遺言書を勝手に開封するとペナルティ!?3つの方式ごとの開封方法とは
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記事は、公開日(2019年10月29日)時点における法令等に基づいています。
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遺言方式ごとの開封可否
遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります。 結論から言うと、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、勝手に開封してはいけませんが、公正証書遺言は勝手に開封しても構いません(ただし、他の相続人に遺言書が見つかったことを連絡したうえで開封した方がよいでしょう)。 以下、遺言方式ごとに説明します。自筆証書遺言は勝手に開封してはならない
自筆証書遺言とは、遺言者の自筆(自書)で書かれていて、公証人が遺言の作成手続きに関与していない遺言のことです。 自筆証書遺言の場合、遺言書の原本は、遺言者や遺言執行者、遺言者から遺言書の保管を委任された人等によって保管されます。 遺言者の死後、自筆証書遺言が見つかった場合、家庭裁判所での検認の手続きをしなければ、遺言を執行すること(遺言書に基づき相続手続きをすること)ができません。 検認前に遺言書を開封すると、5万円以下の過料(行政罰)に処せられることがあります。遺言者の生前に遺言書を開封した場合も、同様です。 また、遺言書に封がされていない場合は、中身を見ても法的には問題ありませんが、他の相続人等から遺言書の偽造や変造を疑われる可能性があるため、検認前に中身を見ることはやはり避けた方がよいでしょう。自筆証書遺言でも開封していい場合がある
2020年7月10日に法務局で自筆証書遺言を保管してもらうことができる「自筆証書遺言保管制度」が開始しました。この制度を利用した遺言書は検認が不要です。公正証書遺言は開封してもよい
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです。 公正証書遺言の場合、遺言書原本は公証役場で保管され、遺言者には遺言書の正本と謄本が交付されます。正本と謄本のどちらも、原本と同じ内容が記載されており、遺言執行の手続きに利用することができます。 公正証書遺言の場合は、検認の手続は不要です。 遺言者の死後、公正証書遺言の正本や謄本を発見した場合は、すぐに開封しても法的な問題はありませんが、他の相続人に遺言書が見つかった旨を連絡し、他の相続人と一緒に、又は、他の相続人の了解を得たうえで開封する方が望ましいでしょう。秘密証書遺言は勝手に開封してはならない
秘密証書遺言とは、遺言者自身が遺言書を作成し、遺言の存在を公証人が証明する形式の遺言のことです。 秘密証書遺言の場合、自筆証書遺言の場合と同様、遺言書原本は、遺言者や遺言執行者、遺言者から遺言書の保管を委任された人等によって保管されます。 また、家庭裁判所での検認の手続きをしなければ遺言を執行することができないこと、検認前に遺言書を開封すると5万円以下の過料に処せられることがあることについても自筆証書遺言と同様です。自筆証書遺言・秘密証書遺言を開封する方法
自筆証書遺言(自筆証書遺言保管制度を利用した場合を除く)と秘密証書遺言については、先述のとおり、検認前に開封してはいけません。 検認手続で遺言書を開封する方法については、以下の記事で詳細に説明しています。この記事を書いた人
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