遺族年金受給者の確定申告は必要?不要?医療費控除の適用についても解説
遺族年金をもらうにあたって、確定申告の手続きは必要でしょうか?
答えはノー。遺族年金は非課税のため、確定申告は必要ありません。
ですが、遺族年金だけでは生活が苦しいという人もいるでしょう。実は、遺族年金の受給者でも節税できる方法があります。
例えば、他の家族の扶養に入ること。そのほかにも「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」などを利用できる可能性があります。
この記事では、遺族年金を受給している人の税金について、詳しく解説していきます。
遺族年金を受給している方などは参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年2月5日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
遺族年金受給者の確定申告は不要
遺族年金は非課税です。
所得税、復興特別所得税、住民税、相続税など、すべての税金がまったくかかりません。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、どちらも非課税です。
遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算などの加算制度がありますが、この加算金も非課税です。
また、寡婦年金、死亡一時金も非課税です。
非課税なので、確定申告も不要です。
別の事情で確定申告をする場合でも、遺族年金については申告しません。
Google等のウェブ検索サービスで「遺族年金 確定申告 雑所得」や「遺族年金 確定申告 書き方」といった語句で検索している方も多いようですが、遺族年金は非課税なので、雑所得ではありませんし、所得ですらありません。また、確定申告が不要なので、書き方も何もありません。
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遺族年金受給者は医療費控除を受けられる?
その年の1月1日から12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。
これを医療費控除といいます。
遺族年金は非課税なので所得ではなく、控除する所得がない場合は、医療費控除をする必要はありません。
控除は所得税を安くするために受けるので、所得税がかかっていなければ医療費に限らず控除を受ける意味はないのです。
遺族年金受給者であっても所得があれば、その所得を控除して所得税を安くするために、医療費控除を受けることができます。
また、医療費控除は、家計でまとめて受けることができるので、遺族年金受給者に所得がなくても、遺族年金受給者にかかった医療費を、同一家計に所得がある人の所得を控除するために利用することができます。
そうすると、その人の所得税を安くすることができます。
遺族が受け取った未支給年金は一時所得となる
死亡したときに支給されていなかった年金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、その遺族の方の一時所得となります。
受け取った未支給年金を含むその年の一時所得の金額が50万円を超えるときは、確定申告が必要です。
遺族年金受給者の節税方法
遺族年金受給者の節税方法や健康保険料の節約方法には、次のようなものがあります。
- 税制上の扶養に入る
- 社会保険上の扶養に入る
- マル優・マル特を活用する
以下、それぞれについて説明します。
税制上の扶養に入る
税制上の扶養に入るメリットは扶養している人の税金が安くなることです。
70歳未満の人が親族(親族の定義については「親族の法的な範囲(親等)を家系図を元に説明!血族・姻族との違いも」参照)の扶養に入る場合、所得税が38万円、住民税が28万円控除され、70歳以上の人が子供や孫の扶養に入る場合、同居している場合は、所得税が58万円、住民税が45万円控除され、同居していない場合は、所得税が48万円、住民税が38万円控除されます。
例えば、年収500万円の人が同居の70歳以上の親を扶養に入れた場合、所得税と住民税を合わせて10万円近く税金が安くなります。
税制上の扶養に入るには、生計を一にしていること、年間の合計所得額が38万円以下(給与収入のみの場合、103万円以下)であること等の条件があります。
遺族年金は非課税なので、合計所得額に含まれません。
なお、被保険者が亡くなった年において、被保険者の控除対象配偶者として、被保険者の年末調整で配偶者控除の対象となり、子供の控除対象扶養親族として、子供の年末調整で扶養控除の対象となることも可能です。
社会保険上の扶養に入る
社会保険上の扶養に入るメリットは、扶養されている人が国民健康保険料を納付しなくてよくなることです。
国民健康保険料は、75歳になるまで納めなければならないので、75歳未満の人であれば、社会保険上の扶養に入るメリットがあるといえます。
なお、扶養する人が社会保険組合ではなく国民健康保険の被保険者(加入者)の場合は、扶養されていても、扶養されていなくても、健康保険料の金額は同じなので、扶養に入る意味はありません。
遺族年金をもらっていても、遺族年金を含めた年収が、180万円以下で(60歳未満の場合は130万円)、かつ、同居の場合は被保険者本人の年収の2分の1未満、別居の場合は被保険者本人からの仕送り額よりも少ないときは、社会保険上の扶養に入ることができます。
マル優・マル特を活用する
遺族基礎年金をもらっている妻や寡婦年金をもらっている人は、マル優制度を利用した節税が可能です。
「マル優」とは「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称で、遺族基礎年金をもらっている妻や寡婦年金をもらっている人など一定の条件を満たした人が利用できる制度で、預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります(障害者の方も利用できるので名称に「障害者等」と入っています)。
「マル特」(「特別マル優」ともいいます)とは、「障害者等の少額公債の利子の非課税制度」の通称で、「マル優」と同様、遺族基礎年金をもらっている妻や寡婦年金をもらっている人など一定の条件を満たした人が利用できる制度で、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。
まとめ
以上、遺族年金受給者の確定申告の必要性、未支給年金を受け取った場合の確定申告、それから、遺族年金受給者の節税方法等について説明しました。
税に関する不明な点等は税理士にご相談ください。
この記事を書いた人
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