税理士監修記事

低額譲渡にかかる税金の種類をケースごとに税理士がわかりやすく説明

相続税対策として生前贈与が有効な場合がありますが、贈与を受けた財産には贈与税がかかり、また、贈与税は相続税よりも税率が高いので、やり方によっては余計に税金がかかってしまうこともあります。

そこで、贈与ではなく、安く売ってあげた場合はどうでしょうか?

この記事では、低額で譲渡したに場合にかかる税金について説明します。

また、会社を持っている場合は、会社に低額で譲渡してはどうだろうかと考える人もいるでしょう。

そこで、以下では、個人間の低額譲渡だけでなく、法人と個人の間の低額譲渡や法人間の低額譲渡にかかる税金についても説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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個人から個人への低額譲渡には贈与税がかかる

個人から贈与を受けた財産には贈与税がかかりますが、個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合も、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされ、贈与税がかかります。

例えば、時価4,000万円の土地を1,500万円で購入した場合、その差額の2500万円は贈与されたものとみなされるため、その2,500万円に対して贈与税が課税されるのです。

ここで、時価よりもどのくらい低ければ、みなし贈与になってしまうかという疑問が生じます。

その判定基準については、現行の相続税法の法文上定められていません。

所得税法では、著しく低い価額の対価により資産の譲渡がなされた時は、時価で譲渡したものとして譲渡所得を計算することとし、その場合の著しく低い価額の対価とは譲渡資産の2分の1に満たない額と定められています。

相続税法においても、昭和33年までは同様の判定基準が通達で定められていましたが、このような画一的な基準を設けたことによって、明らかに贈与する意思で高額な利益が授受されるものであっても、対価の額が時価の2分の1以上であるという理由で、贈与税の課税ができないという課税上の不公平が生じたため、昭和34年の相続税法の改正を期に、この判定基準が廃止されました。

よって、「著しく低い価額の対価」に該当するかどうかについては、個々の具体的事案につき社会通念に従い、課税の趣旨・目的に沿って合理的に判定すべきであると考えられています。

この判断は、相続税・贈与税に精通した税理士でなければ難しいので、時価よりも低い価額で財産を譲渡すること(または譲渡を受けること)を検討している方は、事前に相続税・贈与税に精通した税理士に相談することを強くお勧めします。

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参考までに、土地を時価の約80%で譲渡した事例において低額譲渡に当たらないとした裁判例があります(東京地方裁判所平成19823日判決)。しかし、時価の80%であれば必ずしも低額譲渡に当たらないとも限りませんので、ご注意ください。

なお、時価とは、その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいいます。

相続税評価額について詳しくは「相続税評価額の基本的な計算方法と評価額を低く計算して節税する方法」をご参照ください。

また、著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合であっても、譲り受けた人が資力を喪失して債務を弁済することが困難であることから、その弁済に充てるためにその人の扶養義務者から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。

この免除制度の適用を受けるためには、次の3つの要件のすべてに該当しなければならないと解されます。

  • 譲受人が資力を喪失していること
  • 譲受人に債務があり、この債務の弁済が困難であること
  • 債務の弁済が困難な額が確定できていること

したがって、単に借金の返済が苦しいというだけでは、免除既定の適用を受けられない可能性があります。

素人判断で免除既定が適用されるだろうと考えて贈与税の申告をしないでいると、税務調査によって無資力が認められず、加算税や延滞税が余計にかかってしまうおそれがあります。

免除制度の適用を受けられるかどうかの判断や免除額の算定に当たって、事前に税理士に相談することをお勧めします。

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法人との間の低額譲渡にかかる税金

譲渡人(売主)と譲受人(買主)が、それぞれ個人なのか法人なのかによって、低額譲渡の際にかかる税金は異なります。

それぞれにケースにかかる可能性のある主な税金を表にまとめると、次のようになります。

売主にかかる可能性のある主な税金 買主にかかる可能性のある主な税金
売主:個人、

買主:個人

所得税(および住民税) 贈与税
売主:個人、

買主:法人

所得税(および住民税) 法人税
※同族会社で、かつ、低額譲渡によって株価が増加した場合は、株主に贈与税
売主:法人、

買主:個人

法人税 所得税(および住民税)
売主:法人、

買主:法人

法人税 法人税

以下、それぞれについて説明します。

個人間の低額譲渡

個人間の低額譲渡において買主に贈与税がかかる場合があることは前述のとおりですが、売主には所得税がかかる可能性があります。

譲渡所得税は、譲渡の対価が低額であったかどうかにかかわらず、「譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額」に対して課税されます

特別控除額としては、例えば、自分の住んでいる家屋と土地を売ったときは、最高3千万円が控除されます。

不動産に対する譲渡所得税の税率は、長期譲渡所得と短期譲渡所得とで異なります。

長期譲渡所得の場合は20%(内訳:所得税15%、住民税5%)、短期譲渡所得の場合は39%(内訳:所得税30%、住民税9%)です。

不動産を売った年の11日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得に、5年以下の場合は短期譲渡所得になります。

例えば、30年前に1000万円で取得した不動産を3000万円で譲渡しその譲渡費用が100万円だった場合は、長期譲渡所得なので税率は20%となり、譲渡所得税額は、「3000万円-(1000万円+100万円)×20%380万円」となります(特別控除がない場合)。

なお、仮にこの不動産の時価が1億円のところ低額譲渡により3000万円で譲渡した場合であっても、譲渡所得税の算定に当たっては、時価の1億円ではなく譲渡価額である3000万円を基にして算定されます。

また、低額譲渡の場合は、譲渡損失を控除できないことに注意が必要です。

「譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)」がマイナスの場合は譲渡損失が生じていますが、通常、譲渡損失は譲渡所得から控除することができます。

例えば、AB2つの不動産を譲渡して、Aの譲渡所得が1000万あって、Bの譲渡損失が1000万円あった場合は、譲渡所得から譲渡損失を控除できるため、譲渡所得税は掛からないことになります。

しかし、Bの譲渡損失が低額譲渡によるものであった場合は、譲渡損失を控除することはできないのです。

なお、この場合の低額譲渡は、時価の2分の1未満の金額で譲渡することです。

贈与税の場合はどのような場合に低額譲渡に当たるかは一概には言えませんが、所得税の場合は明確に決まっているという違いがあります。

個人から法人への低額譲渡

売主である個人には所得税がかかる可能性がある

個人から法人への低額譲渡の場合、売主である個人には、所得税(および住民税)がかかる可能性があります。

個人間の低額譲渡の場合の所得税額は譲渡価額に基づいて算定されましたが、個人から法人への低額譲渡の場合は譲渡価額ではなく時価に基づいて算定されます。

つまり、「時価 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額」で計算される金額に対して、所得税がかかるのです。

買主である法人には法人税がかかる

低額譲渡の買主である法人には法人税がかかります。

法人税は、時価と取得費との差額に対してかかります。

法人税の計算方法については、税理士にご確認ください。

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同族会社で低額譲渡によって株価が増加した場合は株主にも贈与税がかかる

低額譲渡を受けた会社が同族会社で、かつ、低額譲渡によって株価が増加した場合は、株価が増加した部分に相当した金額について、株主に贈与税がかかります。

同族会社とは、簡単にいうと家族経営の会社のことです。

同族会社に当たるかどうかについては、税理士にご確認ください。

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法人から個人への低額譲渡

売主である法人には法人税がかかる可能性がある

法人からの低額譲渡の場合、譲渡した財産の時価が、取得費(正確には簿価)と譲渡費用の合計額よりも大きければ、その差額に対して、法人税がかかります。

なお、個人が売主の場合にかかる譲渡所得税は、長期譲渡所得の場合は税率が低くなりますが、法人税には、そのような所有期間に応じた税額の減免措置はありません。

買主である個人には所得税がかかる

一方、買主である個人には、譲り受けた財産の時価と取得費との差額に対して、所得税(および住民税)がかかります。

売主である法人と買主である個人との間に雇用関係があれば給与所得となり、なければ一時所得となります。

法人間の低額譲渡

売主である法人には法人税がかかる可能性がある

法人からの低額譲渡の場合、譲渡した財産の時価が、取得費(正確には簿価)と譲渡費用の合計額よりも大きければ、その差額に対して、法人税がかかります。

これは、買主が個人であっても法人であっても同じです。

買主である法人にも法人税がかかる

買主である法人については、譲り受けた財産の時価と取得費との差額に対して、法人税がかかります。

まとめ

以上、低額譲渡について説明しました。

不明な点は、税理士に相談しましょう。

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