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DNARとは?DNRとの違いは?人生の終焉を穏やかに迎えるための知識

DNARとは

自分の人生の終焉をどのように迎えたいか、または、家族に人生の終焉をどのように迎えてほしいか、ということに思いを馳せたときに、なるべく心穏やかにその時を迎えたいと考える方も多くいらっしゃいます。その願いはかなえられる方法のひとつに、DNARに同意するということがあります。この記事では、DNARについて説明します。

[ご注意]
記事は、公開日(2020年2月18日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

DNARとは?

DNARとは、「Do Not Attempt Resuscitation」の略で、終末期医療において心肺停止状態になった時に二次心肺蘇生措置を行わないことを意味します。

「蘇生措置拒否」と訳されます。

終末期に当たる時期については、明確な定義があるわけではなく、また、病態によって異なるでしょうけども、ざっくりというと、余命が、数日~数週間、長くても数か月と宣告されているような時期のことです。

また、二次心肺蘇生措置とは、具体的には、昇圧剤の投与や、心臓マッサージ、気管挿管、人工呼吸器の装着等による蘇生措置のことです。

衰弱した終末期においてこのような蘇生措置を行うことは心身に大きな負担を伴いますし、蘇生に成功する可能性は決して高くなく、また、仮に蘇生に成功したとしても余命は心肺停止に陥る前よりも短くなっている可能性があります。

そして、蘇生措置の最中に最期の瞬間を迎えてしまうことも少なくなく、そうなると、家族に穏やかに看取られる機会が失われてしまいます。

終末期における二次心肺蘇生措置には、このようなデメリットがあるため、これを希望しない患者さんやご家族がいらっしゃるのです。

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DNARDNRの違いは?

DNARは、かつてはDNRDo Not Resuscitation)と呼ばれていました。

DNARDNRに違いはなく、同じ意味です。

DNARの「A」は「Attempt」を意味し「試みる」というような意味ですが、これが加えられた背景には、DNRが蘇生する可能性が高い場合でも蘇生措置を施さないものと誤解される懸念があり、そうではなく蘇生可能性が乏しいにもかかわらず蘇生を「試みる」ことを拒否する趣旨であることがわかりやすいように「A」を加えたという経緯があります。

DNARとリビングウィルの違いは?

患者さんに十分な判断能力がある時に示された終末期医療に関する患者さんの意向は「リビングウィル」と呼ばれ、患者さんの判断能力が十分でなくなり、意向を確認することが難しくなったときには、お医者さんや看護師さんは、このリビングウィルを尊重しつつ、患者さんのご家族などと治療やケアの内容について話し合います。

この点、DNARもリビングウィルの一種であるといえます。

リビングウィルが終末期医療全般についての意向であるのに対し、DNARはあくまで、心肺停止状態になった時に二次心肺蘇生措置を施さないということのみを示します。

したがって、DNARの意向を示していても、心肺停止状態でなければ、気管挿管や人工呼吸器の装着が行われることがあります。

DNARの意向は直ちに受け入れられるわけではない

DNARの意向は、リビングウィルと同様に、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に従って取り扱われます。

ガイドラインには、「医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。」とあります。

つまり、患者さんがDNAR同意書を提出したからといって、お医者さんが直ちにこれを受け入れられるわけではありません。

お医者さんたちがDNARの方針を決定するためには、患者さんとお医者さんたちの間で十分な話し合いが行われたことが条件になります。

そして、「本人の意思確認ができない場合に(中略)家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。」とされています。

つまり、患者さん本人のDNARの意向があったかどうかが分からない場合は、ご家族がDNARを希望していても、本人が希望したことが推定できない場合には、お医者さんはDNARを受け入れづらいでしょう(DNARが「本人にとって最善の方針」とは必ずしも言えないため)。

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DNARを希望する場合は同意書を提出する

DNARを希望する場合は、前述のとおり、まずは、かかりつけのお医者さんに相談します。

十分な話し合いを経て、多くの医療機関では決まった形式の同意書があるので、患者さんに判断能力がある場合は患者さんが、ない場合はご家族が、必要事項を記入し、署名捺印をして提出します。

まとめ

以上、DNARについて相談しました。

リビングウィルについては「リビングウィルとは。意味、法制化、問題点、例文・PDF書式、費用」をご参照ください。

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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