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不在者財産管理人の選任手続きは?予納金はいくら?相続人が音信不通な場合

親が亡くなって「遺産分割協議をしよう」と思っても、相続人である兄弟姉妹が音信不通の場合はどうしたら良いのでしょうか?「勝手に遺産分割協議を進めて良いのか…」と悩みますよね。

そのようなケースでは、行方不明人の代理として不在者財産管理人を選任します。

遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ終了しないため、行方不明の人をほっといて勝手に進めることはできないのです。

また、不在者財産管理人は遺産分割だけでなく、不在者の財産の管理が必要な場合にも、選任が必要になります。

今回は、不在者財産管理人が必要となるケースや、その役割、申立ての手続きや費用などについて解説します。

音信不通の相続人がいる場合は、ぜひ参考にしてください。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2018年11月15日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。


不在者財産管理人とは

不在者財産管理人とは、音信不通となった不在者の財産を管理する人です。家庭裁判所から選任され、不在者本人や債権者のためにその役割を担います。

不在者とは

不在者とは従来の住所もしくは住居から去り、容易に戻る見込みのない人を言います。

数日程度の音信不通では不在者とは認定されず、おおむね1年以上行方不明だと不在者と言えます。

失踪宣告の申立て

行方不明から7年以上(戦争や遭難などの危難により生死不明である場合は1年以上)経過している場合は、失踪宣告の申立てを行うことができます。

失踪宣告の申立てが認められると、行方不明者は亡くなったとみなされます。そのため遺産分割協議は行方不明者以外の相続人と、行方不明者の相続人全員で行えば良いことになります。

なお失踪宣告の申立てはしなければいけないわけではなく、不在者財産管理人を選任してもかまいません。



不在者財産管理人が必要なケース

相続が開始されていなくても、行方不明者の財産について本人の対応が必要になった場合は不在者財産管理人が必要です。

  • 行方不明者が共同相続人で遺産分割したい場合
  • 行方不明者の建物の老朽化で改築、解体などをしたい場合
  • 行方不明者の土地を売却したい場合
  • 債務者が行方不明となり、債権回収が難しくなった場合
  • 行方不明者の家族が亡くなり、遺産分割の手続きをしたい場合
  • 行方不明者の土地の隣人が、所有地の境界線を確定させたい場合
  • 行方不明者の土地を購入したい場合

共同相続人とは、相続が発生したときに共同で相続人となる複数の人を言います。

不在者財産管理人の役割

不在者財産管理人の主な役割は、不在者の管理と保存、また財産目録の作成などがあります。これらはそれなりの手間がかかるので、報酬が支払われることもあります。

相続財産の管理・保存

管理行為としては、不動産の修繕や契約の更新などが挙げられます。あくまで管理と保存が目的であるため、目的物、権利の性質を変えない、現状維持の範囲に限られます。

それ以外の行為(不動産の売却、遺産分割協議など)をするときは、別途、家庭裁判所から権限外行為許可の申立てをする必要があります。

遺産分割協議

遺産分割協議書

遺産分割協議への参加も不在者財産管理人の仕事です。原則として不在者の法定相続分は確保します。

繰り返しになりますが、遺産分割協議は財産の処分行為になるため、家庭裁判所から権限外行為許可を取る必要があります。

また、遺産分割協議の内容が不在者にとって不利なものだった場合、家庭裁判所からの許可は得られません。

財産目録の作成

財産目録の作成

不在者財産管理人は、選任されたら不在者の財産を調査して財産目録を作成します。そして財産目録を家庭裁判所に提出しなければなりません。

また初回の報告に加えて、1年に1回は財産管理について定期報告をしなければいけません。それだけでなく、家庭裁判所から不在者の財産の状況の報告を求められたときは、報告する義務があります。

不在者財産管理人に報酬が支払われることも

このように、不在者財産管理人に選任された人は結構大変…。さらに不在者財産管理人が弁護士や司法書士の場合、さすがに無料で働いてくれません。

不在者財産管理人は家庭裁判所に報酬付与の申立てをすることで、不在者の財産の一部から報酬を受け取ることが認められます。

この報酬額は、不在者財産管理人として働いた期間、財産の種類や金額などに応じて家庭裁判所が決定します。

不在者財産管理人になれる人

不在者財産管理人になれる人

不在者財産管理人になれる人は、不在者の親族や友人もしくは弁護士や司法書士などの専門家がです。

家庭裁判所に不在者財産管理人の申立てをする際に、不在者財産管理人の候補者を記入する欄があります。

なお、不在者財産管理人は不在者の相続に利害関係のない第三者が選任されます。そのため親族の場合は、相続人でない人でないといけません。

家庭裁判所が候補者を不適格だと判断した場合は、弁護士や司法書士が選任されます。

不在者財産管理人が職務を終えるとき

不在者財産管理人はいつ仕事を終えるのでしょうか?これは以下のいずれかにあてはまる場合です。

  • 不在者が現れた場合
  • 不在者について失踪宣告がされた場合
  • 不在者が死亡が確認された場合
  • 不在者の財産が無くなった場合

遺産分割協議を目的として不在者財産管理人に選任された場合でも、遺産分割協議が終了したらその役目が終わり、にはなりません。

不在者財産管理人を選任するメリット

不在者財産管理人がついたことで、他の共同相続人は以下のようなメリットがあります。

  • 遺産分割協議がスムーズに進む
  • 不動産の管理や修繕ができる
  • 本人の財産から生活費を確保できる

不在者財産管理人を選任するデメリット

不在者財産管理人のデメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 家庭事情を全く知らない第三者が選任されることがある
  • 予納金(財産管理にかかる費用)を納めなければいけない場合がある
  • 選任から遺産分割協議には6か月程度かかる
  • 選任された不在者財産管理人を変更することはできない

家庭事情を全く知らない第三者が選任されることがある

不在者財産管理人の候補者を立てることはできますが、選ぶのは家庭裁判所です。そのため、見ず知らずの人が不在者財産管理人として選任されることも。

家庭裁判所から選任された弁護士や司法書士が不在者財産管理人になった場合、報酬はほぼ請求されます。

予納金(財産管理にかかる費用)を納めなければいけない場合がある

不動産や株式などの管理費用が不在者の財産だけで賄えない場合、選任申立てをした人が予納金を負担しなければなりません。

予納金の金額は家庭裁判所が決めますが、20~100万円程度はかかります。なお、予納金が余った場合は返還してもらえます。

選任されてから遺産分割協議には6か月程度かかる

不在者財産管理人が専任されるまでも手間がかかりますが、選任されてもすぐに遺産分割協議や不動産の売却はできません。そのような権限外行為許可が下りるまでに6か月程度かかるからです。

許可が下りるまでの相続財産の取り扱いなど、トラブルを防ぐためにも専門家に相談しても良いでしょう。

選任された不在者財産管理人を変更することはできない

不在者財産管理人が選任されたら、他の人に変えられません。「不在者の家族と意見が合わない」などの事情は配慮されず、不在者財産管理人はあくまで不在者の利益を守るための行動を行います。

不在者財産管理人の申立て方法

不在者財産管理人が必要な場合は、家庭裁判所に選任を申し立てます。

申立て先

不在者の従来の住所地または居住地を管轄する家庭裁判所です。家庭裁判所の管轄は、裁判所ホームページから調べることができます。

申立てができる人

申立てができるのは、「不在者によって遺産分割協議ができない」などの利害関係が生じる人です。または、検察官が申立人となる場合も。

利害関係者の例として、次のような人が挙げられます。

  • 不在者の共同相続人
  • 不在者の所有不動産の使用者
  • 不在者の所有財産の時効取得者
  • 不在者の所有する土地の隣地所有者
  • 不在者の所有する土地の担保権者

必要書類

申立書

  • 申立書
  • 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 不在者の戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 不在の事実を証する資料
  • 不在者の財産に関する資料
  • (利害関係人からの申立ての場合)利害関係を証する資料

家事審判申立書は家庭裁判所で入手するか、裁判所ホームページからダウンロードできます。記載例も掲載されています。

不在の事実を証する資料とは、警察署長の発行する家出人届出受理証明書や、返戻された不在者宛の手紙などが該当します。この資料に不備があったりすると申立人が裁判所に呼び出されることも。

不在者の財産に関する資料とは、不動産登記事項証明書や預貯金や株式の残高がわかる通帳もしくは残高証明書などがあります。

申立費用

  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手

申立ての後に、前述の通り家庭裁判所から予納金の納付を求められることがあります。

また、戸籍謄本や住民票などの交付には手数料がかかります。戸籍謄本は1通450円、戸籍附票と住民票は1通300円です。

なお、申立ての手続きを弁護士や司法書士に依頼する場合は、その費用がかかります。料金は目安として10~20万円程度です。

よくある質問

不在者財産管理人について、よくある質問をまとめました。

不在者財産管理人とは、何ですか?

不在者財産管理人とは、音信不通となった不在者の財産を管理する人です。家庭裁判所から選任され、不在者本人や債権者のためにその役割を担います。

不在者財産管理人は誰がなれますか?

行方不明者と直接利害関係のない人が選ばれますが、特に資格はありません。場合によっては、弁護士や司法書士などが選任されます。

不在者財産管理人に報酬を支払わなければいけませんか?

不在者財産管理人から報酬付与の請求があれば、不在者の財産から支払う必要があります。

予納金とは何ですか?

不在者の財産を管理するために必要な費用が不足しそうな場合に、申立人が家庭裁判所に納付するお金です。

まとめ

相続人のなかに行方不明者がいた場合、不在者財産管理人の選任の申立てを行うことになります。この申立て自体はそれほど難しくありませんが、不在の事実の証明や、他の相続人とのトラブルを回避する方法など、ひとりでは解決しづらいこともあります。
そのような状況にある人は、専門家に相談することをおすすめします。個別の事情に配慮して、スムーズに対応してくれます。


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この記事を書いた人

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