相続放棄は弁護士と司法書士どっちがいい?違いは?費用相場と流れ
相続放棄の手続きは弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきでしょうか?
それぞれに依頼した場合の流れや、費用の違いに触れながら説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年7月17日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
相続放棄の手続きは弁護士または司法書士に依頼できる
相続放棄の手続きは弁護士又は司法書士に依頼できます。
行政書士等の他の専門家に依頼することはできません。
相続問題でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください
相続放棄の手続きを依頼するなら、弁護士?司法書士?
それでは、相続放棄の手続きを依頼するなら、弁護士と司法書士のどちらがよいのでしょうか?
それぞれのメリットについて説明します。
司法書士ではなく弁護士に依頼するメリット
相続放棄の手続きを、司法書士ではなく、弁護士に依頼するメリットとして、次のような点が挙げられます。
- 相続放棄をすべきかどうかについても相談できる
- 受理の可能性が高まる
- 手間がかからない
- 相続債権者が相続放棄の無効を主張してきた場合にも対応できる
以下、それぞれについて説明します。
相続放棄をすべきかどうかについても相談できる
相続債務に法外な金利が設定されていて過払い金が生じていたとか、交渉などで借金額を減額できる場合、結果として相続放棄をする必要がない場合もありますが、弁護士には、相続放棄をすべきかどうかということも含めて相談できます。
また、弁護士は、亡くなった人の財産について、弁護士会を通じて金融機関や行政機関等に対して情報開示を求める「弁護士会照会」(23条照会)が可能なので、相続放棄をするかどうかの判断材料となる相続財産調査を精度高く行うことができます。
受理の可能性が高まる
相続放棄の手続きは、家庭裁判所で行います。
家庭裁判所が問題ないと判断すれば受理されますが、亡くなってから3か月以上が経っていたり、相続財産を処分してしまっていたりなど、相続を承認したとみなされる可能性のある事情が存在する場合は、受理されないこともあります。
家庭裁判所に提出する書類の記載内容などによって受理するかどうかを判断されるため、受理されないかもしれないような事情がある場合は、弁護士が記載内容を工夫することによって、受理の可能性を高めることができます。
手間がかからない
相続放棄の手続きは、まず、家庭裁判所に申述書と添付書類等を提出します。
そうすると、家庭裁判所から照会書が郵送されてくるので、照会書に記入して返送します。
稀に、家庭裁判所から出頭要請があることもあります。
弁護士に依頼すると、申述書の作成や添付書類を収集する手間が省けますし、照会書も弁護士の方に送られてくるので(本人に送られてくる場合もあるので、その場合は弁護士に転送します)、弁護士が記入して返送してくれます。
また、出頭要請がある場合も、家庭裁判所から弁護士に直接連絡がいき、弁護士が出頭してくれるので、取り次ぐ手間すらかかりません。
司法書士の場合は、相続放棄照会書・回答書は、必ず本人に届きます(司法書士に届くことはありません)。
また、相続放棄照会書・回答書は、弁護士なら本人を代理して記入することができますが、司法書士は本人を代理して記入することはできません(相続放棄申述書は司法書士が作成を代行することができますが、照会書・回答書については司法書士が作成を代行することはできないことにご注意ください。)。
司法書士に相続放棄申述受理申立の代行を委任した場合は、照会書・回答書については、司法書士に文案を作成してもらい、それを本人が自書することになるでしょう。
つまり、相続放棄の手続きは、司法書士よりも弁護士に頼んだ方が、手間がかからないということになります。
相続債権者が相続放棄の無効を主張してきた場合にも対応できる
相続放棄が受理された後、相続債権者(亡くなった人の債権者)が、相続放棄の無効を主張して、相続債務の弁済を求めてくることがあります。
そのような場合にも、弁護士に対応を依頼することができます(費用は別途必要)。
弁護士でなく司法書士に依頼するメリット
弁護士でなく司法書士に依頼するメリットは、費用が安いことが多い点です。
費用の相場は、司法書士は3万~5万円くらいで、弁護士は3万~10万円くらいです。
費用を重視したい場合は、司法書士に分がありますが、弁護士でも安く対応してくれる事務所はあります。
弁護士も含めて、いくつかの事務所の費用を電話で確認して比べてみるとよいでしょう。
当サイトにも相続放棄に対応している弁護士を掲載しています。
しかし、亡くなってから3か月以上が経っていたり、相続財産を処分してしまっていたりなど、相続を承認したとみなされる可能性のある事情が存在する場合は、相続放棄が受理されなかったり、受理されたとしても債権者等から無効主張されることもあるため、慎重に対応する必要があり、このような事情のある場合は特に、費用だけで専門家を選ぶべきではありません。
まとめ
以上、相続放棄の手続きを依頼する専門家の選び方について説明しました。
基本的には弁護士に依頼した方がメリットが多いのですが、受理されないような事情がまったくなく、手間をかけてでも費用を押さえたい場合は司法書士に依頼するとよいでしょう。
この記事を書いた人
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