弁護士監修記事

直系尊属とは。範囲を図でわかりやすく図解!直系卑属等との違いも

相続のことを調べていると「直系尊属」という言葉に出くわすことがあります。

例えば、第二順位の法定相続人は直系尊属であるとか、直系尊属からの贈与は一定の要件を満たすと非課税になるとかといった規定が出てきます。

このように、「直系尊属」という言葉は度々出てくるので、この機会に、直系尊属の定義についてしっかりと理解しておきましょう。

また、血族、姻族、親族といった用語についても併せて説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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直系尊属とは?

直系尊属(ちょっけいそんぞく)とは、父母、祖父母、曽祖父母、高祖父母など、直接の祖先の系列に当たる人のことをいいます。

なお、曽祖父母(そうそふぼ)とは、ひいお爺さん・ひいお婆さんのことで、高祖父母(こうそふぼ)とは、ひいひいお爺さん・ひいひいお婆さんのことです。

高祖父母のよりも上の世代の直系尊属は、遡るにつれて、五世の祖(ごせいのそ)、六世の祖、七世の祖というように数字が増えていきます。

直系尊属の「直系」とは、世代の上下方向に真っ直ぐつながる系統のことをいいます。

なお、直系の対義語は「傍系」(ぼうけい)といって、兄弟姉妹によって枝分かれした系列のことをいいます。

直系尊属の「尊属」とは、自分よりも上の世代の血族(けつぞく)のことをいいます。

血族とは、血縁関係にある人のことですが、これには、生物学上の血縁(自然血族)だけでなく、養子縁組による法律上の血族(法定血族)も含まれます。

実の親子は、勿論、血族ですが、血のつながっていない養親と養子も血族です。

したがって、養親、養親の実親、実親の養親、養親の養親などもすべて直系尊属です。

尊属には、直系尊属のほかに、傍系尊属があります。

傍系とは、前述のとおり、兄弟姉妹によって枝分かれした系列のことをいうので、傍系尊属とは、兄弟姉妹によって枝分かれした系列で、かつ、自分よりも上の世代の血族のことをいいます。

例えば、伯叔父母(おじ・おば)、伯叔祖父母(大おじ・大おば ※祖父母の兄弟姉妹)、従伯叔父母(いとこおじ・いとこおば ※親のいとこ)等が傍系尊属に当たります。

尊属の対義語は「卑属」(ひぞく)といって、卑属とは自分よりも下の世代の血族のことをいいます。

卑属も尊属と同様に、直系と傍系に分類できます。

直系卑属とは、直接の子孫の系列に当たる人のこといいます。

直系卑属の各世代の名称は、子、孫、曽孫(そうそん、ひまご)、玄孫(げんそん、やしゃご)、来孫(らいそん)、昆孫(こんそん)、仍孫(じょうそん)、雲孫(うんそん)となります。

名称があるのは雲孫までで、その下は、雲孫の子、雲孫の孫などと表現することになります。

また、卑属にも、尊属と同様に傍系があります。

例えば、甥・姪、大甥・大姪(おおおい・おおめい ※兄弟姉妹の孫)、従甥姪(いとこおい・いとこめい ※いとこの子)等が傍系卑属に当たります。

なお、同世代である兄弟姉妹、従兄弟姉妹(いとこ)、再従兄弟姉妹(はとこ)等は、尊属でも卑属でもなく、傍系血族です。

様々な単語の定義を説明しましたが、それぞれの単語の関係を足し算の式で表すと以下のようになります。

  • 「直系血族」=「直系尊属」+「直系卑属」
  • 「傍系血族」=「傍系尊属」+「傍系卑属」+「同世代の傍系血族」
  • 「血族」=「直系血族」+「傍系血族」
  • 「尊属」=「直系尊属」+「傍系尊属」
  • 「卑属」=「直系卑属」+「傍系卑属」

また、直系尊属の範囲を図で表すと、次のようになります。

姻族とは?

相続等の家族法関係のことを調べていると、先ほど説明した「血族」以外に、「姻族」(いんぞく)という言葉に出くわすことがあるでしょう。

姻族とは、配偶者の血族と、血族の配偶者のことです。

配偶者とは、夫または妻のことで、事実婚状態の内縁者は配偶者ではありません。

離婚した元配偶者も配偶者ではありません。

つまり、配偶者と離婚すると、配偶者の血族との姻族関係は終了します。

配偶者が死亡した場合は、配偶者の血族との姻族関係は自動的には終了せず、姻族関係終了届を役場に提出ことで、死別した配偶者の血族との姻族関係を終了させることができます(「姻族関係終了届の効果やメリット・デメリット等をわかりやすく説明!」参照)。

配偶者の血族には、例えば、配偶者の父母(義父・義母)や、配偶者の兄弟姉妹(義兄・義弟・義姉・義妹)、配偶者の連れ子等が含まれます。

なお、配偶者の連れ子は、養子縁組をすれば、姻族ではなく血族になります。

血族の配偶者には、例えば、子の配偶者(婿・嫁)や、兄弟姉妹の配偶者、親の再婚相手等が含まれます。

親の再婚相手も養子縁組をすれば、姻族ではなく血族になります。

なお、配偶者の血族の配偶者(例えば、夫の兄嫁など)は姻族ではありません。

姻族も、血族と同様、直系姻族と傍系姻族に分類することができます。

直系姻族とは、世代の上下方向に真っ直ぐつながる姻族のことで、例えば、親の再婚相手、子の配偶者、配偶者の親、配偶者の連れ子等が該当します。

傍系姻族とは、兄弟姉妹によって枝分かれした系列の姻族のことで、例えば、兄弟姉妹の配偶者、伯叔父母の配偶者、甥姪の配偶者、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の伯叔父母、配偶者の甥姪などが該当します。

なお、尊属、卑属という分類は姻族には存在しません。

尊属、卑属で表されるのは血族のみです。

親族とは?

紛らわしい用語がもう一つあるので、説明しておきます。

親族について、民法では、次のように定められています。

725

次に掲げる者は、親族とする。

一  六親等内の血族

二  配偶者

三  三親等内の姻族

「親等」という言葉が出てきたので、親等についてまず説明します。

親等(しんとう)とは、親族関係の法的な遠近を表す単位のことです。

親等が小さければ法的に近い親族関係であるということが言え、親等が大きければ法的に遠い親族関係であるということが言えます。

親等は、親子関係を経るごとに1親等を加えて数えます。

例えば、父母や子は1親等です。

祖父母は、親の親なので、2親等です。

孫は、子の子なので、2親等です。

兄弟姉妹は、親の子なので、2親等です。

伯叔父母(伯父(親の兄)、叔父(親の弟)、伯母(親の姉)、叔母(親の妹)の総称。要するに「おじ」「おば」のこと。)は、親の親の子なので、3親等です。

なお、親等を素早く数えるには、兄弟姉妹は2親等と覚えておくとよいでしょう。

先ほどの例では、伯叔父母(おじ・おば)の親等を数えるときに、親の親の子で3親等と数えましたが、兄弟姉妹は2親等と覚えておくと、親の兄弟姉妹だから1親等+2親等=3親等と計算することもできます。

親族に話を戻すと、親族には六親等内の血族が含まれますから、六親等以内の血族は、血族であり、親族であることになります。

七親等以上の血族は、血族には違いありませんが、親族ではないということになります。

また、配偶者や三親等以内の姻族は、血族ではありませんが、親族には該当します。

親族の範囲を家系図で示すと下図のようになります。

枠で囲ってあるのが親族です。

丸囲いの数字が親等です。

焦げ茶色の枠が6親等以内の血族で、桃色の枠が3親等以内の姻族です。

枠で囲っていない人は親族ではありません。

例えば、従兄弟姉妹(いとこ)の配偶者は4親等の姻族ですが、親族に含まれる姻族は3親等までなので、従兄弟姉妹の配偶者は姻族ではありません。

また、配偶者の兄弟姉妹の配偶者は、姻族ではないので、当然、親族でもありません。

まとめ

以上、直系尊属について説明しました。

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