弁護士監修記事

死亡届の書き方と必要書類、死亡に伴う各種手続をわかりやすく説明

大切なご家族が亡くなられたときは、悲しみでいっぱいで、その後の手続きにまで気が回りません。

しかし、死亡後には各種の手続きを避けることはできません。

ひとつひとつ処理していきましょう。

最初に必要な手続きが死亡届です。

ここでは、死亡届に関する基礎知識をまとめました。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

死亡届とは何か?

死亡届とは、亡くなられた方の戸籍を抹消するための届出書です(戸籍法86条以下)。

死亡届が重要なのは、それが受理されることで、公に死亡が確認されて、相続をはじめとした故人をめぐる法律関係が変動するからです。

死亡届の届出義務者

届出義務がある者

故人と一定の関係がある者は、死亡届を提出する義務があります。

  1. 同居の親族
  2. その他の同居人
  3. 家主、地主、家屋の管理人、土地の管理人

これらの者は、1から3の順序に従って、死亡届をしなくてはなりません(戸籍法87条1項)。

例えば、同居の親族とその他の同居人がいるならば、同居の親族に届出義務があり、その他の同居人には届出義務はありません。

つまり順序が先の届出義務者がいない場合であって、はじめて次の順序の者が届出義務を負担します。

届出義務があるのに、期間内に届出をしなかったときは5万円以下の過料に処せられます(戸籍法135条)。

過料とは、金銭支払いを要求する行政罰ですが、刑法上の「科料」とは異なり刑罰ではありません。

届出資格がある者

死亡届は誰でも提出できるわけではありません。

一定の者に届出資格が認められます。

まず、先の1~3の届出義務者です。

これらの者は、順序が先の届出義務者がいる場合だからといって、順序が後の者が届出をしてはいけないというわけではありません。

届出をしたければ、順序にかかわらず届出をする資格があります(戸籍法87条1項但書)。

順序は、あくまでも届出の義務を負担する順番を決めるためのものですから、積極的に届出をしてくれるならば歓迎するということです。

さらに、届出義務者ではありませんが、同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人も死亡届を提出することが出来ます(同法87条2項)。

死亡届の届出期間

原則

届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内です(戸籍法86条1項)。

この場合、死亡の事実を知った日を含めて7日間です。

例えば、死亡の事実を知った日が1月1日ならば、1月7日までに届け出る必要があります(戸籍法43条1項)。

海外で死亡した場合

海外で死亡した場合は、届出義務者が死亡の事実を知った日から3か月以内に届出なくてはなりません(戸籍法86条1項)。

これも事実を知った日を含めて3か月です。

届出期間を過ぎた場合

先にも説明したとおり、届出義務があるのに、期間内に届出をしなかったときは5万円以下の過料に処せられます(戸籍法135条)。

ただし、届出期間は、届出義務がある者に対する規定ですので、届出義務がない者には適用はありません。

たとえば、同居していない親族は、死亡の事実を知っても、届出義務者ではありませんから、そもそも届出しなくともかまいませんし、届出をする場合でも、この届出期間を過ぎていても、法的には何ら問題はありません。

もっとも、法的責任の問題とは別に、どなたかが亡くなられて、誰も届出ていないという例外的な事実を知ったときは放置しないで、速やかに警察や自治体に相談したほうが良いでしょう。

死亡届の届出先

死亡届は、次のいずれかの土地の市区町村(市役所、区役所、役場)の戸籍課、戸籍係に提出します。

  • 死亡地(戸籍法88条1項)
  • 死亡者の本籍地(同法25条1項)
  • 届出人の住所地(同法25条1項)

死亡届は、相続などの法律関係に影響を与える重要な事実の届出なので、365日、24時間、受付けてくれます。

夜間受付、休日受付、宿直室などでも受付が可能です(詳しくは、届出先予定の役所に確認してください)。

死亡届の書き方

記載が要求される事項

死亡届に記載しなくてはならない事項は、次のとおり法定されています(戸籍法86条2項1号及び2号、戸籍法施行規則58条)

  • 死亡の年月日
  • 死亡の時間(何時何分)
  • 死亡場所
  • 男女の性別
  • 外国人のときは、その国籍
  • 死亡当時の配偶者の有無
  • 死亡当時に配偶者がない場合、婚姻歴がないのかどうか
  • 婚姻歴がある場合は、直前の婚姻は死別か離婚か
  • 死亡当時に生存している配偶者の年齢
  • 出生後30日以内に死亡したときは出生の時刻
  • 死亡当時の世帯の主な仕事
  • 国勢調査実施年の4月1日から翌年3月31日までに発生した死亡については死亡者の職業及び産業
  • 死亡当時における世帯主の氏名

死亡届の書式

死亡届書の書式は、届出先の各市区町村の戸籍課などに用意されています。

また病院で亡くなられたときは、病院で用意してくれている場合が通常です。

用紙の左側が死亡届、右側が死亡診断書(死体検案書)となっています(死亡診断書、死体検案書については次項で説明します)。

記載の要領は、法務省サイトがPDFファイルを公開しており参考となります。

死亡届の添付書類

死亡届には、診断書又は検案書を添付しなくてはなりません(戸籍法86条)。

診断書

ここにいう診断書とは、「死亡診断書」のことです。

死亡した人の生前から、その人を診療していた医師が、その患者が死亡したときに、死亡の事実を確認して作成する診断書の一種が死亡診断書です(※1)。

検案書

検案書とは、医師が死体について死亡の事実(死因、死期など)を医学的に確認した結果を記載した文書です。

死亡した人を生前から診療していた医師によるものは死亡診断書となるので検案書ではありません(※2)。

※1、※2につき「刑法各論(第2版)山口厚著」有斐閣472頁を参照

診断書、検案書の書式

先に説明しましたとおり、各市町村の戸籍課窓口に用意してある死亡届の書式は、その右側が死亡診断書及び死体検案書となっています。

その記載要領は、下記の法務省サイトに掲載されていますが、診断書、検案書は、医師に記入してもらう部分です。

診断書、検案書を得られない場合

大規模な天災など、やむを得ない事由によって、死亡診断書、死体検案書が得られない場合は、次の両方が必要となります(戸籍法86条3項)。

  • 「死亡の事実を証すべき書面」を提出すること
  • 届出書に診断書、検案書を得られない理由を記載すること

この「死亡の事実を証すべき書面」とは、死亡診断書、死体検案書と同程度に、特定人の死亡の事実を客観的に認定できる資料であることが要求されており、関東大震災における先例などから、事実を目撃した者の陳述書を大量に提出することが必要とされていましたが(※3)、これは届出者に非常な負担となるため、東日本大震災の際には法務省が被災時の状況や滞在場所などを記入するだけの定型の書式を用意し、被害状況を把握している地元の市町村に死亡の判断をまかせるなど届出者の負担を軽減する特別な取扱がなされました(※4)。

※3、「東日本大震災の行方不明者に係る法的課題等(死亡保険金の支払い等)について」渡橋健・保険学雑誌2012巻619号

※4、法務省「御遺体が発見されていない場合でも死亡届を提出できます

その他、死亡届に必要なもの

印鑑

届出の際に届出者の印鑑が必要です。

実印である必要はありません。

後見人、保佐人、補助人、任意後見人が届け出る場合

死亡した人との法的関係を明らかにするため、次のうちのどちらかの書類が必要です。

  • 登記事項証明書
  • 審判書謄本とその確定証明書

死亡届の作成代行

行政書士による作成代行

死亡届の書類作成は、行政書士に依頼して作成を代行してもらうことが可能です(届出名義はあくまでも同居の親族などの届出資格のある者の名義です)。

行政書士に依頼した際の手数料は、数千円から1万円程度が相場のようです。

葬儀屋も届出の代行はしてくれる

葬儀業者が死亡届出書を作成することは、行政書士以外の者が他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成することを禁じた行政書士法に違反することになり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(行政書士法1条の2第1項、19条1項、21条2号)。

もっとも届出者が作成した死亡届を、事実上、葬儀業者が役所に持参して提出することには法律上の問題がないので、葬儀サービスの一環として利用されています。

死亡と各種手続

死亡届を出した後に必要となる各種手続きについて説明します。

また、相続手続については「相続手続きをミスなくスムーズに自分で行うための簡単完全マニュアル」をご参照ください。

世帯主の変更

世帯主が死亡すると住民票の世帯主変更届を14日以内に提出しなくてはなりません(住民基本台帳法25条)。

期限を過ぎてしまうと5万円以下の過料となります(同52条2項)。

住民票の削除

亡くなられた方の住民票の削除は、役所側が職権で行うことが可能ですので、死亡届を提出すれば住民票から削除され、特別な手続きは不要です(住民基本台帳法8条)

火葬許可申請書・火葬許可証

火葬を行うには、市町村長(特別区長を含む)の許可が必要です。

この許可を受けると「火葬許可証」が発行されます(墓地、埋葬等に関する法律5条、8条)。

許可なく火葬を行うと2万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります(同法21条1号、罰金等臨時措置法2条1項)ので、火葬場が受け付けてくれません。

拘留とは1日以上1か月未満、刑務所に拘禁される刑です(刑法16条)。

科料とは千円以上1万円未満の金銭の支払いを科される刑です(刑法17条)。

火葬許可証は、死亡届を提出するだけで許可証を発行してくれる自治体と、別途、火葬許可申請書の提出が必要な自治体に分かれます。

後者であっても実際は死亡届を提出する際に窓口で申請書に記入するだけですので、特に準備は必要ありません。

年金

年金受給者が死亡したときは、死亡届の届出義務者が、死亡の事実を年金事務所または年金相談センターに届出なくてはなりません(国民年金法105条4項)。

違反した場合は10万円以下の過料となります(同法114条4号)。

届出をしていないと、故人の未受給の年金があった場合や遺族年金を受け取ることができる場合に、これを受け取れなくなる危険がありますので、確実に届出をしてください。

また届出をしないで故人の口座に年金が送金され続けたままにしておくと、最悪の場合、詐欺罪に問われる危険がありますので放置してはいけません。

死亡届の用紙は、市・区役所または町村役場の国民年金の窓口にあるほか、日本年金機構のサイトからもダウンロードできます

国民健康保険

死亡から14日以内に保険者である自治体の窓口に国民健康保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

届出書の書式と記載要領は、各自治体のサイトに公表されています(例:東京都江戸川区のサイト)。

銀行

銀行に死亡を届け出るには、特別な方法や書類はありません。

死亡の事実を銀行に伝えるだけで銀行側は口座を凍結します。

銀行側からは、誰が正当な相続人かを知ることはできないので、預金の払い戻しに応じることによって相続争いに巻き込まれるリスクを避けたいからです。

口座が凍結されてしまうと葬儀費用などが必要になっても引き出せなくなりますから、死亡の事実をすぐに銀行に伝えるかどうかは慎重に判断するべきでしょう。

預金の相続手続きは、各銀行が用意している書式がありますので、相続関係を証明できる戸籍書類とともに提出することになります。

銀行によって手続きが異なりますので、その銀行のサイトか窓口で確認する必要があります。

まとめ

死亡届について基礎知識をまとめました。

不明な点は、各自治体などの窓口に直接に問い合わせをすることをおすすめします。

よく確認をして漏れのないように手続きをしてください。

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