弁護士監修記事
葬儀について遺族が知っておかなければならない全知識を完全解説

家族が亡くなることは大変悲しいですが、葬儀の準備を進めなければなりません。
この記事では、ご遺族の方のご負担を軽減できるよう、遺族が知っておかなければならない葬儀に関する知識について、なるべくわかりやすく説明します。
ご参考になれば幸いです。
[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
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目次
葬儀とは?葬式や告別式との違いは?
葬儀とは、死者を弔い、葬る際の儀式のことで、葬式とも言います。
葬儀は、亡くなった日の翌々日(お通夜の翌日)の午前中に催されます。
葬式も葬儀と同じ意味として使われることが多いですが、葬式は葬儀と告別式を併せたものとして使われることもあります。
告別式とは、亡くなった人に別れを告げる儀式のことです。
葬儀は亡くなった人のための宗教的儀式であるのに対し、告別式は残された人のための社会的儀式ということができます。
かつては、葬儀の後に告別式が行われていましたが、昨今は並行して同時に行われることが多く、どこまで葬儀で、どこから告別式なのか、境目がなくなってきています。
お坊さんによる読経や引導は葬儀の範疇であり、参列者による焼香や別れ花は告別式の範疇ですが、現在では、読経の最中に焼香をすることも多くなっています。
一般的な仏式の葬儀の流れは、概ね次のようになります。
- 受付
- 着席
- お坊さん入場
- 開式の辞
- 読経・引導
- 焼香
- お坊さん退場
- 弔電
- 挨拶
- 閉式の辞
- お別れ
葬儀は、一般的には、亡くなった人と縁があった人を広く招いて催しますが、最近は、家族や特に親しい人だけで行う「家族葬」も増えています。
また、お通夜を行わない「一日葬」や、通常の葬儀を行わずに直接火葬する「直葬」といった形式もあります。
亡くなってから葬儀までの流れ
亡くなってから葬儀の日が終わるまでの流れは、概ね次のようになります。
- 親族等への連絡
- 死亡診断書または死体検案書の取得
- 菩提寺、互助会または葬儀屋への連絡
- 遺体の搬送および安置
- 葬儀等の打ち合わせ
- 死亡届の提出および火葬許可証の取得
- 納棺
- お通夜
- 葬儀および告別式
- 火葬
- 初七日法要および精進落とし
- 帰宅および後飾り祭壇の設置
以下、それぞれについて説明します。
親族等への連絡
危篤となった段階で、親族等へ連絡します。
深夜・早朝でも連絡して構いません。
まずは、電話、つながらなければ留守番電話に危篤である旨のメッセージを残したうえで、メールやメッセージアプリ等でも重ねて連絡するとよいでしょう。
一般的な連絡先としては次のようなところが考えられます。
- 家族
- 3親等以内の親族(父母、祖父母、曾祖父母、子、孫、曾孫、おじ、おば、甥、姪など)
※関係性に応じて、これ以外の親族(いとこ等)に連絡しても構いません。 - 親しい友人
- 勤務先
死亡診断書または死体検案書の取得
病院で亡くなった場合は、担当の医師が死亡診断書を書いてくれるので、それを受け取ります。
病院以外で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡します。深夜・早朝でも構いません。
かかりつけ医がいない場合や事故等で亡くなった場合は、既に亡くなっていると思われるときでも119番通報した方がよいでしょう。
救急隊が到着するまでの間、蘇生の可能性があれば救急隊員の指示に従って心肺蘇生を試みますが、明らかに死亡している場合にはご遺体を動かさない方がよいでしょう(ご遺体を動かすと警察から事情を聴取されることになります。)。
救急隊員が到着すると、隊員が蘇生の可能性を判断し、蘇生の可能性がある場合は病院に搬送し、死亡が確認された場合は救急隊員が警察に連絡します。
警察が到着すると、事情聴取と現場検証が行われます。
監察医や検察官が検視をして事件性がないと判断されれば、死体検案書が交付されます。
菩提寺、互助会または葬儀屋への連絡
菩提寺がある場合は菩提寺に、互助会に加入している場合は互助会に、亡くなったことを連絡します。
菩提寺とは先祖の位牌を納めてある寺のことです。
菩提寺の有無が分からない場合は、親戚を確認して回るとよいでしょう。
それでも分からない場合は、親の戒名を手掛かりに宗派を特定して菩提寺を探すことができる可能性があります。
菩提寺がある場合は、通常、菩提寺のお坊さんに葬儀の際に来てもらうことになりますから、菩提寺に連絡する必要があります。
互助会とは、会員間の相互扶助を目的とした組織のことです。
互助会に入っていると、毎月の掛け金が必要ですが、葬儀などの際にその費用の全部または一部が拠出され、また、葬儀の手配についても互助会のスタッフがサポートしてくれることが多いです。
菩提寺もなく互助会にも入っていない場合は、遺族が葬儀屋を手配することになるでしょう。
なお、お通夜や葬儀・告別式を行わずに直接火葬する「直葬」の場合でも、遺族による手配を受け付けていない火葬場も多いため、葬儀屋を通した方が、手配が楽でしょう。
病院から提携している葬儀屋を紹介されることが多いですが、紹介された葬儀屋を利用しなくても構いません。
金額と内容を確認して、納得できる葬儀屋を利用しましょう。
複数の葬儀屋に問い合わせ、比較してから選ぶとより良いでしょう。
遺体の搬送および安置
病院の霊安室ではあまり長く遺体を安置することはできないことが多いです。
菩提寺、互助会、葬儀屋などに遺体の搬送先と搬送方法について確認し、手配します。
なお、前述の直葬の場合でも、すぐに火葬場の予約が取れないことが多く、また、死後24時間以上経ってからからでなければ火葬してはならないと法律で定められているため、一旦、遺体を安置できる場所を探して搬送しなければなりません。
葬儀等の打ち合わせ
菩提寺、互助会、葬儀屋などと、お通夜、葬儀、火葬などの日程や内容について打ち合わせします。
死亡届の提出および火葬許可証の取得
亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に死亡届を役所に提出しなければなりません。
死亡届を提出すると、火葬許可証の交付を受けられます。
火葬許可証の交付を受けなければ火葬することができません。
この手続きは、通常、葬儀屋が代行してくれます。
死亡届について詳しくは「死亡届の書き方と必要書類、死亡に伴う各種手続をわかりやすく説明」をご参照ください。
納棺
納棺については、納棺夫が主人公の映画「おくりびと」を観た人はイメージがつきやすいでしょう。
納棺は、亡くなった人に旅支度の装いを施し送り出す儀式で、次のような手順で行います。
- 末期(まつご)の水
- 湯灌(ゆかん)
- 死化粧
- 死装束
- 納棺
以前は、遺族が納棺していましたが、最近は葬儀屋などの納棺夫が行うことが多くなっています。
なお、亡くなった人の愛用品等を一緒に納棺することが多いのですが、金属やガラスなどのような燃えない物、燃えにくい物は納めることができません。
お通夜
お通夜は、通常、亡くなった日の翌日の夜に行われます。
亡くなった日の夜に親族だけで仮通夜を行うこともあります。
仮通夜に対して、翌日に行わるお通夜のことを本通夜といいます。
お通夜は、以前は夜通し行われていましたが、最近は2時間程度で終了するかたちで実施することが多いです。
概ね次のような手順で準備します。
- 告知
- 手伝いの依頼
- 通夜ぶるまいの料理の手配
- 供花の注文
また、お通夜(本通夜)の一般的な流れは、次のようになります。
- 受付
- 着席
- お坊さん入場
- 読経
- 焼香
- お坊さん退場
- 通夜ぶるまい
葬儀および告別式
葬儀および告別式については、前述のとおりです。
火葬
故人の近親者は、ご遺体とともに火葬場に移動し、火葬に立ち会い、骨上げ(収骨)を行います。
なお、火葬には、前述の火葬許可証が必要です。
火葬許可証は、火葬後に証印が押され、埋葬許可証として返却されます。
初七日法要および精進落とし
初七日法要は、従来は亡くなった日を1日目として7日目に行われていましたが、最近は遠方の列席者の負担などを考慮して葬儀の日に行われることが多くなりました。葬儀の日に行われる初七日法要のことを「繰り上げ法要」と呼ぶことがあります。
また、従来、喪家は四十九日の忌明けまで精進料理で過ごすものでしたが、四十九日法要後、通常の食事に戻す際の食事のことを「精進落とし」または「お清め」と呼んでいました。
最近は忌明けまで精進料理で過ごすことはほとんどなく、精進落としは、初七日法要後、施主がお坊さんや列席者などに提供する食事のことを指すようになりました。
帰宅および後飾り祭壇の設置
帰宅後、後飾り祭壇に、遺骨、遺影、白木位牌を設置します。
後飾り祭壇は、通常、四十九日の忌明けまで設置しておきます。
葬儀等に参列できなかった人が弔問に訪れた際は、後飾り祭壇にお参りしてもらいます。
まとめ
以上、葬儀について説明しました。
身近な方が亡くなると、葬儀だけでなく、役所や相続関連の手続きも必要です。
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