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日常生活自立支援事業とは。成年後見制度との違い等をわかりやすく説明

この記事では、認知症等で判断能力が低下し、日常生活に支障をきたすようになってしまった場合に利用できる制度を紹介します。

判断能力が低下してしまうと、自分で情報を収集することが難しくなってしまいます。

身近に認知症等で困っている人がいる場合は、この制度について教えてあげるとよいでしょう。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年3月13日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

日常生活自立支援事業とは?

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。

また、日常生活自立支援事業のパンフレットでは、日常生活自立支援事業とは「あなたの暮らしの安心をお手伝いする事業」とされています。

毎日の暮らしの中で、不安や疑問、判断に迷ってしまうことが生じた場合に、福祉サービスの利用手続きや、金銭管理の手伝いをして、認知症高齢者等で判断能力が不十分な方が安心して暮らせるようにサポートする事業が日常生活自立支援事業です。

日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会(民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織)が実施しています。

日常生活自立支援事業に申込むと各地域の社会福祉協議会で働く「専門員」「生活支援員」が契約者のもとを訪問して契約者をサポートしてくれます。

なお、以前は「地域福祉権利擁護事業」という名称でしたが、2007年4月から日常生活自立支援事業と改称しました。

日常生活自立支援事業を利用できる人

日常生活自立支援事業を利用できる人は、次の両方に該当する人です。

  • 判断能力が不十分な人(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な人)
  • 日常生活自立支援事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる人

日常生活自立支援事業のサービス内容

日常生活自立支援事業のサービスを利用する際には、専門員が利用希望者を訪問し、困りごとや悩みごとについて相談を受けます。

そして本人の希望をもとに適切な支援計画をつくり、契約をします。また、契約内容・支援計画にそって生活支援員が定期的に訪問し福祉サービスの利用手続きや預金の出し入れをサポートします。

主なサービスとして次のものが挙げられます。

  • 福祉サービスを安心して利用するための支援
  • 毎日の生活に欠かせない、お金の出し入れの支援
  • 日常生活に必要な事務手続きの支援
  • 大切な通帳や証書などの保管支援

以下、それぞれの内容について具体的に説明します。

福祉サービスを安心して利用するための支援

福祉サービスとは、介護保険制度などの高齢者福祉サービス、障害者自立支援法による障害福祉サービスなどのことをいいます。

例えばホームヘルプサービスやデイサービス、食事サービス、入浴サービス、就労支援や外出支援サービスなどさまざまなものがあります。

福祉サービスを安心して利用するための支援には、次のようなものが含まれます。

  • さまざまな福祉サービスの利用に関する情報の提供、相談
  • 福祉サービスの利用における申し込み、契約の代行、代理
  • 入所、入院している施設や病院のサービスや利用に関する相談
  • 福祉サービスに関する苦情解決制度の利用手続きの支援

毎日の生活に欠かせない、お金の出し入れの支援

次のようなものが含まれます。

  • 福祉サービスの利用料金の支払い代行
  • 病院への医療費の支払いの手続き
  • 年金や福祉手当の受領に必要な手続き
  • 税金や社会保険料、電気、ガス、水道等の公共料金の支払いの手続き
  • 日用品購入の代金支払いの手続き
  • 預金の出し入れ、また預金の解約の手続き

日常生活に必要な事務手続きの支援

次のようなものが含まれます。

  • 住宅改造や居住家屋の賃借に関する情報提供、相談
  • 住民票の届け出等に関する手続き
  • 商品購入に関する簡易な苦情処理制度(クーリング・オフ制度等)の利用手続き

大切な通帳や証書などの保管支援

利用者の希望に応じて、大切な通帳や証書などを安全な場所で預かってくれます。

ただし、預かってもらえないものもあります。

例えば次のようなものが預かってもらえます。基本的には書類、印鑑、カード等です。

  • 年金証書
  • 預貯金通帳
  • 証書(保険証書、不動産権利証書、契約書など)
  • 実印
  • 銀行印
  • その他実施主体が適当と認めた書類(カードを含む)

次のような、そのもの自体に価値があるものは預かってもらえません。

  • 宝石
  • 書画
  • 骨董品
  • 貴金属類
  • 株券
  • 小切手

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日常生活自立支援事業の利用料

日常生活自立支援事業を利用する際は、実施主体である都道府県や指定都市の社会福祉協議会が定める利用料を利用者が負担します。

例えば、訪問1回あたり利用料は、平均1,200円程度になっています。

ただし、契約締結前の初期相談等に係る経費や生活保護受給世帯の利用料については、無料となっています。

日常生活自立支援事業の利用方法

日常生活自立支援事業を利用するためには、まず、市町村または特別区の社会福祉協議会に連絡します(都道府県の社会福祉協議会ではありません)。

市町村または特別区の社会福祉協議会の連絡先は、各社会福祉協議会のウェブサイト等に掲載されています。

Google等の検索エンジンで検索する等して、お住いの市町村または特別区の社会福祉協議会のウェブサイトにアクセスしてください。

検索する際は、例えば、横浜市であれば「横浜市社会福祉協議会」、世田谷区であれば「世田谷区社会福祉協議会」と検索します。

連絡後の流れは、以下のようになります。

  1. 相談の受付
  2. 相談・打ち合わせ
  3. 契約書、支援計画の作成
  4. 契約
  5. サービス開始

日常生活自立支援事業と成年後見制度の関係

日常生活自立支援事業と成年後見制度の違い

判断の能力が不十分な人に対する援助制度には、日常生活自立支援事業のほかに、成年後見制度もあります。

日常生活自立支援事業は、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭等の管理に限定していることに対して、成年後見制度は、日常的な金銭に留まらないすべての財産管理や福祉施設の入退所など生活全般の支援(身上監護)に関する契約等の法律行為を援助することができます。

両方の制度を併用する場合もあります。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があり、さらに、法定後見制度は、判断能力の程度など本人の事情に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています(「任意後見制度・任意後見契約とは。法定後見との違いを一覧表で解説!」の「任意後見と法定後見の違い」の項目参照)。

本人の判断能力の状況を軸に、日常生活自立支援事業と成年後見制度の違いをまとめると、下の図ようになります。

(画像出典:宮崎県社会福祉協議会)

成年後見制度への移行または成年後見制度との併用が必要なケース

日常生活自立支援事業は福祉サービスの利用援助を目的とした生活支援のための身近なサービスでるため、利用契約者の日常的な範囲でのサービス提供が想定されており、その範囲を超えた支援は困難です。

次のような場合には成年後見制度への移行、または併用が必要となります。

  • 高額な財産の管理、不動産や有価証券の売買など日常的金銭管理を超えた支援(法律行為)が必要になった場合
  • 居所の変更が必要となる施設入所等の代理による契約が必要になった場合
  • 消費契約上のトラブルの解決のため取消権の行使が予測される場合
  • 親族や知人らによる財産侵害など虐待の被害があり、明確な財産保全の必要性が高くなった場合
  • 日常生活自立支援事業による支援だけでは生活の継続が困難となった場合
  • 身上監護に関連して、将来にわたっての支援のキーパーソンが必要とされる場合

日常生活自立支援事業と成年後見制度の併用ができる場合とできない場合

日常生活自立支援事業のサービス内容の多くは後見業務の範囲に含まれるため、成年後見人が選任されたら、基本的には日常生活自立支援事業は解約を検討することになります。

しかし、両制度を併用することで、制度的に互いに補完し、支援を重層化できる場合もあります。

そのような場合には、両制度の併用が認められます。

併用を認めるかどうかの具体的な指標は、各都道府県の社会福祉協議会によりますが、ここでは大阪府社会福祉協議会による指標を紹介します。

次のような場合には併用が認められます。

  • 権利侵害、虐待等をうける恐れがあり、権利侵害防止を図る観点から、日常的な見守り体制が必要な場合
  • 同居者や親族が何らかの生活課題を抱えており、本人の生活を支援するために、ファミリーソーシャルワークの観点から同居者や親族を含めた見守り体制が必要な場合
  • 精神的な問題等により、本人からの頻繁な訴えに対してきめ細かな対応が必要であり、複数の機関での関わりが必要な場合
  • 本人にとって、新しい人間関係を形成することが難しく、日常生活自立支援事業の支援がなくなることが本人にとって大きな不利益となることが想定される場合。
    ※3~6か月の移行期間を設け、この間に後見人等は本人との信頼関係の構築に努め、一定期間経過後は円滑に成年後見制度への全面移行を図る
  • その他、親族による後見人等であって、後見人等が後見業務を全面的に担うことができない特別な事情がある場合

なお、両制度の併用にあたっては、個々の事例について具体的な検討を加え、役割分担を明確にする作業が必要です。

この点については、基本的には社会福祉協議会と後見人の間で調整するでしょうから、利用者から役割分担に関する希望を伝えることも可能でしょう。

日常生活自立支援事業では身元保証はできない

日常生活自立支援事業では身元保証はできません。

賃貸住宅や施設への入居、病院への入院等の際に、身元保証人(または身元引受人)の設定を求められることが多いのですが、身元保証人になってくれる人を見つけることができなければ、入居・入院ができないこともあります。

身元保証人になると、緊急時の連絡先となるだけでなく、入居・入院に関する債務を保証する責任も負うことになるため、気軽に依頼しにくい面がありますし、引き受け手が見つからないこともあります。

後見人がいる場合は身元保証人は不要というケースもありますが、後見人と身元保証人は役割が違うため、後見人がいても身元保証人が別途必要というケースの方が多いです。

身元保証人になってくれる人が見つからない場合は、身元保証サービスの利用も検討することになりますが、サービスの利用には、通常、100万円以上の預託金が必要ですし、リスクもあるため、社会福祉協議会に相談する等して慎重に検討すべきでしょう。

身元保証サービスやその代替策について詳しくは「生前契約を検討する全ての人が知っておくべき注意点と代替策」をご参照ください。

まとめ

以上、日常生活自立支援事業について説明しました。

日常生活自立支援事業を利用すべきか、または、成年後見制度を利用すべきか不明な場合は、社会福祉協議会に相談してみるとよいでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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