弁護士監修記事

家庭裁判所の相続放棄ページに不明点や載っていない事がある場合

裁判所のウェブサイトの相続放棄のページを読んでも、手続き方法、必要書類、申述書の記入方法などがよく分からなかったとか、郵送方法が掲載されていない等という相談がよく寄せられます。

そのような方々に向けて、この記事では、相続放棄の手続きについて、弁護士がわかりやすく丁寧に説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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相続放棄の手続きにおける必要書類

相続放棄の手続きに必要な書類は、相続放棄をする場合に必ず必要となる書類と、相続放棄をする人と被相続人(亡くなった方)との関係によって必要となる書類がありますので、それぞれ順番に説明します。

なお、複数名がまとめて相続放棄をする場合は、必要書類の多くが共通することになりますが、共通する書類は1通で構いません。

別々に手続する場合でも、先に手続きした人が提出済みの書類は、後に手続きする人は用意する必要はありません。

相続放棄をする場合に必ず必要な書類

以下の書類は、相続放棄の手続きにおいて必ず必要となる書類です。

相続放棄申述書

相続放棄申述書は、相続人が相続を放棄するという意思を家庭裁判所に対して申し述べるための書類です。

被相続人や相続人の本籍、住所、氏名等の情報に加え、相続人が相続を放棄する理由や相続財産の概要について記載する必要があります。

相続放棄をする方の戸籍謄本

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う際には、相続放棄申述書と一緒に、

「相続放棄をする方の戸籍謄本」

を家庭裁判所に提出しなければなりません。

被相続人の戸籍謄本

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う際には、相続放棄申述書と一緒に、

「被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本」

を家庭裁判所に提出しなければなりません。

相続放棄をする方の戸籍に被相続人も載っている(被相続人の死亡の記載もある)場合には、家庭裁判所に提出するのは1通で十分です。

被相続人の住民票

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う際には、相続放棄申述書と一緒に、

「被相続人の住民票」

を家庭裁判所に提出しなければなりません。

亡くなった方の住民票なので、正式には、住民票の除票と呼ばれています。

これは、相続放棄を行う場合、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に書類を提出する必要があるためで、どこの家庭裁判所で手続きを行うかを確認するのに必要だからです。

なお、住民票の除票の代わりに、被相続人の戸籍附票でも代用できます。

収入印紙

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う際には、相続放棄申述書に、800円分の収入印紙を貼って提出する必要があります。

これは、相続放棄を行う際の手数料です。

なお、契約書や領収書に収入印紙を貼るときと異なり、相続放棄申述書に収入印紙を貼った際には、印紙を消印(印紙の端に印鑑を押すこと)してはいけません。

郵便切手

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う際には、郵便切手を提出する必要があります。

家庭裁判所から郵便で通知を送る際等に使用するためです。

なお、一緒に提出する郵便切手の額は、各家庭裁判所によって異なりますが、概ね数百円程度です。

相続放棄をする人と被相続人との関係によって必要となる書類

次に、相続放棄をする人と被相続人との関係によって必要となる書類について説明します。

被相続人の孫(代襲相続人)が相続放棄する場合

被相続人の孫が代襲相続人となる場合に、相続を放棄したいときは、相続放棄申述書と一緒に、

「被代襲者の死亡の記載がある戸籍謄本」

を家庭裁判所に提出する必要があります。

被代襲者とは、被相続人よりも先に亡くなった相続人(生きていれば相続人となっていたはずの人)のことで、例えば孫が代襲相続人となる場合は、孫の親(被相続人の子)が被代襲者と呼ばれます。

代襲相続人は、相続開始時に、既に被代襲者が亡くなっているために相続人となるのですから、被代襲者が亡くなっていることを証明するために、その死亡の記載のある戸籍謄本が必要となるのです。

代襲相続については「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」をご参照ください。

被相続人の父母(直系尊属)が相続放棄する場合

被相続人の父母や祖父母等の直系尊属が相続放棄する場合には、相続放棄申述書と一緒に、

  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
  • 第一順位の相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本

家庭裁判所に提出する必要があります。

被相続人の父母や祖父母等の直系尊属は第二順位の相続人ですから、これらの者が相続放棄をするということは、第一順位の相続人がいないか、いたとしても被相続人よりも先に全員亡くなっている場合に限られます。

そのため、被相続人が亡くなった時点で、第一順位の相続人(及び代襲相続人)がいないことを証明するために、上記の戸籍謄本が必要になります。

なお、第一順位の相続人が全員相続放棄をしたことによって第二順位の法定相続人が相続放棄をすることになった場合でも、上記の戸籍謄本は必要になります。

これは、第一順位の相続人が「全員」相続放棄をしているかどうか(他に相続放棄をしていない第一順位の相続人がいないかどうか)を確認する必要があるからです。

なお、相続順位については「法定相続人とは?法定相続人の範囲と優先順位、相続割合を図で説明」をご参照ください。

被相続人の兄弟姉妹が相続放棄する場合

被相続人の兄弟姉妹は第三順位の相続人ですから、これらの者が相続放棄をするということは、第一順位及び第二順位の相続人がいないか、いたとしても被相続人よりも先に全員亡くなっている場合に限られます。

そのため、第二順位の相続人が相続放棄をする際に必要であった

  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
  • 第一順位の相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本

に加え、第二順位の相続人が全員亡くなっていることを示すために、

  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本

家庭裁判所に提出する必要があります。

なお、第二順位の相続人が全員亡くなっているわけではなく、第二順位の相続人が全員相続放棄をしたことによって第三順位の相続人が相続放棄をすることとなった場合には、被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本は必要ありません。

法定相続人以外の受遺者が相続放棄する場合

法定相続人以外の受遺者(遺言によって相続財産の遺贈を受けた者)が、その遺贈を放棄したい場合には、特定遺贈と包括遺贈で放棄の方法が異なります。

特定遺贈の場合は、相続人又は遺言執行者に対して遺贈を放棄する旨の意思表示を行うだけでよいのですが、包括遺贈の場合は、相続人と同様に、家庭裁判所において、相続放棄(包括遺贈の放棄)の手続きを行う必要があります。

包括遺贈を受けた者が、家庭裁判所で相続放棄(包括遺贈の放棄)の手続きを行う場合には、「上記の相続放棄をする場合に必ず必要な書類」として記載している書類及び遺言書が必要になります。

遺贈の放棄については「財産放棄と相続放棄の違いを理解して財産放棄で損しないための全知識」も併せてご参照ください。

以上のとおり、申請者毎に必要となる書類について説明してきましたが、相続放棄の審理のために必要な場合には、裁判所から追加書類の提出をお願いされることがありますのでご注意ください。

相続放棄の必要書類の取得方法・作成方法

相続放棄申述書

相続放棄申述書を手に入れるには

相続放棄の手続きに必要な相続放棄申述書は、家庭裁判所でその用紙を手に入れることができます。

相続放棄申述書の形式は全国共通なので、実際に手続きを行う家庭裁判所以外の家庭裁判所でも入手することが可能です。

また、裁判所のホームページ上からもダウンロードすることができます。

こちらのリンクからダウンロードください。

相続放棄申述書の記入例

相続放棄申述書の記入例を、申立人が、成人の場合と未成年者の場合と紹介します。

まず、申立人が成人の場合の記入例です。

次に申立人が未成年者の場合の記入例です。

以下の説明は、記入例を参照しながらお読みください。

申述人欄の書き方

申述人欄には、相続放棄を行う人(放棄する人)についての情報を記載します。

本籍は、戸籍謄本の本籍地の記載をそのまま記載します。

住所は、現住所(現在実際に住んでいる住所)を記載します。

住民票上の住所を記載する必要はないので、住民票の住所と実際に住んでいる住所が異なるときは、現住所を記載するようにします。

そのほか、氏名・生年月日・職業・被相続人との関係(続柄)を記載します。

なお、申述人が未成年者の場合、申述人欄の下部の法定代理人等という欄に、親権者の情報を記載する必要があります。

被相続人欄の書き方

被相続人欄には、亡くなった方(被相続人)についての情報を記載します。

被相続人欄には、本籍、最後の住所、死亡当時の職業、氏名、死亡日を記載します。

本籍は、戸籍謄本の本籍地の記載のとおりに、最後の住所には、被相続人が亡くなった時点における住民票上の住所を記載します。

死亡当時の職業は、会社名等は必要なく、会社員・自営業等と一般的な書き方で十分です。

死亡日は、相続が開始した日となるので、戸籍や住民票を確認して、間違いのないように記載することが大切です。

申述の趣旨の書き方

申述の趣旨の欄には、「相続の放棄をする」と記載します。

家庭裁判所で取得した相続放棄申述書には、初めから、「相続の放棄をする」という文字が印字されていると思いますので、そのままで大丈夫です。

申述の理由の書き方

申述の理由の部分には、「相続の開始を知った日」と「放棄の理由」、「相続財産の概略」を記載します。

相続の開始を知った日について

「相続の開始を知った日」とは、通常は、被相続人が亡くなった日か亡くなったことの連絡を受けた日になると思います。

また、自分よりも先順位の相続人が全員相続放棄をしたことによって自分が相続人になった場合には、先順位の相続人が全員相続放棄をしたことを知った日が、「相続の開始を知った日」となります。

相続放棄は、「相続の開始を知った日」から3か月以内に行う必要があります

ただ、被相続人が亡くなった(または亡くなったことを知った)時点では、財産が全くないと認識していたり、プラスの財産があることは知っていたがマイナスの財産があることは知らなかったりした場合に、被相続人が亡くなって(または亡くなったことを知って)から3か月以上経過した後にマイナスの財産が発覚したために相続放棄をしようと考えたときは、「相続の開始を知った日」がいつの時点になるのかという点について解釈に争いがあり、問題になります。

このような場合は、申述書の書き方について専門家に相談した方がよいでしょう。

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放棄の理由について

放棄の理由の欄には、あなたが相続放棄をする理由を記載します。

「被相続人から生前に贈与を受けている」とか「遺産を分散させたくない」、「債務超過のため」など、既に記載されている中に当てはまるものがある場合はをつけ、当てはまるものがない場合は、「その他」の欄に記載するようにします。

なお、「債務超過」とは、プラスの財産(資産)よりもマイナスの財産(債務)の方が多いことを理由に相続放棄をする場合を指します。

相続財産の概略について

「相続財産の概略について」の欄には、被相続人が亡くなった時点で有していた財産を記載します。

不動産や預貯金といったプラスの財産(資産)だけでなく、借金等のマイナスの財産(負債)も記載するようにします。

戸籍謄本

相続放棄申述書と一緒に提出する戸籍謄本は、本籍地の市町村役場で取得することができます。

市町村役場が遠方の場合は、郵送で取得することも可能です。

なお、戸籍謄本の取得には、1通あたり350~700円程度の手数料がかかります。

相続放棄の手続きのために戸籍謄本を取得する際には、必ず戸籍「謄本」を取るようにし、誤って戸籍「抄本」を取ってしまわないように注意が必要です。

また、相続放棄の手続きにおいては、被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍謄本が必用な場合があります。

通常は、まず最後の戸籍(または除籍)謄本を取得し、次にその1つ前の戸籍と取得する、というように新しいものから古いものにさかのぼって取得していきます。

場合によっては複数の市町村役場で取得しなければならないこともあります。

なお、市役所などの窓口で取得する場合は、「出生から死亡までの戸籍謄本を取得したい」と窓口の方に伝えれば、多くの場合、過去の戸籍までさかのぼって発行してくれるので、窓口でその旨を伝えた方がよいでしょう。

被相続人の住民票(除票)

被相続人の住民票(除票)は、被相続人が最後に住所を定めていた場所の市町村役場で取得することができます。

1通あたり350円程度の手数料がかかります。

なお、被相続人の住民票(除票)は戸籍附票でも代用できます。

そのため、被相続人の本籍地と住民票における住所地が異なる市町村の場合には、本籍地において戸籍謄本を取得する際に戸籍附票を併せて取得した方が二度手間にならないのでおすすめです。

収入印紙

収入印紙は、コンビニエンスストアや郵便局で購入することができます。

また、ほとんどの裁判所において、印紙売り場が併設されています。

相続放棄の必要書類の提出方法

相続放棄の手続きを行う際には、被相続人が最後に住所を定めていた場所を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書と必要書類を一緒に提出する必要があります。

提出先の裁判所は、相続人が住んでいるところを管轄する家庭裁判所ではないことに注意が必要です。

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所は、次の手順で調べることができます。

  1. 裁判所ウェブサイトの「裁判所の管轄区域」のページにアクセス
  2. 被相続人の最後の住所地の都道府県をクリック
  3. 被相続人の最後の住所地の区市町村を探す(ウェブブラウザのページ内検索機能(ショートカットキー:Ctrl+F)を利用すると便利)
  4. 「地方・家庭裁判所」の欄を確認
  5. 申述先は、「家裁出張所」欄に記載があればその家裁出張所、「支部」欄に記載があればその家庭裁判所支部、いずれも記載がなければ「本庁」の家庭裁判所

各家庭裁判所の裁判所の住所と電話番号は、裁判所ウェブサイトの「各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧」のページから調べることができます。

なお、提出先の家庭裁判所が遠方の場合は、郵送で提出することも可能です。

郵送で提出する際には、到着が確認できるよう、普通郵便ではなく、書留郵便等で発送した方がよいでしょう。

持参した場合には、家庭裁判所の窓口で、申述書の内容に書き漏れや明らかな誤りがないかどうかや、必要書類に漏れがないかを見てくれる場合があるので、その場で訂正できるというメリットがあります(ただ、大都市の裁判所などでは、受付段階では申述書の内容は見てくれない場合もあるようです)。

郵送先の部署名等は、各家庭裁判所に電話で確認するとよいでしょう。

なお、家庭裁判所に提出した書類は原則として返還されないので、必要な場合はあらかじめコピーをとっておくことをおすすめします(裁判所によっては、原本と一緒にコピーを提出することで、手続終了後に原本を返還してもらえることもあります)。

また、複数の相続人が同時に相続放棄の手続きを行う場合には、共通する書類(例えば被相続人の戸籍謄本や住民票等)については、それぞれが提出する必要はなく、1通提出すればよいことになっています。

相続放棄の期限については「相続放棄の期限に間に合いそうにない場合や期限が過ぎた場合の対処法」をご参照ください。

相続放棄申述書提出後に必要な書類

照会書の返送

相続放棄申述書を家庭裁判所に提出すると、後日、家庭裁判所から照会書が届きます。

これは、家庭裁判所が、相続人が間違いなく自分の意思で相続放棄の手続きを取ったのかどうかを確認するという目的や、相続人が相続放棄をするに至った理由等を確認するために送られるものです。

照会書が届いたときには、照会書に記載されている質問に回答を記載し、家庭裁判所へ返送する必要があります。

相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書

照会書を返送し、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されると、相続放棄申述受理通知書が家庭裁判所から送付されます。

これは、相続人が相続放棄の申述を行い、これを裁判所が受理したということを通知する書類です。

なお、相続放棄申述受理通知書は1度しか送付されず、再発行もされないので、相続放棄申述受理通知書を紛失した場合や、相続放棄をしたことを金融機関等に証明する必要がある場合には、別途、相続放棄申述受理証明書という書類の発行を家庭裁判所に申請する必要があります。

相続放棄申述受理証明書について詳しくは「相続放棄申述受理証明書が必要なケースと申請方法・申請書の記入例」をご参照ください。

相続放棄の手続きは弁護士又は司法書士に依頼できる

相続放棄の手続きは、弁護士又は司法書士に依頼することができます。

身内が亡くなると、葬儀や法事、手続きや遺品整理など、やらなければならないことが満載で3か月はあっという間です。

期限内にスムーズに手続きを終えられるよう、専門家に依頼できるものは専門家を活用することをお勧めします。

また、相続放棄をする際には、相続放棄申述書を作成して家庭裁判所に提出するだけでなく、裁判所からの照会書に回答をする必要があります。

相続放棄が認められるかどうかは、申述書と回答書の記載内容を中心に判断されるので、その書き方次第で、相続放棄が認められないという可能性もあります。

せっかく相続放棄の手続きをしたのに、それが認められなかったり、後から無効になったりすることを防ぐためにも、少しでも疑問点があるときには、早めに弁護士又は司法書士に相談されることをおすすめします。

まとめ

以上、相続放棄の手続きについて説明しました。

相続放棄の手続きは、上記のとおり、専門家に依頼することができます。

専門家をうまく活用して手間を削減しましょう。

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