遺産分割調停・審判の管轄裁判所はどこ?相手方が複数なら?
遺産分割調停・審判は、どこの裁判所に申立てをすればよいのでしょうか?自分の近くの裁判所でよいのでしょうか?相手方の近くでないといけないのでしょうか?それとも亡くなった人の近くでしょうか?また、相手方が複数の場合は、誰の近くの裁判所に申立てをすればよいのでしょうか?
この記事では、遺産分割調停、遺産分割審判の申立先となる管轄裁判所についてご説明します。
[ご注意]
記事は、公開日(2021年2月26日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
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まずは弁護士にご相談ください
遺産分割調停の管轄裁判所
遺産分割調停の申立先となる管轄裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所です。
住所地とは、実際の居住地のことです。
なお、相手方が複数の場合は、相手方の一人の住所地の管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所になります。
設例を基に説明します。
横浜市に住むAさんは、遺産分割調停の申立てをしたいと考えています。
相手方は、大阪市に住むBさんと、札幌市に住むCさんです。
この場合、Aさんは、次の3つの内のいずれかの裁判所に申立てをできます。
- Bさんの住む大阪市を管轄する大阪家庭裁判所
- Cさんの住む札幌市を管轄する札幌家庭裁判所
- Aさん、Bさん、Cさんの合意で定めた家庭裁判所
Aさんとしては、横浜家庭裁判所が最寄りですが、Bさん及びCさんの合意なく、横浜家庭裁判所に申立てをすることはできません。
遺産分割審判の管轄裁判所
遺産分割審判の申立先となる管轄裁判所は、相続開始地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所です。
相続開始地とは、被相続人(亡くなった人)の最後の住所地です。
つまり、亡くなった時に住んでいた地域です。
ただし、遺産分割審判の申立てをするケースはあまり多くはないでしょう。
原則として、審判の申立前に、調停の申立てをしなければならないことになっているためです。
調停が不成立となった場合は自動的に審判に移行しますが、その場合は、調停が行われた家庭裁判所で審判も行われる場合があります。
調停を経ずに審判の申立てをすることもできますが、家庭裁判所が調停で合意に至る余地があると判断すれば、調停に付されることになります。
住所地から管轄裁判所を調べる方法
各地の裁判所の管轄区域は、裁判所ウェブサイトのこちらのページから、次の手順で確認できます。
- 裁判所ウェブサイトの「裁判所の管轄区域」ページにアクセス
- 管轄を調べたい住所地が存在する都道府県名をクリック
- 管轄を調べたい住所地が存在する区域の「地方・家庭裁判所」欄の「出張所」欄を確認
⇒記載がある場合は、その出張所の管轄区域 - 「出張所」欄に記載がない場合は「支部」欄を確認
⇒記載がある場合は、その支部の管轄区域 - 「支部」欄に記載がない場合は「本庁」欄に記載されている家庭裁判所本庁の管轄区域
調べ方が分からない場合は、最寄りの家庭裁判所に尋ねれば教えてもらえます。
まとめ
以上、遺産分割調停の管轄について説明しました。
遺産分割調停の申立てについては、「遺産分割調停申立書の書き方と記載例、ワード書式、必要書類」もご参照ください。
遺産分割調停申立書の作成等の申立ての手続きが、難しい、又は、煩雑だと感じたら、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士は、申立ての手続きを依頼できるだけでなく、調停期日に依頼者の代わりに出席し、依頼者の希望に沿うようなかたちで調停を成立させるために、法的知識を駆使して交渉に当たります。
無料相談を実施している弁護士もいるので、まずは、気軽に電話で問い合わせてみるとよいでしょう。
この記事を書いた人
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