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教育資金贈与は都度贈与なら元々非課税!制度利用で一括でも非課税に

「孫の教育のための資金を援助したいが、孫が大学を卒業するまで元気でいられるかどうか……。」

このような悩みをお持ちの方に有用な制度が教育資金贈与の非課税制度です。

この記事では、この制度の対象・期限や、メリットとデメリット、手続き方法などについて、分かりやすく説明します

是非、参考にしてください。

ご注意:この記事は令和3年度税制改正は反映しておりません。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2018年8月30日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

教育資金贈与の非課税制度とは?

「教育資金贈与の非課税制度」とは、正式には「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」といいます。

正式名称が長いので、通常は、「教育資金贈与の非課税制度」や「教育資金の非課税の特例」などとよばれます。

この記事では、「教育資金贈与の非課税制度」と呼ぶことにします。

ですが、正式名称の方が、この制度の特徴を正確に表しています。

教育資金贈与の非課税制度は、祖父母等の直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、一定の要件を満たすと、贈与税が非課税になるという制度です。

非課税となるのは最大で1500万円までで、受贈者が30歳になるまでに教育資金として使用した金額が対象です。

教育資金贈与の非課税制度のメリット

教育資金贈与の非課税制度にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

扶養義務者相互間における生活費や教育費は、一括贈与ではなく都度贈与の場合は、贈与税は非課税です。

例えば、大学入学時に入学金等の資金を贈与したというように、教育資金が必要な時に、その都度贈与する分には、元々非課税なのです。

特徴1 一括贈与なのに非課税

この制度の特徴は、一括贈与なのに非課税であるという点です。

そして、この制度を利用するメリットは、贈与した財産の価額が、相続税の課税対象とならないという点にあります。

都度贈与の場合は、贈与者の生前は問題ありませんが、死亡すると、その時点で相続が生じ、亡くなった時の遺産と亡くなる前3年以内に贈与した財産は相続税の課税対象となります。

教育資金贈与の非課税制度を利用して贈与した財産は、贈与者が死亡しても、相続財産に組み込まれることはありません。

もっとも、都度贈与の途中で贈与者が亡くなってしまった場合でも、引き継ぐ財産の総額が、相続税の基礎控除の枠内に収まる場合は、相続税は課されません

相続税の基礎控除は次の式で計算できます。

3000万円+600万円×法定相続人の数

▼相続税の基礎控除について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼

ですので、遺産総額が相続税の基礎控除額を超えそうな場合は、教育資金贈与の非課税制度等の非課税制度を活用して節税するとよいでしょうが、遺産総額が相続税の基礎控除額を下回りそうな場合は、生前は都度贈与で、亡くなったら相続するだけで、この制度を利用せずとも、非課税で財産を引き継ぐことができます。

特徴2 教育資金としてしか使えない

また、他にこの制度のメリットとして、贈与した財産は教育資金としてしか使えないように縛りをかけられるという点も挙げられます。

遺産は教育に使ってほしいという意向がある場合は、遺産総額が相続税の基礎控除を下回る場合でも利用するメリットがあるといえます。

相続税の仕組みや計算方法には難しい点がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門の税理士などに相談してみることをご検討ください。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

教育資金贈与の非課税制度のデメリット

教育資金贈与の非課税制度のデメリットとして、次の5つが挙げられます。

  • 受贈者が30歳になった時までに使い切らなかった分に贈与税が課される
  • 払い戻しができない
  • 金融機関と教育資金管理契約を結ばなければならない
  • 他の用途に使えない
  • 領収書等、教育資金に充てたことを証明する書類を提出しなければならない

以下、それぞれについて説明します。

受贈者が30歳になった時までに使い切らなかった分に贈与税が課される

教育資金贈与の非課税制度を利用して贈与した財産は、受贈者(贈与を受けた人)が30歳になるまでに教育資金として使わなければなりません。

30歳になった時点で残っている分は、そのまま受贈者の財産となり、教育資金に限らず何にでも使うことができるようになりますが、贈与税が課されます

例えば、教育資金贈与の非課税制度を利用して1500万円の贈与を受け、30歳になるまでに、そのうち1000万円を教育資金として使ったとします。

そうすると、1500万円-1000万円=500万円が残ります、この500万円に対して贈与税が課せられます。

この場合の贈与税額は次の式で計算することができます。

(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5千円

なお、贈与税の税率は、一般贈与財産か特例贈与財産かによって異なり、受贈者が贈与者の直系卑属(子や孫など)の場合は、贈与を受けた年の1月1日時点における受贈者の年齢が、20歳以上の時は特例贈与財産となり税率が低くなり、20歳未満の時は一般贈与財産となり、税率が高くなります。

教育資金贈与の非課税制度を利用する場合、制度利用開始時点では20歳未満でも30歳になって残余分の贈与を受ける時には20歳以上になっています。

この場合は、20歳以上として、特例贈与財産の税率で計算します。

贈与税の申告も30歳になった年に贈与を受けたものとして行います。

払い戻しができない

贈与者は、信託銀行等を通して、教育資金を受贈者に贈与してしまうわけですから、30歳までに使い切れなかった金額を贈与者に戻すことはできません。

また、受贈者本人も30歳になるまでは、原則として口座を解約することができません

金融機関と教育資金管理契約を結ばなければならない

教育資金贈与の非課税制度を利用するには、信託銀行等と、教育資金管理契約を結ばなくてはなりません。

教育資金管理契約を金融機関と結ぶのは、贈与者でも受贈者でも構いません。

贈与者が契約する場合

贈与者が契約する場合は、信託銀行等と結ぶことになります

信託銀行との教育資金管理契約は、信託銀行では「教育資金贈与信託」等の名称で募集されています。

受贈者が契約する場合

受贈者が契約する場合は、信託銀行ではなく、通常の銀行か、証券会社と結ぶことになります

証券会社で教育資金管理契約を募集している会社も利用者も少ないので、受贈者が契約する場合は、多くの場合は銀行になります。

他の用途に使った場合は贈与税がかかる

教育資金贈与の非課税制度を利用して贈与を受けたお金を教育以外の目的で引き出した場合は、教育資金管理契約の終了時に贈与税が課せられます

領収書等、教育資金に充てたことを証明する書類を提出しなければならない

教育資金に使用したことを証明するために、領収書等を取っておいて、金融機関に提出しなければなりません。

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教育資金贈与の非課税制度の対象

教育資金贈与の非課税制度の対象は、受贈者が30歳になるまでに教育資金として使用したお金です。

非課税になるのは最大で1500万円まで

青天井に非課税となるわけではなく、最大で1500万円までという限度額が設定されています。

なお、1500万円のうち、学校等以外に支払うお金については、500万円が限度額です。

学校1500万円と学校以外500万円とで併せて2000万円にはならないので注意してください。

MAXはあくまで1500万円で、そのうち500万円は学校以外でもよいという話です。

ですので、1500万円丸々学校に使っても構いませんし、1000万円が学校で500万円が学校以外でも構いません。

ここでいう学校には、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所が含まれます。

学校に支払うお金でこの制度の対象となるものには次のようなものがあります。

  1. 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
  2. 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

また、学校以外に支払うお金では、次のようなもののうち、教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものが対象となります。

  1. 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
  2. スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
  3. 3.の役務の提供又は4.の指導で使用する物品の購入に要する金銭
  4. 2.に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
  5. 通学定期券代、留学のための渡航費などの一定の交通費

教育資金贈与の非課税制度の期限

暦年贈与の方法

教育資金贈与の非課税制度の適用期限は2019年3月31です。

金融機関と教育資金管理契約を結んで制度の適用を受ける期限が、2019年3月31日であって、教育資金として使用する期限ではありません。

2019年4月以降も、受贈者が30歳になるまでは、教育資金として使用することができます。

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教育資金贈与の非課税制度の手続き

教育資金贈与の非課税制度の手続きは次の流れに行います。

  1. 贈与契約
  2. 教育資金管理契約
  3. 教育資金非課税申告
  4. 口座開設、預け入れ
  5. 教育資金の使用と払い出し
  6. 契約終了

以下、それぞれについて説明します。

贈与契約

贈与者である直系尊属との間で贈与契約を締結します。

贈与契約は口頭でも成立しますが、教育資金贈与の非課税制度を利用する場合は、金融機関と教育資金管理契約を結ぶ際に、贈与契約書の提示を求められるため、書面で契約しなければなりません。

教育資金管理契約

金融機関と教育資金管理契約を結びます。

信託銀行の場合は贈与者(祖父母等)と信託銀行との間で、銀行や証券会社の場合は受贈者(孫等)と銀行・証券会社との間で契約を結びます。

教育資金非課税申告

教育資金非課税申告は、受贈者の住所地を所轄する税務署で、教育資金非課税申告書に次の書類を添付して行います。

  • 信託又は贈与に関する契約書など信託又は贈与の事実及び年月日を証する書類の写し
  • 受贈者の戸籍の謄本又は抄本や住民票の写しなどで受贈者の氏名、生年月日、住所又は居所及び贈与者との続柄を証する書類

教育資金非課税申告の手続きについては、教育資金管理契約を結んだ金融機関で丁寧に説明してもらえるので、特に難しいことはありません。

税務署での手続きは不要で、金融機関等での手続きとなりますが、信託開始日又は預貯金の預入日までに済ませておかなければなりません。

口座開設、預け入れ

受贈者名義の口座を開設して、教育資金として贈与する金額を預け入れます。

教育資金の使用と払い出し

教育資金を引き出すためには、基本的には、領収書等の、教育資金に充てたことを証明する書類が必要です。

教育資金を預けている金融機関に領収書を提出すると、領収書記載の金額の払い出しを受けることができます。

教育費の支払った後に口座から払い出す方法のみを選択した場合は、支払年月日から1年以内に領収書等を提出します。

また、事前に教育費の払い出しができるようにしておく方法を選択した場合は、支払年月日の翌年の3月15日までに1年分の領収書をまとめて提出します。

また、少額の場合は領収書の提出自体が不要となりました。

具体的には、領収書等に記載された支払金額が1万円(消費税込)以下で、かつ、その年中における合計支払金額が 24 万円(消費税込)以下 のものについて、領収書に代えて支払年月日、支払金額等を記載した明細を提出することができるようになりました。

また、資金を預け入れた金融機関であれば、預け入れた店舗と異なる店舗でも払い出しを受けることができます。

なお、教育資金管理口座から学費などを直接振替(引き落とし)することはできません。

引落口座の通帳のコピーと口座振替依頼書を提出することによって、払い出しを受けることができます。

同様に、クレジットカードの引き落とし口座に指定することもできませんが、利用明細と通帳のコピーを提出することによって払い出しを受けることができます。

契約終了

教育資金管理契約は、次のいずれかの場合に終了します。

  • 受贈者が30歳になったとき
  • 預貯金がゼロになり、契約を終了させる合意があったとき
  • 受贈者が亡くなったとき

以下、それぞれについて説明します。

受贈者が30歳になったとき

制度を利用できるのは30歳までなので、受贈者が30歳になった時に、自動的に契約は終了します。

口座に残金がある場合は贈与税の対象となります。

預貯金がゼロになり、契約を終了させる合意があったとき

預貯金がゼロになった場合でも、自動的に契約は終了しません

預貯金がゼロになっても、上限の1500万円まで追加の贈与をすることができますが、受託者と金融機関との間で契約終了について合意があった場合には契約は終了します。なお、2019年3月30日の時点で残高がない場合は、制度自体の終了となり追加の贈与ができないため、合意なく契約も終了します。

受贈者が亡くなったとき

受贈者が亡くなった場合も、契約は終了します。

口座に残高がある場合、贈与税は課されませんが、受贈者の遺産となるため、相続税の対象となります

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複数人から贈与を受ける場合は、その分、限度が上がる?

この制度を利用して、父方と母方と両方の祖父母から、それぞれ1500万円ずつの贈与を非課税で受けることはできるのでしょうか?

答えは、できません

この制度が使えるのは、受贈者一人につき、最高1500万円までです。

反対に、複数の孫に対してこの制度を利用して1500万円ずつ贈与することは可能です。

まとめ

以上、教育資金贈与の非課税制度について説明しました。

記事を読んでも不明な点は、信託銀行、税務署、税理士などにご相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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