検討リスト

検討リストから問い合わせ
      検討済みリストは空です

閲覧履歴

    履歴が登録されていません

検討リスト

検討リストから問い合わせ
      検討済みリストは空です

閲覧履歴

    履歴が登録されていません

株の贈与で最大限に節税する方法と知らないと損する重要なポイント

株の贈与で節税するポイント

株式を誰かに相続する予定がある場合、もしかしたら生前贈与にした方ががお得かもしれません。生前贈与は現金や不動産だけでなく、株式もできます。

しかし生前贈与には贈与税がかかる可能性も。そのため、贈与税がかかるかどうか相続税評価額を調べる必要があります。このとき、上場株式か非上場株式かで評価方法が異なります。

ここで注意したいのは、相続税よりも贈与税額大きくなるケースがあることです。それだと節税になりません。

この記事でも解説しますが、株式の生前贈与には相続税、贈与税の両方について十分な知識が必要になります。税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年8月21日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

遺産額が基礎控除額以下なら相続税対策は不要

この記事では、株の生前贈与を利用した相続税対策について説明しますが、そもそも相続税がかからず、相続税対策が不要なケースもあります。

相続税には基礎控除があり、相続税の課税対象となる遺産額が基礎控除額以下の場合は、相続税がかからないので、相続税対策として生前贈与を検討する必要はありません。

基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。

法定相続人の数え方については、関連記事をご覧ください。

例えば、法定相続人が2人の場合の基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となり、相続税の課税対象となる遺産額が4,200万円以下の場合は、相続税がかからず、相続税対策は不要です。

また、配偶者だけが相続人の場合は、課税対象となる遺産額が基礎控除額を超えていても相続税対策は不要です。

なぜなら、「配偶者の税額軽減」によって、配偶者だけが相続人の場合には、相続税がかからないためです。

贈与税の計算方法

贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2があり、贈与を受けた人が、どちらの方式で贈与税を計算するかを贈与者ごとに贈与税の申告時に選択することができます(ただし、一度、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与については翌年以降暦年課税を選択することはできません)。

暦年課税方式では、贈与税は、一人の人が11日から1231日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

贈与税の計算方法について詳しくは関連記事をご覧ください。

株の評価方法

各相続財産の価額が分からなければ贈与税額を計算することはできません。

相続税の計算には、相続税評価額を用います。

株の相続税評価額の評価方法は、上場株式と非上場株式とで異なります。ここでは、上場株式の評価方法について説明します。

非上場株式の評価方法については、以下の記事の「非上場株式の相続税評価額の算定方法」の項目を参考にしてください。

上場株式の評価は、原則として終値(おわりね)によって行います。

終値とは、大引け(おおびけ。その日の最後の取引)でついた株価のことです。

次の4つのうち、最も低い株価で評価します。

  • 贈与日の終値
  • 贈与日の当月のすべての営業日の終値の平均
  • 贈与日の前月のすべての営業日の終値の平均
  • 贈与日の前々月のすべての営業日の終値の平均

これらの終値(および終値の平均)は、取引を行っていた証券会社の発行する残高証明書の参考資料で確認することができます。

株の生前贈与が相続税対策になる理由

株の生前贈与が相続税対策になる仕組みには、次のものがあります。

  • 暦年贈与によって年間110万円以内の基礎控除を適用できる
  • 小分けにして暦年贈与することによって、税率を抑えられる
  • 配当がある場合や、値上がりが予想される場合は、早めの贈与が相続税対策になる
  • 値上がりしている場合は、贈与時の取引価格よりも低く評価できる
  • 世代を飛ばして孫に贈与することができる

以下、それぞれの点について説明します。

暦年贈与によって年間110万円以内の基礎控除を適用できる

生前贈与には贈与税がかかります。贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがありますが、暦年課税方式では、贈与税は、一人の人が11日から1231日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

例えば、子供2人とそれぞれの配偶者、さらに孫4人の合計8人に、毎年110万円ずつ10年間に贈与をすると、「110万円×8人×10年=8,800万円」も非課税で贈与することができます。

小分けにして暦年贈与することによって、税率を抑えられる

贈与税は、相続税のよりもベースとなる税率が高いので、一見、生前贈与の方が不利に思えます。しかし、生前贈与の場合は、小分けにして暦年贈与することによって、税率を抑えることができます。

贈与税・相続税は、課税価格が小さいと税率も低くなり、課税価格が大きいと税率も高くなるという累進課税になっています。

したがって、小分けにして贈与することによって税率を抑えることができるのです。この点、相続は小分けにすることはできないので、生前贈与が有利な点といえます。

続税と贈与税の税率は下表の通りです。

相続税:法定相続分に応ずる取得金額

贈与税:基礎控除後の課税価格

相続税 贈与税
一般贈与財産 特例贈与財産
税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
200万円超
300万円以下
15% 10万円 15% 10万円
300万円超
400万円以下
20% 25万円 15% 10万円
400万円超
600万円以下
30% 65万円 20% 30万円
600万円超
1,000万円以下
40% 125万円 30% 90万円
1,000万円超
1,500万円以下
15% 50万円 45% 175万円 40% 190万円
1,500万円超
3,000万円以下
50% 250万円 45% 265万円
3,000万円超
4,500万円以下
20% 200万円 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超
5,000万円以下
55% 640万円
5,000万円超
1億円以下
30% 700万円
1億円超
2億円以下
40% 1,700万円
2億円超
3億円以下
45% 2,700万円
3億円超
6億円以下
50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

特例贈与財産とは、贈与を受けた年の11日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)への贈与された財産のことをいい、一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない贈与財産のことをいいます。

配当がある場合や値上がりが予想される場合は、早めの贈与が相続税対策になる

相続税対策の基本は、なるべく税金がかからないかたちで、上の世代から下の世代に財産を引き継ぐことです。

贈与対象の株に配当が生じている場合等は、贈与することによって、贈与時以降の配当金が贈与税や相続税がかからずに、下の世代ものになるというメリットがあります。

また、値上がりが予想される場合もまた、相続税対策になります。価額が低い時に贈与することで課税価格を抑えることができるためです。

値上がりしている場合は、贈与時の取引価格よりも低く評価できる

前述のとおり、株の評価は、次の4つのうち、最も低い株価で評価します。

  • 贈与日の終値
  • 贈与日の当月のすべての営業日の終値の平均
  • 贈与日の前月のすべての営業日の終値の平均
  • 贈与日の前々月のすべての営業日の終値の平均

そうすると、株価が値上がりしている場合、低い時の株価で評価することができ、その分、節税効果が高まることになります。

世代を飛ばして孫に贈与することができる

遺産は一般に上の世代から下の世代に引き継がれていきます。そして、引き継がれるごとに相続税または贈与税が課せられます。

そこで、一世代飛ばして、祖父母世代から孫世代に一気に引き継ぐことによって、一世代分の相続税・贈与税を節税することができます。

贈与を受けた株の譲渡益には所得税がかかる

譲渡所得とは、資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。譲渡所得には、所得税などの税金がかかります。

譲渡所得の金額は、次のように計算します。

収入金額 - (取得費 + 譲渡費用- 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
  • 収入金額は、資産を売ったことによって買主から受け取る金銭の額
  • 取得費は、資産の購入代金、購入手数料など
  • 譲渡費用は、資産を売るために直接かかった費用

譲渡所得税の税率は、譲渡した株式が上場株式か非上場株式かで異なりますが、現在は、上場株式等に係る譲渡所得の場合は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、一般株式等に係る場合は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)と同じ税率となっています。

例えば、1,000万円で取得した上場株式を3,000万円で譲渡しその譲渡費用が10万円だった場合は、上場株式等に係る譲渡所得なので税率は20.315%となり、譲渡所得税額は、「3,000万円-(1,000万円+10万円)×20.315%4042685円」となります。

贈与・遺贈(遺言によって財産を取得させること)・相続によって取得した財産を譲渡したときにも譲渡所得が生じ、譲渡所得税がかかります。

贈与・遺贈・相続によって取得した財産の課税譲渡取得金額は、贈与者・遺贈者・被相続人(亡くなった人)がその財産を取得した際の取得費を用いて計算します。

取得費が分からない場合などには、取得費を売った金額の5%相当額とします。

なお、相続により取得した株などを、一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができますが、贈与の場合はこれがありません。

この点は、相続に比べて贈与が不利な点です。譲渡する予定がある場合はご注意ください。

相続開始前3年以内の贈与には相続税がかかる

暦年課税の場合は、原則としては、相続税はかかりません。

しかし、相続又は遺贈により財産を取得した者に対して、亡くなる前の3年間に行われた贈与は、相続税の計算に足し戻されるため、相続税が課されます。

したがって、相続開始前3年以内に、暦年課税の基礎控除を利用して非課税で行ったはずの贈与については、相続税対策としては無効化されてしまいます。相続税対策は元気なうちから始めることが肝心です。

株の贈与手続き(名義変更)

株の贈与手続き(名義変更)は、その株が上場株式か非上場株式かによって異なります。上場株式の場合は、証券会社経由で手続を行いますので、証券会社に手続き方法を確認しましょう。

証券会社によっては、ウェブフォームに入力して送信するだけで、贈与契約書の作成や名義変更手続きを行ってくれる場合もありますが、自分で贈与契約書を作成しなければならない場合もあります。

まとめ

以上、株の贈与について説明しました。

贈与の仕方のよって、税額が大きく異なることがあるため、相続税・贈与税に精通した税理士に相談したうえで贈与計画を立てるとよいでしょう。

相続問題でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

相続専門のポータルサイト「いい相続」は、相続でお悩みの方に、全国の税理士・行政書士など相続に強い、経験豊富な専門家をお引き合わせするサービスです。
「遺産相続弁護士ガイド」では、遺産分割や相続手続に関する役立つ情報を「いい相続」編集スタッフがお届けしています。また「いい相続」では、相続に関連する有資格者の皆様に、監修のご協力をいただいています。
▶ いい相続とは
▶ 監修者紹介 | いい相続

ご希望の地域の専門家を探す

関連記事

double_arrow