未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議は?特別代理人を立てる必要あり

未成年の相続人

相続人に未成年がいる場合、通常と同じように相続手続きはできません。なぜなら、未成年者は単独で法律行為ができないからです。

この場合、遺産分割協議書の署名捺印や、相続放棄の手続きができないということになります。そうなると、特別代理人を立てることになります(通常、親権者が未成年者を代理することはできません)。

特別代理人は相続の当事者でない成人であれば誰でもできますが、候補者が適任でない場合は、税理士などの専門家が選ばれます。

相続税の未成年控除などが利用できる場合もあるので、相続に精通した専門家を探すことをおすすめします。

[ご注意]
記事は、公開日(2020年6月24日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

未成年者とは?

未成年者とは、満20歳に達しない人(満19歳以下の人)のことをいいます。

なお、202241日以降は、民法改正により、満18歳で成年となります。そのため、202241日以降は、未成年者とは満17歳以下の人のことをいうようになります。

未成年者は単独で法律行為ができない

未成年者は単独で法律行為ができないのが原則です。つまり未成年者は遺産分割協議書への署名捺印や、相続放棄等の手続きを単独で行うことはできません(結婚している未成年者は成年擬制によって単独で可能です)。

未成年者の法定代理人は通常は親権者ですが、未成年者と親権者が共同相続人となっている場合は、未成年者と親権者の利益が相反するので、親権者が未成年者を代理することができません(親権者も相続放棄する場合は、未成年者の相続放棄を親権者が代理することができます)。

このような場合は、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい、特別代理人に代理してもらいます。

相続税の仕組みや計算方法には難しい点がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門の税理士などに相談してみることをご検討ください。

特別代理人の選任申立て

特別代理人選任の申立てができるのは、親権者と利害関係人です。未成年者自身はできません。

特別代理人の選任は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。裁判所の管轄地域は、裁判所ウェブサイトのこちらページから確認できます。

特別代理人の選任を申し立てる際には遺産分割協議書案が必要ですが、我が子に不利な内容であると認めてもらえないことがあります。

一般的な手続の流れは次のとおりです。

  1. 申立て
  2. 審理
  3. 書面審査
  4. 参与員の聴き取り
  5. 審問
  6. 審判(裁判官の判断)
  7. 審判結果の通知

申立てから審判結果が通知されるまで、約1か月程度かかります。特別代理人の権限は家庭裁判所の審判で決められ、書面に記載されます。書面に記載のない行為を代理する権限ありません。

家庭裁判所で決められた行為が終了すると、特別代理人の任務も終了します。

未成年者なら相続税の未成年者控除が受けられる

未成年者の税額控除は、相続人が未成年者の場合に利用できる税の軽減制度です。

未成年者控除の額の計算方法

控除額は年齢によって異なり、年齢が低い方が控除額が大きくなるようになっています。

具体的には、次の式で計算できます。

10万円 ×(20 - 相続時の満年齢)

例えば、相続時の年齢が満10歳だった場合は、次のように計算します。

10万円 ×(20 - 10)=100万円

なお、計算に用いるのは、相続時の「満年齢」なので、10歳になったばかりでも、1011か月でも、同じ10歳として計算します。

控除額が相続税額よりも大きい場合は、差額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から控除します。

なお、以前も未成年者の税額控除を受けている場合は、控除額が制限されることがあります。前回、控除額全額の控除を受けている場合は、2回目の控除は受けられません。

前回の控除額に余剰が生じた場合は、今回の控除額と前回の余剰分のいずれか少ない方の額の控除を受けることができます。

未成年者控除の申告方法

相続税の未成年者控除を受けることによって、相続税額の全額が控除される場合は、相続税の申告も、未成年者控除を受ける旨の申告も不要です。ただし、遺産額等の計算については、法的な見解が必要となる場合もありますので、弁護士や税理士等専門家への相談を行った方が安心です。

控除額を差し引いても税額が残る場合は、相続税の申告が必要です。

未成年者控除を受ける場合は、相続税の申告の際に、相続税申告書の第6表(「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」)に必要事項を記入して、提出します。

未成年者控除を受けられたにもかかわらず、受けずに申告・納付してしまった場合は、申告期限から5年以内であれば、「更正の請求」という手続きをとることによって、払い過ぎた相続税を取り戻すことができます。

更正の請求の手続き方法が分からない場合は、相続税に強い税理士に相談するとよいでしょう。

特別受益証明書の利用は最低限に留める

特別受益証明書とは、特別受益が多額であったがために相続分の無いことを証明する書類のことです。

特別受益証明書によって特別代理人の手間を省くことができる

特別受益とは、相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。

特別受益を受けた相続人がいる場合は、遺産分割における当該相続人の取得分を、特別受益を受けた価額に応じて減らす必要があるので、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分が算定されます。

特別受益を受けた価額が相続分以上ある場合は、具体的相続分(実際の相続分)は無くなります。そのことを証明する書類が特別受益証明書というわけです。

特別代理人が選任されていなくても、特別受益証明書に署名捺印することは可能です。そして、特別受益証明書に署名捺印すれば遺産分割協議書への署名捺印は不要になります。

このように特別受益証明書は何かと都合よく利用されてしまうことがありますが、特別受益証明書の利用は、特別受益の持戻しによって相続分がない場合のみにしておきましょう。後から相続人間でトラブルになることあるからです。

特別受益証明書を利用した相続登記が、後に訴訟によって無効になったケースもあります。

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