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相続財産管理人とは?必要なケースや申立方法、費用など徹底解説!

相続財産管理人

相続人が誰もいないとき、遺産はどうなるのでしょうか?

このような場合に相続財産管理人が選任されます。

「私には、子どもがいるから関係ない」そう思う方もおられるでしょう。

でも、もし、全員が相続放棄をしたら…。

少子高齢化の日本では、相続財産管理人による遺産の整理は珍しいことではなくなるかもしれません。是非参考にしてください。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2018年9月11日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続財産管理人とは?

相続財産管理人とは、相続人がいない場合や、すべての相続人が相続放棄や限定承認した場合等に、相続人の代わりに相続財産を管理する人のことです。

相続財産管理人は、申立てに応じて、家庭裁判所が選任します。

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相続財産管理人はどういう場合に必要になる?

相続人や包括受遺者がいる場合は、遺産分割が完了するまでの間、彼らには相続財産を管理する義務があります。

受遺者とは、遺言によって財産をもらい受ける人のことです。

包括受遺者

包括受遺者とは、括的なかたち(財産の全部とか、財産の何割というようなかたち)で財産をもらい受ける受遺者のことです。

受遺者には、包括受遺者のほか、特定受遺者があって、特定受遺者とは、自宅の土地建物とか、現金○○円とか、特定の財産をもらい受ける受遺者のことです。特定受遺者と包括受遺者にわけられます。

特定受遺者

特定受遺者は、もらい受ける財産が決まっていて、他の相続財産については関係ありませんが、包括受遺者は、相続人と同じく、相続財産の全体についてかかわることになります。

相続人や包括受遺者は、相続が開始されると、相続財産を管理し、被相続人の債権者や、特定受遺者等からの請求申出に対応して、相続財産の中から債務を弁済したり、特定受遺者のために相続手続きを行ったりします。

受遺者の役割

被相続人が遺言で包括遺贈(遺言によって包括的に財産を贈ること)を行なっておらず、かつ、相続人となり得る親族がいない場合や、包括受遺者や相続人がいても全員が相続放棄をした場合には、債務を弁済したり、遺言を執行したりする人がいなくなってしまいます。

遺言執行については、遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者によって、遺言が執行されるため、相続財産管理人はいなくても差し支えありませんし、また、遺言執行者が選任されていない場合は、受遺者は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることができます。

一方、相続債権者(被相続人の債権者)にとっては、相続人や包括受遺者がいない場合は、相続財産から弁済を受けることが難しくなり、相続財産管理人の選任を必要とすることがあります。

また、特別縁故者も、相続人や包括受遺者がいない場合には、相続財産を取得するためには、相続財産管理人が必要です。

特別縁故者とは

特別縁故者とは、続人ではないものの、被相続人と特別な縁故がある人のことで、相続人や包括受遺者がいない場合は、特別縁故者が相続財産を取得することができます。

例えば、内縁の妻や夫、事実上の養子、療養看護をしてきた人等が特別縁故者になり得ます。そして、被相続人と財産を共有している人も、その共有財産の被相続人の持分を取得するためには、相続財産管理人が必要です。

被相続人との財産の共有者は、相続人や受遺者、特別縁故者がおらず、相続債権者や特定受遺者への清算を行ってもなお、その共有財産の持分が残っている場合は、その持分を取得することができます。

国が相続財産管理人を必要とする場合

また、国も相続財産管理人を必要とすることもあります。

包括受遺者も相続人も特別縁故者もいない場合、相続債権者と特定受遺者に弁済してもなお、積極財産(プラスの財産)が残っている場合は、その残余分は国庫に帰属する(国のものになる)ことになります。

相続財産の国庫返納の手続きを行うのも、相続財産管理人の仕事です。

さらに、相続放棄をした相続人や包括受遺者も、相続財産管理人を必要とすることがあります。

通常は、相続人や包括受遺者が、遺産分割が済むまでの間、共同で相続財産を管理することになります(遺言執行者の選任がない場合)。

相続放棄した場合

相続放棄をした場合は、他の相続人が相続財産の管理をしていたら、相続放棄した人は相続財産を管理する必要はありません。

しかし、全員が相続放棄をした場合は、相続財産管理人が選任するまでは、相続放棄をしても相続財産を管理しなければなりません。

預貯金など、しばらく放っておいても特段問題が生じない類の財産だけであれば、相続財産管理人を選任するまでもありませんが、不動産や自動車など、管理が必要な財産については、相続放棄者自身で管理するか、自分で管理したくない場合は相続財産管理人を選任してもらう必要があるのです。

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相続財産管理人選任審判申立ての方法

相続財産管理人を家庭裁判所に選任してもらうためには、相続財産管理人選任審判の申立てが必要です。

誰が申立てできる?

相続財産管理人の選任を申立てることができるのは、利害関係人と検察官です。

ここでいう利害関係人とは、被相続人の債権者、特定遺贈の受遺者、特別縁故者、被相続人と財産を共有している人、相続放棄した元相続人や元包括受遺者などです。

検察官が申立てを行うケースは、相続財産に経済的な価値があるが、その相続財産を取得する権利のある利害関係人がおらず、他の利害関係人からの申し立てもないような場合です。

このような場合は、国としては、相続財産を国庫に返納させたいのですが、そのためには、前述の通り、相続財産管理人の選任が不可欠なので、国家公務員である検察官が選任の申立てを行えるようになっているのです。

申立て先は?

申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。裁判所の管轄区域が分からない場合は、裁判所ウェブサイトでご確認ください。

必要書類は?

申立てには申立書のほか、添付書類が必要です。申立書は、家事審判申立書というフォーマットを利用します。

また、申立書と併せて財産目録も作成して提出します。財産目録には、次の3つの種類のフォーマットがあります。

上記項目には、裁判所ウェブサイト「相続財産管理人の選任の申立書」へリンクしてありますので、ダウンロードしてご利用ください。

必要となる可能性があるもの

他に必要となる添付書類には次のものがありますが、状況によっては必要となる書類は異なるため、申立ての際は、書類を集める前に家庭裁判所に確認した方がよいでしょう。

    • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合、そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
    • 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
    • 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)
    • 財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票

財産管理人の候補者は、資格のある専門家でなくても構いません。ですが、推薦したからといって必ずしも候補者が選ばれるとは限りません。家庭裁判所が用意した弁護士や司法書士に決まることもあります。

申立て費用はいくら?

申立てには次の費用が必要です。

  • 収入印紙800円
  • 切手代(裁判所からの連絡用。裁判所によって異なりますが1,000円前後のことが多いようです。)
  • 官報公告料4,230円

予納金とは?

相続財産管理人の報酬は、相続財産の中から支払われます。しかし、相続財産の価額が少ない場合は、家庭裁判所は申立人に予納金に納付を命じ、相続財産管理人への報酬は、その予納金から支払われます。

予納金の金額は、管理の手間や難易度等に応じて、数十万円から150万円くらいの金額を裁判所が決めます。

予納金が支払えない場合は、50万円を限度に、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助を受けられる可能性があります。

扶助を受けたい場合は、法テラスに詳細を確認しましょう。

相続財産管理人の報酬は、被相続人の親族が選任された場合は報酬がなく、弁護士や司法書士等が選任された場合は、管理の手間や難易度に応じて月額1万円から5万円ぐらいの報酬が、裁判所によって決められます。

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相続財産管理人の選任後の流れ

相続財産管理人選任後の流れは概ね次のようになります。

  1. 家庭裁判所が相続財産管理人が選任されたことを知らせるために公告を行います。
  2. 2か月後、相続財産管理人が相続債権者と受遺者に対して請求を申し出るべき旨を官報に公告します。
  3. さらに2か月後、家庭裁判所は、財産管理人の申立てによって、相続人を探すために、6か月以上の期間を定めて公告を行います。
  4. 期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。
    ※通常は、申立て前に既に相続人調査を行い、相続人がいないことを確認したうえで、申立てを行っているでしょうから、この期間に相続人が現れることは、ほとんどありません。
  5. 特別縁故者がいる場合は、特別縁故者は、相続人を探すための公告期間満了後3か月以内に、財産分与の申立てを行います。
  6. 必要に応じて、相続財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、相続財産を換価します。
  7. 相続財産管理人は、債権者や受遺者への支払いをしたり、特別縁故者に相続財産を分与するための手続きを行います。
  8. 財産が残った場合は、残余財産を国庫に返納します。

相続財産管理人の権限

相続財産管理人は、相続財産の保存行為や管理行為については、自分の判断で行うことができます。

保存行為や管理行為

次のような行為は、財産の保存行為や管理行為に当たります。

  • 登記
  • 短期賃貸借契約や使用貸借契約の締結
  • 賃貸借契約の解除
  • 預貯金口座の解約や払い戻し ※定期預金の満期前解約は処分行為(後述)
  • 期限の到来した債務の履行

また、相続財産の処分行為を相続財産管理人が行うには、家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所の許可を受けるためには、相続財産管理人は、家庭裁判所に権限外行為の許可の申立てを行います。

処分行為とは

なお、次のような行為が、処分行為に当たります。

  • 相続財産の贈与や譲渡
  • 位牌の永代供養
  • 定期預金の満期前解約
  • 期限の到来していない債務の履行
  • 訴訟の提起

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この記事を書いた人

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