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リビングウィルとは。意味、法制化、問題点、例文・PDF書式、費用

命の危険が迫った状態になると約70%の方が、これからの医療やケアなどについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなるといわれています。

このようなもしもの場合に備えて、判断能力が十分なうちに「リビングウィル」を残しておくことが重要です。

この記事では、リビングウィルについて説明します。

是非、参考にしてください。

リビングウィルとは?リビングウィルの意味を簡単に説明!

リビングウィル(Living Will)とは、簡単に言うと、「回復の見込みがなく死期が間近に迫った人生の最終段階において、延命治療をしてほしいか、してほしくないか等について、主治医や家族に知らせるために、判断能力が十分なうちに示される意思」のことです。

リビングウィルは尊厳死を希望するかどうかというだけではない

このように説明すると、「リビングウィル = 尊厳死に関する意思表示」と捉えられがちです。

確かに、それもリビングウィルの一つではあるのですが、リビングウィルの本来の意味はもっと広いものです。

例えば、治癒が不可能な病気にかかったとき予想される経過や余命を知りたいかどうか、自分の意思を伝えられなくなったときにしてほしい医療やケア、してほしくない医療やケア等についても、リビングウィルに記しておくと有用なことがあります。

リビングウィルに関する法律はある?法制化の動向

現在、日本においてリビングウィルに関する法律はありません。

なお、法制化の動きはありました。

2012年に「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」(尊厳死法案)が超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」から公表されました。

その概要は、終末期に延命措置を希望しないことを書面で表示し、2人以上の医師により終末期と判定された15歳以上の患者について、延命措置を差し控える、または中止した場合、医師は民事・刑事・行政上の責任を問われないというものです。

しかし、この法案は、反対意見も多く、国会に提出されるには至っていません。

例えば、日本弁護士連合会は、尊厳死の法制化を検討する前に、次の2点が必要であるという見解を示しています。

  • 適切な医療を受ける権利やインフォームド・コンセント原則などの患者の権利を保障する法律を制定し、現在の医療・福祉・介護の諸制度の不備や問題点を改善して、真に患者のための医療が実現されるよう制度と環境が確保されること
  • 緩和医療、在宅医療・介護、救急医療等が充実されること

法律がないとなると、リビングウィルを尊重して尊厳死に導いた医師が免責されるかどうか不明で医師がリビングウィルを尊重してくれないのではないかと懸念される方もおられるでしょう。

実際に、2008年には家族の同意の下で人工呼吸器を取り外した医師が殺人罪で書類送検されるということがありました(後に不起訴)。

このような事件をきっかけとして、厚生労働省や医学会・協会等で終末期医療に関するガイドラインが進んでいます(参考:厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」)。

認知症になってから作成したリビングウィルは有効?

意思表示が法的に有効であるというためには、意思表示時に意思能力(自己の行為の結果を判断することのできる能力)があることが必要です。

しかし、そもそも、前述のとおりリビングウィルは法制化されておらず、リビングウィルによって表示された意思が医療やケアの実施者を拘束する効果はありません。

医療機関としては、リビングウィルが示された時点で、本人がどの程度内容を理解できていたのかについて、家族等の意見を聴く等して判断することになるでしょう。

また、一口に認知症といっても、体調によって判断能力が高まることもありますから、そのような時に改めてリビングウィルを確認するといったことも有用でしょう。

また、定期的にリビングウィルを確認しても内容にぶれがない場合は、ある程度、理解できたうえで意思を示していることが推測できるでしょう。

リビングウィルの問題点

リビングウィルの問題点として、次のような点が挙げられます。

  • リビングウィルに従うことが適切とは言えない(リビングウィルと本人が真に望むはずであることが異なる)ケースがある
  • リビングウィルに示されていない事項について選択が必要になった場合に誰がどのように決めるのかが難しい

ここでは、1点目について掘り下げて説明します。2点目については、次の項目で解消方法を説明します。

リビングウィルに「呼吸停止時には人工呼吸器の装着等、補助呼吸を拒否する」と記されていた場合を想定してみます。

それが不治の病の終末期を前提にしたものであったとしても、例えば、痰が器官に入って窒息状態となり一旦呼吸が停止したのなら、吸引等の処置と一時的な補助呼吸によって回復可能です。

このとき、リビングウィルに従って補助呼吸を行わないことは、適切な判断とはいえないでしょう。

つまり、リビングウィルは、自己決定を行う時点での諸状況が本人にしっかりと理解されたときに意味をもつものであり、事前に将来自分に起こることを想定した指示の場合、時には適切な自己決定とみなせないことがあるのです。

これは原理的な問題点、課題であって、どんなに詳細に具体的に起こることが想定されることごとに決めておいたとしても、このような齟齬が生じます。

また、現代の医療の発展は目覚ましく、医療技術の進歩によって、リビングウィル作成時には不治の病であったものがそうでなくなったとき、そして、その時点の患者の意思確認ができないとき、リビングウィルに従うことが適切ではない事態が生じえます。

リビングウィル、アドバンスディレクティブ、ACPの違い

リビングウィルと似たものに、アドバンスディレクティブ(Advance Directive)があります。

「事前指示」と訳され、これを書面にしたものは「事前指示書」とよばれています。

リビングウィルは医療行為等に関する事前指示のことですが、ドバンスディレクティブは、これに加えて、事前指示がなされていない事項について医療行為等の選択が必要になった場合に本人の意思を推察して本人に代わって意思表示をする代理人を誰にするかということが含まれます。

先ほどの問題点の項目でも触れましたが、前にあらゆる事態を想定してすべての指示を済ませることは不可能ですから、そのような場合に本人の意を汲み意思表示をする代理人(家族など)を決めておくことが重要なのです。

また、アドバンスディレクティブからさらに発展させたものに、アドバンスケアプランニング(「Advance Care Planning」、略称「ACP」)があります。

アドバンスケアプランニングは、アドバンスディレクティブをするに至るまでのプロセス全体を指す概念で、「人生会議」という愛称が付けられています。

アドバンスケアプランニングは、下の図のような流れで行われます。

(出典:大阪府

上の図のStep5の記録がアドバンスディレクティブです。

前述のとおり、リビングウィルにない事項については、アドバンスディレクティブによって定められた家族等の代理人が本人の意思を推察して本人に代わって意思表示をしますが、代理人がアドバンスケアプランニングにかかわることによって、代理人が本人の意思を推測しやすくなり、リビングウィルの前述の問題点の2点目が解消される可能性が高まります。

また、本人がかかりつけ医としっかりとコミュニケーションをとったうえで(上の図のStep3)リビングウィルを作成することで、リビングウィルの精度が高まり、前述の問題点1が解消される可能性が高まります。

また、かかりつけ医にとっても、本人としっかりとコミュニケーションを取っておくことで、本人の意思を推察しやすくなります。

アドバンスケアプランニングについて詳しくは「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)=人生会議とは?進め方は?」をご参照ください。

リビングウィルの書き方 ~書式・例文を活用した作成方法~

様々な機関がリビングウィルの書式や例文を公開しています。

厚生労働省の書式

厚生労働省のリビングウィルの書式はありませんが、厚生労働省はアドバンスケアプランニングを推奨しており、アドバンスケアプランニングためのシートがあります。

前述のとおり、アドバンスケアプランイングは、リビングウィルの問題点を解消できる可能性のある取り組みであり、そういった意味では、こちらのシートを使用するすることが最善であると考えられます。

日本尊厳死協会の書式・リビングウィルノート

日本尊厳死協会とは、尊厳死を社会に認めてもらうことを目的とした民間団体です。

リビングウィルのキャプチャ画像が協会のウェブサイトに公開されていますが、PDFの書式を利用するには、協会に入会しなければなりません。

入会には会費が必要で、現時点では、年会費2千円(税込み)又は終身会員費7万円(税込み)が選択できます。

また、日本尊厳死協会は、リビングウィルノートという書籍を出版しており、そちらもリビングウィル作成の参考になるかもしれません。

聖路加国際病院の書式「私のリビングウィル」

聖路加国際病院が自院の患者用に作成した書式「私のリビングウィル」ですが、他の病院の患者にとっても参考になる内容です。

リビングウィルの費用

リビングウィルを作成するのに費用は特にかかりません。

ただし、日本尊厳死協会に入会する場合は前述の会費が、書籍を購入する場合は書籍代がかかります。

また、以前は、回復が見込めないと医師が判断した75歳以上の後期高齢者を対象として、医師や看護師などが共同で患者や家族と終末期の診療方針を話し合い、その内容を文書にまとめて提供した場合に、医療機関は後期高齢者終末期相談支援料として患者一人につき200点(1点は10円。つまり2千円)算定できる制度がありましたが、患者に終末期の医療方針の選択を迫ることで、 それ以外の必要な医療を受けられなくなりかねないと懸念する声があり、制度開始から3か月後の20087月から凍結され、200912月に廃止されことが決まりました。

まとめ

以上、リビングウィルについて説明しました。

前掲のアドバンスケアプランニングの記事も参考にして、気が向いた時に、もしものための備えを進めてみるとよいでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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