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土地の分割が必要な5つのケースと知っておくべき分割と分筆の違い

土地の分割が必要な5つのケース

土地を相続したときや節税目的など、さまざまなケースで土地の分割を検討するときがあります。

実際土地の分割を行う場合、現物分割や換価分割などいくつかの方法があります。それによってやり方や税金の金額が変わってくるので注意が必要です。

まずは土地の分割で知っておきたい「分筆」と「分割」の違いを説明します。そして、ケースごとの詳しい解説をしていきます。

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[ご注意]
記事は、公開日(2018年9月28日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

「分割」と「分筆」の違い

ケースごとの説明に移る前に、「分割」と「分筆」の違いについて説明します。

「分筆」と「分割」の違い

分筆と分割は、単一の敷地を複数に分けるという意味では同じです。

分筆と分割の違いは、登記簿上でも土地が分かれることになるかどうかです。

複数の土地として登記されるのが分筆です。ちなみに、登記簿上では土地は一筆、二筆と数えます。

なので、別の土地となるように分けて登記することを、「筆」を「分ける」と書いて「分筆」というのです。

一方、登記を変更せずに、登記簿上は同じ土地のまま、それぞれの土地が建築基準法の基準を満たして建物を建築できるように敷地を分けることは分割といいます。

「分筆」で出来て「分割」で出来ないこと

分筆で出来て、分割でできないことには、次の3つがあります。

  • 土地ごとに異なる権利関係を登記すること
  • 土地ごとに異なる地目を登記すること
  • 土地の評価額を下げること

以下、それぞれについて説明します。

土地ごとに異なる権利関係を登記する

前述の通り、一筆の土地の登記は同じであり、一筆の中で所有者を分けることはできません。

ですので、土地の一部を売却したい場合や、共有している土地を分割して単独所有する場合は、分筆が必要になります。

また、抵当権等の所有権以外の権利も登記することができますが、この権利についても、一筆の土地全体に設定されます。

ですので、土地の一部について抵当権等を設定したい場合は、分筆しなければなりません。

例えば、土地の一部に家を建てて住宅ローンを組んだ場合には、土地にも抵当権が設定されることが多いですが、分筆していないと土地の全部に対して抵当権がかかってきます。

抵当権のほかにも、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、根抵当権、賃借権、採石権といった権利を土地に設定することがあります。

土地ごと異なる地目を登記する

土地の登記には地目という項目があり、一筆の土地の中で、地目を分けることはできません。

地目とは、土地の用途による区分のことで、「宅地」、「山林」、「原野」、「田」、「畑」等があります。

一筆の土地の中で地目が分かれることになった場合には、分筆して、地目を変更しなければなりません。

例えば、農地の一部に住宅を建築する場合は、住宅を建築する土地と農地のままの土地とに分筆し、その際に住宅を建築する土地の地目を宅地に変更します。

土地の評価額を下げる

土地の評価額は、土地の間口や形状、面している通りの道路幅等、様々な要素によって決まります。

そして、評価額の高い土地の方が、固定資産税や相続税、贈与税等の税金が高くなります。

通常は、大通りに面している土地の方が、評価額が上がります。

そこで、通りに面している土地と通りに面していない土地とに分筆することによって、通りに面していない土地の評価額を下げ、税金を安くすることができる場合があります。

ただし、土地が2筆に分かれていても、境界線上に建物が建っている等、土地が一体として利用されている場合は、土地の評価も一体として行われる場合があります。

このほかにも、分筆によって税金を安くすることができるケースがありので、詳しくは土地家屋調査士等の専門家に相談してみるとよいでしょう(なお、すべての土地家屋調査士が分筆による減税手法に精通しているわけではありません。)。

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市街化調整区域では分筆できない場合や、分筆も分割もできない場合がある

市街化調整区域では、一筆の土地の最低面積が決まっている場合があります。

その場合は、分筆後のそれぞれの土地の面積が最低基準面積を超えなければ分筆をすることができません。

また、市街化調整区域では、分筆によらずに敷地を複数の区画に分割することが禁止されている場合もあります。

その場合は分筆を行わなければなりませんが、前述の最低基準面積の問題で分筆ができない場合は、分筆も分割もできません。

財産としての土地の分割

これまでの説明してきた分割は敷地の分割という意味で使っていますが、財産としての土地の分割という意味でも土地の分割という言葉は使われます。

亡くなった方の遺産の中に土地が含まれている場合は、その土地を含めた遺産を相続人で分割します。その場合の分割方法には、次の3つがあります。

  • 現物分割
  • 換価分割
  • 代償分割

現物分割とは、遺産を現物のまま分割することです。

例えば、土地を分筆して相続人で分ける場合は、現物分割に当たります。

換価分割とは、換価して(売却してお金に換えて)、そのお金を分割することです。

代償分割とは、土地を承継した人が、承継しなかった人に対して、法定相続分との差額を代償することです。

実家の土地内に家を建てさせてもらうケース

それでは、ケースごとの説明に移ります。まずは、実家の土地の中に家を建てさせてもらうケースについて説明します。

「二世帯住宅はちょっと……」という場合に、実家の土地の空いている場所に子世帯の家を建て、同じ土地に2世帯が別々に済むというケースがあります。

その場合に考えられる方法には、次のようなものがあります。

  • 分筆して、子世帯に土地を譲渡する方法
  • 分筆はせず、敷地を分割する方法
  • 分筆も分割もせずに、実家の敷地内に家を建てる方法

以下、それぞれについて説明します。

分筆して、子世帯に土地を譲渡する方法

分筆すると、土地の所有者を分けることができ、分筆後の土地を子に譲渡することができます。

前述の通り、市街化調整区域では、分筆後の最低面積が定められていて、基準未満になる場合は、分筆することができません。

また、分筆して、家を建てるには(既存の家も)、建築基準法の次の基準をクリアしなければならないので、基準を満たすように分筆しなければなりません。

  • 敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接道している
  • 建ぺい率や容積率といった建築基準法等の法規にそれぞれの建物が適合している

分筆した結果、既存の家の間口が2メートル未満になったり、既存の家がある方の土地の面積が小さくなった結果、建ぺい率や容積率の上限を超えてしまうことがないようにご注意ください。

なお、贈与を受けると贈与税の対象となりますが、多額の財産をもっている場合は、財産を小分けにして生前贈与することで、相続税を節税することができます。

しかし、そもそも相続税がかかるほどの財産がない(相続税の基礎控除額以下の財産しかない)場合等、生前贈与を行うと、贈与税の分だけ、余計に税金がかかること場合もあります。

また、贈与でなくとも、市場価格よりも2割以上低額で譲渡を受けた場合も市場価格との差額に対して、贈与税がかかります。

市場価格との差額が2割未満の場合は、贈与税がかからないこともありますが、一概には言えないので、詳しくは税理士にご相談ください。

なお、子が親と別居して家を所有すると、小規模宅地等の特例の適用を受けられなくなってしまいます。

小規模宅地等の特例は、宅地等を相続する場合に、相続税の計算のための宅地の評価額を最大で8割引くことができる特例です。

相続税の課税対象となる財産がある場合は適用を受けた方が得な制度ですが、基礎控除額以下しか財産がない場合は気にする必要はありません。

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分筆はせず、敷地を分割する方法

分筆をせずに、敷地を分割するという方法もあります(市街化調整区域等では分筆しなければ敷地を分割できない場合もあるので、詳しくは市区町村の役所に確認してください。)。

分筆をしないと土地の所有者を分けることはできません。

ですので、分離をしないと、土地の所有権は親が持ったままということになります。

建物の所有権者は土地の所有権者と別でも問題ないので、子は建物だけ所有するということも可能です。

なお、敷地分割の場合も、分筆の場合と同様、前述の建築基準法の基準をクリアしなければ家を建てることができません。

また、この手法の場合、小規模宅地等の特例の適用も受けることも可能です。

注意点としては、子が複数いる場合は、敷地の分割を受けて家を建てた子が、親の死後にその土地を相続できるように遺言を残してあげたほうがよいでしょう。

分筆も分割もせずに、実家の敷地内に家を建てる方法

敷地を分割したとしても、建築基準法の要件を満たせず、家を建てられない場合もあるでしょう。

そのような場合には、分筆も分割もせずに、実家の敷地内に家を建てるという方法もあります。それには、次の2通りの方法があります。

  • 離れとして建てる
  • 既存の建物と一体化させる

それぞれについて説明します。

離れとして建てる

基本的には、一つの敷地には、一棟しか家は建てられません。しかし、離れのような建物であれば、建てることができます。

一つの敷地に母屋が2棟は建てられませんが、母屋と離れなら問題ないのです。

流し台、トイレ、お風呂の3つのうちのいずれかが欠けている場合は、基本的には、離れ扱いとなり、同じ敷地内に建てることができます。

しかし、必ずしも役所に離れと判断してもらえないこともあるので、実際に建築する前に役所に相談するとよいでしょう。

既存の建物と一体化させる

既存の建物と一体化させて併せて一棟にすれば、一区画の敷地に建てることができます。

いわゆる二世帯住宅になりますが、オーソドックスな二世帯住宅でなくとも、ほぼ独立した住宅同士が渡り廊下でつながっているという程度でも一棟の建物として認められる可能性が高いです。

ケースによりけりなので、建築前に役所に確認しましょう。

相続した土地を共同相続人間で分割するケース

このケースについては、「財産としての土地の分割」の項目で説明済みなので、そちらをご参照ください。

土地の一部を売却するケース

土地の一部が遊んでいるので、売却してお金にしたいというケースには、土地を分筆しなければなりません。

また、分筆後の土地が前述の建築基準法に適合するようにご注意ください。

売却しない方の土地も、建物が建っているか、または建てる予定があるなら建築基準法に適合しなければなりませんし、売却する方の土地も、建築基準法に適合していなければ、家を建てることができず、低廉な値しかつかないでしょう。

農地の一部を宅地として利用するケース

農地の一部を宅地にしたいというケースも分筆が必要です。

農地と宅地では地目が違います。登記上同じ土地の中で複数の地目を設定することはできないので、分筆が必要です。

このほか、農地を宅地にする場合は、農業委員会の許可(市街化調整区域の場合)や届出(市街化区域の場合)が必要です。

節税のために土地を分割するケース

節税のために土地を分割するケースについては、「土地の評価額を下げる」の項目で説明したので、そちらをご参照ください。

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この記事を書いた人

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