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法定相続情報一覧図を13種類のテンプレートから簡単に作成する方法

相続手続きでは、手続きごとに大量の戸籍謄本が必要になり、いい加減うんざりすることがあります。しかも、期限が決まっている手続きもあります。

そんなときは「法定相続情報一覧図」が便利です。各種の手続きにおいて、戸籍謄本の代わりに使用することができます。不動産の登記や相続税申告など、幅広く利用できます。

ところで、法定相続情報一覧図は税理士などの専門家に委任できます。税理士に依頼すると、相続税申告もあわせてお願いできるのがメリットです。

この記事では、法定相続情報一覧図について説明します。是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年4月4日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

法定相続情報一覧図とは?

法定相続情報一覧図とは、法定相続人の住所、氏名、生年月日、および、被相続人(亡くなった人)との続柄を一覧化した家系図のような図のことで、相続人が作成し、登記所で保管されるものです。

法定相続情報一覧図の保管の申出が登記所に受理されると、相続人は、登記所から法定相続情報一覧図の写しの交付を受けることができます。

法定相続情報一覧図の写しは、各種の相続手続において、戸籍謄本等の代わりに用いることができます。

被相続人が、不動産を多数所有していたり、銀行口座を多数開設している場合は、従来型の、都度、戸籍謄本等を用意するやり方では、手間も取得費用もかさみます。

取得費用を節約するために、ひとつの手続きが終わって、原本の還付を受けてから次の手続きを行う方法もありますが、それではすべての手続きが終わるまでに大変な期間が必要になります。

法定相続情報一覧図のメリットは、戸籍謄本等は一度だけ用意すればよく(法定相続情報一覧図の作成時に必要)、かつ、並行して複数の手続きを進められることです。

なお、この制度のことを「法定相続情報証明制度」といいます。

法定相続情報一覧図の写しを提出することで提出が不要になる戸籍謄本等

各種の相続手続において、法定相続情報一覧図の写しを提出することで、次の戸籍謄本等の提出が不要になります。

  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本および改製原戸籍
  • 相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本

なお、相続手続きでは、上記の戸籍謄本等以外に、次のような書類の原本が必要になることがあります。

  • 被相続人の住民票の除票
  • 遺産分割協議書(遺産分割による場合)
  • 相続人全員の同意書(法定相続分通りの場合)
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 相続手続申請者の住民票

しかし、これらの書類は、法定相続情報一覧図の写しを提出しても、提出が不要になることはありません。

ただ、原本の還付を受けることはできます。

還付を受けたい場合は、還付を受けたい書類のコピーの余白部分に「原本と相違ない」旨を記載のうえ、申請者の記名押印をします。

この押印に用いる印は、その手続きの申請書に押印したものと同じものでなければなりません。

原本還付を受けたい書類が複数枚ある場合は、そのすべてに「原本に相違ない」旨の記載と申請者の記名押印をするか、ステープラー(ホチキス)等で綴じて、一番上の書類にだけ「原本に相違ない」旨の記載と記名押印をして、他の書類には契印をする方法があります。

法定相続情報一覧図の写しを提出することで戸籍謄本等の提出が不要になる手続き

法定相続情報一覧図の写しを提出することで、戸籍謄本等の提出が不要になる手続きには、次のものがあります。

  • 不動産の登記
  • 自動車の登記
  • 船舶の登記
  • 相続税申告
  • 預貯金の名義変更や解約
  • 株式の名義変更や解約
  • 投資信託の名義変更や解約

なお、金融機関における手続きについては、法定相続情報一覧図に関する対応は、各金融機関の判断に委ねられています(登記や相続税申告については、どの登記所、どの税務署でも対応しています)。

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法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違い

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図も法定相続情報一覧図と同じく、法定相続人が誰であるかということ、および、各法定相続人と被相続人との続柄を一覧化した家系図のような図ですが、次のような違いがあります。

  • 相続関係説明図は公的な制度にのっとったものではありませんが、法定相続情報一覧図は法定相続情報証明制度という公的な制度にのっとって作成されます。
  • 相続関係説明図は記載すべき事項が比較的あいまいですが、法定相続情報一覧図は比較的しっかりと決められています。
  • 相続関係説明図は提出すると戸籍謄本等の原本が還付されますが、法定相続情報一覧図は提出すると戸籍謄本等の提出が不要になります。

以上のような違いがあります。

利用者にとって最も大きな違いは、3点目だと思われます。

相続関係説明図の場合は、原本還付が受けられるのは、手続きが完了してからになるため、並行して複数の手続きを進めることはできません。

しかし、法定相続情報一覧図の場合は、初めの認証時以外は原本が不要なので並行して手続きを進めることができます。

不動産や預貯金口座の数が多く、並行して手続きを進めたい場合は、法定相続情報一覧図の方がお勧めです。

法定相続情報証明制度を利用できる人

法定相続情報証明制度を利用できるのは、相続人だけです。

相続人以外は特に利用すべきシチュエーションもないので当然といえば当然ですね。

なお、被相続人や法定相続人が日本人でない(日本国籍をもっていない)場合は、そもそも日本に戸籍がないため、法定相続証明制度を利用することはできません。

また、法定相続情報証明制度の利用の申出に当たって、代理人を指定して申出を委任することができます。

代理人は、申出人(相続人)の親族のほか、資格者(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)を指定することができます。

法定相続情報証明制度の手続きの流れ

法定証明情報証明制度の手続きは、次のような流れで進めます。

    1. 必要書類の収集
    2. 法定相続情報一覧図の作成
    3. 申出書への記入
    4. 登記所への申出

以下、それぞれについて説明します。

必要書類の収集

必要書類には、どのようなケースでも必要となるものと、場合によっては必要となる物があります。

必ず用意する書類

まず、どのようなケースでも必要となる書類から説明します。

必ず用意しなければならない書類は次の通りです。

    • 被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
    • 被相続人の住民票の除票
    • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
    • 申出人の氏名と住所を確認できる公的書類

戸籍謄本、除籍謄本、戸籍抄本は、本籍地の役所で取得することができます。

住民票の除票は被相続人の最後の住所地の役所で取得することができます。

いずれも郵送で取得することが可能です。戸籍謄本等や住民票は、申出後に返却されます。

申出人の氏名と住所を確認できる公的書類には次のようなものがあります。

    • 運転免許証のコピー
    • マイナンバーカードの表面のコピー
    • 住民票記載事項証明書(住民票の写し)

この書類は返却されません。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合に必要となる書類

この場合には、各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)が必要です。

各相続人の住所地の役所で取得できます。

親族代理人が手続きをする場合

この場合は、委任状と、申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本が必要です。

資格者代理人が手続きをする場合

この場合は、委任状と、資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等が必要です。

委任状については、前述の記入例フォーマットをご利用ください。

資格者代理人団体とは、例えば、司法書士であれば、全国の各司法書士会がこれに当たります。

被相続人の住民票の除票を取得できない場合

この場合は、代わりに、被相続人の戸籍の附票が必要です

被相続人の兄弟姉妹が相続となる場合

この場合は、被相続人の父母、それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本と除籍謄本が必要となります。

またさらに、被相続の祖父母や曽祖父母で生きていれば110歳程度よりも若い人がいる場合は、その人の死亡の記載がある戸籍が必要となり、また、被相続人よりも先に亡くなった兄弟姉妹がいる場合は、その人の出生から死亡までの戸籍謄本と除籍謄本が必要となります。

法定相続情報一覧図の作成

法定相続情報一覧図は、被相続人と法定相続人全員の関係が分かるように記載します。

相続放棄をした人や、相続欠格の人、遺産分割協議の結果相続しなくなった法定相続人についても記載します。

しかし、相続放棄したとか、遺産分割の結果相続しなくなったとか、そういった事情については記載しません。

また、3分の1などの相続分についても記載しないことになっています。

そして、生きていれば相続人であったが既に亡くなっている人や、廃除を受けた人は記載しません。

なお、数次相続の場合に、すべての相続をまとめて記載することはできません。

一つの一覧図では一つの相続のみ記載します。ケースごとに様式と記載例が以下の通り用意されているので、それを元に作成すると簡単です。

なお、パソコンが苦手な人は手書きで作成しても構いません。

登記所への申出

申出を行う登記所は、次のうちのいずれかの登記所を選択することができます。

    • 被相続人の死亡時の本籍地
    • 被相続人の最後の住所地
    • 申出人の住所地
    • 被相続人名義の不動産の所在地

全国の登記所とその管轄エリアは、法務局ウェブサイトの「管轄のご案内」ページで確認することできます。

申出書に上述の必要書類と法定相続情報一覧図を添付して提出します

また、申出が受理されると、一覧図の交付予定日を知らせる書類を渡されることが多いようです。

交付までの期間は登記所によって異なりますが、数日から数週間かかります(参考までに東京法務局では不備がない場合には1週間以内に交付されることが多いようです。)

交付日には、提出した戸籍謄本等が返却され、登記官が認証した旨の文言が付された法定相続情報一覧図の写しが必要な通数交付されます。

交付を受けるためには、申出書に押印した印鑑を持参しなければなりません。

なお、郵送でも申出は可能です。

郵送で戸籍謄本等の返却と一覧図の写しの交付を受ける場合は、その旨を申出書に記入し、返信用封筒と切手を同封しなければなりません。

申出を資格者代理人に委任した場合の報酬の相場

法定相続情報証明制度の申出は司法書士等の資格者代理人に委任できることは前述の通りです。

報酬は専門家によって異なりますが、必要書類の取集や一覧図の作成も含めて申出を委任すると、だいたい、1万5千円から4万円くらいの費用が、報酬として必要です。

法定相続情報証明制度の申出だけでなく、相続税申告等を併せて依頼すると、セット割引があることもあるようです。

法定相続情報証明制度のみ依頼する場合は、一概にはいえないものの、行政書士が比較的安価で受けてくれるのでお勧めです。

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法定相続情報一覧図の写しの再交付の受け方

一覧図の写しの再交付を受けられるのは、申出人だけです。他の相続人は受けることはできません。

また、再交付が受けられる期間は、申出の翌年から5年間です。

例えば、2018年に申出を行ったとしたら、2023年まで再交付を受けることができます。

交付自体無料ですが、再交付にも費用はかかりません。

再交付は、当初の申出をした登記所で受けられます。再交付に必要な書類は、基本的には、再交付申出書と運転免許書等のコピー等の本人確認書類だけです。

婚姻等で氏(名字)が変更になった場合は、そのことが分かる戸籍謄抄本が必要です。

また、代理人に再交付を受けてもらうこともできます。その場合は、当初の申出時と同様、委任状等が必要になります。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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