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相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点

親の借金は子が肩代わりしなければならない、というのは本当でしょうか。 よくドラマなどで、親が借金を抱えていたり、保証人になっていたりしたために、子供がその返済に苦労するといった場面が見られますが、亡くなった方の借金は必ずしも相続しなくてもよいのです。 ここでは、亡くなった方に借金等があったときに知っておきたい相続放棄という方法について詳しくご説明します。

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[ご注意]
記事は、公開日(2018年6月17日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

借金は相続しなければならない?知っておきたい相続の仕組み

亡くなった両親や兄弟に借金があったときに、あなたが相続人になるとしたら、あなたがその借金を相続しなければならないのでしょうか。 答えはイエスです。 亡くなった方(被相続人といいます)の財産(遺産)は、相続人がこれを相続することになりますが、この財産は、土地や車、現金といったプラスの財産だけでなく、借金のようなマイナスの財産も含みます。 プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産は相続しない、ということはできないので、亡くなった方の財産を相続する際には、プラスの財産と一緒にマイナスの財産を相続しなければならないのが原則です

借金を相続しないための方法=相続放棄とは?

前述のとおり、相続人は、亡くなった方の財産を相続する際には、借金も含めて相続するのが原則です。 しかし、借金を相続しない方法もあります。 これを相続放棄といいます。 相続放棄とは、亡くなった方の財産を、プラスの財産もマイナスの財産も全て一切相続しないという選択をすることです。 ご説明したとおり、プラスの財産だけを相続してマイナスの財産を一切相続しないという選択をすることはできません。 しかし、亡くなった方の財産をプラスもマイナスも含めて一切相続しない、という選択は可能なのです。 これを相続放棄といいます。

相続放棄をしたいときの手続きの流れと期間

では、相続放棄をしたい場合は、どのような手続きをとればよいのでしょうか。 まず、相続放棄の具体的な手続きの流れをご説明します。

相続放棄の具体的な手続きの流れ

相続放棄申述書の作成

相続放棄をしたい場合は、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があるので、まず、相続放棄申述書を作成する必要があります。 相続放棄申述書の書式は、20歳以上用と20歳未満用とに分かれており、20歳以上用のものについては、することができます。 これを利用して、必要事項を記入することで作成することができます。

相続放棄に必要な書類の収集

家庭裁判所で相続放棄申述書を提出する際には、相続放棄申述書と一緒に、戸籍謄本や住民票等の必要書類を提出しなければならないので、それらの書類を取得しなければなりません。 戸籍謄本は、あなたが、間違いなく亡くなった方の法定相続人であることを確認するため、住民票は亡くなった方が最後に住んでいた住所地を確認するために必要とされています。

相続放棄申述書の提出

相続放棄申述書を提出するのは、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。 相続放棄をされる方が、亡くなった方とは別の地域に住まれている場合でも、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きを行う必要があり、原則として自分が住んでいる近くの家庭裁判所で手続きを行うことはできないので注意が必要です。

家庭裁判所における調査

相続放棄申述書と戸籍謄本等の必要書類を提出すると、家庭裁判所がその内容を確認します。 場合によっては、照会書という形で、裁判所から質問書のようなものが届く場合があり、その場合は、回答をする必要があります。 そして、最終的に、裁判所が問題ないと判断した場合は、相続放棄申述受理通知書という書類が自宅へ郵送されます

相続放棄申述受理証明書の取得

相続放棄をする必要があるのは、亡くなった方に借金がある場合が多いでしょう。 もし相続放棄をした後に、亡くなった方の債権者から返済を求められた場合、その債権者から、あなたが相続放棄をしたことの証明書の提出を求められることがあります。 相続放棄の手続きを行った裁判所では、相続放棄申述受理証明書を発行してもらえますので、相続放棄の手続きが終わった段階で、相続放棄申述受理証明書を取得しておいた方がよいでしょう(この証明書は裁判所から自動的には送られてきません)。

相続放棄にかかる期間

家庭裁判所に相続放棄申述書を提出してから、相続放棄申述受理通知書が届くまでは、提出した書類に問題がない場合で、通常1~2か月くらいです。

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相続放棄にかかる費用

相続放棄を自分で行う場合

相続放棄を自分で行う場合には、必要な書類を集めるための費用と、家庭裁判所に納める費用が必要です。 以下では、申述人一人につき必要となる費用を紹介します。 必要な書類を集めるのにかかる費用は、主に、戸籍謄本や住民票を取得する費用です。 戸籍謄本の交付を役所に請求すると、1通あたり450~750円程度の費用がかかります。 また、亡くなった方の住民票の交付を役所に請求すると、300円程度の費用がかかります。 家庭裁判所で納める必要があるのは、800円の収入印紙と500円程度の郵便切手(裁判所によって多少金額が異なります)です。 このように、相続放棄を自分で行う場合にかかる費用は、合計で約2、000~5、000円程度です。

相続放棄を専門家に依頼する場合

相続放棄の手続きを専門家に依頼したい場合は、司法書士や弁護士に依頼することが考えられます。 司法書士に依頼をした場合の費用の相場は3~5万円程度弁護士に依頼をした場合の費用は3~10万円程度です。 弁護士の方が、司法書士に比べるとやや高い傾向にありますが、必要書類の取得の代行や書類作成の代行が中心の司法書士と異なり、相続放棄を行うかどうかの相談や他の相続人との間の交渉等、相続に伴う様々な問題について合わせて相談を行うことができるというメリットがあります。

相続放棄をする際に知っておきたい5つの注意点

相続放棄には期限がある

相続放棄ができるのは、「相続が開始したことを知ったときから3か月以内」とされており、期限があります。 「相続が開始したことを知ったとき」とは、財産の所有者が亡くなったことを知ったとき及びこれにより自分が法律上相続人となった事実を知ったときのことを指します。 なお、ネット上などでは、亡くなったことを知ったときから3か月過ぎると、一切相続放棄ができないかのような指摘をされている方もおられます。 確かに、民法の条文上はそうなります。 しかし、裁判実務や判例では、亡くなったことを知ったときから3か月以上経過している場合でも、当初、亡くなった人に遺産が全くないと思っていたような場合は、相続を放棄するかどうかの検討すらできなかったことになるため、「亡くなった方の資産や負債の存在を知った時」棄を認める場合があります。 ですから、亡くなったことを知ってから3か月以上経過していても、一切相続放棄ができなくなるわけではないので、すぐに諦めることなく慎重に判断する必要があります。

相続放棄の期限は延長することができる

前述のとおり、相続放棄には期限(これを「熟慮期間」といいます)があります。 しかし、例えば、亡くなった人の土地があちこちにあったり、借金がどれだけあるかわからなかったりするような場合には、3か月以内に相続するか放棄するかの判断ができない場合もあります。 このような場合は、家庭裁判所に申し立てをすることで、この3か月の期限を延長してもらうことができます。 この手続きを「熟慮期間伸長の申し立て」といいます。

相続放棄=遺産放棄ではない

相続人の間で、遺産分割をし、その中で「自分は一切財産を相続しない」という意思表示をすれば相続を放棄したことになる、と勘違いされている方が結構おられます。 しかし、相続放棄は家庭裁判所で行わない限り、効力がありません。 たとえ、相続人間で、財産を一切相続しないという合意をしたとしても、亡くなった方の借金は、法定相続分に応じて相続したことになるのです。 同様に、相続人間で、「借金は全て長男が相続する」という合意をしても、債権者との関係では無効であり、やはり、法定相続分に応じて借金を相続することになるので注意が必要です。

相続放棄は撤回することができない

いったん、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行い、これが受理された場合は撤回することはできません。 財産よりも借金の方が多いと思っていたところ、思わぬ財産が発見されたために、相続しておけばよかった、と思っても、相続放棄が受理された後で撤回することはできないので注意が必要です。

迷ったときは限定承認という方法もある

相続放棄には期限があり、いったん手続きが受理されると撤回できません。 ですから、相続放棄の手続きをするかどうかを決める際には、亡くなった方の財産を、負債(借金)も含めてきちんと調査する必要があります。 しかし、3か月の期間内で、相続をするか放棄を決めるのは難しい場合もあります。 このような場合に、家庭裁判所に申し立てをして期限を延長してもらう方法があるのは、既に述べたとおりですが、それでも相続するか放棄するかを決められない場合は、限定承認という方法もあります。 限定承認とは、財産の額以上の負債は相続しないという意思表示をすることです。 例えば、500万円相当の財産があるが、借金がいくらあるかわからないような場合に、限定承認をすると、仮に、その後調査した結果、借金が700万あることが判明したとしても、返済する義務を負うのは500万円までとなる、という結果になります。 なお、限定承認は、相続放棄と異なり、単独で行うことができず、相続人全員で行う必要がある点に注意が必要です。

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相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができるか

相続放棄をすると、相続人でないことになり、亡くなった方の財産(遺産)は一切受け取ることができません。 しかし、亡くなった方が加入していた生命保険の保険金は、亡くなった方の財産(遺産)ではなく、受取人の財産と考えられているので、あなたが受取人になっていれば、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることは可能です。

生前に相続放棄をすることができるか

親に多額の借金があるときや、相続で他の兄弟と揉めることが予想される場合等に、あらかじめ相続しないことを明確にしておきたいという気持ちから、生前に相続放棄を検討される方もおられると思います。 しかし、生前に、その方の相続についてあらかじめ相続放棄をすることはできません。 あくまで、亡くなった後でしか相続放棄はできないのです。

相続放棄は相続人全員でしなければならないか

相続放棄は単独で行うことができる

法定相続人が複数いる場合に、相続放棄は、他の相続人と一緒にしなければならないのでしょうか。 答えはノーです。 相続を放棄するかどうかは、相続人が単独で判断することができます。 家庭裁判所での手続きも相続人毎に行います。 例えば、亡くなった方に妻と子が2人いる場合には、子のうちの1人だけが相続放棄をすることもできます。 その場合、妻と相続放棄をしなかった子の2人が、相続人となります。

相続放棄と次順位の相続人との関係

相続放棄をすると、その人は始めから相続人でなかったことになります。 そのため、同順位の相続人が全員相続放棄をすると、次順位の相続人に相続権が移ります。 例えば、亡くなった方に子が2人いたとします。 その子が2人とも相続放棄をした場合、亡くなった方の相続権は、次順位の相続人である亡くなった方の両親に移ります。 亡くなった方の両親が既に他界している場合や、相続放棄をした場合は、さらに次の順位の相続人である、亡くなった方の兄弟姉妹に相続権が移ります。 亡くなった方に借金があった場合、先順位の相続人が相続放棄すると、次の順位の相続人に借金の請求が行く可能性がありますが、次順位の相続人は、先順位の相続人が相続放棄をしたことを知らない可能性もあるので、先順位の相続人は、自分の相続放棄が家庭裁判所に受理されたときは、次順位の相続人に相続放棄をした旨を伝えておいた方がよいでしょう。

相続放棄では代襲相続は起こらない

亡くなった方に子がいたが、子の方が先に亡くなっていた場合に、その子に子(亡くなった方からみると孫)がいれば、その子(孫)が、亡くなった方の財産を相続する権利があります。 これを代襲相続といいます。 そのため、亡くなった方の子が相続放棄をした場合にも、孫が代襲相続するのではないかと考える方もおられるかもしれませんが、相続放棄の場合には代襲相続は起きません

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甥姪が相続放棄を検討しなければならない場面

亡くなった方の甥姪が相続放棄を検討しなければならない場面には2つの場面があります。 1つ目は、亡くなった方の子や孫、両親等が既に亡くなっていた場合に、亡くなった方の兄弟姉妹も既に亡くなっていて、その兄弟姉妹に子(亡くなった方からみると甥姪)がいる場合です。 この場合、甥姪が、亡くなった方の兄弟姉妹の代襲相続人として、第1順位の法定相続人となります。 2つ目は、亡くなった方に子や孫、両親等、先順位の相続人がいたが、その方々が全員相続放棄した場合で、亡くなった方の兄弟姉妹が既に亡くなっている場合です。 この場合、先順位の相続人の相続放棄により、甥姪に相続権が回ってきます。 いずれの場合も、相続人である甥姪からみると、亡くなった方は叔父叔母にあたるので、その財産を詳しく把握していることはあまりないでしょう。 そのため、財産を相続したものの、後から思わぬ借金が発覚してしまったということが十分あり得るので、甥姪が叔父叔母の財産を相続する際には、注意が必要です。

相続放棄の手続きを自分で行うことができるか

相続放棄の手続き自体は、必要書類をきちんと集めることができ、相続放棄申述書さえ作成できれば、自分で行うことは可能です。 ただ、相続放棄をする前に、亡くなった方の財産の一部を使ってしまったり、亡くなった方の財産から借金を返済したりすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。 相続放棄の手続き自体は自分で行うこともそれほど難しくありませんが、相続放棄が認められないという結果になってしまわないよう、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

相続放棄の手続きを専門家に依頼する際のメリットとデメリット

相続放棄の手続きを専門家に依頼すると費用がかかってしまうというデメリットがあります。 ただ、専門家に依頼することで、相続放棄の手続きに必要な書類の取得や、家庭裁判所に提出する書類の作成など、面倒な手続きを全て代わって行ってもらえるというメリットもあります。 特に、相続放棄には3か月という期限があることから、期限を過ぎてしまわないようにするという意味でも手続きに慣れている専門家に依頼するメリットがあります。 また、相続放棄を行うかどうかを悩んでいる場合には、専門家、特に弁護士に相談することで、相続放棄を行うべきかどうかのアドバイスをしてもらうことができます。 亡くなった方に借金があり、相続放棄をするしかないと思っていても、高利の借金であったために返済する必要がないとか、交渉などで借金額を減額できる場合、結果として相続放棄をする必要がない場合もあります。 また、相続放棄の期限の延長請求をしたり、限定承認を選択したりする場合もあります。 このように、本当に相続放棄を行うのがベストな手段かどうかを、専門家に判断してもらうということは重要です。

まとめ

相続放棄は手続き自体はそれほど難しくないため、自分で行おうと思われる方も少なくありません。 しかし、専門知識がなかったために、せっかく手続きをしたのに、認められなかったり、逆に、専門知識がないために、相続放棄ができないと思い込んでしまったりした結果、本来相続しなくてもよかった借金を背負ってしまうことになると、その後ずっと後悔してしまうことになります。 亡くなった方の財産を相続するか放棄するかの判断には、きちんとした調査と、専門的な知識が欠かせません。 ですから、少しでも不安な点があるときには、早めに弁護士等の専門家に相談されることをおすすめします。

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この記事を書いた人

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