相続関係説明図って?作成方法や法定相続情報一覧図との違いも解説
「相続関係説明図」をご存知ですか?これは、亡くなった人と各相続人がどのような関係性にあるかを説明するものです。戸籍謄本等の原本を還付してもらうときに作成します。
家系図のようなもので、相続人の誕生日、住所などを記載します。自分で作成することもできますが、ミスがあると修正しなければいけません。不安があれば行政書士などの専門家に相談しても良いでしょう。
また、似たものに「法定相続情報説明図」があります。相続関係説明図とは書き方が少し異なります。ほかにも法定相続情報一覧図は提出すると戸籍謄本等の提出が不要になる、というメリットも。こちらについても解説します。
この記事では、相続関係説明図の作成に必要な書類や、法定相続情報一覧図との違いなど詳しく説明していきます。
相続関係説明図、法定相続情報一覧図について知りたい人は是非、参考にしてください。
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[ご注意]
記事は、公開日(2018年9月21日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
相続関係説明図とは?
相続関係説明図とは、亡くなった人の相続人が誰で、各相続人が亡くなった人とどのような続柄なのかという相続関係を説明するための家系図のような図のことです。
相続関係説明図は何のために作成する?
相続関係説明図を作成する主たる理由は、戸籍謄本等の原本を還付してもらうことにあります。
不動産の所有権移転登記や、預貯金口座の名義変更などの相続手続きでは、手続きの都度、大量の戸籍謄本等の書類が必要になります。
その度に、大量の戸籍謄本等の束を取得していては、取得手数料もかさみますし、取得の手間もかかります。
そこで、相続関係説明図を作成し、登記所や金融機関等の相続手続きを行うところに提出すると、戸籍謄本等の原本を還付してくれるのです。
原本還付目的のほか、相続関係が複雑な場合に、遺産分割協議を行うに当たって相続関係を整理するという目的で、手続きに先駆けて作成することもあります。
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法定相続情報一覧図との違い
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、とても似ています。
違いとしては、次のような点が挙げられます。
相続関係説明図は公的な制度にのっとったものではありませんが、法定相続情報一覧図は法定相続情報証明制度という公的な制度にのっとって作成されます。
相続関係説明図は記載すべき事項が比較的あいまいですが、法定相続情報一覧図は比較的しっかりと決められています。
相続関係説明図は提出すると戸籍謄本等の原本が還付されますが、法定相続情報一覧図は提出すると戸籍謄本等の提出が不要になります。
以上のような違いがあります。
利用者にとって最も大きな違いは、3点目だと思われます。
相続関係説明図の場合は、原本還付が受けられるのは、手続きが完了してからになるため、並行して複数の手続きを進めることはできません。
しかし、法定相続情報一覧図の場合は、初めの認証時以外は原本が不要なので並行して手続きを進めることができます。
不動産や預貯金口座の数が多く、並行して手続きを進めたい場合は、法定相続情報位一覧図の方がお勧めです。
法定相続情報一覧図について詳しくは「法定相続情報証明制度を利用すべき場合と利用すべきでない場合の基準」をご参照ください。
相続関係説明図を提出することで原本の還付を受けられる書類
相続関係説明図を提出することで原本の還付を受けられる書類は、戸籍関係の以下の書類です。
- 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本および改製原戸籍
- 相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本
戸籍関係の以外でも相続手続きでは、次のような書類の原本が必要になることがありますが、これらの原本還付は、相続関係説明図の提出ではなく、別の方法で行います。
- 被相続人の住民票の除票
- 遺産分割協議書(遺産分割による場合)
- 相続人全員の同意書(法定相続分通りの場合)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続手続申請者の住民票
これらの書類の原本の還付は、原本と共に、原本をコピーした書類の下の余白に「この写しは原本と相違ありません。」というような文言を記載したうえで、署名(または記名)押印したものを提出して行います。
詳しくは、書類の提出先(登記所や金融機関等)に確認するとよいでしょう。
相続関係説明図の作成に必要な書類
相続関係説明図の作成には、次の書類が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本および改製原戸籍
- 相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍の附票または住民票
前述のとおり、相続関係説明図は、上記の1および2の書類の原本の還付を受けるためのもの、つまり、これらの書類の内容を表すものなので、作成にこれらの書類が必要なのは当然ですね。
これらの書類は、相続関係説明図の作成のためだけに用意するわけではなく、相続手続きで必要になる書類です。
3の戸籍の附票または住民票は、相続人の住所を確認するために必要です。
親戚の住所ぐらい知っているかもしれませんが、戸籍の附票や住民票に記載されている正確な住所で記載しなければなりません。
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戸籍謄本等の集め方
専門家に依頼することもできる
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を集めるのは、結構大変です。
戸籍の収集を相続の専門家に依頼する人も多くいます。
専門家に依頼する場合は、戸籍の収集だけでなく、相続関係説明図の作成や、相続手続きの代行と併せて依頼することが多いでしょう。
まとめて同じ専門家に依頼すると、ひとつひとつの業務の報酬が割安になるからです(セット割みたいなものです)。
相続財産に不動産が含まれている場合は、不動産の登記が必要になるので、登記の専門家である司法書士に戸籍の収集や相続関係説明図の作成も併せて依頼するとよいでしょう。
また、相続税の申告がある場合は税理士、遺産分割協議の折衝調整を必要な場合は弁護士が専門になります。
戸籍の収集や相続関係説明図の作成だけを依頼する場合は、行政書士が報酬が安価なことが多く、敷居が低いでしょう。
自分で集める場合
被相続人の戸籍が、出生から死亡までの間、ずっと同じ市区町村にある場合は、ひとつの役所ですべての戸籍を揃えることができるので、比較的簡単ですが、戸籍があちこち移動していることが多いので、その場合は、複数の役所で戸籍を取得して回ることになります。
まずは、死亡時の本籍地の役所で集められるだけの戸籍を取得します。
そこで出生まで遡ることができればよいですが、別の市区町村から転籍してきた場合は、前の市区町村の役所で転籍前の戸籍を収集します。
そこにも転籍してきた場合は、さらにその前の役所で取得します。
この作業の繰り返しによって出生から死亡までの戸籍を収集するのですが、戸籍の見方に慣れていない人が、この作業を行うのはなかなか大変です。
役所に行って集められれば役所の人にも相談しながら集めることもできるでしょうが、遠方の場合は郵送で取り寄せることになるでしょうから、そうもいきません。
十分な時間が取れない場合は、やはり、専門家への依頼を検討した方がよいでしょう。
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