終末期医療の事前指示書とは。ひな形・書式の紹介、ACPの進め方
終末期医療を迎える前に「事前指示書」を作成しておくことで、お医者さんや看護師さんが、患者さんの意向を把握しやすくなります。
この記事では、「事前指示書」について説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年2月13日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
終末期医療の事前指示書とは?
終末期医療の事前指示書とは、患者さんの判断能力が十分でなくなってから行われる終末期医療に関して、患者さんに十分な判断能力があるうちに、その意向を示すために作成した文書のことをいいます。
このような終末期医療に関する患者さんの意向は、リビングウィル(Living Will)と呼ばれます。
事前指示書の書き方
事前指示書には、例えば、病状の悪化などにより自分の考えを伝えられなくなった場合に、(1)心肺蘇生、気管挿管、人工呼吸器の使用や、集中治療室での治療など、心身に大きなつらさや負担を伴う処置を受けても、できる限り長く生きることを重視した治療を受けたいのか、それとも、(2)集中治療室への入院や心肺蘇生、気管挿管、人工呼吸器の使用などの、心身に大きなつらさや負担を伴う処置までは希望しないが、その上で少しでも長く生きるための治療を受けたいのか、それとも、(3)治療による延命効果を期待するよりも、できる限り苦痛の緩和や快適な暮らし(自分らしい生活)を大切にした治療を受けたいのか、といったリビングウィルを記載します。
また、事前指示書には、終末期医療に関して、次のような場合に医師や看護師などの医療・介護従事者と話し合う代理人(患者さんの信頼する家族や友人)を併せて指定します。
- リビングウィルと医療・介護従事者と考える最善の治療やケアの内容が食い違う場合
- 事前指示書の文言からリビングウィルが明らかとならない場合
- リビングウィルに基づき、リスクやデメリットの伴う治療をする場合または治療しないことを選択する場合
このように、事前指示書に記載すべき事前指示は、リビングウィルと代理人の指定です。
なお、この事前指示のことを、アドバンスディレクティブ(Advance Directive)とよぶことがあります。
事前指示書の作成過程「ACP」とは?
事前指示書の作成に当たっては、下の図のように、自分の考えを整理したうえで、かかりつけのお医者さんや信頼できる人(家族、友人)と繰り返し話し合うことが重要です。
(出典:大阪府)
この事前指示書の作成過程のことをACP(Advance Care Planning = アドバンス・ケア・プランニング)といいます。
上の図のStep5の記録が事前指示書です。
前述のとおり、事前指示書の文言からリビングウィルが明らかとならない場合は、代理人が医療・介護従事者と話し合いますが(Step4)、代理人が事前指示書の作成過程にかかわることによって、いざというときに代理人が本人の意思を推察しやすくなります。
また、事前指示書の作成過程において、かかりつけのお医者さんとしっかりとコミュニケーションをとることで(Step3)、お医者さんや看護師さんも、いざというときに本人の意思を推察しやすくなります。
APCについて詳しくは「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)=人生会議とは?進め方は?」をご参照ください。
事前指示書のひな形・書式・フォーマット・例
事前指示書の書き方がわからない場合はひな形を利用するとよいでしょう。
かかりつけのお医者さんがいる病院で事前指示書のひな形が用意されている場合は、そちらを利用してもよいでしょう。
公開されているひな形を発行機関ごとにいくつか紹介します。
また、以下のような書籍も販売されています。
厚生労働省のものが、ACPの手順に沿って作成できるのでお勧めです。
また、透析を受けている方は、日本透析医学会のものが参考になるでしょう。
まとめ
以上、事前指示書について説明しました。
また、人生のエンディングに備えて用意すべきことは事前指示書だけではありません。
以下の記事もよろしければ参考にされてください。
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この記事を書いた人
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