配偶者居住権の評価方法をわかりやすく解説!
[ご注意]
記事は、公開日(2020年4月21日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、被相続人(亡くなった人)の配偶者が相続開始時に被相続人の持ち家に住んでいた場合、相続開始後にその家を他の相続人等が取得しても、被相続人の配偶者が引き続き無償で使用(居住)したり、人に貸して家賃収入を得たりすること(ただし、人に貸す場合には居住建物を取得した相続人の承諾が必要です。)ができるとする権利のことです。 配偶者居住権は、民法の改正によって新設された権利で、その施行日は2020年4月1日です。施行日より前に開始した相続については、たとえ遺言や遺産分割協議書に配偶者居住権の記載があったとしても、配偶者居住権を設定することはできません。 なお、相続の開始が施行日後であっても、配偶者居住権を設定する遺言の作成日や死因贈与契約の締結日が施行日以前である場合は、その遺言や死因贈与契約の配偶者居住権についての記載部分は無効となります(改めて遺産分割で配偶者居住権を設定することは問題ありません)。 また、相続開始後に施行日が到来し、施行日に遺産分割をして配偶者居住権を設定した場合はどうでしょうか?このケースも配偶者居住権を設定することはできません。配偶者居住権の評価は、なぜ必要?
相続財産を評価する目的は、遺産分割と相続税申告の2つがあります。 配偶者居住権は譲渡することはできませんが、無償で使用収益することができるため、財産的な価値があります。 一方、配偶者居住権が設定された建物やその敷地は、所有者が自由に使用収益できないため、財産的な価値が下がります。 遺産分割の際や相続税の金額を計算する際に、このような事情を加味しなければ、配偶者居住権者が不当に得をして、所有者が不当に損をすることになってしまうため、配偶者居住権を評価する必要があるのです。配偶者居住権の評価方法
前述のとおり、相続財産を評価する目的は遺産分割と相続税申告の2つがあります。それぞれ、どのように評価するのかを見ていきましょう。遺産分割での評価方法
遺産分割の際は、相続人等の当事者間で合意すれば、どのように評価しても構いませんし、評価せずに感覚で分割しても構いません。 遺産分割協議が調わない場合は、遺産分割調停や遺産分割審判によって、遺産分割の内容を決めることになりますが、審判では、遺産を時価で評価し、各相続人の相続分に応じて遺産分割が行われます。 遺産分割の基礎となる財産評価も相続税評価額の計算方法を参考に、同様の方法で評価されるケースが多くなるでしょう。 遺産分割を巡って関係者の意見が食い違う場合や、不明な点がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。配偶者居住権の相続税評価額の計算方法
相続税の計算の際、相続財産は相続税評価額で評価されます。 相続税評価額の計算方法は財産の種類によって通達等で決められています。配偶者居住権の相続税評価額の計算方法について説明します。建物の相続税評価額
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は、次のいずれかの書類で確認することができます。- 固定資産評価証明書 ※固定資産課税台帳登録事項証明書または固定資産課税台帳記載事項証明書という名称になっている自治体もあります
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書
配偶者居住権が設定された建物の相続税評価額
配偶者居住権が設定された建物の相続税評価額は、以下の計算式で求められます。建物の構造 | 法定耐用年数を1.5倍した値 |
---|---|
木造 | 33 |
木造モルタル | 30 |
(鉄骨)鉄筋コンクリート | 70 |
レンガ造・ブロック造 | 57 |
骨格材3mm以下の金属造 | 28 |
骨格材3mm超4mm以下の金属造 | 40 |
骨格材4mm超の金属造 | 51 |
敷地の利用権の相続税評価額の計算方法
配偶者居住権が建物に設定されると、配偶者居住権者は、その建物の敷地の利用権を得ることになります。 敷地利用権の価額を求める計算式は以下のとおりです。配偶者短期居住権の相続税評価額は0円
配偶者短期居住権の相続税評価額は0円です。遺産分割の際も0円として評価すべきでしょう。まとめ
以上、配偶者居住権の評価方法について説明しました。 前述のとおり、相続財産に土地が含まれる場合は、評価減の各種制度を駆使することで、相続税を大幅に減額可能なケースが多々あります。 土地がある場合は特に、相続税の申告経験が豊富な税理士に依頼することをお勧めします。この記事を書いた人
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