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未成年後見人とは?親権者がいなくなった場合に知っておくべき全知識

未成年者は、通常、単独で法律行為ができず、親権者である両親の同意を得るか、両親に法定代理人として代わりに法律行為を行ってもらわなければなりません。

では、その親権者が亡くなってしまったときには、誰が未成年者の行為に同意を与えたり、法定代理人となったりするのでしょうか。

例えば、事故で両親を亡くしてしまった未成年者がまず直面するのが両親の財産の相続です。相続においては、遺産分割協議をしたり、生命保険金を請求したり、また、財産の名義を変更したりする必要がありますが、未成年者は単独ではこれらの法律行為を行うことができません。そこで、このような場合に、親権者の代わりとなるのが未成年後見人です。

ここでは、どのような場合に未成年後見人を選ぶ必要があるのか、また、どのようにして、誰が選ばれるのかなど、一般的にはあまりなじみのない未成年後見という制度について、ご説明します。

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[ご注意]
記事は、公開日(2018年10月30日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

未成年後見人とは

未成年後見人とは、未成年者に対して、親権を行う者がいなくなってしまったときに、未成年者の法定代理人となる者をいいます。

未成年者に対して親権を行う者(親権者)とは、通常は、未成年者の両親の両方または一方であることがほとんどです。そして、親権者は、未成年者の法定代理人として、未成年者の財産を管理したり、未成年者に代わって契約を締結したり、未成年者の法律行為に同意をしたりします。ただ、両親がともに亡くなってしまった場合のように、親権者がいなくなってしまうと、未成年者の法定代理人となる者として未成年後見人が必要になるのです。

未成年後見人を選ばなければならない場合とは

未成年後見人が必要な場面

未成年後見人を選ぶ必要があるのは、「親権を行う者がいなくなったとき」です。

親権を行う者がいなくなったときには、以下のような場合があります。

  • 両親が親権者であったが、両親ともに亡くなったとき
  • 両親が離婚し、一方の親が親権者であったが、その親が亡くなったとき
  • 親権者である親が、未成年者を虐待した等の理由で親権を失ったとき
  • 親権者である親が、重度の認知症等で後見開始の審判を受けたとき

未成年後見人が必要な理由

未成年者の両親が亡くなったようなときには、祖父母やおじ・おば等、未成年者の親族が、その後の未成年者の面倒をみるのが一般的です。

ただ、これらの者は、未成年者の法定代理人ではないので、未成年者が法律行為をしようとするとき(両親の財産を相続する、高校や大学への入学に関する各種契約を行う、一人暮らしをするための部屋の賃貸借契約を行う等)に、同意を与えたり、法定代理人として代わりに契約をしたりすることはできません。そのため、未成年後見人を選ぶ必要があるのです。

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未成年後見人の選任手続

未成年後見人はどのようにして選ばれるのか

未成年後見人選任の申立て

未成年後見人は家庭裁判所の審判によって選ばれます。

まず、未成年者に対して親権を行う者がいなくなったときには、未成年者本人やその親族等が家庭裁判所に対し、未成年後見人選任の申立てを行います。申立てを行うのは、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立ての際には、通常、未成年後見人の候補者を立てることが必要です(どうしても適当な人物がいないときは、候補者を立てずに申立てを行うことも可能です)。

未成年後見人選任の申立てに必要な書類

未成年後見人選任の申立てに際しては、以下の書類等(各家庭裁判所で異なる場合がありますので管轄裁判所あるいは弁護士にご相談下さい)を用意する必要があります。

  • 未成年後見人選任の申立書
  • 申立事情説明書
  • 未成年者に対して親権を行うものがないこと等を証する書面(親権者の死亡の記載された戸籍(除籍,改製原戸籍)の謄本(全部事項証明書)や行方不明の事実を証する書類等)
  • 後見人候補者事情説明書
  • 未成年者の財産目録及び資料(不動産がある場合は登記事項証明書、預貯金がある場合は通帳の写し)
  • 亡くなった未成年者の親の財産(遺産)目録及び資料(不動産がある場合は登記事項証明書、預貯金がある場合は通帳の写し、加入していた保険がある場合は保険証書の写し、借金がある場合は借金の額がわかる資料等)
  • 未成年者・後見人候補者の戸籍謄本及び住民票(または戸籍附票)
  • 収入印紙800円分
  • 通信用郵便切手(金額は家庭裁判所によって異なりますが3,000~5,000円程度)

上記の書類のうち、未成年後見人選任の申立書は、裁判所のHPに、書式と記入例が掲載されているので、記入例を参考に作成するとよいでしょう。

また、申立事情説明書及び後見人候補者事情説明書も家庭裁判所で書式を手に入れることができますが、提出する家庭裁判所によって書式が異なるので、提出予定の家庭裁判所に聞いてみられるとよいでしょう。

家庭裁判所によっては、HP上で書式や記入例を公開している場合もあります。

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この事情説明書には、主として、未成年者本人と後見人候補者の現状について記載することになります。

未成年後見人選任の申立て後の流れ

未成年後見人選任の申立てを行うと、まず、裁判所において、申立人と未成年後見人候補者の面接が行われます。その後、未成年者本人との面接も行われます。この面接を担当するのは家庭裁判所調査官です。未成年者の面接は、裁判所で行われる場合もありますが、未成年者の生活状況を確認するために家庭訪問をして行う場合もあります。

また、場合によっては、申立人、後見人候補者以外の未成年者の親族に照会をする場合もあります。

そして、最終的には、裁判所が未成年後見人選任の審判を行い、後見人を選任します。

なお、いったん申立てをすると、裁判所の許可なく申立てを取り下げることはできません。

未成年後見人には誰が選ばれるのか

未成年後見人を誰にするかは、未成年者の生活状況や財産の状況、未成年後見人候補者の職業・経歴、未成年後見人候補者と未成年者との関係、未成年者の意向等を総合考慮して裁判所が決定します。申立て時の候補者が必ず選ばれるとは限りません。

未成年後見人には、通常、祖父母やおじ・おば等の親族が選ばれる場合が多いのですが、未成年者や亡くなった親が多額の財産を所有している場合や、多額の保険金の受領が見込まれる場合、親族間で、未成年後見人を誰にするか、未成年者の身上監護・財産管理の方法について意見の対立がある場合等は、弁護士や司法書士、社会福祉士等の第三者の専門家が未成年後見人として選ばれる場合もあります。

また、第三者の専門家を未成年後見人とするまでの状況ではないものの、親族だけでは適当でないと判断された場合は、親族と共に第三者の専門家を未成年後見人として選任したり、親族を未成年後見人に選任したうえで、第三者の専門家を未成年後見監督人に選任したりする場合もあります。

未成年後見人を指定する方法

離婚後に親権者となる等、親権者が一人(単独親権者)しかいないときに、その親権者が亡くなってしまうと、未成年後見人を選任しなければならなくなります。

このような場合に、もし自分が亡くなったら誰に未成年後見人になって欲しいかを、単独親権者があらかじめ指定しておくことができます。

これを未成年後見人の指定といい、必ず遺言書によって行わなければならないとされています。親権者が遺言によって未成年後見人の指定をしている場合は、原則としてその者が未成年後見人に選任されることになります(この場合も家庭裁判所への申立ては必要です)。

未成年後見人を指定する場合の遺言書の書き方の例は以下のとおりです。

第○条

遺言者は、未成年者○○○○(生年月日:平成○年○月○日)の未成年後見人として次の者を指定する。

  • 住所:○○県○○市○○町○丁目○番○号
  • 氏名:○○ ○○
  • 生年月日:昭和○年○月○日
  • 職業:弁護士

未成年後見人の職務内容

未成年後見人の主な職務は、未成年者の身上監護です。

未成年後見人は、未成年者の親代わりとなるわけですから、未成年者が成人に達するまで、適切な衣食住を確保し、その生活や教育、就労について助言等を行います。

未成年者の財産管理

未成年後見人のもう一つの役割は、未成年者の財産管理です。

未成年者は単独で契約等の法律行為ができませんから、未成年者が法律行為を行う際に同意をしたり、代理人として代わりに法律行為を行ったりします。

例えば、未成年者が一人暮らしをする際の賃貸借契約や、学校などへの入学に関する各種契約等について同意をしたり、代理人として契約を締結したりします(なお、雇用契約に関しては、例外的に、未成年後見人が代理人として契約をすることは、労働基準法で禁止されています)。

また、常に、未成年者の財産を自分や第三者の財産と混同しないようにきちんと管理し、未成年者の財産を未成年者本人のために使用したときには、必ず記録を残して収支を管理しなければなりません。

なお、未成年後見人には、未成年者の財産を保全することが職務であり、未成年者の財産を投資したり運用したりする等、積極的に財産を活用することは認められていません。

裁判所への報告

未成年後見人は、未成年後見人に選任されたら、まず未成年者の財産を把握して財産目録を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。そして、原則として年1回、未成年者の身上監護の状況や財産管理の状況について報告をしなければなりません。

未成年後見人の報酬

未成年後見人は、親族であっても、未成年者の財産から一定の報酬を得ることができます。ただ、未成年者の財産から勝手に報酬を得ることは認められておらず、必ず、家庭裁判所に申立て(報酬付与の申立て)をする必要があります。

未成年後見人の報酬額は、その職務の内容に応じて家庭裁判所が決定します。未成年後見人の報酬の額は、管理をしている財産の額や行った職務の内容によっても異なりますが、通常は月2~5万円程度が一般的です。

なお、報酬付与の申立ては必ず行わなければならないわけではなく、親族が未成年後見人に選任された場合は、敢えて報酬を請求しないというケースも少なくありません。

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未成年後見に関するよくある疑問

離婚と未成年後見人

両親が離婚をした際、未成年の子がいる場合は、両親のいずれか親権者となります。その後、離婚の際に親権者となった親が亡くなった場合、もう一方の親が自動的に親権者になるように思われますが、法律上、もう一方の親が自動的に親権者になることはありません。

この場合は、原則として、未成年後見人を選任することになります。ただ、この場合でも、家庭裁判所が認めれば、もう一方の親が未成年後見人になることは可能です。

これと似た場面として、親権者の変更申立てという手続きがあります。

これは、離婚の際、両親のうちの一方が親権者になったけれども、その者が親権者として相応しくない状況になったために、親権者をもう一方の親に変更するという手続きです。

離婚時と異なり、離婚後に親権者を変更する場合は、父母の同意だけではできず、家庭裁判所での手続きを経る必要がありますが、親権者変更の場合は、両親のうちのいずれが親権者に相応しいかという観点から判断がなされます。

これに対し、未成年後見人選任の場面では、誰が後見人になるのが未成年者のために最も適しているかという観点から判断がなされるため、親権者変更の手続きよりも時間をかけて慎重な判断が行われる傾向にあります。

未成年後見人と特別代理人の違い

未成年後見人が選任されている場合でも、未成年後見人と未成年者との利害が対立する場合があります。

例えば、未成年者の両親が亡くなったために、未成年者の叔父(父親の弟)が未成年後見人に選任されたとします。その後、未成年者の祖父(父親の父)が亡くなると、未成年後見人と未成年者本人が共に相続人となります。このような場合は、未成年後見人と未成年者の利益が相反するため、未成年後見人が未成年者の代理をするのは妥当ではありません。このような場合に、その相続(遺産分割協議)に限って未成年者の代理人として、未成年者本人のために行動する者が必要になります。この場合には、後見人または利害関係者から特別代理人の選任の申立てが行われます。この場合の未成年者の代理人を特別代理人といい、特別代理人も家庭裁判所において選任されます。

なお、未成年後見人は未成年者が成人になるまで職務が続きますが、特別代理人は、利益相反となる事項(上記の例でいうと遺産分割協議)についてのみ未成年者を代理し、それが終わると職務は終了します。

特別第人について詳しくは「特別代理人とは?未成年の我が子と共同相続の場合の遺産分割協議書案」をご参照ください。

未成年後見監督人とは

未成年後見監督人とは、未成年後見人が未成年者の身上監護及び財産管理を行うにあたって、未成年後見人を監督する者で、家庭裁判所が選任します。

未成年後見監督人は、必ず選任されるわけではありませんが、未成年者の財産が多額であったり、未成年者の親族間で利害の対立があったりするような場合に、弁護士等の専門家が選任されることが多いようです。

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未成年後見人について専門家に相談したいときには

専門家に未成年後見制度について相談したいとき

未成年後見制度は必ずしもポピュラーな制度とまではいえないので、一般の方が制度の内容を熟知しているということはあまりないと思います。もし、親族の中に、未成年後見人を必要とする未成年者がいる場合に、制度の内容がわからないまま手続きを進めるのが不安な場合は、あらかじめ、専門家である弁護士に相談をされるのがよいでしょう。

選任手続きを専門家に依頼したいとき

未成年後見人選任の申立てには、身分関係を証明する書類のほか、財産状況を示す書類など様々な書類が必要になりますが、これを全て一人で収集するのは結構な負担になる場合もあります。そのような場合は、資料の収集を専門家である弁護士に依頼することで、スムーズに書類を集めることができます。

また、弁護士には、書類の取集だけでなく、申立書の作成や、申立て自体を依頼することもできます。弁護士に未成年後見人選任の申立てを依頼した場合は、必要書類の収集も含めて手間のかかる度合いなどにもよりますが、10~30万円程度の報酬が発生します。申立て自体を依頼することで、家庭裁判所調査官との面接等にも同行してもらうことができるので、手続きを円滑にすすめることが期待できます。

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専門家に未成年後見人や未成年後見監督人になって欲しいとき

未成年者の身上監護は親族ができる場合でも、財産の管理は専門家に担当して欲しいという場合もあると思います。また、財産の額が多額な場合は、親族が望まなくても、家庭裁判所が専門家の未成年後見人(または未成年後見監督人)を選任する場合があります。

ただ、専門家とはいえ、いきなり全く知らない第三者が選任されるよりも、自分が信頼できる専門家に未成年後見人や未成年後見監督人になって欲しいと考えられる方もおられると思います。

そのような場合は、事前に弁護士等の専門家に相談をし、信頼できる人物を未成年後見人(または未成年後見監督人)の候補者として、裁判所に申立てをされることをおすすめします。

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まとめ

未成年後見人は、未成年者の親代わりとしての役割を求められるだけでなく、家庭裁判所への報告等、一定の事務も求められます。ただ、ご自身の家族の生活もある中、未成年者の身上監護をしつつ、家庭裁判所への報告まで全て一人で行うのはなかなか大変です。

そのような場合は、弁護士等の専門家にも後見人になってもらい、財産の管理や書類の作成といった部分を担当してもらう、という方法をおすすめします。

また、残念なことに、親族が未成年後見人に選任された事例において、未成年後見人が勝手に未成年者の財産を使ってしまうというケースも見られるようです。そのような心配がある場合も、第三者の専門家の未成年後見人(または未成年後見監督人)を選任してもらうことをおすすめします。

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この記事を書いた人

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