遺留分減殺請求の民法改正で何が変わった?いつ施行された?

遺留分減殺請求の民法改正

「遺留分侵害額請求」をご存知ですか?

2019年7月に改正法が施行され「遺留分減殺請求」から名称変更されたので、そっちを知る人はいそうですね。

遺留分侵害額請求は、これから遺言書を作成する人にとって知っておきたい事項のひとつです。

遺言書によって財産の相続先を指定したとしても、親族から遺留分(法律上取得が保障されている最低限の取り分の割合)を侵害されたとして申立てられる可能性があるからです(これが、遺留分侵害額請求です)。

遺留分侵害額請求を受けると、申立てられた人にも手間や労力がかかってしまいます。遺言書の作成を検討するときは、自分だけでなく親族全員が納得できるよう配慮したほうが懸命です。

[ご注意]
記事は、公開日(2020年6月11日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

遺留分とは?

遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった人)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことで、被相続人の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に、被相続人が生前贈与又は遺贈した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除することによって算出します。

遺留分に関する法改正は、いつ施行された?

改正法は、201971日が施行日でした。

施行日以降に開始された相続は、改正法が適用されます。

例えば、遺留分を侵害する生前贈与が施行日以前に行われていたとしても、相続の開始が施行日以降であれば、改正法の適用を受けます。

施行日以前に開始された相続については、遺留分に関する請求をしたのが施行日以降であっても、旧法の適用を受けます。

法改正で何かが変わった?

改正点は、次の4です。

  • 遺留分減殺請求は遺留分侵害額請求として金銭請求に一本化された
  • 遺留分の算定において価額を算入できるのは特別受益に当たる贈与であっても相続開始前10年以内のものに制限された
  • 遺留分侵害額請求においては不相当な対価による有償行為の対価の償還が不要になった(不相当な対価によって譲渡された財産の価額からその対価を控除した額を遺留分算定の基礎とすることになった)
  • 相続債務弁済による控除が認められるようになった

以下、それぞれについて説明します。

遺留分減殺請求は遺留分侵害額請求として金銭請求に一本化された

改正前は、遺留分減殺請求があった場合、贈与または遺贈された財産そのものを返還する現物返還が原則で、金銭での支払いは例外という位置づけでしたが、改正によって、金銭請求に一本化されました。

つまり、4000万円の不動産に対して、4分の1の遺留分を主張する場合、改正前は、4分の1の共有持分を取得することが原則でしたが、改正後は、1000万円の金銭請求に一本化されます。

この改正に伴って、改正前の「遺留分減殺請求」は、「遺留分侵害額請求」になりました。

また、請求を受けた人は、一定期間、支払いの猶予を受けるために、裁判所に申し立てることができるようになりました。

遺留分の算定において価額を算入できるのは特別受益に当たる贈与であっても相続開始前10年以内のものに制限された

改正前は、特別受益に当たる贈与は、期間制限なく、遺留分算定においてその価額を算入すると解釈されていました。

この点、改正後は、特別受益に当たる贈与であっても、相続開始前10年以内という制限がつきまなお、被相続人と受贈者の両者が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には、10年以上前の贈与であっても遺留分侵害額請求の対象となります。

また、改正後は、相続人に対する贈与については、特別受益に当たらないものは遺留分の算定において価額を算入できないこととなりました。

遺留分侵害額請求においては不相当な対価による有償行為の対価の償還が不要になった

不相当な対価による有償行為とは、価値が釣り合っていない取引などのことを言います。

例えば、時価1000万円の土地を100万円で譲渡するような場合です。

このような場合は、土地の買主にとって、900万円(1000万円-100万円)の贈与を受けたと同様の利益が生じ、また、その分、相続財産が減少して遺留分権利者に損害を与えていることになります。したがって、この差額分を被相続人が贈与した財産の価額として、遺留分を算定するための財産の価額に加えることになります(有償行為の当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってした場合に限ります。)。

ただし、改正前は、差額を遺留分算定の基礎とするのではなく、対価である100万円を償還して(支払って)から、有償行為の目的物の価額である1000万円を遺留分算定の基礎としていました。

この点、改正後は、対価の償還が不要で、直接、差額分を遺留分算定の基礎とすることができるようになりました。

相続債務弁済による控除が認められるようになった

法改正によって、遺留分侵害額請求を受けた受遺者や受贈者(贈与を受けた人)が、遺留分権利者の承継債務(承継された被相続人の債務)を弁済等によって消滅させていた場合は、その消滅させた限度で、遺留分侵害額請求による金銭債務を消滅させることができるようになりました。

つまり、遺留分侵害額請求がある前に、受遺者や受贈者が相続債務を弁済していた場合、遺留分権利者が承継した債務も減って、その分、遺留分権利者が得しているので、その分については、遺留分侵害額請求の請求額から差し引くということです。

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