贈与税がバレない方法は?バレる事例やペナルティ、非課税になる制度も紹介
「贈与税 バレない」で検索しているそこのあなた、税務署はお見通しです!
贈与があったことは税務署にほぼバレます。税務署は預貯金の履歴や不動産登記の情報を調査しているからです。タンス預金でもバレると言われています。
そして贈与税を払っていないと、延滞税や加算税などがかかる可能性があります。したがって、贈与を黙って行うのはやめておきましょう、かえってお金を払う羽目になってしまいます。
この記事では、贈与が税務署にバレる理由や、申告漏れで発生する税金について、詳しく紹介していきます。
今後の遺産相続について早めに準備したい人は是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2019年3月20日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
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贈与税の無申告・脱税は「バレる」
結論から言うと、贈与税の無申告や脱税は税務署にほぼ「バレます」。したがって、「贈与税を申告しなくてもバレない方法はありますか?」という問いに対しても「ない」が回答と言えるでしょう。
そのため既に贈与を受けている人は、贈与税を納めなければいけません。贈与税がかからない場合もあるので、自身が贈与税を払う必要があるのか、しっかりと見極める必要があります。
「現金の手渡しならバレないのでは?」と聞かれることもあります。しかし確かに現金手渡しはバレにくいものの、税務調査などで結局バレることが多いようです。
贈与税の申告方法や必要書類については、関連記事をご覧ください。
申告漏れが税務署にバレる理由
贈与がが発覚するきっかけについて説明します。「このくらい平気だろう」と思っても、意外なところから目をつけられることも…。
どのようなことが原因となるのでしょうか?
相続の開始
親族が亡くなって相続が開始されると、相続税の申告漏れがないか税務署から税務調査が入ることがあります。これは2割程度です。
この税務調査は相続税申告した人だけでなく、相続税がかからず申告しなかった人も対象となります。
税務調査をした結果、過去の贈与について発覚することがあります。
税務調査では相続税申告に誤りがないか、計上漏れがないかなどの調査に加えて、相続人や被相続人(故人)の以下のような情報も調べています。
- 不動産の購入・売却の履歴
- 過去10年分の預貯金の出入金履歴
- 過去10年分の有価証券の移動履歴
- 生命保険金の支払履歴
- 毎年の所得
税務調査はどんなことをするの?
税務調査では相続税申告に誤りがないか、計上漏れがないかなどの調査に加えて、相続人や被相続人(故人)の以下のような情報も調べています。
- 不動産の購入・売却の履歴
- 過去10年分の預貯金の出入金履歴
- 過去10年分の有価証券の移動履歴
- 生命保険金の支払履歴
- 毎年の所得
資金の移動
税務調査が行われるのは、相続税申告があったときだけではありません。
税務署は大金の引き落としや、有価証券の移動などがあると税務調査を開始する場合も。そのほか、何か不審な動きがあると税務調査が行われます。
その場合、税務署から「お尋ね」という名の質問状が送付され、調査が開始されます。
不動産の登記
不動産の所有権移転登記(名義変更)が行われると、その内容が法務局から税務署に提供されます。
また、そのとき納める登録免許税からも登記の情報がわかります。つまり、不動産の贈与は税務署に筒抜けであり、贈与税申告しないといずれバレます。
不動産そのものをもらった場合だけでなく、不動産購入のための資金援助を受けたときもバレます。
税務署は登記情報をもとに「お買いになった資産の買い入れ価額などについてのお尋ね」という文書を購入者に発送します。
文書には、不動産を購入した人の職業や年収、購入金額などを記載する欄があります。回答は任意ですが、回答しないと贈与が疑われる可能性も。
また、回答に不審な点があった場合も調査が入ります。
「そもそも登記しなければ良いのでは?」と思う人もいるでしょう。確かに登記をしなければ贈与税を支払わずに済むかもしれません。
しかし相続登記をしないと、建物の所有権を主張することができません。故人の不動産が登記されないと、相続人全員の共有財産のままであり権利関係も複雑になります。
毎年の固定資産税・都市計画税を誰が払うかのトラブルになる場合も。
また2024年から相続登記の義務化が決定されています。相続後3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料(罰金)の対象となってしまいます。
自動車の購入
自動車の購入や購入資金の贈与についても、税務署は把握済みと考えたほうが良いでしょう。
税務署では確定申告書から所得がわかるので、所得に見合わない高額な自動車がその人の名義で登録された場合には、税務署は贈与を疑います。
支払調書
支払調書とは、法人や個人に対し「誰に、どのような内容で、年間◯円支払った」を税務署に報告する書類です。支払調書は税務署に提出義務があります。
そのため業者からの支払調書で金銭の受取はバレます。業者が支払調書を提出する基準は以下のとおりです。
保険会社
- 死亡保険金、満期保険金などの1回あたりの金額が100万円を超えるとき
- 年間給付金が年間20万円を超えるとき
- 死亡により契約者の変更があったとき
貴金属業者
金、プラチナなどの売却について、1回の取引金額が200万円を超えた場合、貴金属業者は支払調書を提出します。
金融機関
海外に送金した金額が100万円を超えたとき、金融機関から国外送金等調書が税務署に提出されます。
なお、子どもの留学費用や生活費の仕送りであれば贈与税の対象になりません。そのため税務署から問い合わせがあった場合は、事情を説明すれば大丈夫です。
オークションでの高額商品の落札
オークションで高額商品を出品した人、落札した人についても税務署は調査を行っています。
ネットオークションは匿名で行われていますが、税務署からの依頼によって、オークションの運営会社から落札者の身元情報が提供されてしまいます。
申告漏れがバレた場合
贈与税の申告漏れや脱税が税務署にバレた場合、追徴課税や刑事罰を受ける可能性があります。
贈与税の申告と納税は、贈与された年の翌年の、2月1日から3月15日までに行わなければなりません。それを過ぎると、ペナルティの対象になります。
追徴課税
追徴課税とは、申告漏れや納税額の誤りなどがあったときに、その差額の徴収を受けることを言います。
場合によっては、差額だけでなくペナルティとして支払う税金が加算されることも(加算税)。
また納税が遅れた場合、利息的な意味合いで延滞税がかかります。
加算税
加算税には、以下の4つがあります。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 重加算税
- 不納付加算税
不納付加算税は贈与税とは関係ありません。
無申告加算税
そもそも贈与税申告を忘れていた場合、無申告加算税がかかります。無申告加算税の金額は次のように求められます。
無申告加算税の税率は最小5%から、過去5年以内に贈与税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合だと最大30%になります。
過少申告加算税
期限までに贈与税申告をしたものの納税額が足りなかった場合、過少申告加算税が発生します。
過少申告加算税の税率は、新たに納めることになった税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。
重加算税
贈与の事実を隠蔽したりと意図的に申告しなかった場合は重加算税が発生します。重加算税は最も重いペナルティです。
重加算税の税率は無申告は40%、過少申告の場合は35%と、かなり重く設定されていることがわかります。
延滞税
延滞税は、納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて計算されます。
2021(令和3)年1月1日以降、納付期限の翌日から2か月までは年2.5%、2か月以降は年8.8%となっています。
刑事罰
贈与税を脱税すると上述の加算税や延滞税を課せられるだけでなく、裁判で有罪になると懲役や罰金が科される可能性があります。
法律では、故意に申告しなかったら5年以下の懲役または500万円以下の罰金、その意思はなくても1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
贈与税がかからず贈与する方法
贈与税はいつでも課税されるわけではなく、その金額や目的によっては贈与税がかからないこともあります。
方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 暦年贈与をする
- 贈与税の非課税制度を利用する
- 生活費や教育費として充てる
暦年贈与をする
贈与するときに「暦年贈与」を利用すれば年間110万円の基礎控除があります。したがってその金額以下の贈与であれば贈与税はかかりません。贈与税申告をする必要もありません。
そのため、110万円ずつ毎年贈与すれば、時間はかかりますが、贈与税がかからず大金を贈与することができます。
しかし贈与の金額と期間があらかじめ決まっていると「連年贈与」として贈与の総額に贈与税が課税されます。
税務署に連年贈与とみなされないために、贈与契約書を作成する、金額を毎年変更するなどの対策を行います。
贈与税の非課税制度を利用する
贈与税には「相続時精算課税制度」「贈与税の配偶者控除」など、一定の条件のもと非課税になる制度があります。
- 相続時精算課税制度(2,500万円まで)
- 配偶者控除の特例(2,000万円まで)
- 住宅取得等の非課税の特例(1,500万円まで)
- 結婚、子育て資金の非課税制度(1,000万円まで)
- 教育資金の非課税制度(1,500万円まで)
- 特定障害者等に対する贈与税の非課税制度(6,000万円まで)
それぞれ制度の詳しい内容や要件については、関連記事をご覧ください。
また、このような特例を利用して贈与税がゼロになった場合でも、贈与税申告が必要です。
生活費や教育費として充てる
夫婦、親子、兄弟姉妹といった扶養義務者からその都度受け取った、日常生活に必要な生活費や教育費、学費、教材費などには贈与税はかからないことになっています。
子どもの合宿費用や留学費用だけでなく、結婚費用や出産費用も生活費の一部となります。
しかし、生活費として受け取ったのにかかわらず、株式や不動産など本来の用途以外に使った場合は贈与税がかかります。
この記事を書いた人
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