遺言書作成の弁護士費用と選び方、司法書士・行政書士との違い
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記事は、公開日(2020年12月10日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
目次
遺言の主な方式には自筆証書遺言と公正証書遺言がある
遺言の主な方式には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。 自筆証書遺言とは、遺言者の自筆で書かれていて、公証人が手続きに関与していない遺言のことです。 公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです。 公正証書遺言は、手間や費用がかかりますが、最も確実でおすすめの遺言方式です。遺言書作成を弁護士に依頼するメリット
公正証書遺言では、公証人が遺言書を作成してくれるので、弁護士は不要と思われるかもしれませんが、弁護士に依頼すると次のようなメリットがあります。- 遺言内容について相談できる
- 手間を削減できる
- 遺言執行も併せて依頼できる
遺言内容について相談できる
遺言者の死後に、相続人らによるトラブルを予防するためには、どのような遺言内容にするかについて、慎重に検討する必要があります。例えば、遺言内容が遺留分(相続人の最低限の取り分)を侵害する場合は、後に相続人間のトラブルを招くことになりかねません(遺留分については「遺留分侵害額請求権とは。遺留分減殺請求権との違いは?」参照)。 この点、公証人は、法律の専門家ですが、あくまで第三者として公正・中立に、遺言者が話した内容に基づいて遺言書を作成するのが職務です。そのため、誰にどの財産を相続させるべきか、とか、どのような遺言にすれば相続税が軽減できるか、などといったような遺言の内容について相談をすることは基本的にできません。公証人は、「遺言者にとってベストの遺言書」を提案してくれるわけではなく、あくまで、遺言者の意思を聞いて、その意思に従って、適式な遺言書を作成してくれるにすぎないからです。 一方、弁護士には、どのような遺言内容にするかということも含めて相談することができます。手間を削減できる
公正証書遺言をするためには、必要書類を収集したり、証人になってくれる人を2人も探したりする手間が生じますし、また、公証役場に最低でも2回は行かなければなりません。 弁護士に依頼すると、書類の収集や証人の立会いもやってもらえますし、遺言者が公証役場に行くのも1回だけで済む場合が多いです。遺言執行も併せて依頼できる
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。 遺言が執行される時には、遺言者は亡くなっていますから、遺言の内容を自らの手で実現させることはできません。そこで、遺言執行者がいると、遺言者の代わりに遺言の内容を実現させることができるのです。 遺言執行者がいない場合は、相続人や受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける人)が遺言の内容を実現させるための手続きを行うことになりますが、相続人と受遺者全員の署名、押印と印鑑証明が必要になる手続きも多数あり、手続きの度に相続人全員に連絡して、署名などを集めるのは、なかなか大変です。 一方、遺言執行者は、単独で相続手続きを行うことができるので、スムーズに進めることができるため、遺言執行者を選定した方が手続きが安全かつスムーズに進むでしょう。 また、相続開始後に家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうこともできますが、やはり、遺言で指定おいた方が面倒がないでしょう。 遺言執行者は、専門家ではなくても、相続人や受遺者であっても構いませんが、通常、相続人や受遺者は、遺言執行に関する知識がないでしょうから、適切な遺言執行ができない可能性もありますし、どうにかできたとしても大きな負担になるでしょうから、遺言作成を依頼した専門家に遺言執行者もまとめて依頼するのがスムーズでしょう。 なお、遺言執行者について詳しくは「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」をご参照ください。遺言書作成における弁護士と司法書士・行政書士との違い
遺言書作成において、弁護士と司法書士・行政書士との最大の違いは、遺言内容について相談できるかどうかです。遺言内容についての相談業務を、弁護士以外の人が有償で行うと、非弁行為といって、弁護士法に抵触するおそれがあります。 遺言内容については決まっていて、公正証書遺言の手続や、自筆証書遺言の文案作成を依頼したいという場合は、司法書士や行政書士でも構いませんが、やはり、遺言内容について、弁護士に相談したうえで、遺言書を作成することをお勧めします。遺言書作成に強い弁護士の選び方
遺言書作成に強い弁護士の選び方について説明します。弁護士は誰でも同じではない
弁護士は、法律全般の専門家であり、基本的には、どの弁護士でも遺言書作成に対応できます。 しかし、医者に専門分野があるように、弁護士にも得意分野をもっている人がいます。 相続問題に特化して経験を積み、相続問題に精通している弁護士がいるのです。 やはり、相続問題に精通した弁護士に依頼した方が、より良い結果が得られる可能性が高いでしょう。当サイトの紹介
当サイトにも全国の遺言書作成に対応可能な弁護士、司法書士が掲載されています。専門家検索ページには以下のリンクからアクセスできます。弁護士の選ぶ際の指標
弁護士を選ぶ際は、相続分野に精通しているかどうか以外に、事務所の立地、自分(依頼者)との相性(相談しやすさ)、信頼できるか等の指標も重要です。事務所の立地
場合によっては何度も事務所を訪問することになりますので、あまり遠方だと交通費や移動時間が嵩んでしまいます。 遠方の弁護士に依頼してはいけないわけではありませんが、遠方の弁護士に依頼する場合は、遠方であることのデメリット以上のメリットがあるかどうかを判断した方がよいでしょう。弁護士との相性
弁護士との相性も重要です。 弁護士との間に心理的な垣根を感じてしまう場合、訊きたいのに訊けないとか、伝えた方がよいかもしれないが伝えにくいとかということが生じてしまいます。 弁護士のコミュニケーションがうまくいかないと、ストレスになってしまいますし、よりよい結果を得られない可能性が生じてしまいます。 そして、いくら気さくで話しやすくても、信頼できない弁護士は避けた方がよいでしょう。 例えば、連絡するといったのに連絡がないとか、費用についてしっかりと説明してくれないというような弁護士は避けるべきです。 初回の面談時に、気になる点は遠慮なく質問し、疑念が残る場合は、依頼せずに、他の弁護士にも相談してみた方がよいでしょう。ランキング
弁護士を探す際に「相続 弁護士 ランキング」といったキーワードで探す人が多いようです。 しかし、「相続弁護士ランキング」なるランキングは、公的なものはありませんし、民間の格付け機関によるものも存在しないようです。 企業法務の分野では、日本経済新聞社が毎年、企業や弁護士にアンケート調査をおこなって集計しているランキングがありますが、相続分野では、そのようなランキング付けは行われていないようです。 また、事務所の所属弁護士数によるランキングは存在していますが、所属弁護士数が多い事務所が必ずしも相続分野に強いというわけではないため、所属弁護士数ランキングを元に選ぶというのは得策ではないでしょう。口コミ(クチコミ)
レストラン等を選ぶ際はウェブ上で口コミ(クチコミ)を確認してお店を選ぶということをしている人も多く、レストラン等の口コミを投稿し閲覧できるサイトも多くあります。 しかし、弁護士については、そのような口コミサイトは現状ほとんどありません。 現状、弁護士の口コミを掲載しているほぼ唯一のサイトは、Googleマップです。 Googleマップでは拠点ごとに口コミが掲載される仕組みになっています。 したがって、同じ事務所でも東京のオフィスと大阪オフィスでは異なる口コミが掲載されています。 このような口コミを閲覧できる機能は、一見、弁護士選びに有用に思われますが、注意点もあります。 一つ目の注意点としては、口コミの掲載数があまり多くないということです。 まだ口コミが一つも掲載されていない事務所も多いです。 二つ目の注意点としては、口コミは誰でも投稿でき、その口コミが事実に基づくものか検証されていないという点です。 Googleマップの口コミは、Googleアカウントさえあれば、誰でも投稿することができます。 その口コミが事実に基づく正当なものかどうかは分からないので、あくまで参考程度に留めておくことが賢明でしょう。面談前に準備は必要?
面談前に事前準備が必要かどうかは、相談内容によります。 まずは、電話やメール等で弁護士に問い合わせましょう。 問い合わせる際には事前準備は不要です。 弁護士や事務員が、必要な情報を質問して引き出してくれます。 面談時に用意した方がよい資料等がある場合は、弁護士や事務員から指示があるでしょうから、あれこれと気を揉むよりも、まずは問い合わせた方がよいでしょう。よくある質問
以上、遺言書作成を弁護士に依頼する前に知っておくべき知識について説明しました。 最後にまとめとして、よくある質問とその回答を示します。遺言書作成を弁護士に依頼するメリットは?
遺言書作成を弁護士に依頼すると次のようなメリットがあります。 ・遺言内容について相談できる ・手間を削減できる ・遺言執行も併せて依頼できる遺言書作成において、弁護士と司法書士・行政書士は何が違う?
遺言書作成において、弁護士と司法書士・行政書士との最大の違いは、遺言内容について相談できるかどうかです。遺言内容についての相談業務を、弁護士以外の人が有償で行うと、非弁行為といって、弁護士法に抵触するおそれがあります。遺言内容については既に決まっていて、公正証書遺言の手続や、自筆証書遺言の文案作成を依頼したいという場合は、司法書士や行政書士でも構いませんが、やはり、遺言内容について、弁護士に相談したうえで、遺言書を作成することをお勧めします。遺言書作成の弁護士費用の相場は?
遺言書の内容などにもよりますが、20万円~という場合が多いと思われます(別途公証役場の費用、実費及び出張日当等が必要になる場合があります)。遺言書作成に強い弁護士の選び方は?
弁護士は、法律全般の専門家であり、基本的には、どの弁護士でも遺言書作成に対応できます。しかし、医者に専門分野があるように、弁護士にも得意分野をもっている人がいます。相続問題に特化して経験を積み、相続問題に精通している弁護士がいるのです。やはり、相続問題に精通した弁護士に依頼した方が、より良い結果が得られる可能性が高いでしょう。弁護士を選ぶ際は、相続分野に精通しているかどうか以外に、事務所の立地、自分(依頼者)との相性(相談しやすさ)、信頼できるか等の指標も重要です。この記事を書いた人
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