弁護士監修記事

遺言書作成費用の相場は?公正証書と自筆証書、弁護士と司法書士

遺言書の作成には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

弁護士がわかりやすく丁寧に説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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遺言の方式と作成費用の概要

遺言には数種類の方式がありますが、主に利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言とは、遺言者の自筆(自書)で書かれていて、公証人が手続きに関与していない遺言のことです。

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです。

どちらの方式でも弁護士等の専門家に文案を作成してもらうことができ、その場合は、報酬が必要です。

自筆証書遺言の場合は、専門家報酬以外には、費用はかかりません。

公正証書遺言の場合は、作成手数料、遺言書正謄本の交付手数料、必要書類の交付手数料が必要です。

また、公正証書遺言の場合は2人以上の証人の立会が必要ですが、自分で証人を手配できない場合は、証人手数料が必要になることがあります。

必要書類の交付手数料

公正証書遺言の申請に必要な書類の中には、役所や法務局で交付を受けなければならないものがあります。

その交付手数料は下の表のとおりです。

証明書の種類交付手数料交付期間
印鑑登録証明書1通300円市区町村
戸籍謄本又は戸籍全部事項証明書1通450円
・遺言者と推定相続人との続柄が分かる戸籍
・推定相続人の戸籍
・直系尊属が推定相続人の場合には、遺言者に子がいないことの分かる戸籍
・兄弟姉妹が推定相続人の場合には、遺言者に子がなく、かつ、直系尊属が死亡していることの分かる戸籍
市区町村
住民票1通300円
※相続人以外の受遺者ごとに必要
※相続人以外の受遺者がいない場合は不要
市区町村
登記簿謄本・登記事項証明書・書面請求:1通600円
・オンライン請求・送付:1通500円
・オンライン請求・窓口交付:1通480円※遺言書に明記される不動産ごと及び受遺者となる法人ごとに必要
※財産に不動産を含まず、受遺者に法人がいない場合は不要
法務局
固定資産評価証明書1通350円~400円(市区町村ごとに異なる)
※財産に不動産を含まない場合又は固定資産税課税明細書がある場合は不要
市区町村

作成手数料

遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

目的価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準として算定します。

評価は、不動産の場合は直近の固定資産評価額(借地の場合は路線価と借地権割合で算出)、預貯金は現在の残高、株式その他の有価証券や出資金はその価額によります。

目的価額が算定不能な場合の手数料は11000円とします。

各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。

例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、43000円です(なお、下記のように遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は43000円、長男の手数料は29000円となり、その合計額は72000円となります。

ただし、遺言加算といって、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、11000円を加算すると規定しているので、72000円に11000円を加算した83000円が手数料となります。

祭祀の主宰者の指定がある場合は、11000円を、目的価額による基本手数料に加算します。

遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。

この他に、旅費(実費)、日当(12万円、4時間まで1万円)が必要になります。

作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。

遺言書正謄本の交付手数料

遺言公正証書を作成すると、原本、正本及び謄本が各1部交付されますが、交付手数料が、遺言書の枚数×500円かかります(遺言書の枚数が縦書きで4枚又は横書きで3枚を超える場合は、超えた枚数×250円を加算)

証人手数料

遺言公正証書を作成するには、証人2人以上の立会いが必要です。

証人を自分で手配する場合はこの手数料は不要です。謝礼については遺言者と証人との間で自由に取り決めて構いません。

公証役場で証人の紹介を受けた場合、証人1人につき6,000円程度の手数料が必要です。

謝礼の金額は、公証役場によって異なります。

小岩公証役場の例を紹介します。

原則証人1名につき6,000円
夫婦で同時に遺言する場合証人1名につき9,000円(夫婦2名分)
出張の場合証人1名につき9,000円(旅費込み)

以上は証人1名分ですので、2名を依頼すると、この倍額になります。

証人の手数料は、証人に直接支払います。

なお、専門家に遺言書の作成を依頼する場合は、通常、専門家やその事務員が証人も引き受けてくれます。

別途の報酬が必要かどうかやその料金設定については専門家ごとに異なりますが、次の3つのパターンがあるようです

  • 2人分の証人立会い料が基本料金に含まれている
  • 1人分の証人立会い料が基本料金に含まれていて、2人の証人の立会いを依頼する場合は追加料金が必要
  • 証人立会い料が基本料金に含まれていない

証人立会いが別途料金の場合の料金の相場は、証人1人につき1万円前後のようです。

専門家報酬

遺言公正証書の文案の作成を専門家に依頼する場合は報酬が必要です。

主に次の専門家が遺言書作成サービスを提供しています。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士

専門家への報酬は一律で決まっているわけではなく、一人ひとり異なります。

以下、それぞれの専門家の報酬について説明します。

弁護士報酬

20043月までは、弁護士報酬は、報酬規程で決められていました。

20044月からは報酬規程が廃止され、各弁護士が自由に報酬を決めることができるようになりましたが、現在でも旧規定を参考に報酬を決める弁護士も多いため、参考のため、遺言書作成についての旧規定を紹介します。

旧規定の報酬は、まず、遺言書が定型のものか非定型のものによって異なります。

遺言書にはよく使われる特定の型があり、そのような定型の遺言書であれば、概ね1回の打ち合わせのみで作成することができ、弁護士にとっても比較的手間がかからないため、報酬も比較的低廉で10万~20万円です。

非定型の遺言書は、弁護士にとっても、遺言者と複数回の打ち合わせが必要であったり、調べたりする手間がかかるので、報酬は比較的高額になります。

非定型のものであっても基本的な範疇のものは料金体系を示すことができますが(後掲)、特に複雑又は特殊な事情がある場合は、弁護士と遺言者との協議によって金額を定めます。

また、公正証書にする場合は、3万円が加算されます。

まとめると下表の通りです。

定型10 万円から20万円の範囲内の額
非定型基本
※財産の額に応じて右のように変動
300万円以下の場合20万円
300万円を超え

3000万円以下の場合

1%+17万円
3000万円を超え

3億円以下の場合

0.3%+38万円
3億円を超える場合0.1%+98万円
特に複雑又は特殊な事情がある場合弁護士と依頼者との協議により定める額
公正証書にする場合上記の手数料に3万円を加算する。

司法書士報酬

司法書士については、弁護士のような報酬規程が過去にもないため、実際の事務所の料金体系を紹介します。

司法書士事務所Aの報酬体系

業務内容説明報酬
  • 遺言公正証書案文作成
  • 親族関係説明図作成
  • 戸籍謄本、登記事項証明書等の必要書類の取寄せ
  • 公証人との打ち合わせ
  • 遺言書の保管
3,000万円以下の部分35,000円
3,000万円を超え

5,000万円以下の部分

40,000円
5,000万円を超え

1億円以下の部分

50,000円
1億円を超え

3億円以下の部分

60,000円
3億円を超える部分80,000円
証人立会1名につき10,000円

※印紙、証紙等の実費は含みません。                                                                               

※遺言者の自宅へ出張する場合、旅費・日当が別途かかります

司法書士事務所Bの報酬体系

相談無料
遺言公正証書文案作成40,000円
遺言証人
※自分で用意する場合は不要
20,000円
戸籍収集1通 1,000円
※実費別途
登記事項証明書
(不動産がある場合)
1通 500円
※実費別途

司法書士事務所Cの報酬体系

基本報酬として、79,800円ですが、証人の立会いや、必要書類の収集についての報酬は含まれていません。

また、遺言の目的である財産が1億円を超える場合または遺言内容が複雑な場合などは別途見積もりになります。

司法書士事務所Dの報酬体系

遺言公正証書案文作成財産額1億円以内… 50,000円
1億円を超えるもの(1億円ごとに右記金額を加算)…10,000円
証人立会料1名につき…10,000円
遺言公正証書保管料1年につき…10,000円

上記費用のほか、書類の授受等を郵送処理等で行う場合、若干の通信費等がかかります。

行政書士報酬

行政書士についても、弁護士のような報酬規程が過去にもないため、実際の事務所の料金体系を紹介します。

行政書士事務所Aの報酬体系

行政書士事務所Aの報酬は、一律84,000円となっていて、次の業務が含まれます。

  • ご相談・出張相談・お見積り
  • 遺言内容のヒアリング
  • 相続人調査
  • 財産調査
  • 公証人との打ち合わせ
  • 遺言書文案の作成
  • 証人2人の手配

ただし、戸籍取り寄せ、財産調査にかかる実費は別途必要です。

行政書士事務所Bの報酬体系

行政書士事務所Bの報酬は、基本料金98,000円となっています。

このほか、遺言の保管を依頼する場合は、1年につき10,000円がかかります。

遺言証人1人の立会い料の追加料金はありませんが、2人とも証人の手配を依頼する場合は、10,000円の追加料金が必要です。

また、証明書類収集のための実費と、そのための出張が必要な場合の出張費は別途かかります。

相談料は無料です。

また、夫婦(内縁を含む)や親子2名以上で依頼する場合は、2人目以降の基本料金が半額になります。

遺言書の保管費用

公正証書遺言の原本は公証役場で保管されますが、自筆証書遺言の場合は、現行法上は自分で保管しなければなりません。

公正証書遺言の正本と謄本は、自分で保管しなければなりません。

遺言書原案の作成や遺言執行を専門家に依頼した場合は、その専門家に遺言書の保管を委託できることがあります。

付帯サービスとして無料で保管してくれる専門家もいれば、別途保管料を求める専門家もいます。

なお、法改正によって2020710日からは自筆証書遺言を法務局で保管する制度が開始されます。

この制度の手数料は、記事執筆時点では未定ですが、数千円程度になるのではないかと言われています。

まとめ

以上、遺言書作成費用について説明しました。

文案作成を専門家に依頼すると費用はかかりますが、次のようなメリットがあります。

  • 遺言内容について相談できる
  • 意図した通りの効果が生じる遺言を作成できる
  • 自分の手間を削減できる
  • 遺言書の保管や遺言執行についても併せて依頼できる

依頼するかどうかは別としても、遺言書の作成を進める前に、一度は専門家に相談してみることをお勧めします。

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