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相続税が時効になることを期待する前に絶対に知っておくべき8のこと

相続税が時効になることを期待する前に知っておきたいこと

相続税には時効があり、その期間を過ぎると税の徴収権は消滅します。

しかし、相続税の時効を狙って相続税を申告・納付しないでいると、追徴課税や刑事罰を受ける可能性があります。リスクが高いのでやめておきましょう。

また、相続税の無申告は税務署にバレます。税務署は税務調査を行っており預貯金の履歴なども見ることが可能です。

今回は、相続税の時効について、知っておきたいアレコレを紹介します。また、相続税を払いすぎてしまった場合の返還手続きの時効なども解説します。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2019年1月18日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続税の時効期間は5年?7年?10年?

相続税に限らず税金は一定期間納付せずにいると時効になって納付する必要がなくなります。

時効が成立するまでの期間は、税の種類によって異なりますが、相続税の場合は、5年または7年です。

偽りその他不正の行為により税を免れた場合は7年、それ以外の場合は5年です。

簡単に言うと、納付しなければならないことを知っていたのに納付しなかった場合は7年納付しなければならないことを知らなかった場合は5年です。

ちなみに、相続税法や関連法規のことをよく知らなかっただけでは、納付しなければならないことを知らなかった場合には該当しません。

したがって、5年になるケースはあまり想定できないのですが、相続したことすら認識していなかった場合とか、申告したが額が過少だった場合が考えられます。

なお、稀に時効期間は10年がではないのかと質問を受けることがありますが、前述の通り、5年または7年であり、10年ではありません(一般債権の時効期間が10年なので、そのような誤解が生じたものと思われます)。

相続税の時効期間の起算日

相続税の時効期間はいつから数えるのでしょうか。期間を数え始める日のことを起算日と言います。

相続税の時効期間の起算日は、相続税の法定申告期限の翌日です。

相続税の法定申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続は基本的には死亡によって開始するので、相続税の法定申告期限は、基本的には、相続人が被相続人(亡くなって財産を残す人)の死亡を知った日の翌日から10か月後となります。

したがって、相続人が被相続人の死亡を知った日が2018年1月1日であるとしたら、その翌日である2018年1月2日から10か月以内である2018年11月1日が相続税の法定申告期限となり、この日から5年または7年を経過する日以降は時効によって納付の必要はなくなります。

そして、民法に初日不算入というルールがあって初日は算入しないことになっているので、法定申告期限である2018年11月1日の翌日である2018年11月2日から算入するので、この日が相続税の時効期間の起算日となります。

そして、起算日から5年または7年を経過する日である2023年11月1日または2025年11月1日をもって時効が完成し、この日以降は、この相続税の申告や納付を求められることはなくなります。

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相続税の時効の中断

時効は次に掲げる事由によって中断します。

  • 請求
  • 差押え、仮差押え又は仮処分
  • 承認

中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たに進行を始めます。

しかし、相続税を含め、税金の時効は、正確に言うと、時効ではなく、除斥(じょせき)期間であり、時効にあるような中断の制度はありません。

したがって、税務署から請求を受けようと、税務署に対して納税を承認しようと、時効が中断することはありません。

払い過ぎた相続税を返してもらう手続きの時効は5年

既に行った申告について、税額等が過大であった場合には、減額更正を求めることができます。

この請求を「更正の請求」と言います。

相続税の更正の請求の手続きの提出時期は、法定申告期限から5年以内です。

ただし、後発的理由などにより更正の請求を行う場合には、それらの事実が生じた日の翌日から2か月又は4か月以内です。

なお、平成23年12月1日以前に法定申告期限が到来する申告については、法定申告期限から1年以内が提出時期とされていましたが、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する申告から期間が延長されました。

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名義預金に対する税の時効

口座名義人が被相続人でなくても、被相続人が口座を管理している等して真の預金者である場合、その預金は名義預金として、相続税の課税対象となります。

名義預金とは、口座名義人と真の預金者が異なる預金のことです。

名義預金にかかる相続税も、他の遺産にかかる相続税と同様、時効にかかります。

しかし、名義預金は時効にかからないという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

これは、贈与税の時効のことです。

名義預金は、贈与が成立しておらず、贈与税の課税対象ではないので、当然、贈与税の時効にかかることもありません。

相続税の税務調査の時期

相続税の税務調査の対象となった場合、通常、申告の翌年か翌々年の8月~11月に税務署から連絡がきます。

この時期を過ぎると、税務調査が入る可能性は格段に低くなります。

そして、申告期限から5年が経過すると、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合を除き、時効によって徴収権が消滅するので、税務調査が入る可能性はまったく無くなります。

ちなみに、相続税の申告をしたかどうかにかかわらず、税務調査が入る可能性があります。

平成28事業年度(平成28年7月~平成29年6月)の実地調査件数は12,116件であり、971件が無申告事案に係る調査です。

平成28事業年度の調査は、平成26年に発生した相続を主な対象としていますが、平成26年の相続税の申告書(相続税額があるもの) の提出に係る被相続人数は56,239人なので、約2割の確率で税務調査が入っている計算になります。

なお、実地調査の結果、申告漏れ等が見つかった件数(非違件数)は9,930件、非違割合は82.0%です。

つまり、実地調査があると、8割以上の割合で申告漏れ等が見つかっているのです。

相続税の税務調査では過去何年分の通帳が調査される?

税務調査では、預金口座の残高や出入金履歴が調査されますが、税務署は、相続人から通帳を差し出してもらわないと調査できないわけではありません。

相続人が知らないところで、金融機関から口座残高や出入金履歴の情報を得ることができるのです。

調査される出入金履歴の期間については、過去5年から10年分です。

被相続人の口座だけでなく、相続人の口座も調査されます。

したがって、調査されることを前提に、申告前に、税理士に被相続人と相続人の過去5年から10年分の通帳をチェックしてもらい、申告漏れのないようにしておくことが重要です。

調査の通知が来てから申告漏れが発覚すると、延滞税や加算税がプラスされてしまいます。

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相続税を期限内に申告・納付しなかった場合の罰則

相続税の時効を狙って、相続税を申告・納付しないでいると、追徴課税や刑事罰を受ける可能性があります。

追徴課税

追徴課税には、加算税と延滞税があります。

この2つの違いをざっくりと説明すると、加算税とは適切に申告しなかった人に対して加算される罰則的な意味合いの税金で、延滞税とは適切に納付しなかった人に対する利息的な意味合いの税金です。

適切に申告しない場合は、納付も適切に行えていないでしょうから、加算税と延滞税の両方が課せられることになります。

また、申告は適切に行ったものの、納付しなかった場合は、延滞税が課せられることになります。

加算税

加算税には、次の4つの種類があります。

  • 無申告加算税
  • 過少申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

このうち不納付加算税は、申告ではなく納付に関係する加算税で、源泉所得税に関するものなのですが、相続税とは関係がないので、ここではそれ以外の3つについて説明します。

無申告加算税

無申告加算税は、申告を行うべきケースであるにもかかわらず、申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに申告を行わなかった場合に課せられる加算税です。

税率は、本来納付すべきだった税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。

例えば、本来納付すべき税額が100万円だった場合の無申告加算税は次の式で計算することができます。

50万円×15%+(100万円-50万円)×20%=17万5千円

なお、税務調査によらず自主的に期限後申告を行った場合は、税率は一律5%に軽減されますが、平成 29 年1月1日以後に法定申告期限等が到来する期限後申告書等にかかる国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正又は決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に10%(50 万円を超える部分は 15%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課すこととされました。

過少申告加算税

過少申告加算税は、申告はしたが申告した税額が過少であった場合に課せられる加算税です。

税率は、新たに納めることになった税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。

なお、税務調査によらず自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課されませんが、平成 29 年1月1日以後に法定申告期限等が到来する修正申告書等にかかる国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に5%(期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分は 10%)の 割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課すこととされました。

重加算税

重加算税は、事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合や、仮装に基づいて過少申告を行った場合に課せられる加算税です。

単なる申告漏れではなく、相続財産を隠して脱税しようとしたような場合が対象です。

税率は、無申告の場合が40%で、過少申告の場合が35%と大変重くなっています。

延滞税

延滞税は、前述の通り、納税が遅れた場合に課せられる利息的な意味合いの税金です。延滞税は、納付期限の翌日から納付の日まで課せられます。

税率は、納付期限から2か月以内とそれ以降とで異なり、また、世の中の金利とも連動して変動します。

世の中の金利が高い場合は特例基準割合も高く、世の中の金利が低い場合は特例基準割合も低くなります。上限値でいうと、納付期限から2か月以内が7.3%、それ以降が14.6%です。

しかし、2018年現在は、世の中の金利が低いので、延滞税の税率も上限値よりも低くなっていて、2か月以内が2.6%、それ以降が8.9%となっています。

刑事罰が科せられる可能性もある

相続税を脱税すると、前述の重加算税や延滞税が課せられるだけでなく、裁判で有罪となった場合には、懲役や罰金が科せられる可能性があります。

法定刑は、故意に税を免れる意思があり申告しなかった場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が、故意に税を免れる意思はなかった場合でも1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

まとめ

相続税の時効を狙って完成させることは基本的にはほぼ不可能です。

あり得るとすれば、丁寧に申告したものの、申告者も気付かないごく僅かな申告漏れが生じたが、丁寧に申告されていたために税務調査の対象ともならず、誰も気が付かないまま、時効期間が経過したというようなケースでしょうか。

相続税の申告は、時効など狙わずに、経験豊富な相続専門の税理士に依頼して、丁寧に申告することを強くお勧めします。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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