弁護士監修記事

秘密証書遺言を利用すべき場合と雛形から秘密証書遺言を作成する方法

秘密証書遺言とは、どのような遺言でしょうか?

秘密証書遺言はどのような場合に利用すべきでしょうか?

この記事では、秘密証書遺言の作成から検認までの流れについて説明したうえで、秘密証書遺言と他の遺言形式とのメリットとデメリットを比較し、秘密証書遺言を利用する場合の注意点について分かりやすく説明します。

是非参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも明かさずに、かつ、遺言の存在が公証人によって証明される形式の遺言のことです。

秘密証書遺言の作成から検認までの流れ

秘密証書遺言の作成から検認までの流れは、次のとおりです。

  1. 遺言内容を証書に記し、署名・押印する
  2. 封印する
  3. 証人を依頼する
  4. 証人と一緒に公証役場に遺言書を持参する
  5. 公証人及び証人と共に署名、押印する
  6. 遺言書を保管する
  7. 変更や撤回をする場合には、変更・撤回をする
  8. 相続が開始される
  9. 遺言の保管者等が遺言書の検認を家庭裁判所に申し立てる

以下、それぞれについて説明します。

遺言内容を証書に記す

まず、遺言内容を証書に記します。

この場合の証書とは、遺言内容を記す紙(遺言書)のことです。

要するに遺言内容を紙に書くということですが、手書きでなくても、パソコンやワープロで作成しても構いません。

また、手書きの場合は、自筆でも、誰かに代筆してもらっても構いません。

なお、自筆の場合は、秘密証書遺言としての要件を満たさない場合でも自筆証書遺言(後述)として認められる可能性があるため、お勧めです。

例えば、資格のない人が証人になっていた場合等、秘密証書遺言として要件が満たさないことが後から発覚することがあるのです。

そのような場合に、秘密証書遺言とは認められませんが、自筆証書遺言の要件(全文手書きであること等)を満たしていれば遺言自体は無効とならず自筆証書遺言として取り扱われます。

手書きで作成する場合の筆記用具に指定はありませんが、鉛筆やシャープペンシル等の消えやすいものは避けましょう。

また、ボールペンの場合は水性よりも油性の方が、万が一、水に濡れてしまった場合にも滲みにくいのでお勧めです。

万年筆の場合は、顔料インクが滲みにくいと言われています。

紙についても指定はなく、極端の話、メモ帳の切れ端やチラシの裏に書いても有効です。

ですが、破損のリスクがあるので、ある程度の強度のある紙に記すべきでしょう。

遺言内容以外に遺言書に必要な項目は、署名と押印です。

印は、実印でなくても構いません。

認印でも、拇印や指印でもよいことになっています。

また、遺言書を作成した日付はあってもなくても構いませんが、日付を記入しておくことで万が一秘密証書遺言としての要件が満たされない場合でも、自筆証書遺言として認められる可能性があります。

なお、秘密証書遺言では、公証人は、遺言書の内容を確認することはありません。

したがって、いざ相続が開始され相続人らが遺言書の中身を見てみたら、誰にどの財産を取得させるのか不明瞭であるといったような不備が発見され、想定していた通りに財産が承継されないおそれがあります。

そのようなことにならないように、遺言書では明確に記述しましょう。

また、遺言書の書き方のポイントについては、自筆証書遺言と共通する点も多いので、「自筆証書遺言が無効となるケースとケース別の正しい書き方を完全解説」の「受遺者や相続人が揉めたり困ったりしないようにするポイント」の項目をご参照ください。

遺言書の雛形は以下のリンクからダウンロードしてご利用ください。

遺言書の雛形のダウンロード

なお、この雛形は次のような事例を想定して作成されています。

  • 遺言者の法定相続人は、妻乙と長男丙、長女丁の3人である。
  • 遺言者は会社(非上場)経営者であるが、高齢のため現在は長男丙が事実上経営を任されている。
  • 長女丁には、これまで結婚資金のほか、マイホームの購入資金等の援助をしてきた。
  • 遺言者は、経営の安定のため、保有する自分の会社の株式を全て長男丙に譲りたいと考えている。
  • それ以外の財産については、長女丁にはこれまで十分な生前贈与をしてきたので、最低限の財産のみを相続させ、それ以外は妻乙の長年の内助の功に報いるため、妻に残したいと考えている。

封印する

遺言書を封筒に入れて、遺言書に押印した印で封印します。

封印に用いる印は、遺言書に押印したものと同じでなければ、秘密証書遺言の要件を満たさず、遺言自体が無効になることがあるので、ご注意ください。

証人を依頼する

秘密証書遺言では、遺言者本人が自分の意思で遺言をしたことを証明するための証人が2人必要です。

秘密証書遺言の場合は、証人に遺言の内容を知られることはありません。

なお、次のいずれかに該当する人は、証人となることができません。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

1の未成年者は、ご存知の通り20歳未満の人のことです(なお、民法改正によって2022年4月以降は18歳未満の人となる予定です。)。

2の推定相続人とは、その時点において、最優先順位の相続権(代襲相続権を含みます。)を持っている人のことです。

つまり、その時点で相続が開始された場合に、相続人になると推定される人のことです。

また、受遺者とは、遺言によって財産を受け取る人のことです。

配偶者とは、ご存知の通り、妻や夫のことです。

直系血族とは、親子関係でつながる人のことで、祖父母、父母、子、孫などが、これに当たります。

例えば、Aさんの妻Bさんと、Aさんの子Cさんが、Aさんの財産の推定相続人であったところ、Aさんは、愛人Dさんに遺贈(遺言によって財産を与えること)する旨の秘密証書遺言を作成したとします。

その場合、Bさん、Cさん、Dさん、それから3人の配偶者と直系血族は、Aさんの遺言の証人になることはできません。

3の公証人とは、事実の存否や、契約や法律行為の適法性等について、証明したり認証したりする公務員のことです。

公証人は秘密証書遺言の存在を証明する手続を行いますが、同じく秘密証書遺言の存在を証明する証人が、公証人と関係がある人であることが許されるのであれば、公証人とは別に証人を求める意義が乏しくなってしまいます。

したがって、証人は、公証人と関係のある人(配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人)ではいけません。

これらに該当しなければ、誰でも証人とすることができます。

2に該当しない、少し遠い関係の身内や、友人に証人になってもらうことが比較的多いように思われますが、証人になってくれる人がいない場合や、身内や友人に遺言を作成したことを知られたくない場合は、弁護士、司法書士、行政書士等の専門家に証人になってもらうことも可能です。

特に弁護士であれば、遺言書の内容・形式(そもそも秘密証書でよいのかどうか)を決めるところから、遺言書の作成まで一貫したサポートを受けることができます(司法書士や行政書士には、遺言者が決めた遺言内容に基づいた遺言書の作成を依頼することができます。)。

なお、遺言書の作成を専門家に依頼せず、かつ、証人になってくれそうな人がいない場合等は、公証役場で証人になってくれる人の紹介を受けることができる場合があります。

その場合は、証人になってくれる人一人に対して1万円程度の謝礼が必要になることが多いようです。

証人と一緒に公証役場に遺言書を持参する

証人が決まったら、証人を伴って公証役場に封印した遺言書を持参します(予約が必要となる場合が多いので、事前に公証役場に確認してください。)。

近くの公証役場を調べるには、こちらのページが便利です。

公証役場で、秘密証書遺言をしたい旨を伝えて、手数料の1万1000円を納めます。

そのほかに必要となる身分証や印鑑などの持参物については公証役場にご確認ください。

証人と共に署名、押印する

遺言者は、証人の前で、公証人に遺言書を封印した封筒を提出し、自分の遺言書である旨と、氏名と住所を申述します。

そうすると、公証人が、遺言書が封印された封筒に、その日の日付、その遺言書が遺言者の遺言書であること、遺言者の氏名と住所を封筒に記述します。

そして、公証人、証人、遺言者が封筒に署名、押印します。

公証人は、その日の日付と、遺言者と公証人の氏名と住所を公証役場の記録に残し、遺言書を封印した封筒は、遺言者に戻されます。

遺言書を保管する

秘密証書遺言の場合は、公正証書遺言(後述)と違い、公証役場で遺言書を保管してくれません。

秘密証書遺言の場合は、自分で(または、誰かに委託しして)遺言書を保管しなければなりません。

遺言者の自宅に保管する場合は、ほかの人に簡単に見つかる場所に置いておくと、相続開始前に見つかって開封されたり、隠されたりするおそれがあります。

秘密証書遺言は、開封されると、秘密証書遺言としては無効となる可能性があります。なお、自筆で書かれている等、自筆証書遺言としての要件を満たしている場合は、秘密証書遺言としては無効でも、自筆証書遺言として有効となります。

また、反対に見つかりにくいところに隠していた場合は、相続が開始しても遺言書が発見されず、遺言書がないものとして、法定相続分で相続されてしまう可能性があります。

そうならないように、遺言執行者を指定して、遺言執行者に遺言書を預けておくとよいでしょう。

遺言執行者については「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」をご参照ください。

変更や撤回をしたい場合

秘密証書遺言の内容を変更したい場合や、全部を撤回して遺言がない状態にしたい場合の方法について説明します。

秘密証書遺言の内容を変更する方法

秘密証書遺言を変更するためには、変更したい内容の遺言書を改めて作成します。

必ずしも秘密証書遺言でなくても、他の形式(自筆証書遺言や公正証書遺言)で作成しても構いません。

遺言書が複数ある場合は、日付が新しいものが有効な遺言書となり、それ以前の遺言書は、新しい遺言書の内容と抵触する部分において無効となります(新しい遺言書が遺言の全部を変更するものである場合は、以前の遺言書の全ての部分が無効になります。)。

最新版以外の遺言書は無効となりますが、念のため、破棄しておいた方がよいでしょう。

なお、元の遺言書に加筆修正を施す方法では、秘密証書遺言の内容を変更することはできません。

秘密証書遺言の全部を撤回して遺言がない状態にする方法

秘密証書遺言の全部を撤回して、遺言がない状態にしたい場合は、遺言書を破り捨てます。

ただし、秘密証書遺言では遺言の記録が公証役場に残っているので、遺言執行者や相続人が、遺言書が破棄されたことを知らなければ、きっとどこかに遺言書があるはずだと、ありもしない遺言書を懸命に探す羽目になりかねません。

遺言書を破棄する場合は遺言執行者等にその旨を伝えておくという手もありますが、法定相続分通りに相続させる旨の遺言を新たにする方が確実でしょう。

相続が開始される

遺言者が亡くなる等すると、相続が開始されます。

遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が相続人に遺言書があることが伝えます。

遺言執行者が指定されていない場合や、遺言執行者が先に亡くなっている場合は、相続人が遺言書を探します。

遺言執行者等が遺言書の検認を家庭裁判所に申し立てる

秘密証書遺言では、偽造や変造を防止するため、相続開始後、遺言書が見つかったら、開封せずに、遺言書の検認を行わなければなりません。

検認前に開封してしまった場合は、開封者が5万円以下の過料(行政罰)が科される可能性がありますが、遺言自体が無効となるわけではありません。

遺言書の検認については「遺言書の検認とは?遺言書が見つかったら知っておくべき検認の全知識」をご参照ください。

秘密証書遺言とほかの形式の遺言との違い

通常の遺言の形式には、秘密証書遺言のほかに自筆証書遺言や公正証書遺言があります。

これらとの違いについて説明します。

秘密証書遺言と自筆証書遺言との違い

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、自筆で書かれた遺言のことです。

秘密証書遺言のように公証役場に行く必要はありません。

自筆証書遺言について詳しくは「自筆証書遺言が無効となるケースとケース別の正しい書き方を完全解説」をご参照ください。

自筆証書遺言と比べた秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言には、自筆証書遺言と比べて、次のメリットがあります。

  • 偽造されたものでないことを証明できる
  • 自筆でなくてもよい

以下、それぞれについて説明します。

偽造されたものではないことを証明できる

自筆証書遺言では、遺言書が遺言者によって書かれたものかどうか争いになることがあります。

密証書遺言では、遺言者、公証人、証人が、遺言者によって作成された遺言書であることを確認しているので、このような問題が生じません。

自筆でなくてもよい

自筆証書遺言は、全文が自筆でなければなりませんが、秘密証書遺言は、署名以外は自筆でなくても構いません。

高齢等で自筆で長文を書くことが困難な方にとっては、メリットになるでしょう。

自筆証書遺言と比べた秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言には、自筆証書遺言と比べて、次のデメリットがあります。

  • 証人が必要
  • 公証役場に行かなければならない
  • 費用がかかる
  • 遺言内容を変更する場合は一から作り直さなければならない
  • 法務局における遺言書の保管制度が利用できない

以下、それぞれについて説明します。

証人が必要

秘密証書遺言には証人が2人必要です。

また、前述の通り、証人は誰でもなれるわけではありません。

公証役場から証人の紹介を受けることもできますが、1人につき1万程度の謝礼が必要です。

公証役場に行かなければならない

秘密証書遺言では、公証役場に証人と共に出向いて、申述や署名、押印等の手続を踏まなければなりません。

自筆証書遺言では、このような手続は不要です。

費用がかかる

秘密証書遺言の場合は、公証役場で1万1000円の手数料がかかります。

自筆証書遺言では、このような手数料はかかりません。

遺言内容を変更する場合は一から作り直さなければならない

自筆証書遺言では、遺言書を加筆、修正して、遺言内容の一部を変更することができます。

秘密証書遺言では、遺言内容を変更したい場合は、一から作り直さなければなりません。

なお、秘密証書遺言を自筆で作成した場合等、自筆証書遺言としての要件も満たしている場合は、封書を開封して中身の秘密証書遺言を自筆証書遺言の変更方法に基づいて適切に変更すると、秘密証書遺言としては無効になりますが、自筆証書遺言として遺言の有効性を保つことができます。

法務局における遺言書の保管制度が利用できない

2018年7月13日、法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)が公布され、公布日から2年以内(遅くとも2020年7月12日まで)に、施行されます。

遺言書保管法が施行されると、自筆証書遺言は、法務局における遺言書の保管制度を利用することができます。

法務局における遺言書の保管制度を利用すると、自分で遺言書を保管しなくてもよいので、遺言書の破損、滅失、紛失、隠匿といったリスクがありません。

また、遺言書の検認の不要になります。

秘密証書遺言の場合は、遺言保管法施行後も、この制度を利用することができません。

詳しくは「相続法改正で何が変わる?いつから適用?ポイントをわかりやすく説明」の「自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになる」の項目をご参照ください。

秘密証書遺言と公正証書遺言との違い

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです。

秘密証書遺言では、遺言書は自分で(または、専門家等に依頼して)作成しなければなりませんが、公正証書遺言では、遺言の内容を口頭で伝えるだけで、遺言書を公証人が作成してくれます。

公正証書遺言について詳しくは「公正証書遺言で最も確実かつ誰でも簡単に遺言をする方法を丁寧に解説」をご参照ください。

公正証書遺言と比べた秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言には、公正証書遺言と比べて、次のメリットがあります。

  • 遺言内容を証人や公証人に知られない
  • 費用が安い

以下、それぞれについて説明します。

遺言内容を証人や公証人に知られない

公正証書遺言では、遺言内容を証人や公証人に知られますが、秘密証書遺言は、遺言内容を誰にも知られずにできます。

証人を身内や知人に依頼する場合は、遺言内容を知られたくないという人もいるでしょう。

しかし、証人は、公証役場で紹介を受けて面識のない人に依頼することもできますし、遺言書について相談した専門家に依頼することもできます。

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費用が安い

秘密証書遺言の費用は、1万1000円であり、公正証書遺言よりも安く済みます。

公正証書遺言の費用については、「公正証書遺言で最も確実かつ誰でも簡単に遺言をする方法を丁寧に解説」の「公正証書遺言を作成する際にかかる費用」の項目をご参照ください。

公正証書遺言と比べた秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言には、公正証書遺言と比べて、次のデメリットがあります。

  • 自分で遺言書を作成しなければならない
  • 不備があると無効になるおそれがある
  • 遺言書の破損、滅失、紛失、破棄、隠匿のおそれや、遺言書が発見されないおそれがある
  • 遺言書の検認が必要

以下、それぞれについて説明します。

自分で遺言書を作成しなければならない

公正証書遺言は、公証人が遺言書を作成してくれますが、秘密証書遺言は、自分で(または、専門家等に依頼して)作成しなければなりません。

もっとも、公証人は、遺言内容についての相談(例えば、相続人が揉めないようにするには、どのように分配すればよいか)や、相続税対策となる財産の承継方法についての相談には応じてくれません。

公正証書遺言であっても、公証人の役割は、遺言者が決めた遺言内容に基づいて遺言書を作成するにとどまります。

遺言内容そのものについて相談したい場合は弁護士に、相続税対策について相談したい場合は税理士に相談しましょう。

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不備があると無効になるおそれがある

公正証書遺言では、公証人が遺言書を作成するため、不備があって遺言が無効になることは考えられません。

一方、秘密証書遺言では、公証人は遺言書を作成してくれないので、自分で作成した遺言書に不備があった場合は、遺言書が無効となるおそれがあります。

例えば、「妻に財産のほとんどを相続させる」というような曖昧な遺言は無効となるおそれがあります。

遺言書の破損、滅失、紛失、破棄、隠匿のおそれや、遺言書が発見されないおそれがある

秘密証書遺言では自分で保管しなければならないため、遺言書を破損したり、滅失したり、紛失したりするおそれがあります。

また、遺言が誰かに見つかった場合に、破棄されたり、隠されたりするおそれもあります。

誰にも見つからないように分かりにくい場所に隠した場合には、相続が開始されても遺言書が発見されないおそれもあります。

一方、公正証書遺言は公証役場で遺言書が保管されるので、このようなおそれはありません。

遺言書の検認が必要

公正証書遺言は、公証役場で保管され、遺言内容も記録されおり、偽造や変造のおそれがないため、遺言書の検認の手続はありません。

一方、秘密証書遺言では、偽造や変造を防止するため、相続開始後、遺言書が見つかったら、開封せずに、遺言書の検認を行わなければなりません。

遺言書の検認は、事案にもよりますが2か月程度の時間がかかりますし、裁判所とのやりとりが必要となるなど相続人の一定の負担がかかります。また、検認前に間違えて開封してしまうリスクもあるので、それも秘密証書遺言のデメリットと言えるでしょう。

なお、検認前に開封してしまった場合は、開封者が5万円以下の過料(行政罰)が科される可能性がありますが、遺言自体が無効となるわけではありません。

遺言書の検認については、「遺言書の検認とは?遺言書が見つかったら知っておくべき検認の全知識」をご参照ください。

遺言形式比較表

秘密証書遺言と自筆証書遺言、公正証書遺言の違いをまとめると、下表のようになります。

自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言
作成者自分(専門家に依頼することも可能)自分(専門家に依頼することも可能)公証人
作成方法自筆のみ(専門家に文章を作ってもらっても書くのは自分)自筆・代筆・ワープロ(署名は自筆のみ)公証人が作成
公証役場に行く必要なしありあり
証明できることなし遺言者の意思に基づいた遺言であること遺言者の意思に基づいた遺言であること、遺言内容
証人不要必要必要
秘密性作成したことすら誰にも知られずに可能内容は誰にも知られないが、作成したことは公証人と証人には知られる内容も含めて公証人と証人には知られる
費用不要1万1000円1万6000円~(相続財産額による従量課金)
保管者自分(誰かに委託してもよい)自分(誰かに委託してもよい)公証役場
内容の一部変更できるできないできない
検認必要必要不要
法務局における遺言書の保管制度(※)利用できる利用できない利用できない(利用する必要がない)

※法務局における遺言書の保管制度は、記事執筆日現在(2018年10月)未施行であり、まだ利用することはできません。施行後から利用できます。施行期日は、公布日(2018年7月13日)から2年以内です。

まとめ ~ 秘密証書遺言を利用すべき場合は?

秘密証書遺言を利用すべき場合は、正直、あまり多くはないでしょう。

作成方法が誤っていたり、内容があいまいである等、遺言の要件の満たさない場合は、無効になるおそれがありますし、自己管理なので、紛失や変造のおそれもあるためです。

秘密証書遺言を利用する場合は、弁護士等の専門家に遺言書の作成を依頼したうえで、遺言執行者を専門家や信託銀行等に依頼し、遺言執行者に遺言書を保管してもらうとよいでしょう。

もっとも、秘密証書遺言よりも公正証書遺言の方を利用した方が、より確実性が高いため、お勧めです。

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