税理士監修記事

相続税の電子申告のメリットと手続きを税理士がわかりやすく説明

2019年以降に開始した相続の相続税について、電子申告が可能になったことをご存じの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続税の電子申告のメリットと手続きについて、税理士がわかりやすく説明します。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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電子申告とは?いつからできる?

はじめに、電子申告とはどういうものかについて簡単に説明します。

電子申告とは、「国税電子申告・納税システム」(e-Tax)を用いて、インターネット経由で税の申告をすることをいいます。

電子申告は比較的新しい制度で、以前は、紙の申告書を提出する方法だけでした。

2004年に所得税や法人税、消費税等について電子申告が開始され、相続税については2019年以降に開始した相続について電子申告ができるようになりました。

なお、一定の法人が行う法人税等の申告は、2020年から紙の申告が廃止され電子申告が義務化されましたが、相続税については紙の申告と電子申告のどちらも認められています。

相続税の電子申告のメリット(自分で申告する場合)

相続税の申告は、紙の申告と、電子申告とどちらがよいのでしょうか?

電子申告のメリットは、実は、税理士が代理申告する場合は大きいのですが、自分で申告する場合はあまり大きくありません。

税理士が代理申告する場合については後述します。ここでは、自分で申告する場合のメリットについて説明します。

自分で電子申告するメリットとして次の点が挙げられます。

  • 書類を印刷したり、税務署に持参・郵送する手間がかからない
  • 提出書類をデータで管理できる
  • 電子納税の手続きが簡単になる
  • 本人確認書類が不要
  • 税務署の開庁時間外でも提出できる

これらの点について、以下、それぞれ説明します。

書類を印刷したり、税務署に持参・郵送する手間がかからない

電子申告の場合は、申告内容をデータで送信するので、紙の申告の場合のように、書類を印刷して税務署に持参したり郵送したりする手間が生じません。

ただし、e-Taxで送信できない書類もあり、そのような書類の提出が必要なケースでは、別途、紙で提出しなければなりません。

また、元々、紙で存在する書類については、電子化(PDF)する手間が生じます。

提出書類をデータで管理できる

電子申告の場合は、申告内容がデータで残るため、紙ではなくデータで管理することができます。

普段から資料等をパソコンで管理することに慣れている人にとっては、紙よりもデータの方が管理しやすいでしょう。

パソコンに不慣れな方には、電子申告はお勧めできません。

電子納税の手続きが簡単になる

電子納税とは、インターネットバンキング等の方法によって税金を納付することです。

電子納税はインターネットに接続できる環境があればどこでも行えるため、納税のために税務署や金融機関に行く手間が省けて便利です。

紙の申告書で申告した場合でもe-Taxで「納付情報登録依頼」を作成・送信することで電子納税をすることできますが、電子申告の場合は「納付情報登録依頼」の作成・送信が不要となります。

本人確認書類が不要

紙の申告書を提出する場合は、本人確認書類として、マイナンバーカード、又は、番号確認書類及び身元確認書類の提示又は写しの提出が必要ですが、電子申告の場合は本人確認書類が不要です。

なお、番号確認書類とは通知カードやマイナンバーの記載された住民票の写し等のこといい、身元確認書類とは公的医療保険の被保険者証や運転免許証、パスポート等のことをいいます。

なお、電子申告の場合に本人確認書類が不要になるといっても、代わりに、後述のとおり、利用者識別番号や電子証明書の取得が必要となります。

税務署の開庁時間外でも提出できる

紙の申告書を税務署に持参して提出する場合は、税務署の開庁時間(平日8時半~17時)内でなければその場で受け付けてもらうことはできませんし、混んでいる場合は順番を待たなければなりません。

この点、電子申告は開庁時間外も送信することができますし(ただし、e-Taxが利用できない時間帯あり。詳しくはこちらのページを参照)、待ち時間もありません。

しかし、紙の申告書の場合も、郵送の場合や時間外収受箱に投函する場合は、開庁時間にかかわらず提出することができます。

したがって、この点は、電子申告固有のメリットというわけではありません。

Macでは電子申告できない

相続税の電子申告には、e-Taxソフトをパソコンにインストールしなければなりません。

e-Taxの利用に当たり、受付システムについては、オペレーティングシステム(OS)及びWWWブラウザに関して、次のような環境を推奨しています。推奨環境とは、国税庁において動作を確認した環境です。

Microsoft EdgeEdge HTML

OSブラウザPDF閲覧
Microsoft Windows 8.1Microsoft Internet Explorer 11Adobe Acrobat Reader DC
Microsoft Windows 10
  • Microsoft Internet Explorer 11
  • Microsoft Edge(Edge HTML)

なお、Mac OS を利用の方は、e-Taxソフトを利用できません。

相続税の電子申告の流れ

相続税の電子申告の流れは、概ね次のとおりです。

  1. 利用者識別番号の取得
  2. 電子証明書の取得
  3. e-Taxソフトのインストール
  4. 申告データを作成・送信する
  5. 送信結果を確認する

詳しくは、e-Taxウェブサイトの「ご利用の流れ」のページをご参照ください。

なお、e-Taxウェブサイトの「ご利用の流れ」のページは、相続税に限らず、あらゆる国税の電子申告手続きの流れについて説明したページです。

「手続を行うソフト・コーナーを選ぶ」の項目に、様々なソフトが記載されていますが、相続税の電子申告にはe-Taxソフトを利用します。

申告義務者が複数いる場合

一つの相続について相続税の申告義務者(相続人など)が複数いる場合は、次のような流れで申告します。

  1. 代表者がe-Taxソフトで申告書データを作成・送信
  2. 代表者が作成した申告書データを他の申告義務者に送信
  3. 申告書データを受信した申告義務者は、それぞれ、申告書データをe-Taxソフトに取り込み、電子署名をして送信

相続税の電子申告についてのよくある質問

相続税の電子申告についてのよくある質問とその回答については、e-Taxウェブサイトのこちらのページをご参照ください。

電子申告で提出できる書類

相続税申告の電子申告で提出できる帳票は次のとおりです。

  • 相続税の申告書(第1表)(平成31年1月分以降用)
  • 相続税の申告書(続)(第1表(続))(平成31年1月分以降用)
  • 還付される税額の受取場所(第1表の付表2)(平成31年1月分以降用)
  • 相続税の総額の計算書(第2表)(平成27年分以降用)
  • 相続税額の加算金額の計算書(第4表)(平成31年1月分以降用)
  • 相続税額の加算金額の計算書付表(第4表の付表)(平成31年1月分以降用)
  • 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書(第4表の2)(平成31年1月分以降用)
  • 配偶者の税額軽減額の計算書(第5表)(平成21年4月分以降用)
  • 未成年者控除額・障害者控除額の計算書(第6表)(平成27年分以降用)
  • 相次相続控除額の計算書(第7表)(平成21年4月分以降用)
  • 外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書(第8表)(平成31年1月分以降用)
  • 生命保険金などの明細書(第9表)(平成21年4月分以降用)
  • 退職手当金などの明細書(第10表)(平成21年4月分以降用)
  • 相続税がかかる財産の明細書(相続時精算課税適用財産を除きます。)(第11表)(平成31年1月分以降用)
  • 相続時精算課税適用財産の明細書・相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書(第11の2表)(平成24年4月分以降用)
  • 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書(第11・11の2表の付表1)(平成31年1月分以降用)
  • 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書(続)(第11・11の2表の付表1(続))(平成31年1月分以降用)
  • 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書(別表)(第11・11の2表の付表1(別表1))(平成31年1月分以降用)
  • 債務及び葬式費用の明細書(第13表)(平成30年分以降用)
  • 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書(第14表)(平成30年分以降用)
  • 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書(第14表)(平成31年4月分以降用)
  • 相続財産の種類別価額表(第15表)(平成30年分以降用)
  • 相続財産の種類別価額表(続)(第15表(続))(平成30年分以降用)
  • 相続税の申告書等送信票(兼送付書)
  • 税理士法第33条の2第2項に規定する添付書面(平成20年9月1日以降提出分)
  • 税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面(平成20年9月1日以降提出分)
  • 税務代理権限証書(平成27年7月1日以降提出分)

e-Taxに対応していない申告書の提出が必要な場合であっても、電子申告を行うことは可能です。

この場合、e-Taxに対応している申告書については、電子データを送信し、e-Taxに対応していない申告書については、別途、書面で提出することになります。

また、e-Taxに対応していない申告書を書面で提出する場合には、その申告書とともに、出力した「相続税の申告書等送信票(兼送付書)」を提出してください。

「相続税の申告書等送信票(兼送付書)」は、以下のとおり e-Tax のメッセージボックス内に格納されている受信通知からダウンロードすることができます。

また、イメージデータ(PDF形式)により提出可能な添付書類については、こちらの資料をご参照ください。

税理士が電子申告する場合

依頼を受けた税理士が代理で電子申告する場合は、納税者が自分で電子申告する場合と、次の点が異なります。

  • 1回の操作で複数人のデータをまとめて送信できる
  • 納税者の電子署名が不要

納税者が複数いる場合に、自分たちで申告する場合は、前述のとおり、各自がそれぞれ電子署名をして送信しなければなりませんでした。

依頼を受けた税理士が電子申告する場合は、税理士が電子署名をすることで、納税者の電子署名が不要になります。

そして、納税者一人一人の分を個別に送信する必要もなく、1回の操作で最大9人分のデータを送信できます(10人以上の場合も複数回に分けて送信することで電子申告が可能)。

このように、電子申告は、税理士に依頼した際に、最大限にその利便性を活かすことができるシステムになっています。

税理士による電子申告について詳しくは、国税庁作成の「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」もご参照ください。

まとめ

以上、相続税の電子申告について説明しました。

相続税申告は税理士に依頼した方が面倒がなく、また、相続税を安くできたり、税務調査が入る可能性が下げられたりといったメリットもあります。

当サイト等を利用して、相続税に精通した税理士を探して相談してみるとよいでしょう。

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