弁護士監修記事

配偶者居住権の評価方法について税理士がわかりやすく説明!

配偶者居住権はどのように評価すればよいのでしょうか?

以下、税理士がわかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、相続人(亡くなった人)の配偶者が相続開始時に被相続人の持ち家に住んでいた場合、相続開始後にその家を他の相続人等が取得しても、被相続人の配偶者が引き続き無償で使用(居住)したり、人に貸して家賃収入を得たりすること(ただし、人に貸す場合には居住建物を取得した相続人の承諾が必要です。)ができるとする権利のことです。

配偶者居住権は、民法の改正によって新設された権利で、その施行日は202041日です。施行日より前に開始した相続については、たとえ遺言や遺産分割協議書に配偶者居住権の記載があったとしても、配偶者居住権を設定することはできません。

なお、相続の開始が施行日後であっても、配偶者居住権を設定する遺言の作成日や死因贈与契約の締結日が施行日以前である場合は、その遺言や死因贈与契約の配偶者居住権についての記載部分は無効となります(改めて遺産分割で配偶者居住権を設定することは問題ありません)。

また、相続開始後に施行日が到来し、施行日に遺産分割をして配偶者居住権を設定した場合はどうでしょうか?このケースも配偶者居住権を設定することはできません。

配偶者居住権の評価は、なぜ必要?

相続財産を評価する目的は、遺産分割と相続税申告の2があります。

配偶者居住権は譲渡することはできませんが、無償で使用収益することができるため、財産的な価値があります。

一方、配偶者居住権が設定された建物やその敷地は、所有者が自由に使用収益できないため、財産的な価値が下がります。

遺産分割の際や、相続税の金額を計算する際に、このような事情を加味しなければ、配偶者居住権者が不当に得をして、所有者が不当に損をすることになってしまうため、配偶者居住権を評価する必要があるのです。

配偶者居住権の評価方法

相続税評価額と時価

相続税の計算の際、相続財産は相続税評価額で評価されます。

相続税評価額の計算方法は財産の種類によって通達等で決められています。

一方、遺産分割の際は、相続人等の当事者間で合意すれば、どのように評価しても構いませんし、評価せずに感覚で分割しても構いません。

遺産分割協議が調わない場合は、遺産分割調停や遺産分割審判によって、遺産分割の内容を決めることになりますが、審判では、遺産を時価で評価し、各相続人の相続分に応じて遺産分割が行われます。

遺産分割の基礎となる財産評価も、相続税評価額の計算方法を参考に、同様の方法で評価されるケースが多くなるでしょう。

遺産分割を巡って関係者の意見が食い違う場合や、不明な点がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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配偶者居住権の相続税評価額の計算方法

配偶者居住権の相続税評価額の計算方法について説明します。

【配偶者居住権の価額】=【配偶者居住権が設定されていない場合の建物の価額】-【配偶者居住権が設定された建物の価額】

配偶者居住権の価額は、「配偶者居住権が設定されていない場合の建物の価額 - 配偶者居住権が設定された建物の価額」で計算することができます。

市場で取引される財産の場合は市場価格を参考にして評価方法を決めることができますが、配偶者居住権は譲渡できず売買されることはないため、配偶者居住権の評価方法を直接決めることができません。

この点、配偶者居住権が設定された建物は譲渡することができ、市場価格を参考に(法施行前なのでまだ市場には出ていませんが)評価方法を決めることができます。

また、概念としては、「配偶者居住権が設定されていない場合の建物の価額 = 配偶者居住権の価額 + 配偶者居住権が設定された建物の価額」であるはずなので、配偶者居住権の価額は「配偶者居住権が設定されていない場合の建物の価額 - 配偶者居住権が設定された建物の価額」で求められるのです。

建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。

固定資産税評価額は、次のいずれかの書類で確認することができます。

  • 固定資産評価証明書
    ※固定資産課税台帳登録事項証明書または固定資産課税台帳記載事項証明書という名称になっている自治体もあります
  • 固定資産税・都市計画税の課税明細書

固定資産評価証明書を取得するには交付手数料が必要ですが、証明書で確認する方が確実ですし、相続税の申告や登記の際には固定資産評価証明書が必要なので取得しても無駄にはなりません。

固定資産評価証明書の取得方法については「固定資産評価証明書について相続人が知っておくべき取得方法や見方」をご参照ください。

登記申請を司法書士に依頼する場合は、固定資産評価証明書は司法書士が取得してくれることが多いでしょう(相続税申告の場合は税理士)。

取り急ぎ、評価額だけ知りたいということであれば、評価証明書を取得しなくても、固定資産税・都市計画税の課税明細書で確認することができます。

課税明細書は、毎年4月~6月頃(市町村によって異なります)に納税義務者に届く「固定資産税・都市計画税 納税通知書」に同封されています(別送の場合もあります)。

課税明細書の「価格」または「評価額」の欄に記載されている金額が、固定資産税評価額です。

なお、マンションの場合は、価格欄は一棟丸ごとの評価額になっており、自分の所有している部屋の固定資産税評価額は課税標準額の欄に記載されています。

配偶者居住権が設定された建物の相続税評価額

配偶者居住権が設定された建物の相続税評価額は、

建物の相続税評価額×(残存耐用年数-配偶者居住権の存続年数)÷残存耐用年数×配偶者居住権の存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

で計算します。

残存耐用年数は、「法定耐用年数×1.5-築年数」で計算できます。

法定耐用年数は、建物の構造に応じて異なります。

建物の構造ごとの法定耐用年数を1.5倍した値は下の表のとおりです。

建物の構造法定耐用年数を1.5倍した値
木造33
木造モルタル30
(鉄骨)鉄筋コンクリート70
レンガ造・ブロック造57
骨格材3mm以下の金属造28
骨格材3mm4mm以下の金属造40
骨格材4mm超の金属造51

次に、配偶者居住権の残存年数について、配偶者居住権の期間を定めなかった場合は、配偶者居住権は原則として権利者が亡くなるまで存在し続けるため、権利者の性別と年齢に応じた平均余命(厚生労働省作成の最新の完全生命表によるもの)が、配偶者居住権の残存年数となります。

完全生命表は5年おきに更新されており、現在の最新の完全生命表は201731日に公表されたものになります。

以下のリンクから、権利者の性別のものをご参照ください。

年齢欄が一番左に、平均余命欄が一番右にあります。

それ以外の欄は無視して構いません。

平均余命の小数点以下は切り捨てます。

なお、配偶者居住権の期間を定めた場合は、その残存年数となります。

ちなみに、(残存耐用年数-配偶者居住権の存続年数)の値がマイナスになる場合は、0で計算します。

つまり、残存耐用年数よりも配偶者居住権の存続年数の方が長い場合は、配偶者居住権の相続税評価額は、建物の相続税評価額になり、この場合、配偶者居住権を設定するメリットはほとんどありません。

配偶者居住権のメリットは、配偶者居住権と所有権の評価額の差額の分だけ他の財産を相続することができ、自宅に住み続けながら老後資金を確保しやすい点にあるからです。

民法の法定利率は、3年ごとに見直されますが、202041日から3年間は年3%です。

年利3%の場合の複利現価率については、国税庁ウェブサイトのこちらページをご参照ください。

配偶者居住権の存続年数に対応した「年3%の複利現価」欄の値ご確認ください。

敷地の利用権の相続税評価額の計算方法

配偶者居住権が建物に設定されると、配偶者居住権者は、その建物の敷地の利用権を得ることになります。

敷地利用権の価額は、「【敷地の価額】-【利用権が設定された敷地の価額】」で計算することができます。

利用権が設定された敷地の相続税評価額は、「【敷地の相続税評価額】×【存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率】」で計算することができます。

土地の相続税評価額の計算に当たっては、多種多様な評価減の方法が用意されており、これを駆使することによって相続税を大幅に減額できるケースが多々あります。

相続財産に土地が含まれる場合は特に、相続税の申告経験が豊富な税理士に依頼することを強くお勧めします。

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なお、土地の相続税評価額の概算を算出したいだけであれば、固定資産税評価額を1.14倍することで求めることができます。

配偶者短期居住権の相続税評価額は0

配偶者短期居住権の相続税評価額は0です。

遺産分割の際も0円として評価すべきでしょう。

配偶者短期居住権については「配偶者短期居住権とは?配偶者居住権との違いは?」をご参照ください。

まとめ

以上、配偶者居住権の評価方法について説明しました。

前述のとおり、相続財産に土地が含まれる場合は、評価減の各種制度を駆使することで、相続税を大幅に減額可能なケースが多々あります。

土地がある場合は特に、相続税の申告経験が豊富な税理士に依頼することを強くお勧めします。

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