遺言の内容を行うときは、遺言執行者を指定します(もしくは遺言書の中で指定されている人が遺言執行者となります)。遺言執行者とは遺言の執行のために必要な手続きなどを行う人です。簡単なようですが、かなりの労力と責任が伴い大変です。
加えて、遺言に不満をもつ人がいたり、相続財産に不動産が含まれていると負担がさらに大きくなってしまいます。
そこで、
行政書士や税理士などの専門家に依頼する場合も。役所や金融機関に行く手間も省けますし、書類の記載ミスなどを防ぐことができます。注意したいのは専門家によって費用が変わってくること。
ただし、
料金が安いからと言って簡単に決めるのはよくありません。例えば、税理士に依頼すると相続税申告も合わせて頼むことができ、財産状況に応じて選ぶことをおすすめします。
この記事では、遺言執行者の報酬の目安を、専門家ごとに詳しく解説します。
遺言の作成を検討している人は是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2021年5月7日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
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遺言執行者の報酬は誰が払う?
遺言執行者の報酬は、遺言執行者が遺産から取得します。
遺言執行者は、遺言の内容にもよりますが、
遺産から自分の報酬を取得して、残りの財産を遺言に基づき相続人(及び受遺者)に引渡す場合が多いです。
また、遺言執行については、以下の記事もご参照ください。
遺言執行者の報酬の決め方
遺言執行者の報酬の決め方には、次の
3つがあります。
- 遺言書に記載する
- 遺言執行者と相続人との協議で決める
- 家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして決めてもらう
以下、それぞれについて説明します。
遺言書に記載する
遺言で遺言執行者を指定した場合は、併せて遺言執行者の報酬についても定めることができます(記載例については後述)。
遺言で遺言執行者に指定された人は、遺言執行者の就任を拒否することができるので、遺言者は、遺言執行者に指定する人に対して、
請けてくれるかどうかと報酬額を確認したうえで遺言書を作成するとよいでしょう。
遺言執行者と相続人との協議で決める
遺言で遺言執行者が指定されているが報酬が定められていない場合は、遺言執行者と相続人との協議によって報酬額を決めることができます。
家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして決めてもらう
遺言執行者と相続人との間で、遺言執行報酬についての協議が調わない場合、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして、
家庭裁判所に報酬額を決めてもらいます。
また、遺言によって遺言執行者が指定されていない場合のほか、遺言によって指定された遺言執行者が就任を拒否した場合や既に亡くなっている場合は、家庭裁判所に「遺言執行者選任申立」をして、遺言執行者を選任してもらうことができますが、家庭裁判所によって選任された遺言執行者の報酬も、「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして、家庭裁判所に報酬額を決めてもらうことになります。
報酬付与申立について詳しくは、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にお尋ねください。
管轄の家庭裁判所が分からない場合は、最寄りの家庭裁判所で管轄の家庭裁判所を確認するとよいでしょう。
遺言執行者の報酬の基準・相場
遺言執行者の報酬の基準・相場について、専門家等の種類別に説明します。
遺言執行者となることが多いのは、次のような専門家等です。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 信託銀行
- 親族・相続人
以下、それぞれについて説明します。
弁護士の遺言執行報酬
日弁連の旧報酬等基準規程
現在は弁護士が料金表を自由に設定することができますが、
2004年
3月までは、日弁連の報酬等基準規程(旧規程)に則って報酬額を計算しなければなりませんでした。
現在でも、この旧規程を参考に報酬を決める事務所が多いため、旧規程について説明します。
旧規程では、遺言執行の弁護士報酬額は下の表のとおり定められていました。
内容 |
報酬額 |
遺言執行 |
基本 |
遺産が300万円以下 |
30万円 |
遺産が300万円超3000万円以下 |
2%+24万円 |
遺産が3000万円超3億円以下 |
1%+54万円 |
遺産が3億円超 |
0.5%+204万円 |
特に複雑又は特殊な事情がある場合 |
弁護士と依頼者との協議により定める額 |
遺言執行に裁判手続を要する場合 |
遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬が必要となる |
「報酬額」欄の「
%」は、遺産額に対する割合です。
先ほどのアンケートの設例を、旧規程に当てはめて報酬額を計算してみます。
遺産額は
5000万円ですから、上の表の「
3000万円超
3億円以下」に該当し、「
5000万円×
1%+
54万円=
104万円」が報酬額になります。
先ほどのアンケートの結果は、旧規程よりも大分良心的な料金設定をしていることが分かります。
司法書士の遺言執行報酬
司法書士については、弁護士のような報酬規程や公開されている公式のアンケート結果が存在しないので、
Google検索で上位に表示されていたウェブサイトで遺言執行の報酬・費用を公開している
2つの司法書士事務所の報酬体系について説明します。
司法書士Aの遺言執行報酬
司法書士
A(仮名)の遺言執行の報酬体系は以下のようになっています。
執行対象財産が 300万以下 |
30万円 |
執行対象財産が 300万超~3,000万以下 |
遺贈財産の1% + 30万円 |
執行対象財産が 3,000万超~3億以下 |
遺贈財産の0.5% + 54万円 |
執行対象財産が 3億超~ |
遺贈財産の0.25% + 204万円 |
※1 不動産の価額については、遺言執行報酬算定の価額から除外いたします。
※2 相続登記を要する場合は、相続登記の報酬が別途発生いたします。
※3 裁判手続きを要する場合は、遺言執行報酬とは別に司法書士報酬や弁護士報酬などの裁判費用が発生いたします。
※4 清算型遺贈(不動産を換価して分配する遺贈)により、遺言執行者として不動産を売却した場合は、売買価格の1%が特別執行報酬として加算されます。
※5 複雑または特殊な事案の場合は、受遺者との協議により定める額が加算されます。
※6 実費:郵便代、交通費などが別途発生いたします。
相続登記(不動産の名義変更) |
88,000円
下記に該当する場合は料金が加算されます。
- 複数の相続人がそれぞれ単独で不動産を相続する場合
- 亡くなった方の兄弟姉妹や甥姪が相続人の場合
- 早急な対応が必要な場合や複雑困難な場合
- 管轄法務局が2か所以上になる場合
- 固定資産税評価額が1億超えの場合
- 不動産の数が10個を超える場合
|
以下の設例に基づいて、A司法書士事務所の遺言執行報酬を計算してみます。
設例:資産は、不動産、預金と株券で、評価額の総額は5000万円(内、不動産の評価額は1000万円) |
「※1 不動産の価額については、遺言執行報酬算定の価額から除外いたします。」とあるので、まず、不動産価額を除いた遺産額を計算します。
「5000万円-1000万円=4000万円」
4000万円は料金表の「
3,000万超~
3億以下」に該当するので、「4000万円×
0.5% + 54万円=
74万円」。
「※2 相続登記を要する場合は、相続登記の報酬が別途発生いたします。」とあるので、相続登記の8万8000円を加算し、遺言執行報酬は「74万円+8万8000円=82万8000円」となります。
司法書士Bの遺言執行報酬
司法書士
B(仮名)の遺言執行の報酬は、「
50万円~」となっています。
最低
50万円はかかることは分かりますが、どのような場合にこの最低料金で済んで、どのような場合にどのような計算に基づいて加算されるのかについては記載がありませんでした。
このように最低料金のみ記載している事務所も多いので、そのような場合は、
電話等で問い合わせをして確認するとよいでしょう。
弁護士と比較して割安ではない
司法書士は弁護士よりも割安というイメージがありますが、前掲の弁護士報酬アンケートの結果と比較すると、
必ずしも司法書士が弁護士よりも割安であるとは言えません。
司法書士
Bは最低料金が示されているだけで実際の料金は分かりませんが、司法書士
Aは弁護士アンケートと同条件で
74万円、弁護士アンケートは、
40万円前後が
4分の
1を超えていて、
60万円前後と
20万円前後がいずれも
20%近くになっています。
行政書士
行政書士についても、弁護士のような報酬規程や公開されている公式のアンケート結果が存在しないので、ウェブサイトで遺言執行の報酬・費用を公開している行政書士事務所の中で
Google検索で最上位に表示されていたものの報酬体系について説明します。
最上位に表示されていた行政書士事務所の料金表は、以下のようになっています。
遺産総額 |
報酬額
不動産+動産+預貯金等 |
報酬額
動産+預貯金等 |
報酬額
不動産のみ |
1000万未満 |
250,000+税 |
200,000+税 |
150,000+税 |
1000万~2000万未満 |
350,000+税 |
285,000+税 |
200,000+税 |
2000万~3000万未満 |
450,000+税 |
385,000+税 |
250,000+税 |
3000万~5000万未満 |
550,000+税 |
450,000+税 |
300,000+税 |
5000万~8000万未満 |
650,000+税 |
500,000+税 |
350,000+税 |
8000万~1億2000万未満 |
750,000+税 |
700,000+税 |
400,000+税 |
1億2000万円以上 |
遺産総額の0.5~0.8%
(最低850,000+税) |
遺産総額の0.5~0.8%
(最低750,000+税) |
遺産総額の0.5~0.8%
(最低450,000+税) |
これを基に弁護士アンケートの設例に当てはめると、遺言執行報酬は65万円となります。
行政書士も弁護士より割安のイメージがありますが、必ずしもそうとはいえないようです。
税理士
税理士に遺言執行の依頼を検討するケースは、主に、相続税申告と併せて依頼しようというケースでしょう。
税理士についても、弁護士のような報酬規程や公開されている公式のアンケート結果が存在しないので、ウェブサイトで遺言執行の報酬・費用を公開している税理士事務所の中で
Google検索で最上位に表示されていたものの報酬体系について説明します。
最上位に表示されていた税理士事務所の料金表は、以下のようになっています。
遺産総額 |
報酬額 |
1千万円以下 |
一律 27万円 |
3千万円以下 |
基本報酬 12万円 + 遺産総額の1.5% |
5千万円以下 |
基本報酬 18万円 + 遺産総額の1.3% |
1億円以下 |
基本報酬 28万円 + 遺産総額の1.1% |
3億円以下 |
基本報酬 63万円 + 遺産総額の0.75% |
3億円超 |
基本報酬123万円 + 遺産総額の0.55% |
これを基に弁護士アンケートの設例に当てはめると、遺言執行報酬は「
18万円+
5000万円×
1.3%=83万円」となります。
信託銀行
多くの信託銀行が「遺言信託」等のサービス名称で、遺言執行サービスを提供しています。
主に、
信託銀行に資産を預けている人向けのサービスです。
遺言信託の手数料は、各信託銀行によって細かい違いがありますが、基本的な枠組みは同じです。
手数料の項目として、①基本料金、②遺言書保管料金(年額)、③遺言書の書き換え手数料、④遺言執行報酬を設定しています。
最終的に遺言執行を行ったときの手数料(遺言執行報酬)は、相続財産の評価額に一定割合を乗じた(掛け算した)金額とされます。
そして各銀行とも、最初の基本手数料が低額なプランと最初の基本手数料は高いけれど最終的な支払総額がその分低額となるプランを用意しています。
前者では遺言者の負担が軽く、相続人の負担が重くなります。
後者は遺言者の負担が重く、相続人の負担が軽くなります。
以下には、3つの信託銀行の例を一覧表にしてみました。
遺言執行報酬の計算基準となる割合(%)の表は、三井住友信託銀行の例です。
他の銀行の数値は、各銀行のサイトでご確認下さい。
なお、いずれの数字も、
平成30(2018)年9月16日時点で各銀行サイトに掲載されている内容です。
【遺言信託の手数料項目と金額】(金額は税抜き)
(
a)三井住友信託銀行、(
b)みずほ信託銀行、(
c)三菱
UFJ信託銀行
|
当初の基本手数料が安いプラン |
手数料の支払総額が安いプラン |
基本手数料 |
30万円 |
(a) 80万円
(b)(c)100万円 |
遺言書保管料(年間) |
(a)(b)6000円
(c)5000円 |
(a)なし
(b)6000円
(c)5000円 |
遺言信託変更手数料 |
5万円 |
5万円 |
遺言執行報酬の金額
※下表参照 |
相続財産の一定割合
※各銀行によって数値が異なる |
(a)相続財産の一定割合から70万円を引いた金額
(b)基本手数料が安いプランに比べて低い割合で算出した金額
(c)相続財産の一定割合から100万円を引いた金額 |
遺言執行報酬の最低金額 |
(a)(b)100万円
(c)150万円 |
(a)(b)30万円
(c)70万円 |
中途解約金 |
(c)20万円 |
|
(
a)(
b)(
c)の表記がない箇所は3銀行とも共通の内容
【遺言執行報酬の算定率】
(
a)三井住友信託銀行の場合(消費税等抜)
相続財産 |
割合 |
その信託銀行の預金やその窓口で購入した金融商品 |
0.3% |
その他 |
5,000万円以下の部分 |
2% |
5,000万円超 1億円以下の部分 |
1.5% |
1億円超 2億円以下の部分 |
1.0% |
2億円超 3億円以下の部分 |
0.8% |
3億円超 5億円以下の部分 |
0.6% |
5億円超 10億円以下の部分 |
0.4% |
10億円超の部分 |
0.3% |
三井住友信託銀行の手数料の当初の基本手数料が安いプランの料金表を弁護士アンケートの設例に当てはめると、遺言執行報酬は「
5000万円×
2%=
100万円」となります。
信託銀行は、士業に比べて割高になるようです。なお、支払い総額の安いプランの場合には執行手数料は安くなりますが、基本手数料は高くなってしまいます。
親族・相続人
一般の方である親族・相続人は、遺言執行についての料金表など当然設定していないので、ここでは、家庭裁判所で報酬付与申立を行った場合に付与される報酬額の相場について説明します。
家庭裁判所が遺言執行者の報酬額を算定する際は次のような要素を判断材料にします。
家庭裁判所が算定する場合、業務量が少なく、遺産規模も小さい事案では
30万円程度になることもあるようですが、逆に業務量が多かったり、遺産規模が大きかったりする場合には、
「遺産の評価額×3%」が目安となる場合もあるようです。
もっとも、親族・相続人の場合は、無償とすることも多いようです。
遺言執行者の報酬の遺言書の記載例
遺言執行者の報酬を遺言で定める場合の記載例としては、次のようなパターンが考えられます。
- 遺言執行者に対する報酬は、金○○円とする。
- 遺言執行者に対する報酬は、対象財産の評価額の〇パーセントとする。
- 遺言執行費用(遺言執行者の報酬を含む。)は、○○が相続した預貯金より支出するものとする。ただし、この預貯金の残高が遺言執行費用に満たない場合には、××が相続した預貯金から不足分を支出するものとする。
遺言執行者の報酬は相続税の計算上控除できる?
残念ながら、遺言執行者の報酬は、相続税の計算上控除することはできません。
遺言執行者に弁護士を指定するメリット
遺言執行者に弁護士を指定するメリットとして、次の4つが挙げられます。
- 相続人が相続手続きの手間から解放される。
- 相続手続きがスムーズに進むため、相続人が遺産を早期に取得できる。
- 相続人が精神的な負担から解放される。
- 遺言執行の障害に対して法的手段等を用いて解決できる。
- 遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ。
以下、それぞれの点について説明します。
相続人が相続手続きの手間から解放される
遺言執行者がいない場合は、相続人が協力して相続手続きを進めなければなりません。また、相続人を遺言執行者にすることもできますが、いずれにせよ、一般の方が弁護士等の専門家に依頼せずに相続手続きを完了させることは、多大なる労力と膨大な時間を要します。
遺言執行者は、就任してから業務の完了までに概ね次のような業務を行わなければなりません。
- 戸籍等の証明書を収集し、相続人を調査します
- 遺言執行者に就任したことを相続人と受遺者全員に通知します
- 相続財産を調査します
- 財産目録を作成します
- 預貯金の解約の手続きを行います
- 売却して分配する財産については換価手続きを行います
- 有価証券等の財産の名義変更手続きを行います
- 不動産の所有権移転登記を行います
- 遺言執行の妨害をしている者がいる場合においてはこれを排除します(訴訟が必要になることも)
- 相続人と受遺者全員に完了報告を行います
このように、遺言執行者の業務は多岐に渡ります。
金融機関や法務局の窓口は平日の日中しか空いていないため、仕事を休んで対応しなければならないことも生じえます。
弁護士に遺言執行を依頼すれば、相続人は、このような手間から解放されます。
相続手続きがスムーズに完了でき、相続人が遺産を早期に取得できる
前述のとおり、遺言執行者がいない場合は相続人が協力して相続手続きを進めなければなりませんが、相続人の中に協力しない人や忙しくて協力したくてもできない人がいると、いつまで経っても相続手続きが終わりません。
相続人を遺言執行者にした場合も、一般の方では、要領を得ず、手続き完了までに長い期間を要してしまうことも少なくありません。
遺言執行の経験が豊富な弁護士であれば、相続手続きをスムーズに完了させることができ、結果として、相続人が遺産を早期に取得できることにつながります。
早期に遺産を取得したい場合は、弁護士を遺言執行者に指定した方がよいでしょう。
相続人が精神的な負担から解放される
相続人が遺言執行者となった場合は、次のようなトラブルが生じることがあります。
- 遺言執行者に指定されなかった相続人が、そのことを不満に感じトラブルに
- 他の相続人から遺言執行者が遺産の一部をこっそり自分のものにしたのではないかと疑われトラブルに
- 遺言執行者は精一杯取り組んでいるものの不慣れなため長期間を要し、他の相続人から手続きが遅いとトラブルに
- 遺言執行者が自分で手続きができず、結局、自腹で弁護士に依頼することになり、こんなことなら始めから弁護士を遺言執行者に指定していればと後悔
このようなトラブルに見舞われると、遺言執行者となった相続人には多大な精神的負担がかかりますが、弁護士を遺言執行者にすると、相続人はこのような負担から解放されます。
遺言執行の障害に対して法的手段等を用いて解決できる
弁護士は、遺言執行に何らかの障害が生じた場合に、障害となっている相手方と交渉したり、裁判等の法的手段を用いて障害を取り除き遺言執行を実現することができます。
遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ
弁護士は、遺言書文案作成についても最適な専門家です。
遺言者が遺言書文案作成を弁護士に依頼する際に、遺言執行者についても併せて依頼するとスムーズでしょう。
近親者が亡くなると遺族は様々な手続きに追われて多忙になりますから、自分たちで遺言執行をするのは勿論のこと、遺言執行者を依頼する弁護士を探すことさえも手間に感じるかもしれません。
この点、
遺言書文案作成を依頼した弁護士を遺言執行者に指定しておけば、遺族の負担を減らすことができます。
また、弁護士は遺言書文案を作成する際に、財産目録等の資料を作成しますから、同じ弁護士が遺言執行を担当すれば、よりスムーズに進めることができるでしょう。
遺言執行の弁護士の選び方
遺言執行者に指定する弁護士はどのように選べばよいでしょうか?
遺言文案作成と併せて依頼する場合、依頼してから遺言執行が行われる(遺言者が亡くなる)までに長い年月が経過していることも少なくありません。
弁護士の方が先に亡くなることや、弁護士を引退していることもあるでしょう。
そのような場合は、結局、相続人が共同で遺言執行したり、遺言執行者選任申立を行うことになります。
このようなことにならないように、若い弁護士か弁護士法人に依頼すると比較的安心でしょう。
若い弁護士なら遺言者が亡くなった時に現役で弁護士をやっている可能性が高いですし、
弁護士法人なら遺言文案作成に当たった弁護士が亡くなったり引退していたとしても法人が存続していれば遺言執行については別の弁護士が対応してくれます。