贈与税は毎年110万円まで非課税!税務署に否認されたくない方必見!
贈与税は毎年110万円の基礎控除があることは、知っていますか?
つまり、毎年110万円までは非課税で贈与を受けることができるのです。
しかし、毎年の贈与を税務署に認めてもらえずに課税されてしまうこともあります。
そのようなことにならないように、この記事では、贈与税の基礎控除の仕組みと、税務署に否認されるケースとその対策について、税理士がわかりやすく説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、公開日(2019年11月22日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
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贈与税の課税方式は2つある
個人間の贈与には、通常、贈与税がかかります。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。
毎年110万円の非課税枠(基礎控除)があるのは、「暦年課税」の方です。贈与税の申告時に相続時精算課税を選択しない限りは、暦年課税方式が適用されます。
相続時精算課税について詳しくは以下の記事でご紹介しています。
暦年課税方式には毎年110万円の基礎控除がある
暦年課税方式では、贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。
ただし、複数人から贈与を受けた場合でも、基礎控除額は110万円で変わりありません。
例えば、同じ年に、父と母からそれぞれ100万円の贈与を受けた場合、100万円+100万円-110万円=90万円となり、90万円に対して贈与税がかかります。
なお、贈与者が親や祖父母ではなく他人であっても110万円の基礎控除を受けることができます。
暦年贈与が認められず課税される場合とは?
暦年贈与の基礎控除を利用して非課税で贈与を受けたつもりでも、税務署から暦年贈与と認めてもらえず、課税される場合があります。
課税される主なケースには次の2つがあります。
- 贈与を税務署に認めてもらえず、相続時に相続税が課税される
- 暦年贈与ではなく、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして、契約をした年に贈与税が課税される
以下、それぞれについて説明します。
相続税が課税されるケース
贈与を税務署に認めてもらえず、相続時に相続税が課税されるケースについて説明します。
贈与があったと認められないということは、相続人名義の口座にある預貯金であっても、実態は被相続人の預貯金であり、相続税の課税対象となります。
税務署に贈与が認めてもらえない可能性があるケースとして、次のような場合が挙げられます。
- 贈与について双方の同意がない場合
- 贈与が履行されていないと判断される場合
以下、それぞれについて説明します。
贈与について双方の同意がない場合
贈与は契約であり、双方の意思の合致により贈与契約が成立します。
つまり、贈与者が贈与の意思を表示し、受贈者が受贈の意思を表示していなければ、贈与契約は成立しません。
したがって、親が子に知らせずに勝手に入金したような場合は、贈与が成立していないと判断される可能性があります。
贈与が履行されていないと判断される場合
贈与が履行されていないと判断される場合も、贈与があったと税務署に認めてもらえない可能性があります。
例えば、次のような場合には、贈与が履行されていないと判断される可能性があります。
- 入金先の口座を贈与者が管理している場合
- 名義変更していない場合
子供名義ではあるけども、親が通帳、届印、キャッシュカードを管理していて、子供が自由に引き出すことができない口座に入金したような場合は、贈与が履行されたとは判断されない可能性があります。
また、不動産、自動車、船舶、有価証券などを贈与したつもりでも、名義変更していない場合は贈与があったと判断されない可能性があります。
贈与税が課税されるケース
税務署が、暦年贈与ではなく、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与であると判断すると、契約をした年に贈与税が課税されます。
定期金給付契約とは、例えば、毎年110万円を20年間にわたって給付することを約束するような契約です。
定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けた場合は、約束をした年か最初の履行があった年にまとめて課税されます。
税務署に暦年贈与を否認されないためにすべきこと
以上のとおり、暦年贈与を受けたつもりでも、定期金給付だと判断されたり、そもそも贈与が有効に行われていないと判断された場合は、課税対象となってしまいます。
暦年贈与を税務署に認めてもらうためには、次のような対策が有効です。
- 贈与契約書を作成する(確定日付つき)
- 受贈者が管理している口座に振り込む
以下、それぞれについて説明します。
贈与契約書を作成する(確定日付つき)
贈与契約書を作成することによって、贈与について双方の同意があったことを証明することができます。
毎年贈与する場合は、毎年契約書を作成することによって、連年贈与ではなく暦年贈与だということが証明しやすくなります。
契約書には、記名と押印が必要ですが、その際に、自筆で署名し、かつ、実印で押印すると、本人が契約を締結したことを証明しやすくなります。
贈与契約書のひな形はこちらの記事からダウンロードすることができます。是非、ご活用ください。
公正証書にするとさらに安心
また、公証役場で確定日付を付してもらうことによって、その日にその契約書が存在していたことを証明することができ、バックデートで契約書を作成したのではないかと疑われることを避けることができます。
公証役場は全国にあります。
日本公証人連合会の公証役場一覧ページからお近くの公証役場を探すことができます。
受贈者が未成年の場合の注意点
なお、受贈者が未成年の場合は、親権者等の法定代理人の同意が必要です。
贈与契約書の受贈者の住所及び氏名を記載する欄の下に、法定代理人の住所及び氏名を記載し、氏名の右に押印します。
受贈者と法定代理人の氏が同じでも、異なる印鑑を使用した方がよいでしょう。
受贈者が管理している口座に振り込む
前述の通り、入金先の口座の通帳、届印、キャッシュカードを贈与者が管理していた場合、たとえ、名義が受贈者のものであっても、贈与が履行されたとは認められない可能性があります。
受贈者が管理している受贈者名義の口座に入金するようにしましょう。
受贈者が自分で管理できる年齢に達していないような場合は、法定代理人が通帳を保管しても構いませんが、法定代理人が出金すると、税務署から法定代理人の名義口座と判断され、贈与が否定される場合があります。
まとめ
以上、贈与税の基礎控除について説明しました。
税務署に贈与が否認されて課税されてしまわないように、生前贈与に精通した税理士に相談のうえ、計画的に生前贈与しましょう。
この記事を書いた人
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