弁護士監修記事

抵当権が付いている不動産を相続する前に知っておくべきこと

被相続人(亡くなった人)の所有していた不動産(土地・建物)に抵当権が設定されている場合、相続人はどのように対応すればよいのでしょうか?

弁護士がわかりやすく説明します。是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

遺産分割に関する不明点や困り事は、専門家への無料相談でスッキリ解決!

お住まいの都道府県の専門家を選べます。

まずは、お住まいの都道府県をクリック!

団信に加入している場合は死亡保険金でローンが完済される

一般的な住宅ローンでは、ローン契約に団体信用生命保険(団信)が附帯しています。

団信に加入している場合は、債務者が死亡すると、生命保険金によってローンが完済され、抵当権は消滅します。なお、後述のとおり、抵当権が消滅しても、登記簿上の抵当権の記載は、自動的には消滅しませんので注意が必要です。

抵当権が付いている不動産の遺産分割

団信に加入していていない場合は、債務者の死亡後も抵当権は残りますが、抵当権が付いている不動産も相続財産であり、遺産分割の対象となります。

住宅ローンについても、同様に遺産分割の対象となります。

抵当権付不動産を取得した人が住宅ローンについても引き継ぐ方がよいでしょう。

なお、遺産分割協議で住宅ローンは相続人Aが引き継ぐことに決まった場合、その取り決めは相続人間では有効ですが、債権者(銀行等)との関係では有効ではなく、債権者はどの相続人に対しても法定相続分に応じた金額を請求できます。A以外の相続人が債務を弁済した場合、その相続人は弁済額をAに求償することができます。

A以外の相続人が債権者から取り立てを受けなくて済むようにする方法もあります。

Aが債権者の同意を得たうえで、他の相続人の債務を引き受ける「免責的債務引受」(めんせきてきさいむひきうけ)をする方法です。

免責的債務引受をするには、債権者の同意が必要ですから、まず、免責的債務引受をしたい旨を債権者に相談します。

そうすると、債権者は、通常、引受人となる相続人の経済状況をチェックし、問題なしと判断すれば、引受に同意してくれる場合もあります。

そして、抵当権の変更登記をする場合において、債務の承継者が遺産分割協議で定められている場合は、「相続」を登記原因として、債務の承継者のみを債務者とする変更登記をすることができます。他方、債務の承継者が遺産分割協議で定められていない場合は、まず、「相続」を登記原因として、共同相続人全員を債務者とする変更登記をし、その後、「債務引受」を登記原因として、債務の承継者のみを債務者とする変更登記をすることになります。

プラスの財産よりも借金が大きければ相続放棄

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の権利や義務を一切承継しない選択をすることをいいます。

つまり、相続放棄をすると、根抵当権付き不動産やその被担保債務に限らず、すべての財産・債務を承継しません。

したがって、相続放棄をすべきかどうかを検討するに当たっては、相続財産全体において、プラスの財産の総額とマイナスの財産の総額を比較すべきです(当然ながら、マイナスの財産の総額の方が大きい場合は、相続放棄をした方が相続人にとって得です)。

なお、抵当権付不動産とそのローンのみを相続放棄するということはできません。

また、相続放棄をすべきかどうかを判断するに当たっては、相続財産について調査し、その全容を把握しておくべきです。

相続財産の調査については「相続財産調査の方法や費用について、わかりやすく徹底的に解説」をご参照ください。

相続放棄手続については「相続放棄手続きを自分で簡単に済ませて費用を節約するための全知識」をご参照ください。

抵当権を登記簿から抹消するにはローン完済後に抹消登記

債務を完済すると抵当権は消滅しますが、抹消登記をしなければ、登記の記載上は抵当権が付いたまです。

登記に抵当権が残っていると、売却する際や他のローンを組む際に支障があります。

抹消登記については、司法書士に相談するとよいでしょう。

『遺産相続ガイド』のオススメ【司法書士】はコチラ >>

抵当権付不動産の相続税評価額の計算方法

抵当権が付いている不動産の相続税評価額の計算方法は、抵当権が付いていない不動産の相続税評価額の計算方法と同じです。

抵当権が付いているからといって特別な控除はありません。

不動産の評価方法については「不動産(土地・建物/家屋・マンション)の相続税評価額の計算方法」をご参照ください。

もっとも、住宅ローン等の債務については、相続税の計算上控除することできます。

相続税の債務控除については「相続税の債務控除とは?控除できる債務についてわかりやすく説明」をご参照ください。

よくある質問

以上、抵当権が付いている不動産を相続する前に知っておくべきことについて説明しました。

最後にまとめとして、よくある質問とその回答を示します。

住宅ローンを引き継ぐことになった人以外の相続人に取り立てが来ないようにできる?

住宅ローンを引き継ぐ人が他の相続人の債務を引き継ぐことに債権者が同意すれば可能です。債権者に相談するとよいでしょう。

不動産の時価よりローン残高が高いなら相続放棄すべき?

そうとは限りません。相続放棄をすべきかどうかを検討するに当たっては、相続財産全体において、プラスの財産の総額とマイナスの財産の総額を比較すべきです。相続放棄をすると、一切の権利義務を承継しなくなるためです。一部の財産(例えば、不動産とそのローン)のみを放棄するということはできません。

抵当権付不動産の相続税評価額の計算方法は?

抵当権が付いていても付いていなくても相続税評価額の計算方法に違いはありません。

住宅ローン残高は相続税の計算上控除できる?

控除できます。

遺産分割に関する不明点や困り事は、専門家への無料相談でスッキリ解決!

お住まいの都道府県の専門家を選べます。

まずは、お住まいの都道府県をクリック!

SNSで記事をシェアする