相続税の支払い|納付方法の種類とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介
相続税はどうやって払えばよいのでしょうか。
銀行や郵便局の窓口だけでしょうか。
相続税の納税方法はいくつかあり選ぶことができるのです。
この記事では、相続税の納税について、ケースごとにおすすめの方法を一覧表にしたものや、手続きの仕方などをご紹介しています。
それぞれのメリットとデメリット理解して、自分に合った方法を選ぶための参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年10月9日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
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相続税の支払方法とそれぞれのおすすめのケース
相続税の支払方法と、それぞれの支払方法ごとのおすすめケースをまとめる下の表のようになります。
納付方法 | おすすめのケース |
---|---|
税務署 | 納付額が少額の場合(目安:持ち歩ける程度) |
金融機関 | 納付額が高額の場合(目安:持ち歩くことに不安を感じる額) |
コンビニ | 納付額が30万円以下で、かつ、金融機関がよりもコンビニが近い場合又はnanacoポイントを得たい場合(ただし、最大1500円分にしかならない) |
クレジットカード | 平日の日中に税務署や金融機関に行く時間がない場合、又は、クレジットカードのポイントを得たい場合 |
電子納税 | パソコンでの手続きに負担を感じない場合 |
各支払方法の手続方法とメリット・デメリット
相続税の基本的な支払方法には、次の6つがあります。
- 所轄税務署で現金納付
- 金融機関で現金納付
- 金融機関で口座引き落としによる納付
- コンビニエンスストアで納付(主に現金で)
- インターネットでクレジットカード納付
- 電子納税(ダイレクト納付又はインターネットバンキング)
以下、それぞれについて説明します。
1.所轄税務署で現金納付
納付額が少額(持ち歩くのに負担に感じない程度の金額)で、申告と納付を一度に済ませたい方におすすめの方法です。
所轄税務署とは、被相続人(亡くなった人)の最後の住所地を所轄する税務署のことで、相続税の申告を行う税務署です。
税務署の所轄地域は、国税庁ウェブサイトの「税務署の所在地などを知りたい方」のページで調べられます。
税務署では、現金に納付書を添えて納付します。
納付書の用紙は税務署にあります。
納付書の記入方法は以下の記事で詳しくご紹介しています。
なお、申告を税理士に依頼する場合は、税理士が納付書を記載して渡してくれるため、自分で入手・記入する必要はありません。
メリット・デメリット
税務署で納付するメリットは、申告と納付を同じ場所で一度に済ませることができることです。
一方、デメリットは、納付のための現金を税務署まで持ち歩かなければならないことです。
2.金融機関で現金納付
現金を持ち歩きたくない場合におすすめの方法です。
銀行等の金融機関の窓口でも現金に納付書を添えて納付することができます(ATMでは納付できません)。
通常、納付書は金融機関でも入手することができますが、置いてない場合は、税務署で入手してください。
メリット・デメリット
税務署でなく金融機関で納付するメリットは、現金を持ち歩かずに済むことです(金融機関で納付ための現金を引き出して、そのまま納付できるため)。デメリットは、窓口などの営業時間や待つ時間などです。
3.金融機関で口座引き落としによる納付
金融機関では、口座引き落としによって納付することもできます。
メリット・デメリット
メリットは、現金の引き出しなどが不要で口座上で手続きが完結することです。しかし、口座引き落としによって納付する場合は、納付手続を行う金融機関に口座があり、その口座に納付額以上の残高がなければならないのがデメリットです。
なお、口座引き落としの場合も納付書は必要です。
4.コンビニエンスストアで納付(主に現金で)
コンビニエンスストア(コンビニ)で納付できるのは、納付額が30万円以下の場合に限られます。
コンビニで納付するには、バーコード付きの納付書が必要です。
バーコード付きの納付書は、税務署に納付書を提出して発行してもらえます(電子申告の場合は、税務署に行かなくても、e-Tax(後述)からQRコードを作成・出力し、コンビニのキオスク端末(「Loppi」(ローソン、ナチュラルローソン又はミニストップに設置)又は「Famiポート」(ファミリーマートに設置))でバーコード付き納付書を発行可能)。
メリット・デメリット
前述のように、コンビニ納付は、少々手間がかかることが難点です。
しかし、コンビニのATMで納付のための現金を引き出して、そのままレジで納付できるため、現金を持ち歩かなくてもよいというメリットはあります。
なお、コンビニ納付では、セブンイレブンのnanacoを除いて、各種のキャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、コード決済)は使用できないようです(当記事執筆時点)。
5.インターネットでクレジットカード納付
クレジットカードで納付する場合は、どこにも赴く必要がなくインターネットで手続きができるため、移動の手間がかからず、かつ、受付時間の制約も受けません(ただし、メンテナンス作業等で利用できない時間が生じることがあります)。
注意点としては、次の3点が挙げられます。
- 決済手数料がかかる
- 利用可能額に上限がある
- 領収証書が発行されない
決済手数料は、最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別)です。
例えば、相続税額が100万円であれば、その決済手数料は7600円(消費税別)となります。
なお、ポイント還元を行っているクレジットカード利用すれば、決定手数料分はカバーできるでしょう。
例えば、還元率1%のクレジットカードで100万円を決済すると、1万円分のポイントが還元される計算になります。
ただし、クレジットカードによっては納税はポイント還元の対象外といった取り扱いがあるかもしれないので、ポイント還元を期待する場合は、事前に利用するクレジットカードのカード会社に確認するとよいでしょう。
利用可能額については、1000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)です。
クレジットカードの決済可能額は、通常、一時的な増額を申請することができるので、必要に応じてカード会社に問い合わせるとよいでしょう。
また、領収証書が発行されない点について、納付を証明する必要性が生じた場合は、クレジットカードの利用明細書で証明できるため、特に問題はないでしょう。
クレジットカードで納付する場合は、「国税クレジットカードお支払いサイト」から手続きします。
なお、相続税申告を電子申告で行った場合は、e-Taxから「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスすると、e-Taxから「国税クレジットカードお支払いサイト」に情報が引き継がれるため、「国税クレジットカードお支払いサイト」において、住所や氏名、税金の種類などの入力が不要になるため、便利です。
e-Tax(イータックス)とは、「国税電子申告・納税システム」のことです。相続税の電子申告については以下の記事で詳しくご紹介しています。
メリット・デメリット
前述のとおり、メリットは、移動の手間がかからず、かつ、受付時間の制約も受けず、ポイント還元が受けられる可能性もあることです。デメリットは、カードの決済可能額や、ポイントなどの取り扱いが各社、個々人で違うこと、パソコンなどの操作に抵抗がない方向けとなることです。
6.電子納税
電子納税とは、国税の納付手続を自宅やオフィスからインターネットを経由して電子的に行う手続のことです。
どこにも赴く必要がなくインターネットで手続きができるため、移動の手間がかからず、かつ、受付時間の制約も受けないというメリットがあります(ただし、e-Taxの利用可能時間内で、かつ、ご利用される金融機関のシステムが稼働している時間に限ります)。
また、クレジットカード納付と違い、決済手数料はかかりません。
電子納税は、電子申告をした人にお勧めの納税方法です。
電子申告をした人の納税方法には、次の3つがあります。
- 電子納税
- クレジットカード納付
- コンビニ納付
コンビニ納付は、前述のとおり、手続きが面倒なので、あまりお勧めしません。
クレジットカード納付は、前述のとおり、決済手数料がかかりますが、それでも構わない人はクレジットカード納付でもよいでしょう。
電子納税は、電子申告後に簡単な手続きで納税することができます。
電子納税には、ダイレクト納付とインターネットバンキングがあります。
以下、それぞれについて説明します。
ダイレクト納付
ダイレクト納付とは、e-Taxにより申告書等を提出した後、納税者ご自身名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。
利用に当たっては、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行った上、専用の届出書を提出する必要があります。
ダイレクト納付は、納付手続き自体は最も簡単ですが、事前の設定に手間がかかるため、相続税のような1回のみの納付手続きにはあまり向いていないと言えます。
ダイレクト納付について詳しくは、e-Taxウェブサイトの「ダイレクト納付による納税手続き」のページをご参照ください。
インターネットバンキング
インターネットバンキングとは、インターネットを利用した銀行などの金融取引のサービスで、金融機関の窓口やATMに行かなくても、自宅や外出先などで、金融機関の営業時間を気にすることなく振込などをすることができるものです。
このインターネットバンキングによっても相続税の電子納付ができます。
インターネットバンキングによる電子納税を行うためには、金融機関でインターネットバンキング口座を開設したうえで、税務署でe-Taxの利用開始手続きを行う必要があります。
ダイレクト納付と違って専用の届出書は不要です。
このことから、電子納税を行うのであれば、ダイレクト納付よりもインターネットバンキングがお勧めです。
インターネットバンキングによる電子納税には、登録方式と入力方式がありますが、相続税の納付に利用できるのは登録方式のみです。
詳しくは、e-Taxウェブサイトの「登録方式による納税手続き」のページをご参照ください。
メリット・デメリット
前述のとおり、メリットは、電子納付は手数料がかからないこと。インターネットを利用することで移動の手間がかからず、かつ、受付時間の制約も受けないことです。デメリットは、パソコンなどの操作に抵抗がない方向けとなることです。
相続税申告を税理士に依頼した場合の相続税の支払方法
相続税申告を税理士に依頼した場合は、納付書も税理士が作成するので、あとは、金融機関か所轄税務署に納付書を持参して納税するだけです。
税理士に依頼した場合でもクレジットカード納付や電子納税を選択することもできます。
詳しくは税理士にご相談ください。
まとめ
以上、相続税の支払方法について説明しました。
相続税申告を税理士に依頼した場合は、納付書も税理士が作成するため、手間があまりかかりません。
また、相続税申告を税理士に依頼することで、申告の手間も削減することができますし、相続税を安くできたり、税務調査が入る可能性が下げられたりといったメリットもあります。
当サイト等を利用して、相続税に精通した税理士を探して相談してみるとよいでしょう。
この記事を書いた人
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