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受遺者とは?遺贈や相続にかかわる全ての人が知るべき受遺者の全知識

受遺者という言葉は一般の人には耳慣れない言葉でしょう。

受遺者は相続人と何が違うのでしょうか。

相続問題では、このような耳慣れない専門用語に出会うことがしばしばあります。

その場合に、言葉の意味だけを何となく覚えるのでなく、関連する知識を正しく身に付けておくことが、相続問題で損しないために重要です。

この記事では、受遺者に関する知識を網羅的に分かりやすく説明します。

是非参考にしてください。

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[ご注意]
記事は、公開日(2018年10月4日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

受遺者とは?

受遺者とは、遺贈を受ける人のことです。

遺贈とは、遺言によって財産を贈る(譲る)ことです(遺贈について詳しくは「遺贈とは?相続や贈与との違いは?最適な継承方法を選ぶための全知識」をご参照ください。)

つまり、受遺者とは、遺言によって財産を贈られる人のことです。

遺言によって財産を贈る人のことは遺贈者といいます。

なお、遺言とは、故人の最終の意思表示のことで、主に相続財産の承継についての意思が表示されます。

遺言は、遺言書というかたちで文書にしなければなりません(遺言書について詳しくは「遺言書の正しい書き方とは?思いどおりに財産を承継させるポイントを解説!」をご参照ください。)。

受遺者は、後述の特定受遺者包括受遺者とに分類することができます。

特定受遺者とは?

特定受遺者とは、対象となる財産を特定して行われる遺贈(特定遺贈)を受ける受遺者のことです。

例えば、「○○県○○市○○町〇丁目〇番〇号の土地をAに遺贈する。」というようなかたちの遺言による遺贈のことを特定遺贈といい、特定遺贈を受ける人(この例でいうところのA)のことを特定受遺者というのです。

なお、特定遺贈のことを間違えて特別遺贈と言う人がいるので、ご注意ください。

財産を「特定」して行う遺贈なので、特定遺贈と言います。

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受遺者と受贈者の違い

受遺者は遺贈を受ける人で、受贈者は贈与を受ける人です。

特定受遺者と死因贈与の受贈者は、いずれも遺贈者や贈与者の死亡を原因として特定の財産が承継され、一定の執行手続きが必要で、かつ、相続税の対象となる点で似ているといえます(死因贈与について詳しくは「死因贈与とは?遺贈との違いは?最適な継承方法を選ぶための全知識」をご参照ください。)。

しかし、受遺者は、次の点において死因贈与の受贈者とは異なります。

  • 遺贈を受けることについて事前に同意していない
  • 遺贈者によって内容を変更されたり取りやめられたりすることある
  • 遺言書が必要

以下、それぞれについて説明します。

遺贈を受けることについて事前に同意していない

遺贈は遺贈者(遺言者)による一方的な意思表示のみで成立するので、受遺者は、遺贈を受けることや遺贈の内容について、事前に知らされることなく、遺贈を受けることができます(遺贈を受けたくない場合は放棄することができます。また、事前に知らされていても問題なく成立します。)。

この点、死因贈与の受贈者は、贈与者の生前に、贈与者と死因贈与契約を結んでおり、事前に贈与を受けることや贈与の内容について同意しています。

遺贈者によって内容を変更されたり取りやめられたりすることある

受遺者は、遺贈者の生前に遺言の内容について聞かされることがあります。

遺言の内容について聞かされていたとしても、遺贈者は自由に内容を変更したり取りやめたりすることができるので、聞かされていた内容どおりの遺贈が受けられるとは限りません。

一方、書面による贈与契約を結んだ受贈者は、贈与者によって勝手に内容を変更されたり、撤回されたりすることはありません。

書面によらない口約束の贈与契約の場合は、贈与者は撤回することができます。

遺言書が必要

受遺者が遺贈を受けるためには、遺言書が必要です。

また、遺言書があったとしても要件を満たさない遺言書は無効となります。

一方、受贈者の場合は、口約束でも贈与契約は成立するので必ずしも書面は必要ありません(もっとも、口約束の場合は前述のとおり撤回される恐れがあります。)。

また、贈与契約書を作成する場合も、遺言書のように要件が厳格ではないため、無効となるリスクは低いです(贈与契約書については「贈与契約書の注意点とすぐに使える豊富な種類のひな形一覧(Word、PDF)」をご参照ください。)。

包括受遺者とは?

包括受遺者とは、遺贈の対象となる財産を特定せずに、積極財産(プラスの財産)も負債などの消極財産(マイナスの財産)も包括的に承継する遺贈(包括遺贈)を受けた人のことです。

包括遺贈は、次の3つに分けることができます。

  • 全部包括遺贈
  • 割合的包括遺贈
  • 特定財産を除いた財産についての包括遺贈

全部包括遺贈とは、消極財産も含めて全財産を包括して遺贈することです。

例えば、「全財産を○○に遺贈する。」というような遺贈がこれに当たります。

割合的包括遺贈とは、消極財産も含めて全財産の割合的な一部を包括して遺贈することです。

例えば、「全財産の3分の2を○○に、3分の1を××に遺贈する。」というような遺贈がこれに当たります。

特定財産を除いた財産についての包括遺贈とは、特定遺贈と包括遺贈の併存型の遺贈のうち包括遺贈の部分の遺贈のことです。

例えば、「○○県○○市○○町〇丁目〇番〇号の土地をAに、その余の財産のすべてをBに遺贈する。」というような遺贈におけるBに対する遺贈がこれに当たります。

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「遺贈する」と「相続させる」の違い

遺言には、「○○を○○に遺贈する。」と書くこともあれば、「○○を○○に相続させる。」と書くこともあります。

「遺贈する」と「相続させる」の違いについて説明します。

まず、遺言によって財産を承継する人が法定相続人(法律の定めに則ると相続人となる人)でない場合は、「相続させる」ことはできず、「遺贈する」ことしかできません(法定相続人について詳しくは「法定相続人とは?法定相続人の範囲と優先順位、相続割合を図で説明」をご参照ください。)。

遺言によって財産を承継する人が法定相続人である場合は、「相続させる」ことも「遺贈する」こともできますが、「相続させる」と書くことをお勧めします。

「相続させる」と「遺贈する」に違いが生じるのは、遺言によって承継される財産に不動産が含まれている場合のみです。

「相続させる」には、次のようなメリットがあります。

  • 不動産登記がスムーズ
  • 登記がなくても相続債権者に対抗できる
  • 借地権や借家権について賃貸人の承諾が不要

なお、かつては、「相続させる」の場合は、農地取得について農業委員会や知事の許可が不要というメリットがありましたが、この点は、「農地法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」(平成24年12月14日付け法務省民二第3486号)によって、「遺贈する」の場合も不要となりました。

以下、それぞれについて説明します。

不動産登記が単独でできる

不動産登記の際に、「相続させる」の場合は、遺言で指定された相続人が単独で登記することができますが、「遺贈する」の場合は相続人全員の協力が必要です(遺言執行者がいる場合は、「遺贈する」の場合でも遺言執行者と受遺者だけで登記でき、相続人の協力は不要)。

登記がなくても相続債権者に対抗できる

「遺贈する」の場合は、登記を具備しなければ、相続債権者(被相続人(亡くなって財産を残す人)の債権者)に対して権利を主張できませんが、「相続させる」の場合は、登記前でも相続債権者に対して権利を主張することができます。

借地権や借家権について賃貸人の承諾が不要

「遺贈する」の場合は、借地権や借家権の遺贈を受けるのに、賃貸人の承諾が必要ですが、「相続させる」の場合は不要です。

相続させる旨の遺言のデメリット

相続させる旨の遺言にもまったくデメリットがないわけではありません。

相続させる旨の遺言をした場合に、受遺者が遺言の利益を放棄して本来的な相続分のみを相続したい場合に、受遺者の意思表示だけでは、これを行えない可能性があります(詳しくは後述)。

遺贈する旨の遺言であれば、受遺者は、自らの意思表示のみによって遺言の利益を放棄することができます。

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受遺者と相続人の違い

包括受遺者と相続人は、消極財産も含めて被相続人の権利と義務を包括して承継するという意味で似ていますが、受遺者と相続人には次のような違いがあります。

  • 受遺者を代襲することはできない
  • 他の相続人が相続放棄しても受遺者の受遺分は基本的には増えない
  • 生命保険金の受取人が相続人の場合、受遺者は保険金を受け取れない
  • 団体でも受遺者になれる

以下、それぞれについて説明します。

受遺者を代襲することはできない

相続人を代襲相続することはできますが、受遺者を代襲して遺贈を受けることはできません。

代襲相続とは、被相続人よりも先に相続するはずだった人が亡くなった場合に、その相続するはずだった人の子が、相続するはずだった人の相続権を代わりに取得することです(代襲相続について詳しくは「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」をご参照ください。)。

相続人を代襲することは認められていますが、包括受遺者となるはずだった人が遺贈者よりも先に亡くなった場合に包括受遺者となるはずだった人の子が遺贈を受ける権利を代わりに取得することはできません。

これは、「相続させる」旨の遺言であっても同じです。

ただし、予備的遺言(「補充遺言」とも言います)が行われていた場合は、包括受遺者の子が遺贈を受けられることもあります。

予備的遺言とは、本来の遺言の内容が受遺者の死亡などにより実現できない場合に、予備的に指定される遺言のことです。

例えば、「遺言者は、遺言者の長男Aが、遺言者の死亡以前に死亡(同時死亡を含む。)している場合、遺言者は同人に相続させるとした前条の不動産を同人の長女B(平成○年○月○日生)に相続させる。」というようなかたちで定めます。

一方、遺贈者(遺言者)が亡くなり、遺言執行前に受遺者が亡くなった場合は、予備的遺言と関係なく、受遺者の相続人が遺贈を受ける権利を相続します。

他の相続人が相続放棄しても受遺者の受遺分は基本的には増えない

相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄することです(相続放棄について詳しくは「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。)。

相続を放棄した人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

例えば、法定相続人が2人いて、うち1人が相続を放棄した場合、その人は初めから相続人とならなかったものとみなされるので、相続を放棄しなかった方の相続人がすべての相続財産を相続することになります。

つまり、相続を放棄した人がいた場合、放棄しなかった相続人の相続分が増えます。

しかし、相続人でない受遺者の受遺分は、相続を放棄した人がいても増えません。

相続人全員が放棄して、相続人が誰もいなくなっても、相続人でない受遺者の受遺分は増えないのです。

生命保険金の受取人が相続人の場合、受遺者は保険金を受け取れない

生命保険金の受取人には、特定の人を指定することもできますが、「相続人」とするともできます。

その場合、相続人でない受遺者は、生命保険金を受け取ることができません。

団体でも受遺者になれる

相続人の場合は、誰がなるか法律で定められており、配偶者、直系卑属(子や孫など)、直系尊属(親や祖父母など)、兄弟姉妹、甥や姪が相続人になる可能性があります。

これら以外の人が相続になることはありません。

受遺者の場合は、遺言で指定すれば、誰でもなることができます。

自然人(個人)は勿論、法人や、法人格のない団体でも受遺者になることができます。

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受遺者が放棄する方法

遺贈者は遺贈を放棄することができます。

遺贈を放棄する理由は問われません。

例えば、次のような場合には、遺贈を放棄するメリットがあると考えられます。

  • 包括遺贈で消極財産の価額が積極財産の価額を上回る場合
  • 遺贈を受けた不動産の価値が低く、管理費用が高くつく場合
  • 他の相続人との関係を重視する場合

遺贈の対象財産が分けられるものの場合、その一部のみを放棄することもできます。

また、受遺者が相続人でもある場合は、遺贈を放棄しても相続分については相続することができます。

しかし、「相続させる」旨の遺言の場合に、遺贈の利益を放棄して相続分については相続するためには、相続人全員の合意が必要です。

また、相続分も含めて放棄したい場合は、相続放棄の手続きが必要です。

遺贈の放棄方法は、特定遺贈か包括遺贈かによって異なります。

特定遺贈の場合は、相続人か遺言執行者に対して、遺贈を放棄する意思を表示することによって行います。

期限はなく、いつでも放棄することができます。

放棄の効力は、遺言者の死亡時に遡って生じます(いつ放棄しても始めから放棄したことになります。)。

放棄された財産は、相続人が相続することができるので、相続人としては、放棄するのかどうか、早く決めてほしいと思うことがあります。

そこで、相続人は、受遺者に対して、相当の期間を定めて、遺贈の承認か放棄を行うことを催告することができます。

受遺者がこの期間内に放棄しない場合は、承認したものとみなされます。

一方、包括遺贈の場合は、相続放棄と同様の手続きがです。

受遺者が相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に対して放棄の申述を行います(期間の伸長を申立てることができます。)。

この期間が過ぎた場合や、期間内であっても遺贈を受けた財産の一部でも処分した場合は、遺贈を承認したものとみなされて、遺贈を放棄することはできなくなります。

特定遺贈でも包括遺贈でも、一度行った放棄は基本的には撤回することができません。

ただし、詐欺や強迫によって放棄させられたような場合は取消すことができます。

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受遺者は遺産分割協議に参加する?

包括受遺者は遺産分割協議に参加しますが、相続人でない特定受遺者は遺産分割協議には参加しません。

相続人である特定受遺者は遺産分割協議に参加することもあります。

どういうことか説明します。

まず、包括受遺者についてですが、包括遺贈の場合は、誰がどの財産を取得するかまでは定められていないため、遺産分割協議によってこれを決めなければなりません。

もっとも、一人の包括受遺者が全財産を承継する場合や、特定遺贈との併存型の包括遺贈で、包括遺贈の部分のすべてを一人の包括受遺者が承継する場合は、遺産分割の必要はありません。

相続人でない特定受遺者については、遺贈を受ける財産が遺言によって指定されているので、遺産分割協議に参加することは基本的にはありません。

相続人である特定受遺者は遺産分割協議に参加することもあります。

一部の財産についてしか遺言で指定されていない場合です。

遺言で指定されていない財産については、相続人がそれぞれの法定相続分に応じて取得することになります(法定相続分について詳しくは「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」をご参照ください。)。

この場合、誰がどの財産を取得するかについては遺産分割協議で決めます。

また、特定遺贈の場合に、遺産分割協議を行って、遺言と異なる遺産分割を行う場合もあります。

このような場合には、相続人であるか否かにかかわらず特定受遺者も遺産分割協議に参加します。

遺言と異なる遺産分割が認められるためには、次の4つの要件のすべてを満たさなければなりません。

  • 被相続人が遺言と異なる遺産分割協議を禁じていないこと
  • 相続人全員が、遺言の内容を知った上で、これと違う遺産分割を行うことについて同意していること
  • 相続人以外の人が受遺者である場合には、その受遺者の同意があること
  • 遺言執行者がいる場合には、遺言執行を妨げないか、または、遺言執行者の同意があること

遺言と異なる遺産分割を行った場合は、登記の際に手続きが少々複雑になります。

被相続人から取得者に直接登記を移すことができないからです。

遺言と異なる遺産分割を行った場合は、登記原因を「相続」(相続させる旨の遺言の場合)または「遺贈」(遺贈する旨の遺言の場合)として、遺言どおりに登記を移したうえで、登記原因を「交換」または「贈与」として、最終的な取得者に登記を移します。

なお、遺言どおりの相続または遺贈の場合は譲渡所得税はかかりませんが、遺言と異なる遺産分割を行う場合は、遺言によって指定された特定受遺者に譲渡所得税がかかることがあるので、事前に税理士とよく相談しましょう。

受遺者は遺言執行者になれる?

受遺者は遺言執行者になることもできます。

遺言執行者について詳しくは、「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」をご参照ください。

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受遺者にかかる相続税

受遺者は、遺贈を受けた財産に対して、相続税を申告し、納めなければならない場合があります。

相続税については、「相続税の計算方法や土地評価方法、贈与税との比較など相続税の全知識」をご参照ください。

まとめ

以上、受贈者について説明しました。

記事を読んでも分からないことがある場合は、相続に精通した専門家に相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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