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遺産分割協議証明書の正しい書き方とひな形、遺産分割協議書との違い

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違い

「遺産分割協議証明書」とは何かご存知ですか?「遺産分割協議書」とは異なるものなので注意してください。

この2つは、どちらも遺産分割協議で決定した内容を証明するものですが、使い方が少し異なります。

遺産分割協議証明書は各相続人が個別に署名・押印することができるので、相続人の人数が多かったり、親族が遠方にいる場合などに便利です。

その一方、遺産分割協議証明書は代表者しか原本を持たないため、代表者以外の人が相続手続きできないことがあります。手間を省くためにも自分のケースではどちらが良いか、しっかりと判断した上で作成しましょう。

この記事では、遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の違いや、遺産分割協議証明書の書き方について、具体的に紹介しています。

遺産分割協議書の作成を検討する人は是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、公開日(2018年11月2日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

遺産分割協議証明書とは?

遺産分割協議証明書とは、その名の通り、遺産分割協議で決まった内容を証明する文書です。

遺産分割証明書とよばれることもあります。

遺産分割協議書との違いと遺産分割協議証明書を利用すべきケース

遺産分割協議で決まった内容を証明する文書には、遺産分割協議証明書以外に、遺産分割協議書があります。

各相続人が個別に証明するものが遺産分割協議証明書すべての相続人がまとめて証明するものが遺産分割協議書です。

相続人が近くに住んでいる場合は、全員が一堂に会して遺産分割協議書に署名・押印することができるので、このような場合は、遺産分割協議書が適しています。

しかし、相続人全員が集まることができない場合は、郵送等で各相続人に順次回していき、署名・押印を集めることもできます。

相続人の数が多いと、全員の署名・押印が終わるまでに日数がかかるでしょうし、途中で紛失することもあるでしょう。

この点、遺産分割協議証明書の場合は、各相続人が個別に署名・押印することができるので、遺産分割協議書の場合よりも日数が短縮できることが期待できますし、途中で紛失されて一からやり直しということもありません。

したがって、相続人の数が多く、かつ、散り散りに住んでいる場合は、遺産分割協議書よりも遺産分割協議証明書の方が便利であるといえます。

しかし、遺産分割協議証明書にも欠点があります。

遺産分割協議書の場合は、各相続人がそれぞれ原本を1通ずつ持ちますが、遺産分割協議証明書の場合は、基本的には代表者しか原本を持ちません。

後述の通り、遺産分割協議証明書や遺産分割協議書は、相続手続に用いるものです。

一人が代表してすべての相続手続を行う場合は、遺産分割協議証明書で問題ありませんが、それぞれが相続手続を行うのであれば、遺産分割協議書の方が便利でしょう。

なお、遺産分割協議書について詳しくは「遺産分割協議書のひな型をダウンロードして自分で簡単に作成する方法」をご参照ください。

遺産分割協議証明書、遺産分割協議書についてわからない点があるときは専門家に相談するのもひとつの方法です。

遺産分割協議証明書が必要な場合

遺産分割協議証明書は、次のような相続財産を取得する手続の際に必要になります。

  • 不動産の所有権移転登記
  • 自動車や船舶の名義変更
  • 預貯金の払戻
  • 株式等の有価証券の名義書換
  • 相続税の申告

もちろん上記の場合には、遺産分割協議書でも構いません。

なお、遺産分割協議証明書は、相続人が一人の場合は必要ないことが多いです。

その人がすべての財産を取得するので、遺産分割について協議する余地はないことが多いからです。

また、遺言どおりに財産を取得する場合も遺産分割協議証明書は不要であることが多いです。

その場合は、相続手続の際に遺言書が必要になります。

遺産分割協議証明書の書き方

遺産分割協議証明書には、次の主要な2つの方式があります。

  • すべての財産を記述する方式
  • 自分の取得した財産だけを記述する方式

どちらの方式でも構いませんが、すべての財産について記述する方式の場合は、すべての相続人の遺産分割協議証明書が同じ文面になるので、作成の間違えが起こりにくいでしょう。

以下では、それぞれのひな形(サンプル)を紹介します。

すべての財産を記述する方式

すべての財産を記述する方式は、遺産分割協議書とほとんど変わりません。

以下に見本を示しますので、参考にしてください。なお、あくまでも見本であり、このとおりの形式にしなければいけないということではありませんのでご注意ください。

遺産分割協議証明書

被相続人 ○○○○(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)
死亡日  平成〇〇年〇〇月〇〇日
本籍地  東京都△△区△△○丁目○番地○
最終の住所地 東京都△△区△△○丁目○番地○

被相続人○○○○(以下「被相続人」という。)の遺産相続につき、被相続人の妻○○○○(以下「甲」という。)、被相続人の長男○○○○(以下「乙」という。)、被相続人の長女○○○○(以下「丙」という。)の相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに遺産分割の協議が成立したことを証明する。

1.甲は、以下の遺産を取得する
(1)土地
所  在   東京都△△区〇〇
地  番   ○○番○○
地  目   宅地
地  積   ○○.○○平方メートル

(2)建物
所  在  東京都△△区〇〇
家屋番号  〇〇番〇
種  類  居宅
構  造  木造瓦葺2階建て
床面積   1階部分 ○平方メートル

     2階部分 ○平方メートル

(3)動産

 上記(2)の建物内にある家具家財等一切の動産

2.乙は、以下の遺産を取得する

(1)建物

(一棟の建物の表示)
所  在    神奈川県〇〇市△△○丁目○番地○
建物の名称   ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)
家屋番号    △△○丁目○番地○
建物の名称   ○○○号
種  類    居宅
構  造    鉄骨造1階建
床面積     ○階部分○○.○○平方メートル

(敷地権の目的たる土地の表示)
土地の符号   1
所在及び地番  ○○△丁目○番○
地    目  宅地
地    積  ○○○.○○平方メートル

(敷地権の表示)
土地の符号   1
敷地権の種類  所有権
敷地権の割合  ○○○○○分の○○○

(2)車両

名義人      ○○○○

自動車登録番号  品川○○○あ○○-○○

車台番号     第○○○○号

(3)有価証券等

〇〇証券〇〇支店(口座番号〇〇〇〇)保護預かりの以下の有価証券等

〇〇株式会社   株式1000株
△△株式会社   株式2000株
国内投資信託   〇〇MRF〇〇〇〇口

3.被相続人の丙は、以下の遺産を取得する

(1)預貯金

〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇

4.甲は、第1項記載の不動産を相続する代わりに、丙に対し、代償金として、金500万円を支払う。

5.(1)次の不動産は、乙及び丙が各2分の1の割合をもって共有で相続する。

所  在  東京都〇〇市〇〇町△丁目
地  番  〇番〇

地  目  宅地

地  積  ○○.○○平方メートル

(2)乙及び丙は、共同して前項の不動産を売却し、その売買代金から売却に要する一切の費用を控除した残金を、前項の共有持分割合に従って取得する。

(3)乙及び丙は、第1項の不動産を売却し買主に引き渡すまで、これを共同して管理することとし、その管理費用は、第1項の共有持分割合に従って負担する。

6.本遺産分割協議書に記載のない遺産及び本遺産分割の後に判明した遺産(負債も含む)については、甲が全て相続する。

平成〇〇年〇月〇日(作成日の日付)

住所   東京都△△区△△○丁目○番地○
生年月日     昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人甲(妻)      〇〇〇〇  実印

Word(ワード)のひな形(サンプル)はこちらからダウンロードしてご利用ください。

自分の取得した財産だけを記述する方式

自分の取得した財産だけを記述する方式は、相続人ごとに内容が変わるので、作成に多少の手間がかかります。

以下に見本を示しますので、参考にしてください。

遺産分割協議証明書

被相続人 ○○○○(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)
死亡日  平成〇〇年〇〇月〇〇日
本籍地  東京都△△区△△○丁目○番地○
最終の住所地 東京都△△区△△○丁目○番地○

被相続人○○○○(以下「被相続人」という。)の遺産相続につき、被相続人の妻○○○○(以下「甲」という。)、被相続人の長男○○○○(以下「乙」という。)、被相続人の長女○○○○(以下「丙」という。)の相続人全員が遺産分割協議を行い、下記のとおり、甲が、財産を取得し、また、債務を負担することに決まったことを証明する。

1.甲は、以下の遺産を取得する

(1)土地
所  在   東京都△△区〇〇
地  番   ○○番○○
地  目   宅地
地  積   ○○.○○平方メートル

(2)建物

所  在  東京都△△区〇〇
家屋番号  〇〇番〇
種  類  居宅
構  造  木造瓦葺2階建て
床面積   1階部分 ○平方メートル

      2階部分 ○平方メートル

(3)動産

上記(2)の建物内にある家具家財等一切の動産

2.甲は、第1項記載の不動産を相続する代わりに、丙に対し、代償金として、金500万円を支払う。

3.本遺産分割協議書に記載のない遺産及び本遺産分割の後に判明した遺産(負債も含む)については、甲が全て相続する。

平成〇〇年〇月〇日(作成日の日付)

住所   東京都△△区△△○丁目○番地○
生年月日     昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人甲(妻)      〇〇〇〇  実印

Word(ワード)のひな形(サンプル)はこちらからダウンロードしてご利用ください。

遺産分割協議証明書の署名と押印の集め方

遺産分割協議証明書は、共同相続人(または包括受遺者)の誰かが作成し、他の共同相続人から署名と押印をもらいます(包括受遺者については「受遺者とは?遺贈や相続にかかわる全ての人が知るべき受遺者の全知識」参照)。

共同相続人(または包括受遺者)であれば誰が作成しても構いませんが、遺産分割協議証明書は相続手続に使うものなので、より多くの財産を相続して、より多くの相続手続にかかわる人が作成し、収集するのがよいでしょう。

まとめ

以上、遺産分割協議証明書について説明しました。

遺産分割協議証明書について不明な点がある場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

弁護士に依頼するのが最もお勧めですが、相続財産の中に不動産が含まれている場合は、相続登記の手続きを併せて司法書士に依頼してもよいでしょう。

また、相続税の申告が必要な場合は、相続税の申告と併せて税理士に依頼してもよいでしょう。

遺産分割について相続人間で意見が割れている場合は、遺産分割協議証明書等の作成以前の問題として、遺産分割協議自体が成立しない、あるいは、遺産分割協議に疑義が生じる可能性がありますので、やはり、弁護士に相談することをお勧めします。

なお、相続の専門家の中でも、相続人の間に入って、折衝・調整を行うことができるのは基本的に弁護士だけです。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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