法テラスの相続放棄の費用・料金、利用できる収入・資産の基準
相続放棄の手続きを弁護士や司法書士に依頼したくても、費用が捻出するのが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、法テラスの民事法律扶助を利用することで、費用が安くなったり、分割払いにできたりします。
この記事では、法テラスを利用した場合の相続放棄の費用について説明します。
また、法テラスはお金にゆとりのある方(収入や資産が多い方)は利用できません。利用基準についても紹介しますので、ご自身が利用基準に適合しているかどうかご確認ください。
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[ご注意]
記事は、公開日(2021年1月21日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
法テラスの相続放棄の費用・料金
法テラスの相続放棄の費用・料金は決まっているわけではありませんが、目安としては、1名が相続放棄する場合、実費として10,000円、着手金として33,000円、合計43,000円程度が必要となり、複数名が同時に相続放棄をする場合には、追加の費用がかかります。
一括での支払いが難しい場合は、月額5,000~10,000円程度の分割払いが利用できます。
法テラスの利用基準
法テラスの民事法律扶助は、誰でも利用できるわけではなく、収入や資産が多い方は利用できません。
利用基準については、法テラスのウェブサイトのこちらのページでご確認ください。
法テラスの注意点・デメリット
法テラスが利用できる場合は、法テラスを利用すべきでしょうか?
経済的な理由で、専門家の費用をどうしても捻出できない場合は、法テラスを利用するしかないでしょう。
しかし、各事務所の費用を紹介したとおり、法テラスを利用する場合と比べてそこまで大きな差があるわけではありません。
法テラスを利用する際の注意点・デメリットについて説明するので、コストメリットと比較衡量して決めるとよいでしょう。
法テラスには、次のような注意点・デメリットがあります。
- 審査が通るまでに時間がかかる
- 専門家を自由に選べない
- 経験の浅い専門家が多い
それぞれの点について説明します。
審査が通るまでに時間がかかる
法テラスを通じて弁護士や司法書士に依頼する場合、必要書類を取り揃え、審査を経て、契約を締結して、ようやく手続きを進めてもらうというながれになります。
審査には、2週間以上かかることもあります。
相続放棄の期限(相続の開始を知った時から3か月)が迫っている場合は、間に合わなくなるおそれがあります。
専門家を自由に選べない
すべての弁護士・司法書士が法テラスと契約をしているわけでなく、むしろ法テラスと契約している弁護士・司法書士は少数派ですので、専門家を自由に選ぶことはできません。
法テラス経由の依頼は料金が安くなるため、法テラス経由でなくても十分な数の依頼がある専門家は、法テラスと契約していないことが多いのです。
経験の浅い専門家が多い
法テラス経由で依頼できる専門家は、法テラスのスタッフとして働いている専門家と、法テラスと契約している外部の専門家がいます。
法テラスのスタッフとして働いている専門家は、経験の比較的浅い若手が多いです。
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相続放棄の手続きを依頼するなら、弁護士?司法書士?
それでは、相続放棄の手続きを依頼するなら、弁護士と司法書士のどちらがよいのでしょうか?
それぞれのメリットについて説明します。
司法書士ではなく弁護士に依頼するメリット
相続放棄の手続きを、司法書士ではなく、弁護士に依頼するメリットとして、次のような点が挙げられます。
- 相続放棄をすべきかどうかについても相談できる
- 受理の可能性が高まる
- 手間がかからない
- 相続債権者が相続放棄の無効を主張してきた場合にも対応できる
以下、それぞれについて説明します。
相続放棄をすべきかどうかについても相談できる
相続債務に法外な金利が設定されていて過払い金が生じていたとか、交渉などで借金額を減額できる場合、結果として相続放棄をする必要がない場合もありますが、弁護士には、相続放棄をすべきかどうかということも含めて相談できます。
また、弁護士は、亡くなった人の財産について、弁護士会を通じて金融機関や行政機関等に対して情報開示を求める「弁護士会照会」(23条照会)が可能なので、相続放棄をするかどうかの判断材料となる相続財産調査を精度高く行うことができます。
受理の可能性が高まる
相続放棄の手続きは、家庭裁判所で行います。
家庭裁判所が問題ないと判断すれば受理されますが、亡くなってから3か月以上が経っていたり、相続財産を処分してしまっていたりなど、相続を承認したとみなされる可能性のある事情が存在する場合は、受理されないこともあります。
家庭裁判所に提出する書類の記載内容などによって受理するかどうかを判断されるため、受理されないかもしれないような事情がある場合は、弁護士が記載内容を工夫することによって、受理の可能性を高めることができます。
手間がかからない
相続放棄の手続きは、まず、家庭裁判所に申述書と添付書類等を提出します。
そうすると、家庭裁判所から照会書が郵送されてくるので、照会書に記入して返送します。
稀に、家庭裁判所から出頭要請があることもあります。
弁護士に依頼すると、申述書の作成や添付書類を収集する手間が省けますし、照会書も弁護士の方に送られてくるので(本人に送られてくる場合もあるので、その場合は弁護士に転送します)、弁護士が記入して返送してくれます。
また、出頭要請がある場合も、家庭裁判所から弁護士に直接連絡がいき、弁護士が出頭してくれるので、取り次ぐ手間すらかかりません。
司法書士の場合は、相続放棄照会書・回答書は、必ず本人に届きます(司法書士に届くことはありません)。
また、相続放棄照会書・回答書は、弁護士なら本人を代理して記入することができますが、司法書士は本人を代理して記入することはできません(相続放棄申述書は司法書士が作成を代行することができますが、照会書・回答書については司法書士が作成を代行することはできないことにご注意ください。)。
司法書士に相続放棄申述受理申立の代行を委任した場合は、照会書・回答書については、司法書士に文案を作成してもらい、それを本人が自書することになるでしょう。
つまり、相続放棄の手続きは、司法書士よりも弁護士に頼んだ方が、手間がかからないということになります。
相続債権者が相続放棄の無効を主張してきた場合にも対応できる
相続放棄が受理された後、相続債権者(亡くなった人の債権者)が、相続放棄の無効を主張して、相続債務の弁済を求めてくることがあります。
そのような場合にも、弁護士に対応を依頼することができます(費用は別途必要)。
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弁護士でなく司法書士に依頼するメリット
前述の事務所ごとの料金からわかるとおり、弁護士でなく司法書士に依頼するメリットは、費用が安いことが多い点です。
費用を重視したい場合は、司法書士に分がありますが、弁護士でも安く対応してくれる事務所はあります。
しかし、亡くなってから3か月以上が経っていたり、相続財産を処分してしまっていたりなど、相続を承認したとみなされる可能性のある事情が存在する場合は、相続放棄が受理されなかったり、受理されたとしても債権者等から無効主張されることもあるため、慎重に対応する必要があり、このような事情のある場合は特に、費用だけで専門家を選ぶべきではありません。
まとめ
以上、法テラスの相続放棄の費用について説明しました。
経済的な理由で、専門家の費用をどうしても捻出できない場合は、法テラスを利用するしかないでしょう。
しかし、各事務所の費用を紹介したとおり、法テラスを利用する場合と比べてそこまで大きな差があるわけではありません。
法テラスを利用する際の注意点・デメリットについて説明しましたので、コストメリットと比較衡量して決めるとよいでしょう。
この記事を書いた人
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