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分筆とは?分筆のメリット・デメリットと手続の流れや費用を完全解説

土地を所有していたり、相続することになった場合に、土地を分けることを検討するケースもあるでしょう。

土地を分筆するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

注意すべき点はどのようなことでしょうか?

この記事では、以上のような疑問にわかりやすく答えるとともに、分筆の手続の流れや気になる費用についても丁寧に解説します。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2018年9月27日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

分筆と分割は何が違う?

1つの土地を複数の土地として登記しなおすのが分筆で、登記簿上は同じ土地のまま、それぞれの土地が建築基準法の基準を満たして建物を建築できるように分けるのが分割です。

分筆と分割の違いは、登記簿上で土地が分けるのが分筆、そうでないのが分割で、単一の土地を複数に分けるという意味では同じです。

筆とは?登記簿上の土地は一筆(いっぴつ)、二筆(にひつ)と数えます。分けるときは「分筆(ぶんぴつ)」、まとめるときは「合筆(ごうひつ・がっぴつ)」と言います。

分筆のメリット

分筆のメリットには、次のような点があります。

  • 異なる権利関係を登記できる
  • 異なる地目を登記できる
  • 税金が安くなる場合がある

以下、それぞれについて説明します。

異なる権利関係を登記できる

一筆の土地の中で所有者を分けて登記することはできないため、分筆をすることで、土地の一部の売却や、共有している土地を分割して単独所有することが可能になります。

例えば、土地の一部に家を建てて住宅ローンを組んだ場合には、土地にも抵当権が設定されることが多いですが、分筆していないと土地の全部に対して抵当権がかかってきます。

そのため、土地の一部について抵当権等を設定したい場合は、分筆する必要があります。

抵当権のついた土地の相続について詳しく知りたい方におすすめの記事はこちら

異なる地目を登記できる

土地の登記には地目という項目があり、一筆の土地の中で、地目を分けることはできません。

地目とは「宅地」「山林」「原野」「田」「畑」など土地の用途による区分のことで、一筆の土地の中で地目が分かれることになった場合には、分筆して地目を変更しなければならないのです。

例えば、農地の一部に住宅を建築する場合は、住宅を建築する土地と農地のままの土地とに分筆し、その際に住宅を建築する土地の地目を宅地に変更します。

税金が安くなる場合がある

例えば、大通りに面している土地の方が、評価額が上がります。そこで、大通りに面している土地と通りに面していない土地とに分筆することによって、通りに面していない土地の評価額を下げ、税金を安くすることができる場合があります。

分筆と税金のイメージ図

土地の評価額は、土地の間口や形状、面している通りの道路幅等、様々な要素によって決まります。評価額の高い土地の方が、固定資産税や相続税、贈与税等の税金が高くなるためこのようなケースが発生するのです。

ただし、土地が2筆に分かれていても、境界線上に建物が建っているなどの状況によって土地の評価も一体として行われる場合がありますので、分筆による減税を具体的に検討したい方は、税理士に相談した上で、土地家屋調査の専門家に依頼するとよいでしょう。

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分筆のデメリット

分筆には次のようなデメリットがあります。

  • 建物を新築できなくなる場合がある
  • 固定資産税が逆に上がる場合がある
  • 使い勝手が悪くなる場合がある
  • リフォームがしにくくなる場合がある
  • 登記が分かれることにより手間が増える

分筆によって土地面積が狭くなることで、セットバックなどの建築の制限のために思うような建物を建てられなくなったり、増築ができなくなることがあります。そのため、売りたいと思っても買い手がなかなか付かないかもしれません。

また、相続のために分筆し、住宅がある土地とない土地と分けて遺産分割をした結果、土地のみを相続した方は減税の特例が受けられず、結果的には固定資産税が上がってしまうといったケースも考えられます。

分筆できない土地もある?

土地の面積が0.01㎡未満になる分筆は、実務上行うことができないとされています。

また、市街化調整区域では、一筆の土地の最低面積が決まっている場合があります。その場合は、分筆後のそれぞれの土地の面積が最低基準面積を超えなければ分筆をすることができません。

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分筆の流れ

分筆は、通常、土地家屋調査士に依頼して行います。分筆は次の流れで行います。

  1. 土地家屋調査士に相談・依頼
  2. 法務局・役所で調査(公図、地積測量図、登記事項証明書、確定測量図)
  3. 現地予備調査
  4. 現地立会い(役所、隣地土地所有者)、境界(筆界)確認成立
  5. 境界確定測量
  6. 分筆案の作成
  7. 境界標の設置
  8. 登記書類の作成
  9. 登記申請

分筆は自分でできる?

分筆を自分で行ってみたいという方もいるかもしれません。

しかし、確定測量や境界標の設置には高い精度が求められるので、土地家屋調査士や測量士以外の人が行うことは極めて難しいでしょう。

自分でできる可能性があるのは、分筆登記の手続です。地積測量図の作成までを専門家に依頼し、登記は自分で行うということは可能でしょう。

もっとも、費用の節約が目的であれば、まとめて依頼した場合と、登記を自分で手続した場合とで、費用はそれほど変わらない可能性があります。

分筆にかかる期間

分筆にかかる期間は、境界線確定測量が済んでいるかどうかによって大きく異なります。

境界線画定測量が済んでいる場合は2週間~1か月くらいですが、済んでいない場合は1か月~4か月くらいかかります。

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分筆の登記

分筆の登記は、その土地を管轄する法務局、地方法務局、支局、出張所に申請します。申請に必要な書類は次のとおりです。

  • 登記申請書
  • 筆界確認書(境界確認書、境界の同意書、境界の協定書)
  • 地積測量図
  • 現地案内図
  • (代理申請の場合)代理権限証書(委任状)

分筆の費用

分筆には次のような費用がかかります。

  • 測量費:10万円~
  • 筆界確認書作成費:10万円~
  • 官民境界確定図作成費:10万円~
  • 境界標設置費:10万円~
  • 登記申請費:5万円~
  • 登録免許税:分筆後の筆数×1000円

境界線が確定している場合は、筆界確認書作成費と官民境界確定図作成費は不要です。

境界線が確定していない場合は合計で50万円~150万円、境界線が確定している場合は25万円~50万円がかかります。境界線が確定しているかどうかを調べるには、地積測量図や筆界確認書を確認します。地積測量図は法務局で入手できます。

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費用を安くする方法

分筆の費用を安くするには次のような方法があります。

  • その土地を測量したことのある専門家に依頼する
  • 登記申請を自分で行う
  • 境界線画定のための段取りを自分で行う

以下、それぞれについて説明します。

その土地を測量したことのある専門家に依頼する

その土地を測量したことのある専門家に依頼すると、費用が安くなる可能性があります。専門家は、過去に測量した時のデータを残している場合がほとんどです。

その場合、測量に手間がかからずに済むため、その分、安くしてもらえる可能性があります。

その土地を過去に測量したことのある専門家を調べるには、登記所で地積測量図を入手し、作成者欄を確認します。

また、その土地が過去に測量されたことがない場合でも、安くする方法があります。それは、隣地の測量を行った専門家に依頼する方法です。

隣地の境界線の測量を行った専門家であれば、境界線の測量に関する手間を削減することができます。隣地の境界立会を行ったことがあれば、その時の専門家に依頼するとよいでしょう。

境界線確定のための段取りを自分で行う

境界立会のため、隣地所有者と日程調整を行ったり、合意書に署名押印をもらったりといった段取りを自ら行うことを条件に、報酬を値引いてもらえる可能性があります。

登記申請を自分で行う

登記申請を自分で行うことによって、数万円程度、費用を抑えられる可能性があります。

ただ、まとめて依頼することで全体的な値引きがあるかもしれませんので、自ら調べなからおこなうことでかかる時間や手間などと比較して検討しましょう。

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分筆して相続する場合の注意点

分筆して相続する場合には、次の点に注意が必要です。

  • 相続登記をする前に分筆するとよい
  • 遺産分割協議書には境界確定図の添付が必要
  • 相続税の申告期限に注意

以下、それぞれについて説明します。

相続登記をせずに分筆するとよい

共有状態の相続登記をしてから分筆をすると、費用と時間がかかります。相続登記を省略して分筆登記を行えば、費用と時間を節約することができます。

境界確定図は正確に

境界線確定図は、遺産分割協議書に添付する場合があります。

遺産分割協議書は自分で作成する人も多いと思いますが、その流れで、境界線の図面も自分で作成しまうことがあるのかもしれません。

正確な境界線確定図を自分で作成することは極めて難しいので、土地家屋調査士等の専門家に依頼するとよいでしょう。

相続税の申告期限に注意

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月です。

測量、遺産分割協議、分筆登記までを10か月以内に終わらせることは不可能ではありませんが、境界線が確定していない場合は、測量や立会い等に期間がかかります。

近く相続が生じることが予想され、かつ、分筆が必要になりそうな場合は、所有者の生前に測量を済ませておいてもよいでしょう。

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分筆でよくある疑問

分筆では登記識別情報や登記済権利証は発行されない

分筆後の権利証は分筆前のものと変わりません。そのため、分筆しても、いわゆる権利証と呼ばれる登記識別情報や登記済権利証は発行されませんので心得ておくと良いでしょう。

登記完了証が発行されますが、登記完了証は、権利証の代わりにはなりませんので注意しましょう。

分筆後の土地の所有権を移転する場合は、分筆前の登記識別情報や登記済権利証を使用します。なお、合筆の際には、登記識別情報または登記済権利証が発行されます。

分筆した場合の地番の付け方は?

地番とは、1筆の土地ごとに登記所が付ける番号のことです。市区町村が付ける住居表示とは異なります(同一の地域もあります。)。

分筆した場合の地番の付け方には決まりがあります。

分筆前の地番に支号(枝番)が付いているかどうかによって異なります。支号が付いていない場合は、支号を付けます。例えば、一丁目1番の土地を3つに分筆したと場合、一丁目1番1、一丁目1番2、一丁目1番3の3つに分かれます。

支号が付いている場合は、分筆後の1筆にはその支号を残し、ほかの土地には最終の支号の次の支号を付けます。

もしくは分筆前の地番が一丁目1番1で、別の所有者の土地に一丁目1番2~一丁目1番10が存在していたとします。一丁目1番1を3筆に分筆すると、それぞれの地番は、一丁目1番1、一丁目1番11、一丁目1番12の3筆になります。

分筆したら住居表示(住所)の変更は必要?

分筆して地番が変わったからといって必ずしも住居表示(住所)を変更する必要はありません。

住居表示を変更する必要があるのは、分筆後の土地について登記をする必要があるときです。

所有者の住民票の住所と登記簿上の所有者の住所が異なる場合は、登記申請が受理されないからです。

所有権の移転や、抵当権の設定や抹消等、登記が必要になってから住居表示を変更すれば十分です。住所変更を行う場合は、市区町村の役所に異動届を提出します。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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