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代償分割により相続税を節税して贈与税も課税されないようにする方法

代償分割

遺産のほとんどが不動産というケースは相続においてよく見られます。

不動産が分割しにくい財産であることから最も揉めやすいケースの一つです。

特に、不動産を共有(共同で所有すること)状態で相続してしまうと、相続人の代だけでなく、相続人の子の代まで共有状態が続く可能性があり、後々のトラブルにつながりかねません。

そのような場合に、「代償分割」という方法を利用して、円滑に遺産分割を進める方法があります。

ここでは、代償分割による遺産分割の方法や、そのメリットとデメリット、代償分割をした際の相続税など、代償分割を検討する際に知っておくべきポイントについてご説明します。

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[ご注意]
記事は、公開日(2018年10月11日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

代償分割とは?

代償分割とは遺産分割における分割方法の一つです。

相続人の一人がある相続財産を相続する代わりに、他の相続人に金銭(これを代償金といいます)または代償財産を支払うという合意をするのが代償分割です。

分割方法には、代償分割の以外に、相続財産をそのまま分割する現物分割や、相続財産を売却してその売却金を分割する換価分割があります。

遺産分割で代償分割の利用をおすすめするケース

代償分割は、遺産が分けにくいような場合に適しています。

例えば、遺産の大部分が不動産の場合、不動産を共有にすると、後で売却するかどうか等の点について相続人の間で揉める可能性があるため、それを避けるために、相続人の一人が相続する代わりに、他の相続人には代償金を支払うというような場合です。

具体的には以下のようなケースが考えられます。

  •  唯一の遺産が自宅しかなく、相続人が複数いるために分割しにくい。

→解決法:自宅を相続する相続人が他の相続人に代償金を支払う。

  •  遺産が預金(2,000万)と賃貸用不動産(時価1億円相当)で相続人が3人いるため、賃貸用不動産を分割するのが難しい。

→解決法:相続人の1人が賃貸用不動産を相続し、他の2人に代償金を支払う。

  •  被相続人が事業を営んでいたため遺産の大部分が事業用の不動産であり、相続人が複数人いるところ、事業用の不動産は事業を引き継ぐ相続人が単独で相続したい。

→解決法:事業を引き継ぐ相続人が事業用不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う。

  •  遺産が預金(3,000万円)と自社株(1億円相当)で、相続人が2人いるが、自社株は経営を引き継ぐ相続人が単独で相続したい。

→解決法:自社の経営を承継する相続人が自社株を、もう1人の相続人が預金を相続し、自社株を相続した相続人がもう1人の相続人に代償金を支払う。

このように、代償分割は、遺産において、分割しやすい財産である現金や預金の割合が少なく、分割しにくい財産の割合が大きいときに利用されるケースが多いと言えます。

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代償分割の遺産分割協議書への記載方法

代償分割を行いたい場合には、遺産分割協議書において、その旨を記載する必要があります。

まず、遺産をどの相続人が相続するかについては、通常通り記載します。

(例)

  1. 相続人Aは、下記の不動産を相続する。

・・・・・・・・・・・・・・・・

  1. 相続人Bは、下記の預貯金を相続する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、代償金の支払いについて記載します。

(例)

  1. 相続人Aは、第1項記載の不動産を相続する代わりに、代償金として、相続人Bに対し、金○○○万円を支払う。

このように、遺産分割協議書において、代償金について記載をするのは、万が一その約束が守られなかったときに備えておくという目的に加え、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかってしまうのを防ぐためという目的があります(代償分割を行った際の税金については下記「代償分割と税」を参照して下さい)。

遺産分割協議書のひな形は、こちらからダウンロードしてご利用ください。

代償分割のメリットとデメリット

代償分割には以下のようなメリットとデメリットがあります。

代償分割のメリット

代償分割は、分割しにくい財産がある場合にも、相続人間の公平を維持しながら遺産分割を行うことができます

また、不動産を無理に共有状態にしてしまうと、後々にその利用方法や処分について共有者間で意見が対立して揉めてしまうことがあるため、そのような紛争を未然に防ぐことができるというメリットがあります。

また、不動産を一人の相続人が相続することで小規模宅地の特例を利用できたり、不動産を売却してその売却金を分割する換価分割に比べると相続税が低額で済んだりする場合が多いという税金上のメリットもあります。

代償分割のデメリット

代償分割は、不動産等の分割しにくい遺産を相続した相続人が他の相続人に代償金を支払うことが前提となっています。

そして、その代償金は、遺産の中からではなく、相続人自身の財産から支払う必要があります。

そのため、相続人に支払能力がないときには、代償分割は向いていません。

なお、すぐに代償金を支払うことができない場合は、代償金を将来支払うという合意をすることもできますが、その合意が必ず守られるとは限らないため、将来いらぬ紛争を生じさせてしまう可能性があるので注意が必要です。

また、代償分割は、分割しにくい遺産の価値を評価して、その遺産を相続しない代わりに代償金を受け取るものです。

そのため、相続人間でその遺産の評価が分かれているような場合には向いていませ

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代償分割と税

代償分割をしても相続税の「総額」は変わらない

代償分割を行った場合の相続税の計算は、以下のような方法で行います。

  •  代償金を支払った相続人:相続した遺産-支払った代償金
  •  代償金を受け取った相続人:相続した遺産+受け取った代償金

代償分割を行った場合でも、遺産の総額は変わらないので、発生する相続税の「総額」に変わりはありません。

ただし、各相続人間における相続税の負担割合が、代償金の額によって変わってきます。

代償分割であることを遺産分割協議書に記載する

遺産分割において代償分割を行ったときは、前述の通り、遺産分割協議書にその旨を記載しておく必要があります

代償分割においては、相続人間で代償金の受け渡しが行われますが、その金銭の受け渡しが贈与と認定されて贈与税が課税されないようにするためです。

代償分割を代償金ではなく不動産等で行う場合

代償分割において、遺産の代わりに他の相続人に渡すものは、必ずしも金銭でなくても、相続人が所有している他の不動産等の財産でも構いません。

ただ、代償金の支払いの代わりに不動産を譲渡した場合には、不動産を売却してその売却金で代償金を支払ったと評価されるため、不動産を譲渡した側の相続人に、相続税とは別に譲渡所得税が発生する点に注意が必要です。

代償分割をした際の相続税申告書の記載方法

代償分割を行った際には、相続税申告書において、その旨を記載する必要があります。

まず、第11表の「相続税がかかる財産の明細書」に記載する必要があります。

この表は、相続税の対象となる全ての財産の明細を記載する表で、通常は遺産のみを記載しますが、代償分割を行った場合は、代償財産としてプラスとマイナスの2段で記載し、プラスの方には代償金を受け取った相続人の氏名を、マイナスの方には代償金を支払った相続人の氏名を記載します。

例:代償金1,000万円を受け取った場合(受取人〇〇花子、支払人〇〇太郎)の第11表の記載例

種類 細目 番号 各人の合計 (氏名)相続人の氏名
その他の財産 生命保険金 23
退職手当金等 24
立木 25
その他 26 ○○○○○円 0円 ○○○○○円
10,000,000円
27

また、第15表の相続財産の種類別価額表」にも代償金の額を記載する必要があります。

これは、相続人毎に作成する表で、代償金を受け取った相続人の表の「その他財産」の欄(26欄)に、本来遺産として取得した財産と分けて、受け取った代償金の額を記載する必要があります(通常は2段に分けて記載します)。なお、各人の合計欄はどの相続人も0円となります。

<代償金を受け取った相続人の第15表の記載例>

種類 細目 番号 各人の合計 (氏名)相続人の氏名
その他の財産 生命保険金 23
退職手当金等 24
立木 25
その他 26 ○○○○○円
0円
○○○○○円
10,000,000円
27

※26欄の上段には、代償金以外の「その他の財産」の額を記載し、26欄の下段には、受け取った代償金の額を記載します。

代償分割における生命保険の活用

代償分割を円滑に行うためには、分割しにくい遺産を受け取る相続人に代償金の支払能力があることが求められます。

しかし、なかなかまとまった現金を用意するのは難しいというのも事実です。

そこで、遺産の中に分割しにくい財産がある場合には、被相続人が生前に生命保険に加入しておき、その受取人を、分割しにくい財産を相続する相続人に指定しておく、という方法があります。

生命保険金は相続財産とはならないことから、相続税もかかりませんし、遺産分割とは関係なく受取人が受け取ることが可能であるため、これを代償金として利用するのに適しているのです。

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代償分割に関するよくある疑問

代償金の決め方はどうすればよいか

代償分割における代償金の額は、基本的には、相続人間の話し合いによって決められます。

そして、その額を決める際に最も重要なものは、分割しにくい遺産の評価額です。

例えば、遺産が自宅の土地と建物だけで、相続人が2人いる場合(法定相続分は2分の1ずつとします)に、自宅の土地と建物の評価額が1億円であれば、その2分の1である5,000万円をベースに代償金の額が話し合われます。

ただ、自宅の評価について相続人間で争いの無い場合はよいのですが、1人の相続人は1億円と評価しているのに、もう1人の相続人は1億2000万円と評価しているような場合には、その2分の1相当額に差が出てくるので、代償金の額に直接影響が出てきます。

そのため、分割しにくい遺産をどのように評価するかがポイントとなってきます。

なお、相続人間で代償金の額が合意できず遺産分割協議自体が成立しない場合には、家庭裁判所における調停や審判を利用する方法もあります(遺産分割調停について詳しくは「遺産分割調停前に知っておくべき調停を有利に進める方法と調停の流れ」をご参照ください)。

ただ、家庭裁判所においては、まず現物分割を検討し、それができない場合に限り代償分割を検討するという方法を採用しているという点に注意が必要です。

代償金を分割払いにすることはできるか

代償金は、必ずしも遺産分割協議の際に一括で支払う必要はなく、分割払いにすることも可能です。

ただ、将来、分割払いの約束が守られなくなってしまった場合であっても、遺産分割協議自体が無効になるわけではありません。

そのため、結局、分割しにくい遺産を相続せずに代償金の受け取りを選んだ相続人が、必ず代償金を全額受けることができるとは限らないので、注意が必要です。

代償分割と換価分割の違い

換価分割は、遺産である不動産を売却して、その売却金を相続人間で分割する方法です。

代償分割と換価分割の違いは、相続の時点で不動産を売却するかどうかという点にあります。

この点、税務上の観点からは、代償分割の方が税金の負担が少なくてすむ場合が多いと言えます。

なぜなら、換価分割の場合は、実際の売却代金によっては、相続税に加え、譲渡所得税を支払わなければならない可能性があるからです。

ただ、代償分割の場合であっても、不動産を相続した方が3年以内にその不動産を売却する場合には、換価分割を選んだ方が相続税が低くなる可能性があります

相続した不動産を3年以内に売却した場合、譲渡所得税の計算において、支払った相続税額を取得費として計上できるところ、代償分割では、その不動産を取得した相続人が支払った相続税額しか計上できないのに対し、換価分割では、他の相続人が支払った相続税額も取得費として計上することができるからです。

代償分割について専門家に相談したいときには

代償分割は、分割しにくい遺産がある場合に、相続人間の公平を維持しつつ円滑に遺産分割を行うのに適した方法です。

ただ、相続人間において、代償金をいくらにするかが決まらなかったり、そもそも、代償分割をするか現物分割をするかで話し合いがまとまらなかったりすることがあります。

そこで、話し合いを円滑に進めるために、弁護士を自分の代理人として他の相続人と交渉してもらうという方法があります。

特に、代償分割には、税金面の問題もかかわってくるため、相続人間で話し合いがまとまらない理由が、相続人の知識不足によることも少なくありません。

そこで、専門家が正しい知識をもって説明することで、話し合いをスムースに進めることが期待できるのです。

ただ、弁護士の中にも、相続問題を得意にしている弁護士とそうでない弁護士がいますし、特に相続税法については、あまり詳しくない弁護士もいるのも事実です。

そのため、代償分割について相談をしたいときには、相続問題や相続税法の両面に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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まとめ

遺産に不動産が含まれていることは多く、また不動産が遺産の大部分を占めるというのはよくあるケースです。

ただ、不動産は分割しにくいことから相続人間の不公平感を生みやすく、相続に伴う紛争を生じさせる可能性が多い財産です。

そこで、遺産の中に不動産がある場合には、代償分割や換価分割など、通常とは異なる遺産分割の方法を十分検討して円滑に遺産分割をすすめることが大切です。

また、被相続人が生きているうちに対策を採ってとくことも、将来のいらぬ紛争を防止するという点からとても重要です。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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