精進落としとは。施主(喪主)や参列者が知っておくべき重要なこと
「精進落とし」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
この記事では、精進落としに関する次のような点について、わかりやすく説明します。
- そもそも精進落としとは?
- 繰り上げ法要の場合、精進落としはどうなる?
- 精進落としの流れは?
- 精進落としはしなくてもよい?
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年3月30日)時点における法令等に基づいています。
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精進落としとは?どういう意味
精進落としとは、初七日法要後、施主がお坊さんや参列者にふるまう食事のことをいいます。
従来、喪家は四十九日の忌明けまで精進料理で過ごすものでしたが、四十九日法要後、通常の食事に戻す際の食事のことを「精進落とし」または「お清め」と呼んでいました。
最近は忌明けまで精進料理で過ごすことはほとんどなく、精進落としは、初七日法要後、施主がお坊さんや列席者などに提供する食事のことを指すようになりました。
そして、初七日法要は、従来は亡くなった日を1日目として7日目に行われていましたが、最近は遠方の列席者の負担などを考慮して葬儀の日に行われることが多くなりました。葬儀の日に行われる初七日法要のことを「繰り上げ法要」と呼ぶことがあります。
したがって、精進落としは、最近では、繰り上げ法要の後に、施主がお坊さんや列席者などに提供する食事のことを指すことが多くなっています。
精進落としと似た意味の言葉に、お斎(おとき)があります。
お斎は初七日法要に限らず法要後に施主からお坊さんや列席者に提供される食事のことを指しますから、精進落としもお斎の一種ということができます。
初七日法要以外の法要の後に提供される食事は、通常、精進落としとは言わず、お斎と言います。
なお、お通夜の後に提供される食事は、通常、お斎とは言わずに、「通夜ぶるまい」または「お清め」と言われます。
「お清め」という言葉は、「精進落とし」の意味で使われることも、「通夜ぶるまい」の意味で使われることもあり、混乱を招きやすいので気を付けましょう。
なお、浄土真宗では、精進落としとは言わずに、「お斎」または「直会」(なおらい)と言います。
精進落としと繰り上げ法要
前述のとおり、葬儀の日に繰り上げて行われる初七日法要のことを繰り上げ初七日法要といいます。
繰り上げ初七日法要には、戻り初七日法要と、式中初七日法要があります。
戻り初七日
戻り初七日法要とは、火葬の後に、火葬の参列者が、式場に戻って行う初七日法要のことをいいます。
通常、火葬の後には、遺骨迎えの法要をするのですが、戻り初七日法要では、遺骨迎えの法要を兼ねて行われます。
式中初七日法要
式中初七日法要とは、葬儀・告別式の中に繰り込んで行う初七日法要のことをいいます。
式中初七日法要では、遺骨迎えの法要は行われません。
また、式中初七日法要では、初七日法要の開式の挨拶がなく、どこまでが告別式でどこからが法要なのか、一般の参列者には通常分かりません。お坊さんの法話も通常ありません。
式中初七日法要では、火葬の待ち時間に火葬の参列者が式場に戻ってきて精進落としが行われます。その際に、四十九日法要の打ち合わせを行うことが多いです。
精進落としの流れ
繰り上げ初七日法要に続いて行われる精進落としの一般的な流れは次のようになります。
- 開始の挨拶、献杯
- 宴席開始
- 今後の法要の予定日を確認
- 終了の挨拶
- 引き出物とお供え物の配布
以下、それぞれについて説明します。
開始の挨拶、献杯
挨拶と献杯をする人については、次のようなケースがあります。
- 喪主が一人で挨拶から献杯まで行うケース
- 喪主の挨拶の後に他の親族が献杯の挨拶を行うケース
- 司会者(親族)の挨拶の後に喪主が献杯の挨拶を行うケース
喪主が人前で話すのが苦手な場合は、喪主の挨拶は簡単に済ませ、他の親族に献杯の挨拶を依頼するとよいでしょう。
献杯の挨拶は、故人を偲びながら1分程度にまとめるとよいでしょう。
例えば、以下のような挨拶が考えられます。
「本日は、夫○○のために、ご多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございました。
遺族を代表いたしまして心よりお礼申し上げます。
皆様のおかげをもちまして、無事に葬儀ならびに初七日法要を執り行なうことができ、夫も一安心していることと存じます。
ささやかではございますが、粗餐(そさん)をご用意させていただきました。
故人の思い出など語らいながら、おくつろぎになってお召し上がりいただければと存じます。
それでは、故人の冥福を祈りまして、献杯。
ありがとうございました。それでは、どうぞお食事をお召し上がりください。」
なお、献杯は、位牌及び遺影の前に酒の入った杯を置いた上で、全員がそれぞれの杯を手に持ち、献杯の挨拶をする人が位牌及び遺影の方向を向いて、軽く杯を掲げ、普段通りのトーンで「献杯」と発声し、他の列席者も続いて「献杯」と発声します(乾杯の時のように大きくは発声しません)。
また、浄土真宗では献杯は行わないので、ご注意ください。
宴席開始
精進落としは実質的に僧侶や親族はじめ、参列者に感謝し労をねぎらう宴席ではあるものの、故人を偲ぶために設けられた場でもありますので、故人の生前の思い出を語らいつつもあまり騒がしくならないように気をつけましょう。
喪主、遺族はお酌をしながら各出席者の席を回り、それぞれにお礼を述べるのが通例です。
今後の法要の予定日を確認
精進落としの席は、その後営まれる法要に出席してもらうことになるお坊さんや親族が一堂に会する機会でもあります。
お坊さんに法要や納骨といった今後の予定について尋ねておいたり、親族たちとおおまかな日程の相談をしておいたりしておけば、その後の準備をスムーズに進められます。
終了の挨拶
1~2時間を目安に、出席者の食事の進み具合なども見計らい、喪主から精進落としを終了する旨の挨拶を行ないます。
例えば、以下のような挨拶が考えられます。
「本日はご多用のところ、最後までおつきあいくださいまして、誠にありがとうございました。
故人の思い出話などをもっとお聞かせいただきたいところでございますが、皆様お疲れのところをこれ以上お引き止めするわけにもまいりませんので、この辺りでお開きとさせていただきます。
なお、四十九日法要につきましては改めてご案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。」
引き出物とお供え物の配布
帰宅の途につく出席者に引き出物を手渡します。
フルーツやお菓子などのお供え物を持ち帰ってもらうことも一般的です。
会場の出口付近で別れの挨拶をしながら手渡すこともあれば、紙袋にまとめたものを会食中の出席者の足元に置いて回るといったような方法で配られるケースもあります。
精進落としは「なし」でもよい?
精進落としは「なし」でも構いません。
繰り上げ法要の場合、骨上げまで来てくれた人は、通常、精進落としにお声がけします。
精進落としを行わない場合は、骨上げまで来てくれた人に、引き出物として弁当をお渡しするとよいでしょう。
また、戻り初七日法要の場合に、精進落としを行わない場合は、お坊さんに御膳料(おぜんりょう)をお包みするか、やはり、引き出物として弁当をお渡しするとよいでしょう。
御膳料をお包みする場合は、5,000~10,000円が相場です。
まとめ
以上、精進落としについて説明しました。
身近な方が亡くなると、葬儀・法要だけでなく、役所や相続関連の手続きも必要です。
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この記事を書いた人
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