、書き方が分からない場合は、税務署又は税理士(依頼を検討している場合)に相談するとよいでしょう。

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納付書

納付書については、当初申告の場合と異なる点は特段ないので、「相続税納付書の書き方・記載例・入手方法等についてわかりやすく説明」をご参照ください。

なお、修正申告の翌日以降に納付した場合は延滞税が課せられるため、ご注意ください。

まとめ

以上、相続税の修正申告について説明しました。

当初申告を税理士に依頼した場合は、修正申告についても、同じ税理士に依頼することをお勧めします(別の税理士に依頼するよりも面倒がありませんし、報酬も安く済むことが多いでしょう)。

当初申告を自分でやった場合も、さらなる修正が必要になることがないように、修正申告は税理士に依頼することをお勧めします。

税務調査の対象となった場合は、税務調査対応と併せて修正申告を依頼するとよいでしょう。

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