弁護士監修記事

相続登記の義務化はいつから?罰則についてもわかりやすく説明!

現在、相続登記の義務化が検討されています。

この記事では、相続登記の義務化について、わかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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相続登記とは?

不動産(土地や建物)には登記という制度があります。

不動産登記制度は、不動産の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかるためのものです。

相続不動産の所有権を亡くなった人から相続人に移転させる登記のことを相続登記といいます。

相続登記について詳しくは「相続登記を自分でスムーズに行うため全知識と司法書士報酬の相場」をご参照ください。

相続登記の義務化はいつから?

この記事の執筆時点では義務化に向けた改正法案が法制審議会で審議されているところで、2020年秋の臨時国会で法案が提出される見通しです。

施行日については未定ですが、早くても2020年秋の臨時国会以降であることは間違いないでしょう。

義務化前でも相続登記をしないとリスクがある!

義務化までに相続した不動産については、相続登記をせずに登記費用を節約しようと考える人もいるかもしれません。

しかし、相続登記をしないでいると、次の4つのリスクがあります。

  • 他の相続人の持分を差し押さえられたり、売却されたりするおそれがある
  • 不動産の売却・担保設定ができない
  • 権利関係が複雑になる
  • 次の相続時に2倍の費用がかかる可能性がある

以下、それぞれについて説明します。

他の相続人の持分を差し押さえられたり、売却されたりするおそれがある

相続登記をしていなければ、他の相続人の債権者等から家を差し押さえられるおそれがあります。

家などの相続財産は、遺産分割が済むまでは、すべての相続人が相続分に応じて共有している状態です。

遺産分割協議で誰がどの財産を取得するかを決めて遺産分割を行うと、協議で決まった相続人がその財産を取得することになります。

しかし、家を取得した相続人は、登記しなければ、その家についての権利を第三者に対して主張することはできません。

登記を行っていない状態は、第三者から見れば、まだ遺産分割が済んでいない共有状態になるのです。

ですので、他の相続人の債権者は、その相続人が債務を弁済しない場合は、相続財産についてのその相続人の持分を差し押さえることができるのです。

また、他の相続人に債務がある場合だけでなく、他の相続人が勝手に共有登記をして共有持分を売却することもできてしまいます

そうすると、どちらにせよ、見ず知らずの人と不動産を共有している状態になってしまいます。

この状態を解消して不動産を単独で所有するには、共有持分を買い取ることになるでしょう。

共有持分の買い取りに要した費用は、債務者であった相続人に求償することができますが、差し押さえを受けるくらいなので、求償に応じる程の資力がなく、回収することは難しいでしょう。

このように、相続登記をしていないと、余計な出費がかかるおそれがあります。

不動産の売却・担保設定ができない

登記をしていないと、相続した家を売却したり、家に担保権を設定したりすることができません。

それでは、売却したり、担保権を設定したりする時に、登記をすればよいではないかと思われるかもしれませんが、それは、お勧めできません。

その理由は2つあります。ひとつは、前述の通り、その間に家を差し押さえられるおそれがあるからで、もうひとつは、登記をしようと思った時には、権利関係が複雑化して、相続登記をすることが大変になっていることがあるからです。

権利関係が複雑になる

登記をしようと思った時には、権利関係が複雑化して、登記をすることが大変になっていることがあるとはどういうことでしょうか?

例えば、被相続人(亡くなった人)の妻Aと被相続人の姪Bが共同相続人のケースで、遺産分割協議で家をAが取得することになったとします。

Aが登記を行わずにいたところ、Bが亡くなり、Bの夫Cが家を相続したとします。

その後、Cも亡くなり、Cの甥姪DEFGHIJK7人がCの財産を相続したとします。

その後、Aは家を売却するために、登記を行おうとしても、そのためには、被相続人の姪の夫の甥・姪という見ず知らずのDK7人の同意が必要になります。

その7人が気の良い人たちであれば、同意してくれるかもしれませんが、お金に困っていたりすると、同意に応じる代償としてのハンコ代を求めたり、共有持分の買い取りを請求することも考えられます。

次の相続時に2倍の費用がかかる可能性がある

相続登記をしないと、その人が登記費用を節約できても、その人の相続人が、その人の分まで登記費用を負担しなければならない可能性があります。

どういうことかというと、例えば、不動産の所有者が亡くなって(一次相続)、相続人がその不動産について登記をしないまま亡くなったとします(二次相続)。

二次相続の相続人が登記をする場合には、一次相続の登記と二次相続の登記の2回分の登記をしなければならず、倍の費用がかかってしまうのです。

したがって、費用の節約のために登記をしないということは、次の世代に自分の分の登記費用を押し付けているという言い方もできます。

なお、201841日から、2021331日までの時限措置として、一代前の相続登記にかかる登録免許税を免税にする特例がスタートしていますので、当該措置の適用が受けられれば、必ずしも2倍の費用がかかるというデメリットが当てはまらない場合もあります(詳しくは「相続登記の登録免許税の免除・免税措置と計算方法をわかりやすく説明」の「相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置」の項目参照)。

相続登記の義務化の背景

なぜ、相続登記の義務化の必要性が検討されているのでしょうか?

これには、いわゆる空き家問題と、土地の利用阻害問題があります。

総務省の行った「平成 30 年住宅・土地統計調査」によると、2018101日現在における日本の空き家は848 9千戸で、2013年の前回調査時から293千戸増と増加傾向にあります。

空き家は、防災上、衛生上、景観上などの点で地域に悪影響を及ぼすため、空き家の増加が社会問題となっています。

また、法務省の調査によると、土地についても50年以上にわたって登記変更がないことによって所有者不明となっている可能性がある土地の面積は、いまや九州の面積以上に拡大し、このような所有者不明の土地は利用が阻害されるため、社会経済上の損失となっています。

このような社会背景から相続登記の義務化が検討されているのです。

なぜ相続登記をしない人がいるの?

なぜ相続登記をしない人がいるのでしょうか?

相続登記をしないことには前述のようなリスクがあります。

それでも相続登記をしない理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 不動産の価値が低く登記をしなくても不利益があまりない。
  • 遺産分割協議で揉めて遺産分割が頓挫した。遺産分割協議が面倒で放置した。
  • 登記の費用と手間を節約するため
  • 固定資産税を免れるため

相続登記の義務化に向けた問題点

想像登記の義務化に向けた問題点として、次のようなことが言われていています。

  • 多数の共有となっている場合には登記手続きの簡略化が必要
  • 土地の所有権を放棄する仕組みづくり

相続登記をしないまま、何代も代替わりを重ねると、鼠算式に相続人が増えることがあります。

そうした場合、数十人の共有状態となっていて、全員の同意を得て相続登記をすることが難しいため、登記手続きの簡略化が必要なのではないかと言われています。

また、現行法では、土地の所有権を放棄するための仕組みが存在しないため、相続によって欲しない土地を強制的に所有させられ、結果として、相続登記がなされないことにつながっています。

相続登記の義務化は、本質的な問題の解決にならないため、土地を放棄する仕組みを整備することの必要性が言われています。

義務化後に相続登記をしなかった場合の罰則

前述のとおり法案がまだ出来ていないので、務化後に相続登記をしなかった場合の罰則についても検討中の段階です。

民法・不動産登記法部会第11回会議(令和元年12月3日開催)において取りまとめられた「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」によると、登記申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのに所定の期間内にその申請をしなかったときは一定の額の過料に処する旨の規律を設けるとの考え方と、設けないとの考え方があるということです。

つまり、罰則があるとしたら過料ですが、罰則がない可能性もあるということです。

なお、過料(かりょう)とは、金銭支払いを要求する行政罰です。刑法上の「科料」とは異なり刑罰ではありません。

まとめ

以上、相続登記の義務化について説明しました。

義務化前でも登記せずに放置することには前述のようなリスクがあるため、相続登記をすることをおすすめします。

相続登記は、司法書士に依頼すれば、手間なく行うことができます。

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