陰地(かげ地)割合に応じた不整形地補正率を使って土地を評価する方法

いびつな形の土地(不整形地)は、正直使い勝手が悪いものです。きれいな長方形の土地と比べるとどうしても安価で取り引きされます。

しかし、裏を返せば評価が低いということは、相続税が安く済むということです。土地をもらい受けたときには相続税や贈与税がかかる場合があり、どちらも申告・納税期限が決まっているので注意が必要です。

この記事では、不整形地の評価方法について「かげ地割合」「不整形地補正率」などの言葉の説明を入れながら解説していきます。是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年6月14日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

土地をもらい受けたときには相続税や贈与税がかかる

相続、遺贈(遺言によって財産を承継させること)または贈与によってもらい受けた財産には、もらい受けた財産の価額に応じて、相続税や贈与税が課税されます。

土地をもらい受けた場合は、その土地の価額をどのように評価するかいう問題が生じますが、「相続税評価額」によって評価することになっています。

宅地の相続税評価額の計算方式には、路線価方式と倍率方式があり、地域ごとにどちらの方式によって評価すべきか決められています。

路線価方式では、相続税評価額は次の算式で求められます。

相続税路線価×画地補正率×地積

この算式で評価できるのは、一路線に面する場合であって、複数路線に面する場合の評価方法はもう少し複雑になります。

複数路線に面する場合の評価方法について税理士にご相談ください。

路線価

「路線価」とは、路線(道路)に面する土地の1㎡当たりの価額のことで、国税庁によって路線ごとに定められ、毎年更新されています。

路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、相続税評価額を計算する際には相続税路線価を使います。

画地補正率

画地補正率とは、路線価を基礎として各画地の評価額を求める場合に、その土地の奥行、形状、利用上の法的制限等画地の現状に応じた補正を行うための率です。

画地補正率には、様々なものがありますが、この記事では、「不整形地補正率」について説明します。

倍率方式は画地補正が不要

なお、倍率方式によって相続税評価額を計算する場合は、不整形地補正を含めた画地補正は行いません。

倍率地域の場合は、対象となる宅地の固定資産税評価額に、評価倍率表に記載されている評価倍率を乗じて(掛け算して)、相続税評価額を算出します。

固定資産税評価額が、既に不整形地補正を含めた画地補正が行われた価額になっているため、画地補正は不要なのです。

路線価方式によって相続税評価額を算定する地域のことを路線価地域、倍率方式によって相続税評価額を算定する地域のことを倍率地域といいますが、対象となる宅地のある地域が路線価地域なのか倍率地域なのかは、国税庁ウェブサイトの「財産評価基準書」のページで確認できます。

相続税路線価の確認する方法

相続税路線価を確認する方法を説明します。

まず、国税庁ウェブサイトの「財産評価基準書」のページにアクセスします。

過去の路線価図を閲覧したい場合は、閲覧したい年のボタンをクリックします(最新版を閲覧する場合はそのまま)。

相続税路線価は、毎年更新されるので、必ず、相続が開始した年の路線価を確認するようにしてください。

毎年7月初旬に、その年の相続税路線価が公表されるので、それ以前に相続が開始した場合は、7月に路線価が公表されるのを待ってから、土地を評価し、相続税を計算します。

次に、路線価を調べたい宅地が存在する都道府県名をクリックします。

次に、「路線価図」という文字をクリックします。

宅地が存在する市区町村名をクリックします。

そうすると地名の一覧がでてくるので、宅地が存在する地名の右の路線価図ページ番号をクリックします。


国税庁ホームページ「路線価図・評価倍率表」を加工して作成
路線価図ページ番号が複数に別れている場合は、それぞれクリックして宅地が面した路線が掲載されている路線価図を探してください。

国税庁の財産評価基準書のウェブページの難点は、路線価図がページごとになっており、スクロールすることができません。


出典:国税庁「路線価図の説明」
路線価が表示されていない場合は、その地域が倍率地域であるか、または、路線価地域でも路線価が振られていない路線もあります。

倍率地域か路線価地域かは、評価倍率表で確認することができます。

評価倍率表の確認方法については以下の記事で詳しく説明しています。

路線価地域であるにもかかわらず路線価が振られていない場合は、特定路線価の価格設定を税務署に申し出るか、近くの路線価を使って評価する方法があります。詳しくは税理士にご相談ください。

不整形地の評価方法

奥行距離が一様でないなど形状が不整形の宅地の評価は、その宅地が不整形でないものとして計算した1平方メートル当たりの価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、「不整形地補正率表」に定める補正率を乗じて(掛け算して)評価します。

不整形地補正率表は、国税庁のウェブページで確認できます。

不整形地補正率は、地積区分とかげ地割合に応じて決まるため、不整形地補正率を求めるためには、地積区分の確認し、また、かげ地割合を算出しなければなりません。

そして、地積区分を確認するためには、地区区分を確認しなければなりません。

地区区分

地区区分は路線価図で確認することができます。

地区区分には8つの種類があり、路線価図では、それぞれ次のように表示されています(普通商業地区と併用住宅地区は同じ表示方法であるため、表示方法の種類としては7つになります。)。

地区 表示方法
ビル街地区
高度商業地区
繁華街地区
普通商業・併用住宅地区
普通住宅地区
中小工場地区
大工場地区

そして、地積区分は、地区区分と地積に応じて、下の表に定められています。

地積区分

地区区分

A B C
高度商業地区 1,000㎡未満 1,000㎡以上
1,500
㎡未満
1,500㎡以上
繁華街地区 450㎡未満 450㎡以上
700
㎡未満
700㎡以上
普通商業・併用住宅地区 650㎡未満 650㎡以上
1,000
㎡未満
1,000㎡以上
普通住宅地区 500㎡未満 500㎡以上
750
㎡未満
750㎡以上
中小工場地区 3,500㎡未満 3,500㎡以上
5,000
㎡未満
5,000㎡以上

次に、かげ地割合の算出方法について説明します。

かげ地割合を算出するには、まず、想定整形地を作図します。

想定整形地とは、評価対象地の画地全域を囲む、正面路線に面する最小面積の長方形となっているものをいいます。

例えば、下の図の画地(実線で囲った部分)の想定整形地は、破線で囲った部分になります。

なお、図中の距離(m)は、間口距離と奥行距離です。

間口距離と奥行距離は、奥行長大補正率や奥行価格補正率を求めるのに必要です。

奥行長大補正率や奥行価格補正率も路線価地域にある土地の相続税評価額の補正に必要です。

かげ地

かげ地とは、想定整形地の不整形地以外の部分のことです。

かげ地割合は、想定整形地の中のかげ地の割合のことです。

かげ地割合の計算式

(想定整形地地積-不整形地の地積)÷想定整形地の地積

陰地とかげ地

「かげ地」は、漢字では「陰地」と書きますが、「陰地」と書くと「日陰の土地」というような意味が生じてしまうので、「想定整形地の中の不整形地以外の土地」という意味で使う場合は「かげ地」と書くことが多いです。
また、「陰地」という氏(名字)の場合は、「おんぢ」「おうじ」「おんち」「おんじ」等と読むようですが、土地評価の際の用語としての「陰地」は「かげち」と読みます

不整形地補正以外に画地補正等がなかった場合の計算例

例えば、地区区分が普通住宅地区にある地積が100㎡の不整形地の場合、地積区分は地積が500㎡未満なので「A」になります。

想定整形地の地積が200㎡であるとすると、かげ地割合は「(200㎡-100㎡)÷200㎡=0.5」になります。

0.550%」なので、不整形地補正率表の、かげ地割合「50%以上」の行の、普通住宅地区の地積区分Aの列の値を確認すると、「0.79」となっています。

この土地の相続税路線価が仮に100万円であるとすれば、この土地の相続税評価額は「100万円×0.79×100㎡=7900万円」と計算できます。

ただし、これは不整形地補正以外に画地補正等がなかった場合の話です。

不整形地補正以外にも画地補正の適用を受けられるケースは多いので、税の申告の際は、土地の評価に精通した税理士に相談することをお勧めします。

間口狭小補正率の適用がある場合

間口狭小補正率の適用がある場合は、この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて(掛け算して)得た数値を不整形地補正率とします。

ただし、その最小値はこの表に定める不整形地補正率の最小値(0.60)とします。

奥行長大補正率の適用がある場合

また、奥行長大補正率の適用がある場合は、選択により、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて(掛け算して)得た数値によって差し支えありません。

大工場地区にある不整形地

大工場地区にある不整形地については、原則として不整形地補正を行ないませんが、地積がおおむね9,000㎡程度までのものについては、地積区分表とこの表の中小工場地区の区分により不整形地としての補正を行って差し支えありません。

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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