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パソコンでの遺言書の書き方。PCで作成してもOKな場合とは?

パソコンでの遺言書の書き方

「遺言書を作りたいけど、パソコンで作っても良いの?」というお声をよく聞きます。手書きだと間違ったときの訂正が煩雑ですし、書くのが嫌という人もいるでしょう。

パソコンで遺言書を作ることもできますが、秘密証書遺言もしくは自筆証書遺言に添付する財産目録のみです。自筆証書遺言そのものは条件を満たしません。

秘密証書遺言は開けるまで他人に見せないので、内容にミスがあってもわからないというデメリットも…。

きちんと財産を継承してほしいという人は、行政書士などの専門家に依頼するのもひとつの方法です。この記事で詳しく紹介していきます。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年12月4日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

パソコンで作成してOKな遺言書と添付書類

パソコンで作成しても構わない遺言書又はその添付書類には、次の2があります。

  • 秘密証書遺言
  • 自筆証書遺言に添付する財産目録

以下、それぞれについて、パソコンで作成する方法とその注意点について説明します。

秘密証書遺言をパソコンで作成する方法

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも明かさずに、かつ、遺言の存在が公証人によって証明される形式の遺言のことです。

秘密証書遺言の作成から検認までの流れは、次のとおりです。

  1. 遺言内容を証書に記し、署名・押印する
  2. 封印する
  3. 証人を依頼する
  4. 証人と一緒に公証役場に遺言書を持参する
  5. 公証人及び証人と共に署名、押印する
  6. 遺言書を保管する
  7. 変更や撤回をする場合には、変更・撤回をする
  8. 相続が開始される
  9. 遺言の保管者等が遺言書の検認を家庭裁判所に申し立てる

以下、それぞれについて説明します。

遺言内容を証書に記す

まず、遺言内容を証書に記します。

この場合の証書とは、遺言内容を記す紙(遺言書)のことです。

要するに遺言内容を紙に書くということですが、手書きでなくても、パソコンやワープロで作成しても構いません。

また、手書きの場合は、自筆でも、誰かに代筆してもらっても構いません。

なお、自筆の場合は、秘密証書遺言としての要件を満たさない場合でも自筆証書遺言として認められる可能性があるため、お勧めです。

例えば、資格のない人が証人になっていた場合等、秘密証書遺言として要件が満たさないことが後から発覚することがあるのです。

そのような場合に、秘密証書遺言とは認められませんが、自筆証書遺言の要件(全文手書きであること等)を満たしていれば遺言自体は無効とならず自筆証書遺言として取り扱われます。

手書きで作成する場合の筆記用具に指定はありませんが、鉛筆やシャープペンシル等の消えやすいものは避けましょう。

また、ボールペンの場合は水性よりも油性の方が、万が一、水に濡れてしまった場合にも滲みにくいのでお勧めです。

万年筆の場合は、顔料インクが滲みにくいと言われています。

紙についても指定はなく、極端の話、メモ帳の切れ端やチラシの裏に書いても有効です。ですが、破損のリスクがあるので、ある程度の強度のある紙に記すべきでしょう。

遺言内容以外に遺言書に必要な項目は、署名と押印です。印は、実印でなくても構いません。認印でも、拇印や指印でもよいことになっています。

また、言書を作成した日付はあってもなくても構いませんが、日付を記入しておくことで、万が一秘密証書遺言としての要件が満たされない場合でも、自筆証書遺言として認められる可能性があります。

なお、秘密証書遺言では、公証人は、遺言書の内容を確認することはありません。

したがって、いざ相続が開始され相続人らが遺言書の中身を見てみたら、誰にどの財産を取得させるのか不明瞭であるといったような不備が発見され、想定していた通りに財産が承継されないおそれがあります。

そのようなことにならないように、遺言書では明確に記述しましょう。

また、遺言書の書き方のポイントについては、自筆証書遺言と共通する点も多いので、関連記事を参考にしてください。

封印する

遺言書を封筒に入れて、遺言書に押印した印で封印します。

封印に用いる印は、遺言書に押印したものと同じでなければ、秘密証書遺言の要件を満たさず、遺言自体が無効になることがあるので、ご注意ください。

証人を依頼する

秘密証書遺言では、遺言者本人が自分の意思で遺言をしたことを証明するための証人が2人必要です。

秘密証書遺言の場合は、証人に遺言の内容を知られることはありません。

なお、次のいずれかに該当する人は、証人となることができません。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

未成年者

1の未成年者は、ご存知の通り20歳未満の人のことです(なお、民法改正によって20224月以降は18歳未満の人となる予定です。)。

推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

2の推定相続人とは、その時点において、最優先順位の相続権(代襲相続権を含みます。)を持っている人のことです。

つまり、その時点で相続が開始された場合に、相続人になると推定される人のことです。

また、受遺者とは、遺言によって財産を受け取る人のことです。配偶者とは、ご存知の通り、妻や夫のことです。

直系血族とは、親子関係でつながる人のことで、祖父母、父母、子、孫などが、これに当たります。

例えば、Aさんの妻Bさんと、Aさんの子Cさんが、Aさんの財産の推定相続人であったところ、Aさんは、愛人Dさんに遺贈(遺言によって財産を与えること)する旨の秘密証書遺言を作成したとします。

その場合、Bさん、Cさん、Dさん、それから3人の配偶者と直系血族は、Aさんの遺言の証人になることはできません。

公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

3の公証人とは、事実の存否や、契約や法律行為の適法性等について、証明したり認証したりする公務員のことです。

公証人は秘密証書遺言の存在を証明する手続きを行いますが、同じく秘密証書遺言の存在を証明する証人が、公証人と関係がある人であることが許されるのであれば、公証人とは別に証人を求める意義が乏しくなってしまいます。

したがって、証人は、公証人と関係のある人(配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人)ではいけません。

これらに該当しなければ、誰でも証人とすることができます。

2に該当しない、少し遠い関係の身内や、友人に証人になってもらうことが比較的多いように思われますが、証人になってくれる人がいない場合や、身内や友人に遺言を作成したことを知られたくない場合は、行政書士等の専門家に証人になってもらうことも可能です。

なお、遺言書の作成を専門家に依頼せず、かつ、証人になってくれそうな人がいない場合等は、公証役場で証人になってくれる人の紹介を受けることができる場合があります。

その場合は、証人になってくれる人一人に対して1万円程度の謝礼が必要になることが多いようです。

証人と一緒に公証役場に遺言書を持参する

証人が決まったら、証人を伴って公証役場に封印した遺言書を持参します(予約が必要となる場合が多いので、事前に公証役場に確認してください。)。

公証役場で、秘密証書遺言をしたい旨を伝えて、手数料の11000円を納めます。

そのほかに必要となる身分証や印鑑などの持参物については公証役場にご確認ください。

証人と共に署名、押印する

遺言者は、証人の前で、公証人に遺言書を封印した封筒を提出し、自分の遺言書である旨と、氏名と住所を申述します。

そうすると、公証人が、遺言書が封印された封筒に、その日の日付、その遺言書が遺言者の遺言書であること、遺言者の氏名と住所を封筒に記述します。

そして、公証人、証人、遺言者が封筒に署名、押印します。

公証人は、その日の日付と、遺言者と公証人の氏名と住所を公証役場の記録に残し、遺言書を封印した封筒は、遺言者に戻されます。

遺言書を保管する

秘密証書遺言の場合は、公正証書遺言と違い、公証役場で遺言書を保管してくれません。

秘密証書遺言の場合は、自分で(または、誰かに委託して)遺言書を保管しなければなりません。

遺言者の自宅に保管する場合は、ほかの人に簡単に見つかる場所に置いておくと、相続開始前に見つかって開封されたり、隠されたりするおそれがあります。

秘密証書遺言は、開封されると、秘密証書遺言としては無効となる可能性があります。なお、自筆で書かれている等、自筆証書遺言としての要件を満たしている場合は、秘密証書遺言としては無効でも、自筆証書遺言として有効となります。

また、反対に見つかりにくいところに隠していた場合は、相続が開始しても遺言書が発見されず、遺言書がないものとして、法定相続分で相続されてしまう可能性があります。

そうならないように、遺言執行者を指定して、遺言執行者に遺言書を預けておくとよいでしょう。

変更や撤回をしたい場合

秘密証書遺言の内容を変更したい場合や、全部を撤回して遺言がない状態にしたい場合の方法について説明します。

秘密証書遺言の内容を変更する方法

秘密証書遺言を変更するためには、変更したい内容の遺言書を改めて作成します。

必ずしも秘密証書遺言でなくても、他の形式(自筆証書遺言や公正証書遺言)で作成しても構いません。

遺言書が複数ある場合は、日付が新しいものが有効な遺言書となり、それ以前の遺言書は、新しい遺言書の内容と抵触する部分において無効となります(新しい遺言書が遺言の全部を変更するものである場合は、以前の遺言書の全ての部分が無効になります。)。

最新版以外の遺言書は無効となりますが、念のため、破棄しておいた方がよいでしょう。

なお、元の遺言書に加筆修正を施す方法では、秘密証書遺言の内容を変更することはできません。

秘密証書遺言の全部を撤回して遺言がない状態にする方法

密証書遺言の全部を撤回して、遺言がない状態にしたい場合は、遺言書を破り捨てます。

ただし、秘密証書遺言では遺言の記録が公証役場に残っているので、遺言執行者や相続人が、遺言書が破棄されたことを知らなければ、きっとどこかに遺言書があるはずだと、ありもしない遺言書を懸命に探す羽目になりかねません。

遺言書を破棄する場合は遺言執行者等にその旨を伝えておくという手もありますが、法定相続分通りに相続させる旨の遺言を新たにする方が確実でしょう。

相続が開始される

遺言者が亡くなる等すると、相続が開始されます。遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が相続人に遺言書があることを伝えます。

遺言執行者が指定されていない場合や、遺言執行者が先に亡くなっている場合は、相続人が遺言書を探します。

遺言執行者等が遺言書の検認を家庭裁判所に申し立てる

秘密証書遺言では、偽造や変造を防止するため、相続開始後、遺言書が見つかったら、開封せずに、遺言書の検認を行わなければなりません。

検認前に開封してしまった場合は、開封者が5万円以下の過料(行政罰)が科される可能性がありますが、遺言自体が無効となるわけではありません。

いずれにせよ、遺言は正しく書き、正しく遺さなければ意味がありません。遺言の作成に迷ったりわからなことがある方は、専門の士業に相談することをおすすめします。

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財産目録をパソコンで作成する方法

自筆証書遺言には財産目録を添付できる

自筆証書遺言には、財産目録を添付することができます。

自筆証書遺言とは、遺言者の自筆(自書)で書かれていて、公証人が手続きに関与していない遺言のことです。

どういうときに財産目録があった方がよい?

遺言書には、しばしば、「○○をAに遺贈する。」とか「△△をBに相続させる。」といった記載がされます。

遺言者が多数の財産について遺贈等をしようとする場合には、例えば、本文に「別紙財産目録1記載の財産をAに遺贈する。」とか「別紙財産目録2記載の財産をBに相続させる。」と記載して、別紙として財産目録1及び2を添付するのが簡便です。

このように、遺贈等の目的となる財産が多数に及ぶ場合等には、財産目録が作成するとよいでしょう。

財産目録がパソコンでもOK

以前は、財産目録も自書しなければならなかったのですが、法改正によって、2019113日以降に作成された自筆証書遺言については、添付する財産目録は、自書しなくても構いません(つまり、パソコンで作成しても構いません)。

署名押印が必要

自書によらない財産目録を添付する場合には、遺言者は、その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされています。

自書によらない記載が用紙の片面のみにある場合には、その面又は裏面の1か所に署名押印をすればよいのですが、自書によらない記載が両面にある場合には、両面にそれぞれ署名押印をしなければなりません。

押印について特別な定めはありませんので、本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません。

添付方法

自筆証書に財産目録を添付する方法について、特別な定めはありません。

したがって、本文と財産目録とをステープラー等でとじたり、契印したりすることは必要ではありませんが、遺言書の一体性を明らかにする観点からは望ましいものであると考えられます。

なお、自書によらない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり、本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできませんので注意してください。

訂正方法

自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合であっても、自書による部分の訂正と同様に、遺言者が、変更の場所を指示して、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じないこととされています。

具体的には、訂正したい箇所に二重線等を引き、二重線の上に押印し、その横に正しい文字を記載します。

そして、遺言書の末尾などに、「〇行目〇文字削除〇文字追加」と自書で追記して署名をする、ということになります。

このように、訂正方法もかなり厳格なので、万が一、遺言書を訂正したいときは、できる限り始めから書き直した方がよいでしょう(訂正前のものは無用な混乱を避けるため必ず破棄するようにしましょう)。

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この記事を書いた人

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