弁護士監修記事

相続した遺産はいつもらえる?お金が振り込まれるまでの期間は?

家族が亡くなると、葬儀費用等のお金が必要になります。

家族が亡くなった悲しみの最中、お金の心配しなければならないのは辛いですよね。

この記事は、相続した遺産はいつもらえるか、お金が振り込まれるまでの期間について説明します。

さらに、お金が振り込まれるまでの流れや、相続手続きの完了前にお金が必要な場合の対処法について説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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遺産は相続手続が完了したらもらえる

遺産は相続手続きが完了したらもらえます。

相続手続きとは、預貯金の払戻手続や不動産の登記(名義変更)等のように、相続した遺産の取得するための手続きのことです。

相続人が一人しかいない場合は、死亡届を提出後、速やかに相続手続きをすることができます。

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議によって誰がどの遺産を取得するかを決めた後、遺産分割協議書を作成し、相続手続きをします(遺産分割協議については「遺産分割協議を揉めずに有利に進めるために知っておくべきポイント」参照)。

また、遺言書があって、遺言によって遺産の取得者が決まる場合は、遺言書が遺言執行(相続手続き)に必要です。

なお。自筆証書遺言秘密証書遺言の場合は、遺言執行の前に、遺言書の検認が必要です(遺言書の検認については「遺言書の検認とは。遺言書を探しだす前に知っておくべき検認の全知識」参照)。

お金が振り込まれるまでの期間

預貯金の相続手続きを申請してから、お金が振り込まれるまでの期間は、金融機関によってまちまちです。

金融機関ごとの標準的な所要期間をまとめると概ね下の表のようになります。

 

金融機関名 標準的な所要期間
ゆうちょ銀行 1週間~1か月
三菱UFJ銀行 2週間前後
みずほ銀行 14週間
三井住友銀行 10日前後
りそな銀行 12週間
横浜銀行 23週間
JAバンク 即日

上の表の期間は、あくまで標準的なものであり、また、申請書類や添付書類に不備がないことを前提としたものです。

書類に不備があった場合や、相続関係が複雑な場合等は、上の表に記載した期間よりも期間を要することもあります。

お金が振り込まれるまでの流れ

預貯金の相続手続きをしてお金が振り込まれるまでの流れは、金融機関によって細かな違いはありますが、概ね次のような流れで手続きをします。

  1. 死亡届を役所に提出
  2. 通帳、キャッシュカードを確認
  3. 引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更
  4. 口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡
  5. 必要書類の提出
  6. 払戻し

以下、それぞれについて説明します。

死亡届を役所に提出

死亡届が提出されていない場合は、相続手続きを開始することができません。

死亡届は、被相続人が亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に役所に提出しなければなりません。

葬儀を葬儀社に依頼する場合は、通常、葬儀社が提出を代行してくれます。

死亡届について詳しくは「死亡届の書き方と必要書類、死亡に伴う各種手続をわかりやすく説明」をご参照ください。

通帳、キャッシュカードを確認

亡くなった人が、どこの銀行に口座をもっているのか不明な場合は、それを明らかにしなければなりません。

通帳やキャッシュカードを探しましょう。

引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更

銀行に連絡をすると、口座が凍結され、出入金が一切できなくなります。

公共料金やクレジットカード等の引落しがある場合は、決済方法の変更や解約などの手続きを並行して進めましょう。

凍結された口座に入金の予定がある場合は、早めに入金元に対して連絡するとよいでしょう。

そうしないと、被相続人が賃貸物件を持っている場合などは、借主が家賃を入金できなくなり困ってしまいます。

口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡

通帳またはキャッシュカードを準備して、口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡します。

必要書類の提出

必要書類はケースによって異なります。

口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡した際に、銀行が必要書類について説明してくれます。

払戻し

提出書類に不備がなければ、数週間ほどで指定した相続人の口座に払戻しがあります。

相続手続の完了前にお金が必要な場合の対処法

相続手続の完了前にお金が必要な場合の主な対処法として、次の2つが挙げられます。

  • 口座凍結前に預貯金を引き出す
  • 仮払いを受ける

以下、それぞれについて説明します。

口座凍結前に預貯金を引き出す場合の注意点

葬儀費用等が急ぎで必要な場合で、かつ、キャッシュカードの暗証番号が分かる場合は、口座凍結前にATMで預金を引き出すことも可能です。

しかし、これには次の2つの問題があります。

  • 他の共同相続人との間でトラブルになることがある
  • 相続を単純承認したことになる

以下、それぞれについて説明します。

他の共同相続人との間でトラブルになることがある

被相続人の預金口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことは本来許されません。

引き出す前に必ず他の共同相続人の同意を取り付けましょう。

また、引き出したお金を、葬儀費用といった「遺産から支出しても構わないもの」の支払いに充てた場合は、必ず領収書を取っておいて、自分のために使ったものではないことを証明できるようにしておきましょう。

相続を単純承認したことになる

葬儀費用だけのために引き出すのであればよいのですが、引き出したお金を自分のために使ってしまうと、相続を単純承認したことになります(単純承認については「単純承認したことになって知らないうちに借金を相続しないための知識」参照)。

相続放棄を検討する必要がまったくなければそれで問題ないのですが、後日、プラスの財産よりも負債の方が大きかったことが発覚した場合に、相続放棄をしようと思っても、一度単純承認してしまうと、相続放棄ができません(相続放棄については「財産放棄と相続放棄の違いを理解して財産放棄で損しないための全知識」参照)。

仮払いを受ける方法

口座凍結後、遺産分割協議が長期化していて、葬儀費用等を支払いたいのに、預金の払戻しを受けられないということがあります。

そのような場合には、仮払い手続きを利用するとよいでしょう。

また、遺産分割協議が成立している場合は、仮払いではなく、本来の相続手続きによるべきですが、預金額が少額であれば、相続手続きよりも簡便な仮払手続を利用することも考えられます。

仮払いを受けるためには、相続人全員の同意書が必要でしたが、相続法の改正によって、201971日(改正法の施行日)からは、他の相続人の同意がなくても仮払いを受けられるようになりました。 

施行日以前に相続が開始されていても、施行日以降であれば、仮払いを受けることができます。

仮払いを受けるための方法には、次の2つがあります。

  • 金融機関の窓口で直接仮払いを求める
  • 家庭裁判所に仮払いを申し立てる

以下、それぞれについて説明します。

金融機関の窓口で直接仮払いを受ける

銀行等の金融機関の窓口で直接仮払いを求める方法のメリットには、次の2があります。

  • 裁判所での手続きが不要(手間も日数も費用もかからない)
  • 仮払いが必要な理由を求められない

ただし、生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されるので、払戻可能額に一定の上限額が設けられています。

上限額は、基本的には次の式で計算します。

相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)× 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分

※法定相続分について「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」参照

例えば、A銀行に600万円、B銀行に1200万円の預金があって、仮払いを求める相続人の法定相続分が2分の1の場合は、A銀行からは、600万円×1/3×1/2=100万円なので、100万円以内の仮払いを受けることができ、B銀行からは、1200万円×1/3×1/2=200万円以内の仮払いを受けることが出来るようになります。

ただし、一つの金融機関から仮払いを受けられる金額には、法務省令によっても上限が設けられます。上記算式の上限額が法務省令の上限額を超える場合には、法務省令で定められた上限額である150万円の範囲内で仮払いを受けることができます。

設例のケースでは、A銀行からは100万円、B銀行からは150万円の仮払いを受けることができます。

仮払いを受けた分は、遺産分割の際に相続分から差し引かれます。

家庭裁判所に仮払いを申し立てる

それほど緊急ではないが、遺産分割協議が長引きそうなので、遺産分割前に仮払いを受ける必要がある場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能です。

この方法は、上限金額の縛りがないというメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。

まとめ

以上、相続した遺産がもらえるまでの期間について説明しました。

相続手続きは、司法書士等の専門家に依頼すると手間がかかりません。

一度、相談してみるとよいでしょう。

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