弁護士監修記事

入院時の身元保証人がいない場合でも入院できるようにする方法

多くの医療機関では、入院患者に対して、身元保証人・身元引受人を用意するように求めています。

身元保証人になってくれる人がいない場合はどうすればよいのでしょうか?

この記事では、身元保証人がいない場合の対処法について、わかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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身元保証人がいないことを理由とした入院拒否は法律に抵触する

身元保証人・身元引受人がいないことを理由に医療機関に入院を拒否されることがありますが、2018年4月27日付け厚生労働省医政局維持課長通知において、医療機関のこのような対応は、医師法191項に抵触するとする見解が、医療機関を管轄する各都道府県衛生主管部(局)長に対して通知されました(「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」)。

医師法191

診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

この通知以降、身元保証人等がいないことを理由に入院を拒否する医療機関に対して行政指導が入るようになり、現在ではこのような対応をする医療機関は極めて少数になったものと思われます。

公益社団法人神奈川県病院協会が2019220日~331日に県内の病院に対して行った調査[1]では、「身元保証人をつけることが出来ない人について、どのような対応をしていますか。」という問いに対して「入院を認めない」と答えたのは、94の病院中で1か所のみでした。

もし、身元保証人等がいないことを理由に医療機関から入院を拒否された場合は、行政(都道府県や市区町村の医事課等)に相談することで解決することがありますが、日数がかかる可能性があるので、他の医療機関を当たった方が早期に入院することができるでしょう。

ほとんどの医療機関では、入院時に身元保証人等を求めますが、身元保証人等を用意できなくても入院を認める対応がとられています。

入院時に身元保証人が求められる理由

[1] https://www.k-ha.or.jp/seminar/1120/

なぜ、医療機関は入院時に身元保証人等を求めるのでしょうか?

前掲の神奈川県病院協会の調査によると、次の目的で身元保証人を求めている医療機関が多いようです。

  • 支払いの保証
  • 医療行為の同意
  • 遺体・遺品の引取

以下、それぞれについて、説明します。

支払いの保証

医療機関としても入院費用の支払いを受けられないと困るので、身元保証人等がいない場合は、医療機関の方から代替手段の提案があるケースが多いです。

例えば、クレジットカード決済を求められたり、入院時に入院保証金や預託金の差し入れを求められることがあります。

また、経済的に困窮している場合は、生活保護の申請を提案されることもあります。

医療機関からの提案をよく聞いて対応可能な方法を模索しましょう。

医療行為の同意

身元保証人等に医療行為に同意を求める医療機関がありますが、医療行為に同意することは本人でなければ難しいものです。

身元保証人等がいる場合でもいない場合でも、意識がはっきりしているうちに、患者本人が入院診療計画をしっかりと理解し、不測の事態に備えて意思を示しておくことが重要です。

自分一人で入院診療計画を聞くことに不安がある場合は、ケアマネジャーや、友人・知人等に同席してもらってもよいでしょう。

なお、後見人等がいる場合は、後見人等に同席してもらった方がよいでしょう。

遺体・遺品の引取

入院中に亡くなってしまった場合、身元保証人等がいる場合は、その人が葬祭の手配をしたり、遺品を引き取ったりしますが、葬祭を行う人がいない場合、自治体が埋葬や遺品の処分を行うことになります。

したがって、身元保証人等がいないからといって、医療機関に遺体や遺品が放置されるようなことはありません。

埋葬や遺品の処分以外に委任したい死後事務がある場合は、死後事務委任契約を申し込んでおくことを検討してもよいでしょう。

死後事務委任契約とは、生前のうちに受任者との間で、亡くなった後の諸手続き、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等(死後事務)について委任しておく契約のことをいいます。詳しくは「死後事務委任契約によって自分の死後処理の心配を解消する方法」をご参照ください。

生前契約という選択肢もある

一人暮らしの高齢者等を対象とした、身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービス(生前契約)を提供している民間団体があります。

前述の厚生労働省の通知があるまでは、身元保証人等がいないことを理由に入院拒否されることもあったため、入院の際に民間の身元保証サービスに契約するケースも珍しいことではありませんでした。

しかし、現在では、身元保証人等がいなくても入院が拒否されることも、ほとんどなくなってきているので、入院時の身元保証だけのために、このようなサービスに申し込み意味は乏しくなったといえるでしょう。

もっとも、生前契約は、身元保証だけでなく、日常生活支援や死後事務等の関する総合的なサービスなので、必要に応じてサービス内容を確認して検討してみてもよいでしょう。

生前契約について詳しくは「生前契約を検討する全ての人が知っておくべき注意点と代替策」をご参照ください。

まとめ

以上、入院時に身元保証人がいない場合の対処法について説明しました。

厚生労働省の通知のお陰で、身元保証人等がいない場合でも安心して入院できるようになりましたが、身元保証人等の役割は、支払いの保証だけではありません。

身元保証人になってくれる人がいない場合でも、入退院のサポートをしてくれる人はいた方が安心です。

不安な場合は、自治体の社会福祉協議会や地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

 

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